「急性骨髄性白血病の治療期間」はご存知ですか?症状や治療法も解説!【医師監修】
急性骨髄性白血病という病気についての情報をお探しですか?本記事では、急性骨髄性白血病の治療期間について、以下の点を中心にご紹介します。
- ・急性骨髄性白血病とはどのような病気か
- ・急性骨髄性白血病の治療法
- ・急性骨髄性白血病の治療期間
急性骨髄性白血病の治療期間について理解するためにも、ご参考いただけますと幸いです。ぜひ最後までお読みください。
監修医師:
甲斐沼 孟(上場企業産業医)
目次 -INDEX-
急性骨髄性白血病とは?
急性骨髄性白血病は、骨髄で白血球になる前の未熟な細胞に異常が生じ、がん化する病気です。この異常な細胞は、血液細胞のもとになる造血幹細胞から発生し、主に骨髄内で無制限に増加します。また急性骨髄性白血病のなかには、前骨髄球に異常が生じる「急性前骨髄球性白血病」という病気もあり、治療法が異なることが特徴です。
急性骨髄性白血病の症状
急性骨髄性白血病(AML)の症状は多岐にわたり、発熱や大量発汗、感染症、脱力感、疲労、蒼白、貧血、呼吸困難、心拍数の増加、胸痛が一般的です。また、血小板の減少によるあざや出血、鼻血、歯茎の出血、ときには脳や腹部の出血も見られ、白血病細胞の増殖による骨痛、関節痛、肝臓や脾臓の腫れ、腹部の膨満感や腹痛もあります。さらに、白血病性髄膜炎を引き起こすこともあり、頭痛、嘔吐、脳卒中、視覚や聴覚の障害が起こることがあります。
急性骨髄性白血病の治療方法
急性骨髄性白血病の治療法について、3つの方法を解説します。
化学療法
急性骨髄性白血病の主要な治療法は化学療法であり、寛解導入療法と寛解後療法の2つの段階に分けられます。最初は症状の安定を目指し、次に完全寛解の維持と白血病細胞の除去を目指します。治療には、骨髄抑制、吐き気、嘔吐、下痢、口内炎、脱毛、発熱などの副作用があり、貧血や血小板減少には輸血で対応します。
造血幹細胞移植
急性骨髄性白血病の治療における造血幹細胞移植の適応は、染色体異常や病型、予後因子に基づいて決定されます。移植方法には骨髄移植、末梢血幹細胞移植、臍帯血移植があります。最近では、骨髄非破壊的移植(ミニ移植)も選択肢の1つとなっており、大量の抗がん剤治療や放射線治療をせずに、免疫抑制薬を用いることで造血幹細胞の交換が可能になっています。
支持療法
急性骨髄性白血病の治療においては、病気そのものの治療に加えて、総合的なケアが非常に重要であり、これは「支持療法」と呼ばれます。支持療法は、症状や合併症の管理、および治療に伴う副作用を最小限におさえることを目的としています。具体的には、患者の免疫力低下に対応し、抗生物質、抗ウイルス薬、抗真菌薬などを使用して感染リスクを減らします。また、治療中に起こりうる貧血や血小板の減少には、輸血や血液製剤を用いて対応します。さらに、化学療法や放射線療法などの治療による副作用、例えば吐き気や嘔吐を軽減するために、吐き気止めの薬を使用します。支持療法を実施することで、患者の生活の質を維持・改善しながら、急性骨髄性白血病の治療を効果的に進められます。
急性骨髄性白血病の治療期間
急性骨髄性白血病の治療期間は、通常2〜3年とされています。この期間は、初めに聞くと非常に長く感じられるかもしれませんが、実際に入院が必要なのは治療期間の初期と、治療を強化する「強化療法」と呼ばれる期間に限られます。患者は、治療の進行に応じて入院と退院を繰り返すことになります。ただし、入院の期間や入退院の間隔は、患者の病状や治療の進み具合によって異なることがあります。したがって、急性骨髄性白血病の治療は患者1人ひとりの状況に合わせて柔軟に調整されることが重要です。
「急性骨髄性白血病」についてよくある質問
ここまで急性骨髄性白血病の症状を紹介しました。ここでは「急性骨髄性白血病の症状」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
急性骨髄性白血病のステージを教えてください。
甲斐沼 孟(医師)
急性骨髄性白血病には、特定のステージ(病期)が存在せず、白血病細胞の特徴や染色体、遺伝子の異常に基づいて分類されます。FAB分類では8種類に区分され、M0からM7までの8つのサブタイプに分けられます。M0は最未分化型、M1は未分化型、M2は分化型、M3は前骨髄球性、M4は骨髄単球性、M5は単球性、M6は赤白血病、M7は巨核球性白血病として分類されます。各サブタイプは、白血病細胞の成熟度、形態、および特定の遺伝的な特徴に基づいています。
急性骨髄性白血病になったら気をつけることはありますか?
甲斐沼 孟(医師)
急性骨髄性白血病の治療においては、特に注意が必要な点がいくつかあります。以下のポイントを理解することで、治療中の患者やその家族がより良いケアを受けられます。
感染症のリスク:抗がん剤治療では、がん化した白血球だけでなく、正常な白血球も減少し、感染症のリスクが高まります。治療中は、特に感染を防ぐための措置が必要です。入院中は、クリーンルームのような環境での治療が実施されます。
初回治療の重要性:初回の寛解導入療法は、がん細胞を可能な限り減少させることが目標です。この段階での治療の成功が、その後の治療の効果に大きく影響します。
感染防止の日常生活対策:一時的に退院する場合、日常生活における感染防止対策が重要です。対策には、手洗いやうがいをする、人混みを避ける、マスクを使用することなどが含まれます。
食事の注意点:治療中は、腸内細菌による感染を避けるために、食事に注意が必要です。生ものや発酵食品の摂取を控え、加熱した食品を選ぶことが推奨されます。
症状の管理:発熱時には、処方された抗生剤の服用が必要です。また、吐き気や嘔吐は治療中によく見られる症状で、これらは制吐剤を用いて管理されます。
これらのポイントを踏まえて、急性骨髄性白血病の治療中は感染症のリスクを低減し、体調管理に細心の注意を払うことが重要です。患者自身や家族が注意点を理解し、適切なケアをすることで生活の質を保てます。
編集部まとめ
ここまで、急性骨髄性白血病の治療期間についてお伝えしてきました。急性骨髄性白血病の治療期間についての要点をまとめると、以下の通りです。
⚫︎まとめ
- ・急性骨髄性白血病とは、骨髄の未熟な血液細胞ががん化する病気である
- ・急性骨髄性白血病の治療法には、化学療法、造血幹細胞移植、支持療法がある
- ・急性骨髄性白血病の治療期間は、通常2~3年であり、患者は治療進行に応じて入退院を繰り返す必要がある
「急性骨髄性白血病の症状」と関連する病気
「急性骨髄性白血病の症状」と関連する病気は1個あります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
血液内科の病気
急性骨髄性白血病の症状と同じような症状をおこす病気もこれほどあります。なかなか自己判断は難しいので、症状が続く場合はぜひ一度医療機関を受診してください。
「急性骨髄性白血病の症状」と関連する症状
「急性骨髄性白血病の症状」と関連している、似ている症状は6個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
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- 食欲不振や疲労感の増加
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これらの症状が当てはまる場合には、急性骨髄性白血病などの異常の有無を確認するべく、早めに医療機関を受診しましょう。
参考文献