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「膵臓がんの余命1ヶ月~余命3ヶ月の症状」はご存知ですか?平均余命も医師が解説!

 更新日:2024/02/22
「膵臓がんの余命1ヶ月~余命3ヶ月の症状」はご存知ですか?平均余命も医師が解説!

膵臓がんの余命はどれくらい?Medical DOC監修医が膵臓がんのステージ別の余命・余命1ヶ月〜余命3ヶ月・検査法や何科へ受診すべきかなどを解説します。気になる症状がある場合は迷わず病院を受診してください。

飯田 綾子

監修医師
飯田 綾子(医師)

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2009年奈良県立医科大学卒業。大阪市立大学医学部附属病院で初期臨床研修後、大阪市立総合医療センター消化器内科レジデントを経て、大阪市立大学大学医学部附属病院肝胆膵内科で学位を取得。現在は患者さんの不安に寄り添い、何でも相談できるかかりつけ医を目指して、大阪市内のクリニックで高血圧や糖尿病など主に慢性疾患の外来や在宅診療を行っている。消化器病専門医、肝臓専門医、総合内科専門医、認定産業医の資格を有する。

「膵臓がん」とは?

「膵臓がん」は膵臓に発生する悪性の腫瘍で、90%以上が膵管に発生する腺がんです。膵臓がんは進行するまで症状が出ないことが多く、また小さいうちから周囲のリンパ節や肝臓などに転移をしやすいため、最も予後の悪いがんの一つと言われています。日本における膵臓がんの罹患者数、死亡者数は年々増加傾向で、年間3万人以上の方が亡くなっています。
今回は膵臓がんのステージ別の治療法や余命についてお話させていただきます。

膵臓がんのステージ別の余命・生存率

膵臓がん・ステージ0の余命・生存率

ステージ0は、がんが膵管の上皮内にとどまっている非浸潤がんの状態です。なお、「浸潤」というのは、がんが原発巣から水が浸み込むように隣の臓器や組織へ広がることをいいます。ステージ0では特有の症状が出ることが少ないため、健康診断の超音波検査や血液検査で疑われ、消化器内科でのCTやMRI、超音波内視鏡検査で診断される場合や、膵嚢胞の定期フォロー中に癌が見つかる場合などが考えられます。
この時点で見つけることができれば、手術で完治を期待することができます。5年生存率は85.8%と高くなっています。

膵臓がん・ステージIの余命・生存率

ステージⅠは、がんが膵管上皮より外へ広がった(浸潤した)ものの、膵臓内に限局しており、リンパ節転移も認めない状態です。2㎝以内のステージⅠAと2㎝超のステージⅠBに分けられます。治療法の基本は手術ですが、ステージ0と違い、手術の前後で補助療法を追加します。ステージⅠのがんも手術で完治できる可能性があります。5年生存率は53.4%と報告されています。

膵臓がん・ステージⅡの余命・生存率

ステージⅡは、がんが膵臓の外へ広がったものの、腹腔動脈や上腸間膜動脈といった主要な血管までには浸潤していない状態です。リンパ節転移のないステージⅡAとリンパ節転移のあるステージⅡBに分けられます。治療は、切除可能ながんではステージⅠと同様、術前補助療法、手術、術後補助療法を行います。一方、切除可能境界病変(がんは主要な血管に接しているが、化学療法で小さくなれば切除できる可能性がある病変)では、まず抗がん剤治療(化学療法)や化学放射線療法でがんを縮小させ、手術できるか再評価を行います。5年生存率は22.2%です。

膵臓がん・ステージⅢの余命・生存率

ステージⅢは、リンパ節転移の有無にかかわらず、がんが腹腔動脈や上腸間膜動脈といった主要な血管まで広がったに浸潤した状態です。治療は、切除可能境界病変(がんは主要な血管に接しているが、化学療法で小さくなれば切除できる可能性がある病変)では化学療法や化学放射線療法後に手術できるか再評価をし、手術できれば手術を行い術後補助療法を追加します。一方、がんが主要血管へ広がったために手術できないと判断された場合は、化学療法あるいは化学放射線療法を選択することになります。いずれも根治は難しく、5年生存率は6.1%となっています。

膵臓がん・ステージⅣの余命・生存率

ステージⅣは、がんの浸潤度合やリンパ節転移の有無にかかわらず、他臓器への転移がある状態です。膵臓がんは進行するまで症状が出ないことが多いので、発見時のステージで最も多いのがこのステージⅣです。癌が胆管に浸潤して胆汁の流れがせき止められることで黄疸を来したり、肝臓や腹膜、肺に転移した後にようやく発見されることもあります。
治療は、遠隔転移があるため、全身に効く化学療法を行います。根治はほぼ期待できず、5年生存率は1.5%となっています。

膵臓がんの余命1ヶ月~余命3ヶ月の症状

膵臓がんの末期症状として、胆管浸潤による黄疸、消化管閉塞によるイレウス、嘔気嘔吐、周囲の神経への影響による背部痛などが出現します。腹膜播種による癌性腹水を認めることもあります。骨転移による疼痛を認めることもあります。倦怠感や嘔気、腹水のために食事がとれなくなります。
がんの胆管浸潤により胆汁の流れが妨げられて黄疸が出る場合は胆管ステントを、消化管浸潤で食物の通りが悪くなった場合には消化管ステントを留置して症状を緩和することもあります。また、痛みに対しては主に医療用麻薬を用いて症状をコントロールしていくことが多いです。
膵臓がんは発見時にすでに進行していることが多いため、これからどのような症状が出てくることが予測されるのか、いよいよ症状がきつくなった場合、在宅でみていくのか、緩和病棟に入院するのかなど、消化器内科の主治医と話し合う機会がもうけられると思います。

膵臓がんの検査法

血液検査

膵臓がんでは特に膵頭部のがんで胆管に浸潤している場合、肝胆道系の数値が上昇します。具体的にはAST、ALT、ALP、γGTP、T-Bilなどです。耐糖能異常を来たせば血糖値やHbA1cの上昇を認めますし、アミラーゼやリパーゼなどの膵酵素の上昇を伴うこともあります。また、腫瘍マーカーとしてCA19-9、CEA、SPan-1、DU-PAN-2などの上昇も参考になります。
血液検査はかかりつけの内科で実施できます。1週間もすれば検査の結果が出ます。入院は必要ありません。

CT・MRI

CTやMRIは病変の位置や周辺の臓器への広がり、転移の有無を調べる目的で行います。より詳しく診断するために造影剤を使うことが多いです。入院は必要ありません。

腹部超音波・超音波内視鏡

膵臓がんを疑った場合にまず行う画像検査が超音波検査です。たまたま健康診断の腹部超音波で膵管の拡張や腫瘍が見つかる場合もあります。ただし、空気があると超音波は伝わりづらいという特徴があるため、空気を多く含む消化管が隣接している膵臓という臓器は、超音波で全体を詳細に描出することが難しいです。そのため、通常、腹部超音波と上記のCTやMRIを併用して診断を行います。
超音波内視鏡は胃カメラの先端に設置した超音波を用いて膵臓を観察する検査です。2㎝以下の小さな膵臓がんの検出率も高く、また、超音波内視鏡下に腫瘍の組織を採取して、組織型の診断をすることもできる、まさに膵臓がんの診断に適した検査です。しかし、太い胃カメラを挿入するため侵襲が大きいことや、技術を持った医師が少ないため実施できる施設が限られてしまうという問題もあります。
腹部超音波や超音波内視鏡は日帰りで受けることができます。組織を採取する検査は数日の入院になる場合が多いです。

「膵臓がんの余命」についてよくある質問

ここまで膵臓がんの余命・生存率などを紹介しました。ここでは「膵臓がんの余命」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

膵臓がんの余命は平均でどれくらいでしょうか?

飯田 綾子飯田 綾子 医師

膵臓がんの余命は進行度によって大きく変わります。膵臓がんは発見時にステージⅣが最も多く、次にステージⅢであることを考えると、手術できない膵臓がんでは余命は1年以内であることも多いと考えます。

抗がん剤治療をした場合、膵臓がんの余命について教えてください。

飯田 綾子飯田 綾子 医師

膵臓がんで根治が期待できるのは手術をした場合のみです。抗がん剤治療の方法はいくつかあり、患者さんの全身状態や、副作用の出方を見ながら抗がん剤を選択します。抗がん剤治療の効果は個人差が大きく、抗がん剤治療でどれだけ余命が伸びるのか、一概には答えることができません。

編集部まとめ

膵臓がんは早期発見が何より大事である一方で、早期には症状の出にくい病気でもあります。だからこそ、毎年健診を受けてください。また、膵臓がんの家族歴や慢性膵炎、糖尿病など膵臓がんのリスクがある方、今まで膵嚢胞や膵管の拡張を指摘されたことのある方はしっかり内科でフォローをしてもらってください。そして、持続する腹痛やお腹の張り、黄疸、背中の痛みなどの症状を認めた場合は放置せずに近くの内科を受診してください。

「膵臓がんの余命」と関連する病気

「膵臓がんの余命」と関連する病気は3個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

内科の病気

上記の症状が膵臓がんと関連して出ることがあります。症状が出た場合は早めに内科を受診してください。

「膵臓がんの余命」と関連する症状

「膵臓がんの余命」と関連している、似ている症状は5個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

膵臓がんは初期には症状が出にくく、今回挙げた症状が見られる場合には進行がんの状態になっているケースがほとんどです。一時的な症状ではない場合には、早めに内科を受診して相談することをお勧めします。

この記事の監修医師