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「膀胱がんの原因」はご存知ですか?前兆となる症状も解説!【医師監修】

 更新日:2024/01/29
「膀胱がんの原因」はご存知ですか?前兆となる症状も解説!【医師監修】

膀胱は腎臓で生成された尿を貯蔵する器官であり、膀胱内部の粘膜に発生する悪性腫瘍を膀胱がんと呼びます。

「膀胱がんの原因にはどのようなものがあるのだろうか」、「症状や検査方法について知りたい」など、膀胱がんに対する疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。

この記事では膀胱がんの原因をはじめとし、症状・検査方法・治療方法について解説しています。

気になる症状のある方はぜひ参考にしてください。

村上 知彦

監修医師
村上 知彦(薬院ひ尿器科医院)

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長崎大学医学部医学科 卒業 / 九州大学 泌尿器科 臨床助教を経て現在は医療法人 薬院ひ尿器科医院 勤務 / 専門は泌尿器科

膀胱がんの原因

膀胱がんの原因には次の3つが挙げられます。

  • 喫煙
  • 化学薬品
  • 塗料

以下でそれぞれについて詳しくみていきましょう。

喫煙

喫煙は膀胱がんの主要な原因として挙げられ、喫煙者は非喫煙者に比べて膀胱がんのリスクが高くなるとされています。喫煙によって体に取り込まれた有害な化学物質が、膀胱内の細胞にダメージを与える可能性があります。喫煙によるがん発生の原因としては、膀胱内の細胞のDNAに変異を引き起こすことがあり、このような変異の蓄積が原因です。
喫煙は膀胱がんだけでなく、他の多くのがんや疾患のリスクも増加させることが知られています。また受動喫煙も膀胱がんのリスクを増加させる可能性があるので、喫煙者と同じ空間で過ごすことも注意が必要です。

化学薬品

膀胱がんは、長期間にわたって特定の化学薬品にさらされた人により一般的に発生することが多いです。特定の産業や職業で使用される化学薬品や有害物質に暴露されることは、膀胱がんのリスクを増加させることが知られています。
例えば、芳香族アミンと呼ばれる化学物質は、染料・ゴム・プラスチックなどの製造に関与している人々にとって膀胱がんのリスク要因となることがあります。

塗料

塗料に含まれる有害な化学物質も膀胱がんのリスク要因とされています。特に有機溶剤として使用されるアロマチック族化合物は、塗料を扱う人々にとって潜在的なリスク因子となり得ます。

膀胱がんの症状は?

膀胱がんの代表的な症状には血尿と排尿障害が挙げられます。排尿時に血が混じった尿がみられる血尿は、膀胱がんによって引き起こされる腫瘍が膀胱の内壁に影響を及ぼし、血管を破壊することによって発生します。
さらに膀胱がんによって排尿障害を引き起こすと、膀胱内の通り道が狭くなるのが特徴です。それにより、尿が出にくい・頻尿・尿失禁などの症状が現れます。

膀胱がんの検査方法

膀胱がんの検査方法には以下の4つが挙げられます。

  • CT検査
  • MRI検査
  • 尿検査
  • 膀胱鏡検査

次の項目でそれぞれについて詳しくみていきましょう。

CT検査

膀胱がんの検査方法の1つにCT検査が挙げられます。CT検査とは、断層撮影装置を使用した画像診断方法であり、体内の詳細な断面画像を取得する非侵襲的かつ短時間で行われる検査です。
画像からは膀胱内部の腫瘍の大きさ・形状・位置・および隣接組織への広がりを評価でき、リンパ節の腫れや他の臓器に転移があるかも確認されます。また最近では造影剤を使用したCT-Urographyが使用されることがあり、この検査では上部尿路である腎盂・腎杯・尿管の病気の有無を調べるのに適しています。

MRI検査

MRI検査は病巣の深さである深達度を調べる目的で行われ、膀胱内部の腫瘍の大きさ・形状・位置・隣接組織への広がりを評価することができます。CT検査よりも詳細な解像度を提供する検査であり、放射線を使用しないため、妊娠中の患者さんや放射線被曝のリスクを避けたい場合に適しています。
MRI検査は磁石と無害な無線信号を使用するため、ペースメーカー・インプラント・脳のクリップ・整形外科手術後の人工物などの体内挿入物がある場合は、検査前に医師へ伝えることが必要です。また閉所恐怖症がある場合は検査実施が困難な場合があります。

尿検査

尿検査では血尿や感染症の有無を調べます。膀胱検査に対する尿検査では顕微鏡を用いて、尿中のがん細胞の有無を調べる尿細胞診を行います。
また特定のタンパク質や物質を測定する尿中腫瘍マーカーの測定を行う場合があり、膀胱がんの診断や進行状況のモニタリングに有用です。これらの尿検査が、膀胱がんの早期発見につながります。

膀胱鏡検査

膀胱鏡検査は膀胱内視鏡を用いて行われる膀胱内部を観察する検査です。直接的に膀胱内を観察することができるため、膀胱がんの存在確認に適しています。
検査の際には膀胱内視鏡を尿道から膀胱に向かって挿入し、膀胱内の映像を確認しながら検査を進めます。その上で膀胱内の異常な組織・腫瘍・ポリープ・炎症などを確認し、疑わしい組織や異常がある場合は、追加の検査や治療等の検討を行います。

膀胱がんの治療法

膀胱がんの治療法には次の3つがあります。

  • 化学療法
  • TURBT
  • 膀胱摘出手術

以下でそれぞれについて詳しくみていきましょう。

化学療法

膀胱がんの化学療法にはキイトルーダ(ペンプロリズマブ)による治療やGC療法があります。キイトルーダ(ペンプロリズマブ)とは、抗PD-1抗体と呼ばれる抗がん剤です。免疫細胞に存在するPD-1とがん細胞に存在するPD-L1が結合すると、がん細胞を攻撃する免疫機能が阻害されることが知られています。
この治療は点滴による治療であり、進行した膀胱がんや再発したケースで実施されます。GC療法とはゲムシタビンとシスプラチンを併用した化学療法です。この組み合わせは、膀胱がんの治療において有効性が示されており、約50%にがんの縮小がみられています。腫瘍を収縮させることや再発・転移を予防することを目的とした治療方法であり、進行性の膀胱がんや術後の高リスク病変の治療に用いられます。

TURBT

TURBTとは経尿道的膀胱腫瘍切除術のことであり、高周波電流を用いてがん組織を削り取る手術です。初期の膀胱がんの治療やがんの組織の確認に高頻度で使用される方法です
膀胱壁の腫瘍を切除でき、切除された組織は病理検査にて検査します。TURBTは下半身麻酔もしくは全身麻酔で行われ、手術用内視鏡を膀胱内へ入れることで検査を行い、入院期間は1週間程度です。
がん細胞が筋肉まで達している場合の完全な切除は難しいですが、根が浅い場合は完治の可能性もあります。

膀胱摘出手術

膀胱がんに対する手術方法としては膀胱摘出手術が挙げられ、膀胱・前立腺・尿道を一塊にして切除する手術です。膀胱摘出手術の方法には開腹手術・腹腔鏡手術・ロボット支援下膀胱全摘除術があります。

膀胱がんの原因についてよくある質問

ここまで膀胱がんの原因・症状・検査方法・治療方法などを紹介しました。ここでは「膀胱がんの原因」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

膀胱がんの前兆について教えてください

村上 知彦医師村上 知彦(医師)

膀胱がんの前兆には、血尿や排尿障害などの症状が挙げられます。しかし膀胱がんは初期の場合だと無症状のケースが多いため気になる症状がある場合は、早めの病院受診が重要です。

膀胱がんは予防できますか?

村上 知彦医師村上 知彦(医師)

膀胱がんは完全に予防できるとは言い切れません。そのため膀胱がんのリスクを低減するためには、定期的な健康診断を受け、早期発見と適切な治療を行うことが重要です。また、初期の場合には症状が現れにくく、ある程度進行してから自覚症状が現れます。気付いた時には進行しているケースもみられます。病期に応じて適切に治療することが重要です。

編集部まとめ

膀胱がんの症状には血尿や排尿障害があり、比較的初期の段階から症状が現れます。また膀胱がんの治療方法は、TURBTや膀胱摘出手術です。

がんが膀胱壁表面に限局している場合にはTURBTで完治できるケースがあります。一方でがんが進行している場合にはTURBTでは切除しきれない場合が多いため、膀胱摘出手術の適用となります。

早期の発見と治療が重要なため、気になる症状がある場合には病院受診することがおすすめです。

膀胱がんと関連する病気

「膀胱がん」と関連する病気は4個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

膀胱がんは血尿や、陰部のかゆみなどの症状から判明することもありますが、実際に膀胱視鏡検査を行うまでは他の病気と見分けがつきません。しかし、血尿などがみられた時には何かしらの病気が隠れている可能性が高いため、まずは泌尿器科を受診しましょう。

膀胱がんと関連する症状

「膀胱がん」と関連している、似ている症状は3個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

膀胱がんは血尿をきっかけに発見されます。膀胱がんは早期の発見と治療することが非常に大切です。上記のような症状が少しでも気になれば、早めに病院へ行きましょう。

この記事の監修医師