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「舌がんステージ4の余命」はご存知ですか?治療法や各ステージの特徴も解説!

 公開日:2024/07/01
「舌がんステージ4の余命」はご存知ですか?治療法や各ステージの特徴も解説!

舌がんのステージ4と診断されても、5年以上生きられる確率は半分以上あります。

舌がんになっても早期に治療すれば口の機能はほとんど失われず、症状が進行していても、適切に治療すれば余命は伸ばせるでしょう。

この記事では舌がんステージ4の余命・5年相対生存率・治療法などを解説します。

正しい情報を知ってストレスを軽くし、希望を持って治療に臨むための参考になれば幸いです。

渡邊 雄介

監修医師
渡邊 雄介(医師)

舌がんとは?

舌がんとは、舌の可動部(舌体)にできるがんで、口腔がん全体の60%を占めています。舌は動かせる可動部が2/3で、残り1/3が舌の付け根である舌根です。舌根にがんができることもありますが、この場合は分類上舌がんではなく中咽頭がんとなります。
舌がんは舌の表面を覆う扁平上皮細胞から発生し、進行すると舌の奥深くまで腫瘍が広がり、食べたり喋ったりする機能が大きく失われていきます。舌がんは舌の表面にできるため鏡を使って患者さん自身でも視認しやすく、早期発見がしやすいがんです。早期に治療すれば舌の機能を大きく失うことなく、余命を伸ばせるでしょう。

舌がんの各ステージの特徴

舌がんのステージ(病期)はステージ1〜4に分けられ、数字が大きくなる程症状が進行しています。舌がんのステージを決定する要素はTNM分類と呼ばれ、がんの広がりを示すTカテゴリ・リンパ節への転移の有無・個数・大きさを示すNカテゴリ・遠くの臓器への転移の有無を示すMカテゴリの3つを組み合わせて診断されます。

ステージ1

舌がんのステージ1は、がんの最大径が2cm以下で深さが5mm以下の極めて小さな時期で、リンパ節やほかの臓器への転移がない状態です。舌に硬いしこりやただれができたり、舌の動きに違和感を覚えたりして発見されることが多いといわれています。
舌がんは鏡を使って患者さん自身でも視認しやすいため、早期発見してステージ1で治療すれば舌の機能はほとんど失われません

ステージ2

舌がんのステージ2は、がんの最大径が2cm以下で深さが5mmを超えるものです。または最大径が2cm以上4cm以下で深さが10mm以下の大きさで、リンパ節やほかの臓器への転移がない状態です。腫瘍が大きくなっているため、舌がかなり動かしづらくなり、鏡ではっきり患部を見られるでしょう。痛みや出血が持続し、口臭が強くなるなどの症状があります。

ステージ3

舌がんのステージ3は、がんの最大径が2cm以上4cm以下で深さが10mmを超えるものになります。またはがんの最大径が4cmを超えて深さが10mm以下の状態です。これ以下の大きさであっても、リンパ節へ3cm以下の転移が1個だけある場合でもステージ3となります。
舌以外の部位にまでがんが転移しているため、リンパ節の転移病巣を切除する手術も必要です。

ステージ4

舌がんのステージ4は、がんの最大径が4cm以上で深さが10mmを超えるものです。または顎の骨を貫通したり、顔の皮膚にまで広がったりしている状態です。
これ以下の大きさであっても、リンパ節に3cm以上の転移が認められたり、リンパ節以外の臓器に転移したりしている場合はステージ4となります。

ステージ4の余命・5年相対生存率は?

がんの治療成績を評価する重要な指標の一つが、5年相対生存率です。これはがんと診断された人が5年後に生存している割合が、日本人全体の5年後に生存している割合と比較して、どれ程低いかを表した指標です。この数値が100%に近い程、がん治療で命を救える可能性が高くなります。
ステージ4まで進行していた場合であっても、5年相対生存率が0%でないのなら命を救える可能性は十分にあるでしょう。

症例数

2018年に舌がんと診断された方は、日本全国で5148名です。これとは別に、全国がんセンター協議会が公表している院内がん登録数が5年相対生存率の計算に用いられます。
全国がんセンター協議会の集計によると、2011〜2013年に舌がんステージ4の診断・治療を受けた患者さんは536名となっています。

5年相対生存率

2011〜2013年に舌がんステージ4と診断された患者さんの5年相対生存率は50.1%です。適切な治療を受ければ2人に1人は5年以上生きられるため、希望を持って治療に臨んでください。また、このデータはあくまでも確率として推測されるものであるため、すべての患者さんに当てはまるわけではありません。
しかし治療開始が10年以上前のデータとなっているため、現在ではさらに治療成績が向上していると考えられます。

ステージ4以外の病期の5年相対生存率

舌がんに限らず、がんは早期に治療した方が5年相対生存率も高くなる傾向にあります。舌がんは口の中とはいえ目に見える部位にできるがんであるため早期発見がしやすく、早くに治療すれば舌の機能を十分に残すことも可能です。
治療成績の参考として、2011〜2013年に舌がんと診断された方のステージ別5年相対生存率を解説します。

ステージ1

舌がんステージ1の症例数は340名で、5年相対生存率は90%です。この段階で治療すれば舌の機能をほとんど失うことなく、高い確率で命を守れるでしょう。
通常どおりに食べる・喋ることができれば生活の質も高いまま保てるため、心身が衰弱してしまう可能性も低くなります。

ステージ2

舌がんステージ2の症例数は417件で、5年相対生存率は83%です。ステージ2では放射線治療でがんが消えない場合に、舌の部分切除や半分切除の手術を行います。
再建手術で舌の機能を取り戻せることもあり、生活の質と命を守ることは十分に可能です。

ステージ3

舌がんステージ3の症例数は172件で、5年相対生存率は67.7%です。がんが舌だけでなく顎にまで広がっているため、舌の半分切除もしくは全切除を行い、顎部のリンパ節も取り除く必要があります。
命を守ることを優先した手術となりますが、舌の再建手術やリハビリによって食事・会話の能力を取り戻せることも少なくありません。

全症例の5年相対生存率

舌がんステージ1〜4の全症例での5年相対生存率は71.3%です。日本人の全がんの5年相対生存率は男女合計で64.1 %であるため、舌がんは5年相対生存率の高いがんであるといえるでしょう。
目に見える位置にできるため早期発見がしやすく、ステージ1であれば90%以上の確率で命を守れることから、数値が高くなっていると考えられます。ステージ4となっても50%以上の5年相対生存率を示しており、症状が進行してしまっていても諦める必要はありません。

舌がんステージ4の余命についてよくある質問

ここまで舌がんの病期・5年相対生存率・治療法などを紹介しました。ここでは「舌がんステージ4の余命」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

舌がんのステージ4ではどのような治療が行われますか?

渡邊 雄介医師渡邊 雄介(医師)

舌がんステージ4ではがんが舌の半分以上に広がっているため、舌の全摘出手術が必要になります。舌を半分以上切除すると舌の機能がほとんど失われてしまうため、身体のほかの部位から組織を移植して舌の再建手術も行う場合があります。また、リンパ節に転移している場合は、周囲の組織と一緒に病巣を取り除く頸部郭清術の手術も必要です。どれだけの部位を切除するかはがんの進行度によって決まり、早期である程神経や血管を多く残せます

リンパ節への転移の有無によって余命は変化しますか?

渡邊 雄介医師渡邊 雄介(医師)

一般的に、がんのリンパ節転移は余命に大きく影響します。リンパ節はリンパ管の中継地点で、リンパ管は全身に広がっているため、リンパ節にがんが転移するとリンパ管に乗って全身に拡散しやすくなるからです。リンパ節へのがん転移が発見された場合は、手術で病巣を切除して全身への拡散を防ぎますが、多数のリンパ節に転移している場合は予後不良で余命が短くなるでしょう。しかし、できるだけ早く治療することで、生存率を高めることはできます。

編集部まとめ

舌がんステージ4の症状や5年相対生存率について解説しました。

がんがステージ4まで進行すると、症状が重く余命も短い傾向がありますが、希望がないわけではありません。

舌がんステージ4の5年相対生存率は50%あるため、半分は5年以上も余命を伸ばせるのです。

5年相対生存率は10年以上前の治療成績から算出されるため、現在ではさらに治療技術が向上して生存率が伸びている可能性も高いでしょう。

舌がんステージ4と診断されても希望は捨てず、前向きに治療に臨むことが余命を伸ばすために大切です。

舌がんと関連する病気

「舌がん」と関連する病気は3個程あります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

舌がんに進行する可能性のある病気は、喫煙・飲酒・噛み合わせの悪さによる刺激などが主な発症リスク因子とされています。定期的な歯科検診や生活習慣の見直しとともに、口腔内に異常があるときには早めに診察を受けましょう。

舌がんと関連する症状

「舌がん」と関連している、似ている症状は4個程あります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

自分の舌は歯みがきの際に見ることが多く、食事の際に舌に違和感があると気になるため、いつもと違う症状には気が付きやすいでしょう。喫煙・飲酒の習慣がある人は舌がんのリスクが高くなるため、気になる症状がある場合には早めに歯科か耳鼻咽喉科を受診しましょう。

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