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「小児がんの種類」はご存知ですか?罹患率や治療法も解説!医師が監修!

 公開日:2024/06/15
「小児がんの種類」はご存知ですか?罹患率や治療法も解説!医師が監修!

とてもまれですが、子どももがんになるケースがあります。小児がんは種類が多く、転移や増殖も速いのが特徴です。

しかし、小児がんは大人のがんとは種類が異なり、治癒率も高い傾向にあるのが事実です。

この記事では、小児がんの種類を始め、それぞれのがんで見られる症状・治療法まで解説します。子どもの小児がんを心配されている親御さんはぜひ参考にしてください。

山田 克彦

監修医師
山田 克彦(佐世保中央病院)

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大分医科大学(現・大分大学)医学部卒業。現在は「佐世保中央病院」勤務。専門は小児科一般、小児循環器、小児肥満、小児内分泌、動機づけ面接。日本小児科学会専門医・指導医、日本循環器学会専門医。

小児がんとは?

小児がんは一般的に、15歳未満の子どもが発症するがん(腫瘍)を指します。
小児がんは1年に2,000〜3,000人の子どもが発症する疾患です。しかし、発症するがんの種類は大人と異なります。小児がんの特徴は以下のとおりです。

  • 芽腫や肉芽が多い
  • 進行も転移も速い
  • 遺伝や生活習慣によるものが少ない

小児がんの主な種類

小児がんには白血病などの血液腫瘍や脳腫瘍などの固形がんがあり、症状・検査方法・治療法もがんの種類によって異なります。
よく見られる小児がんは、以下に解説するようなものです。

白血病

白血病は小児がんで最も発生頻度が高いがんです。多くは急性リンパ性白血病で、化学療法のみの治療で80%〜90%の子どもが治癒します。
造血管細胞移植を検討するのは、急性リンパ性白血病で化学療法が効きにくいケース、急性骨髄性白血病でハイリスクのケースです。
子どもの顔色が悪い・子どもの発熱が続く・出血が止まりにくいなどの症状があれば、早めに小児科を受診しましょう。白血病の確定診断には、血液検査と骨髄検査が必要です。

脳腫瘍

脳腫瘍は小児がんの16%を占め、白血病の次に多いです。子どもの脳腫瘍は多様で、既存の分類に当てはまらない珍しいものもあります。小児脳腫瘍の症状は、頭痛・吐き気・視力低下・ふらつき・手足の麻痺・低血圧・低血糖など実にさまざまです。
診断は血液検査・CT検査・MRI検査・細胞診検査・病理検査などをします。治療は手術が中心です。病期によってはしばしば放射線療法や化学療法を組み合わせます。

リンパ腫

リンパ腫は血液腫瘍のひとつで、リンパ球ががん化して発症します。小児がんで悪性リンパ腫が占める割合は7~10%程度です。リンパ腫になるとリンパ節が腫れますが、痛みはありません。
全身のどのリンパ節も腫れますが、お腹の中のように触っても確認できない場合もあり、発熱・体重減少・寝汗などはっきりしない症状であっても長く続く場合は医療機関を受診しましょう。
診断と重症度の判定は生検・レントゲン・血液検査・髄液検査などで行います。治療は化学療法と放射線療法が中心です。

軟部腫瘍

軟部腫瘍は、筋肉・脂肪・血管・リンパ管・抹消神経など、体のやわらかい組織にできるがんです。大人・子どもともに希少がんとされていますが、小児の場合は、悪性度も高い傾向が見られます。
小児の軟部腫瘍で最も多いのは横紋筋肉腫で、病名どおりの横紋筋だけでなく、全身のあらゆる部位から発生します。
腫瘍の発生部にはしこりができ、しこりが大きくなると周囲の臓器を圧迫します。軟部腫瘍の診断には、レントゲンやCTなどの画像検査が重要です。治療には化学療法や手術を行います。

胚細胞腫瘍

胚細胞腫瘍は、精子や卵子になる前の未成熟な細胞から発生した固形腫瘍です。主に子どもの卵巣や精巣に発生しますが、仙尾部・後腹膜・前縦隔・頸部などにできたり、脳腫瘍として発生するケースもあります。
患者さんの90%は20歳未満で発症しているのが特徴です。血液検査や画像検査で腫瘍の状態を診断し、手術や化学療法で治療します。

神経芽腫

神経芽腫は神経細胞にできる悪性腫瘍で、5歳未満の子どもによく見られます。小児がんのなかでも患者数が多いのですが、発症する原因はいまだ解明されていません。
神経芽腫の初期は無症状で、進行すると腹部が腫れたりしこりができたりするのが特徴です。発熱・不機嫌・歩けなくなるなどの症状を合併するケースもあります。
診断に必要な検査は尿検査・血液検査・画像検査・骨髄検査などです。治療は生検の結果でリスクを判定し、無治療経過観察から手術のみ、化学療法の組み合わせなどがあります。

網膜芽腫

網膜芽腫は小児がん特有のがんで、多くは5歳未満で発症します。瞳孔が白く輝いて見えることに家族が気付いて発見されることが多いので、そのような場合には眼科を受診しましょう。
眼底検査で直接観察し、必要に応じてCTなどの画像検査が行われます。治療は手術が基本ですが、腫瘍が小さい場合は光凝固・冷凍凝固などの局所療法も検討します。
また、網膜芽腫の原因はRB遺伝子の異常ですが、遺伝子異常の原因すべてが遺伝というわけではありません

骨肉腫

骨肉腫はとても悪性度が高いがんです。発症例は1年に200人程度なので希少がんに分類されています。骨肉腫は発生部位の6割が膝の上下で、次いで多いのが上腕骨の肩に近い部分です。
発症した部位には痛みや腫れが現れ、時間が経つほど悪化します。下肢にできると足を引きずって歩いたり、小さい怪我でも骨折したりするケースがあります。
このような症状では、整形外科か小児科で診察を受けましょう。治療法は手術や化学療法です。

小児がんの罹患率は?

小児がんの罹患率は、大人のがんとはまた違う特徴があります。小児がん罹患率の詳細と、子どもに多いがんの種類は、以下に解説するとおりです。

0~14歳の罹患率

0~14歳の小児がん罹患率は、1万人あたり1.6~1.7人程度です。
女子より男子の方が少し多い傾向にあります。年齢別発生率は、1歳未満~4歳では1万人あたり2.5人・5~9歳では1万人あたり1.2人・10~14歳では1万人あたり1.2人で、年齢が上がるほど低くなるのが特徴です。

0~14歳がかかりやすいがん

小児がんに多いのは、血液がん・脳腫瘍・神経芽腫です。特に、白血病は小児がん全体の41%を占め、急性リンパ性白血病は2~3歳の間に好発年齢のピークがあります。
胚細胞腫瘍や神経芽腫は0~5歳で発症するケースがほとんどです。脳腫瘍は乳児から思春期まで見られますが、年齢によってがんの種類や発症部位が異なります。

小児がんの治療法

小児がんの主な治療方法は、化学療法・手術療法で固形腫瘍には手術のみで治療できるものもあります。がんの種類や病状によっては放射線治療や骨髄移植のような造血幹細胞移植を行うケースもあります。
また、がんの症状や治療に伴う副作用自体も強いので、これらに対する支持療法も重要です。近年は小児がんの治療法も進歩し、70%以上の患者さんが治癒するようになりました。
しかし、小児がんは治療が長期間にわたるうえ、治癒後もがんそのものや治療による合併症が起こる晩期障害の心配が残り、これらは治療後何年も経ってから現れてくる現象です。
治療後は専門の医師のもとで長期フォローアップを受けましょう。心身の健康を守りながら、その人らしい学校生活・社会生活を送れます。

小児がんの種類についてよくある質問

ここまで小児がんの種類・症状・罹患率・治療方法について解説しました。ここでは「小児がんの種類」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

小児がんの種類によって病気の進行速度は違うのですか?

山田 克彦山田 克彦 医師

小児がんは全般的に進行が速い傾向にあるのですが、がんの種類によっても進行速度に違いがあります。小児がんは早期発見が難しく、気付いたときには進行しているケースもあります。

小児がんによくある症状について教えてください。

山田 克彦山田 克彦 医師

小児がんの症状は、がんの種類によって異なります。よくある症状は以下のとおりです。

  • 白血病:発熱・顔色が悪い・出血が止まりにくい
  • 脳腫瘍:頭痛・吐き気・ふらつき
  • 腹部のがん(神経芽腫など):腹部の腫れやしこり・貧血・不機嫌
  • 下肢の骨肉腫:足の痛み
  • みぞおちが痛い

編集部まとめ

小児がんには血液腫瘍も固形がんもあり、とても種類が多いのが特徴です。神経芽腫や網膜芽腫など、子どもしか発症しないがんもあります。

小児がんの症状は発熱を始め、腫れや痛みなど多様です。気になる症状があったり症状が長引いたりする場合は早めに医療機関で診察を受けましょう。

近年、小児がんは治癒率が向上し、生涯にわたって付き合う病気になりました。また、治癒後の長期フォローアップ体制も整ってきています。

小児がんの症状と関連する病気

「小児がん」と関連する病気は5個程あります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する病気

小児がんの種類を特定するには、医療機関での詳しい検査が必要です。

小児がんと関連する症状

「小児がん」と関連している、似ている症状は10個程あります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 貧血
  • 出血しやすく止まりにくい
  • 骨が痛い
  • ぐったりしている
  • 体重減少
  • 頭痛や吐きけ
  • お腹が張る・腹痛・しこりがある
  • 感染症にかかりやすい

小児がんは風邪に似た症状も多く、特有の症状がないのも発見が難しい理由の1つです。

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