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「舌がんは何科」を受診すればよい?検査方法・治療法も解説!医師が監修!

 公開日:2024/07/26
「舌がんは何科」を受診すればよい?検査方法・治療法も解説!医師が監修!

舌がんはがんのなかでは悪性のがんです。初期症状はほとんどなく、舌に異変を感じて医療機関を受診しても口内炎の薬を処方されるだけの場合もあります。

しかし、口内炎は2週間もすると自然治癒しますが、時間がたっても治るどころか悪くなっている場合は異常と判断したほうがよいでしょう。

本記事では、舌がんの治療をする診療科や検査方法・治療方法を詳しく解説します。舌がんを疑う症状があるのなら解説記事をぜひ読んで参考にしてください。

酒向 誠

監修歯科医師
酒向 誠(酒向歯科口腔外科クリニック)

舌がんとは

舌がんは口腔がんの一種で口腔がんの約半分を占めているがんです。舌の側面にできることが多く、日本では1年間に約4,200人が発症する病気です。また、粘膜の表面や舌の裏側にできることもあります。
初期段階では自覚症状はほとんどありませんが、進行するとしこりや痛みを自覚するようになります。舌に違和感があり病院を受診しても最初は口内炎と診断されることもありますが、2週間以上たっても症状が改善しない場合は専門の医療機関を受診しましょう。

舌がんは何科を受診すればよい?

舌がんは最初のうちは症状があまりないので、口内炎ができたと勘違いする人が多いようです。その場合、歯科医院へ受診する人が多いのではないでしょうか。舌がんの場合は一般歯科ではなく、専門の医師が在籍する医療機関への受診をおすすめします。
ここからは、舌がんの診断ができる医療機関3つを詳しく解説します。

歯科口腔外科

歯科口腔外科は、口腔・顎・顔面・顔に隣接する組織などに症状が出る先天性や後天性の疾患を専門に扱う診療科です。なお、歯科口腔外科は医師国家試験ではなく歯科医師国家試験を習得した医師が在籍しています。ただし、専門の医師の資格を持っていないと標榜できません。資格を得るためには医科に近い知識と経験が求められるため、がんセンターで研修される医師も少なくないです。
歯科医師は歯学に特化した歯科医師免許であるため、医師に比べて診療や治療する範囲が限られています。そのため、舌がんが転移した場合は全身管理のできる科に引き継ぐことになるでしょう。
しかし、口腔外科のほとんどは大学病院や総合病院にあるので、転移があっても病院が変わることはほとんどありません。また、処方箋が必要な場合も歯科医師は歯に特化した症状に限られます。
以下は歯科口腔外科で治療する疾患です。

  • 交通事故やスポーツによる外傷
  • 顎変形症
  • 唾液腺疾患
  • 口腔粘膜疾患
  • 神経性疾患
  • 口臭症

歯科口腔外科では自然な形態や機能の回復を目的とした治療を行います。顎口腔領域に発生する腫瘍には良性のものや悪性のものがあります。舌がんは悪性腫瘍で咀嚼や嚥下・発音に関わる疾患です。
なお、歯科口腔外科で治療をする際は機能の温存・審美的治療が必要になるので、腫瘍切除後は機能的および形態的再建手術を行います。

耳鼻咽喉科

耳鼻咽喉科は、脳と目以外の首から上のすべてを専門に扱う幅広い診療科です。以下が耳鼻咽喉科で扱う症状です。

  • 耳鳴り
  • 難聴
  • 外耳炎・中耳炎
  • 咽頭痛
  • 開口障害
  • アレルギー性鼻炎
  • めまい
  • 花粉症

耳鼻咽喉科では、聴覚や味覚などの感覚器・音声言語や嚥下などの機能の治療に加え、口腔や咽頭・喉頭なども専門的に治療を行います。

頭頸部外科

頭頸部外科は、2021年5月から日本耳鼻咽喉科学会が呼称を耳鼻咽喉科と頭頸部外科に併記しました。現在は日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会に名称変更されています。
頭頸部外科が扱う主な疾患には以下のものがあります。

  • 扁平上皮がん(頭頸部扁平上皮がん)=鼻・副鼻腔・口腔・咽頭・頭頸部に発生するがん
  • 唾液腺がん=耳下腺・下顎線に発生するがん
  • 甲状腺がん

頭頸部外科では、上記の疾患の外科的治療・放射線治療・薬物治療などの包括的な治療を行います。

舌がんの検査方法

口腔内にできたがんは自分でも確認できます。しかし、舌がんは初期段階では口内炎にしか見えない場合があります。以下の症状がないか医療機関を受診する前にセルフチェックをしてみましょう。

  • 口内炎の症状が2週間以上続いている
  • 舌や口腔内の粘膜が白色に変化した
  • 舌がいつもより赤い
  • 舌がただれている
  • 舌の表面がざらざらしている
  • 舌にしこりがある
  • 歯茎からの出血したり腫れたりの症状がある
  • 歯がぐらぐらする

上記の症状がいくつかあれば舌がんを疑って、早急に専門の医療機関を受診しましょう。

視診・触診

医療機関を受診すると初めに受けるのが視診と触診です。視診は口腔内にライトを当てて舌を直接確認し、触診は舌に触れた感覚を確認します。視診や触診でわかることは以下です。

  • がんの大きさ・形の確認
  • がんの広がり方や硬さの確認
  • 白板症の有無の確認
  • むし歯の確認
  • インプラントや被せ物の状態確認
  • リンパ節の腫れの有無の確認

視診や触診で基本情報を収集します。

画像検査

画像検査で確認できるのはがんの深さや広がり方です。舌がんの画像検査には以下の方法があります。

  • CT検査:レントゲンを周囲から当て吸収率の違いをコンピュータで計測し、断層を画像化
  • MRI検査:強力な磁石と電波で磁場を作って撮影

MRI検査は、体内に金属が埋め込まれている人や磁石を使用したインプラント・入れ墨などは、やけどのリスクがあるので検査が受けられない場合があります。なお、舌がんが全身の骨や臓器に転移していないかを検査するために、エコー(超音波検査)や骨シンチグラフィで検査を行う場合があります。

病理検査

舌がんを疑う箇所の組織を採取して顕微鏡で詳細な検査をします。検体の採取は綿棒やブラシで舌の表面をこすって採取する方法や、器械を使って組織の一部を採取する方法です。
病理検査では以下のことがわかります。

  • 組織の型:がんの有無・がん細胞の種類
  • 異型度:正常細胞との異なり

なお、病理診断は病理専門の医師が行います。

血液検査

血液検査は、がんの診断の補助や治療効果の確認が目的です。がんの種類の特定には腫瘍マーカー(がんの種類別に特徴的なたんぱく質が産生される)検査が実施されます。腫瘍マーカー検査だけでがんの有無や進行状況は確定できません。
なお、現在舌がんの腫瘍マーカーはありません。

舌がんの治療法

舌がんの治療では、がんの進行度や患者さんの年齢・希望など総合的に判断して治療方法が選択されます。
なお、舌がんの治療方法は切除手術・放射線治療・抗がん剤治療を組み合わせて行われるのです。ここからは、それぞれの治療法を詳しく解説します。

手術による切除

舌がんの治療は切除手術を中心に行われます。舌がんは舌の側面の発生率が高く、腫瘍の大きさで術式が変わります。

  • 舌部分切除術:舌の可動部分の一部の切除
  • 舌半側切除術:がんがある側の舌を半分切除
  • 舌亜全摘術(舌全摘術):舌根を含めてすべてを切除

舌部分切除術は切除範囲が小さいためほとんど機能に支障がありませんが、舌半側切除術や舌全摘術は舌の機能の維持が困難になるため再建手術を同時に行います。再建手術では患者さんの皮膚・脂肪・筋肉などを移植に使います。

放射線治療

舌がんの放射線治療には2つの方法があります。

  • 組織内照射:管や針を舌のがん組織に直接埋め込んで照射する
  • 外部照射:体の外側からがん組織に照射する

なお、組織内照射はステージ1、2の腫瘍が1cm以下が条件になりますが、稀にステージ3または厚みが1cmを超えても実施する場合があります。
なお、外部照射は組織内照射との併用や薬物療法と併用して行います。

抗がん剤治療

舌がんは切除手術で腫瘍部分を切除しますが、がん組織が残った場合や再発のリスクが高い場合に術後に抗がん剤を用いた薬物療法を行います。放射線治療と併用して実施します。
使用する抗がん剤はシスプラチンです。シスプラチン(シス・ジアンミンジクロロ白金)は、生体成分(DNAなど)と結合するので抗がん効果が期待できます。シスプラチンは多くのがんの抗がん剤として承認されています。

舌がんで何科を受診するかについてよくある質問

ここまで舌がんの診療科や治療方法・検査方法などを紹介しました。ここでは「舌がんで何科を受診するか」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

舌がんが疑われる症状にはどのようなものがありますか?

酒向 誠医師酒向 誠(医師)

舌がんの初期症状は口内炎に似ています。口内炎との違いは自然治癒しないことです。以下が舌がんの症状です。

  • 粘膜に白い斑点や赤い斑点ができる
  • 舌に硬いしこりやただれ
  • 舌を動かすと違和感がある
  • 舌がしびれる
  • 口内炎が治らない
  • 痛みや出血
  • 口臭

舌がんは主に舌の側面にできます。気になる症状があれば早めに歯科口腔外科や頭頸部外科を受診しましょう。

舌がんになりやすいのはどのような人ですか?

酒向 誠医師酒向 誠(医師)

舌がんは口腔がんの一種ですが、口腔がんを発症するリスクが高い人は喫煙や飲酒が要因の場合が多い傾向にあります。口腔がんを発症した人の80%は喫煙している人です。喫煙も飲酒も量の多い人はさらに危険度が高まります。

編集部まとめ

舌がんは口腔がんのなかでも悪性のがんです。舌がんが発生したら切除手術や放射線治療などが必要で化学療法だけで完治するのは難しいです。

ただし、早期発見・早期治療で切除部位が小さくなり口腔機能もほとんど阻害されることもありません。

舌に気になる症状を見つけたら放置せず、歯科口腔外科や頭頸部外科のある病院を受診しましょう。

舌がんと関連する病気

「舌がん」と関連する病気は5個程あります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する病気

舌がんは口腔がん全体の約55%を占めています。

舌がんと関連する症状

「舌がん」と関連している、似ている症状は4個程あります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 痛み
  • ただれ
  • 出血
  • しこり

舌がんは、舌の変色・舌の動きが悪いなどの目に見える異変があるため自分で確認できる疾患です。

この記事の監修歯科医師