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「膵臓がんの末期症状」はご存知ですか?原因や治療法も解説!医師が監修!

 更新日:2024/04/11
「膵臓がんの末期症状」はご存知ですか?原因や治療法も解説!医師が監修!

膵臓がんは発症から発見までの時間が長く、すでに手術による治療ができない程進行して発見されることが多いがんです。

そのため、発症後の死亡率が高いことが特徴です。膵臓がんの末期と診断された場合、どのような症状が出るのでしょうか。

この記事では、膵臓がんの末期の症状・検査・治療法について解説します。膵臓がんと診断された方、または家族が診断された方の参考になれば幸いです。

甲斐沼 孟

監修医師
甲斐沼 孟(上場企業産業医)

プロフィールをもっと見る
大阪市立大学(現・大阪公立大学)医学部医学科卒業。大阪急性期・総合医療センター外科後期臨床研修医、大阪労災病院心臓血管外科後期臨床研修医、国立病院機構大阪医療センター心臓血管外科医員、大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、大手前病院救急科医長。上場企業産業医。日本外科学会専門医、日本病院総合診療医学会認定医など。著書は「都市部二次救急1病院における高齢者救急医療の現状と今後の展望」「高齢化社会における大阪市中心部の二次救急1病院での救急医療の現状」「播種性血管内凝固症候群を合併した急性壊死性胆嚢炎に対してrTM投与および腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し良好な経過を得た一例」など。

膵臓がんとは?

膵臓がんとは、膵臓に生じた悪性腫瘍です。以下の3つの種類がありますが、膵がんのほとんどは膵管がんを発症します。

  • 浸潤性膵管がん:膵管上皮から発生するがん
  • 腺房細胞がん:腺房細胞(消化酵素を生成)から発生するがん
  • 粘液産生膵がん:年影木を多く産生する膵管内腫瘍ががん化する

膵臓は食べ物を消化する膵液を産生したり、血糖値を調整するインスリンなどのホルモンを分泌したりする働きがあります。がんが発症すると、消化やホルモン分泌に異常をきたしますが、すぐに症状が出るわけではありません。
がんの進行に伴い、徐々に腹痛・食欲不振・お腹の張りなどの症状が出現しはじめます。膵臓がんの悪性度は高く、進行すると完治は困難になるため、予後も悪い病気です。

膵臓がんの末期症状

膵臓がんの末期になると、体重減少・背中や腰の痛み・肝臓転移による倦怠感や黄疸の症状が出現します。順番に見ていきましょう。

体重減少

膵臓がんが進行すると著しい体重減少が出現します。先述したとおり、膵臓には食べ物を消化する働きがあります。消化という正常な働きができなくなった膵臓は、身体に必要な栄養素を吸収できません。
またインスリンの分泌障害により血糖コントロールができなくなるため、糖尿病の発症・悪化の可能性も挙げられます。血糖コントロールができなくなると、高血糖あるいは低血糖症状により身体的な負担につながる原因になるでしょう。

背中・腰の痛み

悪性腫瘍は通常の細胞と比較すると、増殖するスピードが早いことが特徴です。血管やリンパ管に侵入し、ほかの臓器に転移していくでしょう。
末期の状態では、すでにがん細胞が全身に広がっていることも少なくありません。膵臓に発症したがんは炎症を引き起こすため、背中や腰に痛みを伴います。

肝臓転移による倦怠感・黄疸

膵臓は肝臓に隣接している臓器です。そのため、膵臓がんを発症すると、肝臓へ転移する可能性が高いようです。
肝臓には解毒や消化酵素を産生する役割があります。しかし、がんの転移により有害な物質を解毒することが難しくなり、体内に少しずつ有害物質が蓄積され倦怠感・黄疸のような症状につながります。

膵臓がん末期の検査

膵臓がん末期の検査では、全身を調べるためにさまざまな検査を行います。今回は5つに分けて紹介します。

血液検査・腫瘍マーカー検査

血液検査では、膵酵素(アミラーゼなど)の数値を測定します。がんを発症すると、細胞同士が異常をきたし血液中に膵酵素が漏れ出している可能性があります。
また、血液検査では腫瘍マーカーを調べることも可能です。腫瘍マーカーとは、がん細胞により作られるタンパク質などの物質であり、膵臓がんでは以下のような種類があります。

  • CA19-9
  • CEA
  • CA50

しかし、腫瘍マーカーはがんが存在していても数値が高くならない場合もあるため、注意しましょう。

超音波検査

超音波(エコー)検査とは、超音波を用いて膵臓などの臓器の状態を調べる検査です。膵臓の形や状態に加え、血流の確認も行うことができます。
基本的には痛みをともなわずに行える検査です。また、画像もその場で確認できることも特徴です。

CT検査・MRI検査

CT検査・MRI検査も膵臓がんの状態を調べるために必要な検査です。CT検査とは、X線を身体に当てることで、身体の断面を画像で確認できる検査になります。また、MRI検査では磁力を用いて、さまざまな方向から体内の状態を確認することが可能です。
検査ごとの特性を生かし、がん細胞の転移の有無・正常な細胞との境目・がん細胞の広がりなどを観察していきます。がんの状態をさらに詳しく調べるために、造影剤を使用して調べることもあります。

内視鏡検査

膵臓がんの状態を調べるために、口から機械を入れて体内を調べる内視鏡検査もあります。内視鏡検査は、以下の2種類について解説します。

  • 超音波内視鏡検査(EUS)
  • 内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)

超音波内視鏡検査では、機械の先端に超音波プローブをセットし、胃や十二指腸から膵臓の状態を観察できます。また、内視鏡逆行性胆管膵管造影とは、膵管と胆管の出口から管を通し造影剤を注入します。
画像に映し出された造影剤の状況から、がんの状態の観察が可能です。内視鏡検査の際に、がん細胞により病変している部位の細胞を採取したり、膵液を採取したりするような検査が同時に行われることもあります。

PET検査・経皮経肝胆道造影検査

PET検査とは、膵臓がんかどうかを調べたり、膵臓がんの診断が確定した後に転移の有無を調べたりする検査です。がん細胞の大量にエネルギーを消費する性質を逆手に取り、放射性フッ素を付加したブドウ糖を注射し、がん細胞が増殖している臓器の有無を調べます。
また、経皮経肝胆道造影検査とは、肝機能障害や黄疸がある方を対象に行う検査です。しかし、肝機能の低下がある患者さんは、造影剤を使用した検査では十分な結果が得られないとされています。検査の有無は、専門の医師との相談になるでしょう。

膵臓がん末期の治療法

膵臓がん末期の治療法は、化学療法と放射線治療です。膵臓がんの局所的な進行でも、切除が困難な部位の場合に対象になります。また、ほかの臓器に転移している場合も化学療法と放射線治療の対象です。

化学療法

化学療法とは、抗がん剤を使用した薬物療法です。がん細胞の機能を障害したり、がん細胞の増殖に必要なタンパク質を標的にしたりして、がん細胞を攻撃する働きがあります。
治療の目的に合わせて抗がん薬を組み合わせ、患者さんの状態・目的に合わせて行います。しかし、薬物療法にはさまざまな副作用があり、日常生活に支障をきたす可能性も高い治療法です。

放射線治療

放射線治療には、治療の効果を高めることを目的とする場合と、症状の緩和を目的として行う場合があります。前項の化学療法を併用する治療法は、化学放射線療法と呼ばれています。
遠隔転移はないものの、手術ができない膵臓がんの主な治療法です。また、がんの遠隔転移がある膵臓がんには、痛みなどの症状の緩和を目的として行われます。骨転移に伴う痛みにも有効です。

膵臓がんの末期についてよくある質問

ここまで膵臓がんの特徴・症状・放射線治療などを紹介しました。ここでは「膵臓がんの末期」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

膵臓がんの原因について教えてください。

甲斐沼孟医師甲斐沼 孟(医師)

膵臓がんの原因は明確にされていませんが、がんの発症を高めるリスクとして以下のような生活習慣病が挙げられます。

  • 糖尿病
  • 肥満
  • 飲酒
  • 喫煙

また、家族・親戚に膵臓がんを発症した方がいらっしゃる場合は、膵臓がんを発症するリスクが高いため注意が必要です。ほかにも既往疾患に慢性膵炎・膵管内乳頭粘液性腫瘍を持つ方もリスクが高いとされています。まずは生活習慣を整えることが、膵臓がんを予防する1つの手段といえるでしょう。

膵臓がんの末期患者への緩和ケアはどうしたらよいでしょうか?

甲斐沼孟医師甲斐沼 孟(医師)

膵臓がんは進行するスピードが早いことに加えて、一般的には予後が不良ながんです。進行するとさまざまな身体的な症状が出現するため、膵臓がんと診断された時から緩和ケアを介入することが大切になります。膵臓がんの進行に伴い、背中や腰に痛みが生じるため医療用麻薬を使用し疼痛コントロールを行います。また、残された時間をどのように使うかは患者さんの意向に沿って行うことが大切です。家族も踏まえ、これからの治療・ケアについて病状を受け入れつつ、話し合いを重ねていきましょう。

編集部まとめ

膵臓がんは進行が早く、死亡率も高い疾患です。がんと診断された時は、検査や治療と同時に緩和ケアの介入をおすすめします。

末期になると精神的・身体的にも負担が大きく、患者さんや家族が病状を理解する時間が十分に取れないこともあるでしょう。

また、生活習慣病のリスクを減らし、膵臓がんの発症を防ぐ生活を心がけることが大切です。

万が一、体調の悪さを長期間感じる際には、早めに病院に受診してください。

膵臓がんと関連する病気

「膵臓がん」と関連する病気は2個程あります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する病気

慢性膵炎の場合、発症すると膵臓がんを発症するわけではありません。しかし、膵臓にダメージを与えるため、健常な方と比較するとがんを発症する可能性が高くなります。膵管内乳頭粘液性腫瘍とは、膵管上皮にイクラのような物が出現し、粘液を多量に分泌する疾患です。初めは良性の腫瘍ですが、時間の経過に伴い最終的には浸潤性膵管がんに変化します。

膵臓がんと関連する症状

「膵臓がん」と関連している、似ている症状は7個程あります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

膵臓は消化に関わる働きがあるため、膵臓になにかしら問題が生じると、食欲や消化器官に関する症状が出現します。仕事やプライベートで疲れが溜まったり、ストレスを感じたりするように、普段の生活のなかでも同様の症状が生じることがあるでしょう。しかし、症状が長期的に続く、あるいは悪化するような場合には早めに病院へ受診してください。

この記事の監修医師