「白血病の検査方法」はご存知ですか?費用についても解説!医師が監修!
白血病はよく知られているがんの1つです。しかし、白血病の診断には、どのような検査をするのか知っている方は少ないでしょう。
これから白血病の検査を受ける方にとっては、検査費用も気になるところです。
この記事では白血病の検査と検査費用について、白血病の種類・症状・治療法と一緒に解説します。
検査を受ける予定がある方はもちろん、成人の白血病について知りたい方も参考にしてください。
監修医師:
甲斐沼 孟(上場企業産業医)
目次 -INDEX-
白血病とは?
白血病は血液がんの1つで、進行スピードやがん化する細胞の種類によって大きく4種類に分けられます。白血病の病態・種類・発生頻度についての詳細は以下に解説するとおりです。
異常細胞が増殖する血液のがん
白血病は血液のがんです。造血幹細胞が白血球関係の細胞へ分化する際にがん化して増殖し、体にさまざまな異常をもたらします。
白血病は、種類によってがん化する細胞やがんになる過程が異なるのが特徴です。
- 急性骨髄性白血病(AML):未熟な芽球ががん化し、骨髄内で増え続ける
- 急性リンパ性白血病(ALL):リンパ球に分化する際にがん化する
- 慢性骨髄性白血病(CML):造血幹細胞そのものががん化する
- 慢性リンパ性白血病(CLL):小型の成熟Bリンパ球が勝手に増殖する
白血病が進行すると、骨髄内で正常な血液細胞を作れなくなります。特に、急性白血病は進行が早く、放置していると数ヵ月で手遅れになってしまうのが特徴です。
白血病の種類・症状
白血病は、急性骨髄性白血病・慢性骨髄性白血病・急性リンパ性白血病・慢性リンパ性白血病の4種類あります。白血病に共通して見られる症状は、発熱・貧血・感染症にかかりやすい・出血傾向などです。白血病の症状は急性か慢性かで異なります。
進行の速い急性白血病では初期から症状が現れ、がん化した細胞がほかの臓器に浸潤すると腹部の腫れや骨痛などがみられるのが特徴です。一方、慢性白血病は初期に症状がないケースが多く、体重減少や皮膚のかゆみなど急性白血病にはない症状が見られる場合があります。
発症頻度
日本における白血病の発症頻度は人口10万人あたり6.3人程度、男女別では人口10万人あたり男性11.2人、女性7.7人です。種類別の発生頻度は、AMLが約60%・ALLとCMLが約20%・CLLが3%となっています。急性白血病は高齢になる程、発生頻度が高くなりますが、成人に最も多いのはAMLです。
一方、ALLは小児に多く、成人が発症するのは1年間で10万人に1人程度となっています。
白血病の検査・診断方法
白血病の診断には、血液検査と骨髄検査が必須です。ほかに行われる検査と一緒に詳細を解説するので、参考にしてください。
血液検査
白血病が疑われる時、必ず行うのは血液検査です。血液検査では、赤血球や白血球など血液細胞の数だけではなく、全身の健康状態もわかります。血中の白血球数が異常に増えたり減ったりしている・白血球のなかに芽球があるなどの異常があれば白血病の可能性が高いです。
しかし、白血病初期の場合は血液検査で異常が確認されないケースもあるので、血液検査だけでは白血病と確定診断できません。
骨髄検査
白血病の確定診断には、骨髄検査が必須です。患者さんの骨髄から採取した骨髄液や骨髄組織を顕微鏡で観察します。
骨髄球系の白血病細胞が20%以上あればAML、リンパ球系の白血病細胞が25%以上ならALLです。また、リンパ球様細胞の表面が独特の形をしていて、骨髄中に30%以上あればCLLと診断します。
染色体・遺伝子検査
骨髄検査が終わったら、続いて採取した骨髄液や骨髄組織で染色体検査や遺伝子検査をします。染色体検査・遺伝子検査は、適切な治療法や患者さんの予後を見極めるのに有用です。
AML・ALL・CMLは、染色体異常や遺伝子変異との関連が知られています。特に、CMLはフィラデルフィア染色体やbcr-abl融合遺伝子が原因で発症するので、CMLの鑑別には特に大切な検査です。
画像検査
白血病でもレントゲン・CT・エコーなどで画像診断をするケースがあります。
患者さんの全身状態を見たり、合併症の有無や白血病の広がり具合を見たりするためです。特に、慢性白血病の場合、病気が進行すると、脾臓や肝臓が腫れるケースがあります。
白血病の検査費用について
白血病の検査費用は、受ける検査の種類によって異なります。また、白血病の検査は保険適用のものと保険適用外のものがあり、血液検査・骨髄検査・骨髄検査のための骨髄穿刺・レントゲン検査は保険適用です。遺伝子検査も、厚生労働大臣が認める施設や保険医療機関で受ければ保険適用になります。
白血病の検査費用について心配な場合は、担当医に相談しましょう。また、窓口負担が高額になった場合は、高額療養費制度を利用できます。高額療養費制度は、治療費・検査費用・薬局に支払った薬代・入院費まで適用される制度です。
白血病の治療方法
白血病の治療は、白血病の種類に合わせて決めますが、中心になるのは化学療法です。以下では、化学療法・造血管細胞移植・支持療法の3つを取りあげて解説します。
化学療法
白血病は、どの種類でも手術でがんを除去できないので、抗がん剤などの薬剤を併用した化学療法が治療の中心になります。薬剤を全身に巡らせ、がんの増殖を抑えたり破壊したりするのが目的です。化学療法は、CMLについては通院でできますが、ほかの白血病では治療のたびに入院が必要です。
また、白血病は化学療法が効きやすいのが特徴ですが、抗がん剤は正常な血液細胞も破壊するのでさまざまな副作用が出ます。副作用でよくみられるのは、血液細胞の減少・脱毛・貧血・吐き気・口内炎などです。
造血幹細胞移植
急性・慢性を問わず、化学療法で治すのが難しい白血病の患者さんには造血幹細胞移植をする場合があります。血液細胞に分化できる造血幹細胞を患者さんに移植する治療で、正常な造血機能や免疫力を取り戻せる可能性が高いのがメリットです。
しかし、造血幹細胞移植は非常に強力な治療法なので、受けられる患者さんは限られます。また、副作用や合併症も強く、特に、同種移植の場合は移植片対宿主病を発症する可能性があるのもデメリットです。
支持療法
支持療法は、がんの治療にともなう副作用・合併症・苦痛を軽減するのが目的の治療法です。積極的な治療をせず、患者さんのQOLを向上させる目的で行う緩和ケアとは異なります。
白血病で支持療法を取り入れるのは急性白血病の方です。具体的なケアとしては、口腔や気道のケア・加熱した食事の提供・抗生剤投与による感染症予防・貧血などを改善する輸血・吐き気や嘔吐に対する制吐剤投与などが挙げられます。
白血病の検査についてよくある質問
ここまで白血病の検査・検査費用・治療法などについて紹介しました。ここでは白血病の検査についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
白血病の検査は痛いですか?
甲斐沼 孟(医師)
白血病の検査で痛みを感じることはほとんどありません。最も痛みを心配される骨髄穿刺も十分に局所麻酔をしてから行うので、骨髄液を抜く瞬間に少し痛みを感じる程度です。しかし、骨髄穿刺が終わって数日は痛みや腫れが現れる場合があります。辛い時は我慢せずに、担当の医師や看護師に相談してください。
検査結果が出るまでにどのくらいの日数がかかりますか?
甲斐沼 孟(医師)
白血病の検査結果が出るまでの日数は、検査の種類や医療機関によって異なります。検査施設を持つ病院なら、血液検査の結果が出るまで1時間程度と考えましょう。骨髄検査は骨髄液の検査なら2~3日、骨髄組織の検査なら1~2週間ですが、染色体検査をしている場合は3週間程度かかります。
編集部まとめ
白血病の検査にはさまざまなものがありますが、中心は血液検査と骨髄検査です。近年は検査技術も向上し、大きな苦痛を感じずに検査を受けられるようになりました。
白血病の検査はほとんどが保険適用ですが、一部、適用外のものもあります。費用は受ける検査の種類や数によって変わるので、主治医に尋ねておくのもおすすめです。
窓口費用が高額な場合は高額療養費制度を利用できます。検査による痛みも経済面も心配せずに検査を受けてください。
白血病と関連する病気
「白血病」と関連する病気は4個程あります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください
関連する病気
- 急性骨髄性白血病(AML)
- 急性リンパ性白血病(ALL)
- 慢性骨髄性白血病(CML)
- 慢性リンパ性白血病(CLL)
急性白血病は発症初期から症状が現れて、週単位で症状が進行するのが特徴です。自覚症状があまりない慢性白血病も、放置していると急性に転化するケースがあります。
白血病と関連する症状
「白血病」と関連している、似ている症状は11個程あります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
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