「白血病になりやすい人」の特徴はご存知ですか?代表的な症状も解説!
白血病になりやすい人の特徴とは?Medical DOC監修医が白血病になりやすい人の特徴・症状・原因・検査法や何科へ受診すべきかなどを解説します。気になる症状がある場合は迷わず病院を受診してください。
監修医師:
今村 英利(いずみホームケアクリニック)
神戸大学大学院(腫瘍・血液内科学講座)にて血液悪性腫瘍の研究に従事。医学博士号を取得。
赤穂市民病院、亀田総合病院、新宿アイランド内科クリニック院長などを歴任後、2023年2月いずみホームケアクリニックに常勤として着任。現在は内科全般の疾患を幅広く診療している。
目次 -INDEX-
「白血病」とは?
白血病は血液のがんです。血液を作る細胞は骨髄の中にある造血幹細胞ですが、骨髄の中でがん化した白血球が増加してしまう病気です。白血球にはさまざまな形態があり、骨髄性白血病では好中球や単球、リンパ性白血病ではBリンパ球やTリンパ球が増加するのです。
白血病になりやすい人の特徴
白血病のほとんどは原因が不明です。風邪症状が続くため受診したところ、白血球の異常値を指摘されて総合病院を緊急受診するよう言われた、といったケースが多くみられます。
そのなかでも、なりやすいと言われている人の特徴を挙げます。
染色体異常がある
ダウン症の人は、非ダウン症と比較して10~20倍の確立で白血病を発症しやすいとわかっています。CRLF2という遺伝子に異常が生じることで、白血病リスクは高まってしまうと言われています。
子供
小児がんの発生頻度は15歳未満の1万人あたり約1人と非常に珍しいですが、もし小児がんを発症した場合は白血病である可能性が最も高く、その割合は約40%です。小児白血病のうち約70%が急性リンパ性白血病(ALL)であると言われています。
高齢者
成人における白血病発生頻度は年齢とともに上昇していくことが特徴で、発症年齢の中央値は、68歳といわれています。70歳代では年間人口10万人あたり男23.3人、女9.9人、80歳代では10万人当り男42.8人、女19.9人と珍しい病気とは言えない頻度になってきます。高齢者の白血病は骨髄異形成症候群関連の白血病であることが特徴です。
白血病の代表的な症状
白血病だと診断された人は、風邪症状だと思って受診したという人が多くみられます。
こちらでは白血病の代表的な症状を3つご紹介します。
発熱
白血球数が非常に増加するのが白血病の特徴ですが、この異常にたくさん作られた白血球のほとんどは正常に機能しません。したがって、正常な白血球が減少することで外から来たウィルスや細菌に対して適切な対処ができず、感染症になりやすくなってしまいます。感染症にかかると発熱するため、白血病の患者さんは健康的な人と比較し発熱する頻度が多く、病原体と戦う正常の白血球減少による重症の感染症になってしまうことが多いです。
貧血
疲れやすくなった、からだがいつもだるい、顔色が悪くて息切れやめまいを感じる、といった症状は貧血が原因かもしれません。白血病細胞が増加すると酸素の運搬をおこなう赤血球をうまく作れず、数が減少してしまうため、全身に酸素が行き渡らなくなってしまい、貧血症状が出現します。
出血傾向
鼻血や内出血、歯肉出血、肌に赤いぶつぶつ(点状出血)がみられる場合、出血傾向のせいかもしれません。これは、白血病細胞が増加することで血を固める働きを持つ血小板が減少するため出現します。
白血病の主な原因
白血病は原因不明がほとんどですが、原因と考えられているものがいくつかあります。
放射線治療やがん化学療法を受けたことがある
他のがんによって放射線治療やがん化学療法を受けた人は、二次性白血病になりやすいといわれます。治療により、がん細胞だけではなく正常な細胞も傷つけてしまうことが原因で、白血病と同様の治療が必要です。
性差や好発年齢はなく、放射線治療やがん化学療法を受けた人には発症する可能性があります。また、原発事故や原子爆弾によって放射線を大量に浴びた場合も、発症リスクは高まります。放射線治療やがん化学療法を受けている方は定期受診を続けているかと思いますが、適宜血液検査で確認してもらいましょう。
ヒトT細胞白血病ウイルス1型(HTLV-1)に感染している
ヒトT細胞白血病ウイルス1型は成人T細胞白血病の原因ウィルスです。このウィルスに感染していても発症していない人(キャリア)がいることが、1980年代頃よりわかりました。発見当初は南九州や沖縄地方に偏って発症がみられましたが、現在は関東や関西でもみられる疾患です。母子感染、性行為が感染経路となっていますが、母がキャリアの場合、母乳を与えないようにすることで感染を防ぐことができると言われています。
特定の化学物質に曝露した
代表的な化学物質として、ベンゼンが挙げられます。ベンゼンは化学工業製品の合成原料、溶剤として使用されており、使用する環境にある人が一定量を超えて吸入すると白血病を発症するリスクが高まるのです。
ガソリンや排気ガスにもベンゼンは認められますが、有害大気汚染物質の優先取組物質に指定され、大気汚染防止法の改正により大気中のベンゼンは1%以下となっています。またタバコにも微量のベンゼンが含まれているため、喫煙者だけではなく副流煙を浴びる側も注意が必要です。
特定の化学物質を使用する業務にあたっている人には、専門の健康診断が実施されているので定期的に受けましょう。不慮の事故で曝露した場合は、直ちに医療機関を受診しましょう。
遺伝子異常
慢性骨髄性白血病では、染色体の9番と22番が途中で入れ替わっていることがわかっています。これをフィラデルフィア染色体と呼びます。フィラデルフィア染色体で作られるチロシンキナーゼという異常なたんぱくが、白血病細胞を増加させるのです。
最初から白血病だと断定できる症状はなく、白血病を指摘されて病院で血液検査骨髄検査を実施して初めてわかるケースが多いです。風邪症状や出血症状が続くときには、早めに受診する必要があるため、かかりつけ医や近隣の内科を受診しましょう。
白血病の検査法
血液検査
赤血球、白血球、血小板の数だけではなく、詳細に検査します。白血病では、本来は骨髄の中に存在する未熟な血液細胞(芽球)を認めます。医院やクリニックでも検査は可能ですが、赤血球、白血球、血小板の数を検査することがほとんどで、詳細な検査を行うためには総合病院を紹介されるケースが多いです。
骨髄検査
胸骨や腸骨に専用の針を刺して、骨髄液を採取する骨髄穿刺を行います。また、特殊な針で骨髄組織の一部を取る骨髄生検もあります。
どちらの検体も顕微鏡下やフロ-サイトメトリ-で検査され、骨髄機能、原因となる血球や腫瘍細胞を確認します。
血液検査によって異常が認められた際、一番に行う検査であり、多くは入院後すぐに実施されます。
染色体検査・遺伝子検査
慢性骨髄性白血病でみられるフィラデルフィア染色体の有無を、検査します。
画像検査
レントゲン、MRI、超音波検査にて、肝臓や脾臓、リンパ節の腫脹を確認するために実施します。
「白血病になりやすい人」についてよくある質問
ここまで白血病になりやすい人を紹介しました。ここでは「白血病になりやすい人」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
白血病を発症しやすい年齢層を教えてください。
今村 英利 医師
発症しやすい年齢層はなく、どの年齢の人も白血病になる可能性はあります。ダウン症の人では、5歳までに発症する人が多いという研究報告があります。
白血病を発症した際に生活習慣で気をつけるべきポイントはありますか?
今村 英利 医師
汎血球減少という赤血球、白血球、血小板の全てが減少してしまう状態になり得ます。免疫力が非常に低下しているため、入院治療の際には個室やクリーンルームに入室して厳格に感染予防を行います。
生活習慣で気をつけるポイントを3点ご紹介します。
・手洗い、うがいをしっかり行いましょう。手荒れ予防のためにクリームを塗布します。
・バランスのよい食事を摂りましょう。生ものには細菌が付着している可能性があるため、必ず加熱したものを摂ってください。
・貧血が進行している場合、倒れてしまう可能性があるため、疲労を感じたらすぐ横になれるようにしましょう。
編集部まとめ
原因不明なケースが多い白血病ですが、なりやすい人やリスク因子となる遺伝子異常を持つ人もいます。普通に生活をしていて風邪症状が長く続く、あざが目立つ、ふらつくなどあれば、早々にかかりつけ医や近隣の医療機関を受診しましょう。
「白血病になりやすい人」と関連する病気
「白血病になりやすい人」と関連する病気は5個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
血液内科の病気
- 急性白血病
- 慢性骨髄性白血病
- 慢性リンパ性白血病
- 骨髄異形成症候群(MDS)
- 類白血病反応
年に数回発熱するだけであれば白血病やこれらの病気をすぐに疑いませんが、発熱を繰り返す、すぐに感染症にかかってしまう場合は病気が隠れている可能性があります。
「白血病になりやすい人」と関連する症状
「白血病になりやすい人」と関連している、似ている症状は9個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
これらの症状がある場合、「急性白血病」「慢性骨髄性白血病」「慢性リンパ性白血病」「骨髄異形成症候群(MDS)」「類白血病反応」の可能性があります。明らかに発熱の頻度が多い場合や食欲不振・体重減少に気づいた場合は早期に医療機関を受診しましょう。