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「舌がんの前兆となる初期症状」はご存知ですか?原因・検査法も解説!【医師監修】

 公開日:2024/01/04
「舌がんの前兆となる初期症状」はご存知ですか?原因・検査法も解説!【医師監修】

舌がんと聞くと「痛みを伴う病気」というイメージを持たれている方は多いのではないでしょうか。

しかし、舌がんは初期の段階では、痛みがなく気付きにくいという特徴があります。また、口内炎と似ているため、「そのうち治るだろう」と放置した結果、病状が悪化している場合が少なくありません。

この記事では、舌がんの初期に見られる症状について解説します。見えやすい場所にできるため、早期に見つけられる病気です。

口腔内に気になる症状がある方は最後までご覧ください。

坪光 玄義

監修歯科医師
坪光 玄義(歯科医師)

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鶴見大学歯学部 卒業 / 平成24年歯科医師免許証 取得 / 現在は地挽歯科医院、蕨にしき町歯科・口腔外科(いずれも非常勤)

舌がんとは?

舌がんとは舌に発生するがんで、口腔内にできるがんの 約60%を占めています。舌の表面を覆っている細胞である扁平上皮細胞ががん化したもので、腫瘍が大きくなると舌の組織の深いところまで進行し症状が現れます。口を大きく開いたときに見える、舌の前方2/3の範囲にできるがんです。好発部位は、舌の縁(舌の横)や舌の裏側です。
男女比では3:2と男性に多く、60歳代で発症するケースが多いとされていますが、20〜30代でも発症することがあります。舌は私たちが生活をする上で非常に重要な役割を果たしています。食べ物の味を感じる・食べたものを飲み込む・発声して会話をするなど、摂食・嚥下・構音という機能を担っているのが舌です。
しかし、舌にがんができると機能が正常に働かず、 日常生活に支障が出るためQOL(生活の質)を下げることにつながります。快適な生活を維持するためにも、舌がんの予防に取り組むこと、そして早期発見することが大切です。

舌がんの初期症状

舌がんは初期症状が分かりにくく、 気付きにくいという特徴があります。症状を自覚したときには、病状が進行している可能性が高いため注意が必要です。ここでは舌がんの初期に見られる症状について解説します。心当たりのある症状がある場合、早めに医療機関を受診するようにしましょう。

口内炎が治りにくい

舌がんの初期症状の特徴として、治りにくい口内炎が挙げられます。
通常の口内炎はストレス・疲労・栄養不足などが原因で発症し、その要因が解決されると症状が緩和し改善します。長引く場合でも、1~2週間ほどで完治するのが一般的です。しかし、舌がんの初期に見られる口内の炎症は、時間が経過しても腫れや痛みが収まることがなく、大きさも変わることがありません。1~2週間以上治らない口内炎は、がんである可能性が高いため注意が必要です。

舌のしこり

舌がんの場合、硬いしこりができるのが特徴です。口内炎はしこりがないため、硬い部分があるかを確認することは、がんであるかを判別するひとつの指標になります。

舌の違和感

舌が動かしづらい・食べ物を飲み込みにくい・話しにくいなどの舌の違和感が出ることも、舌がんの特徴です。がん細胞が大きくなり組織が厚くなることで舌をうまく動かせなくなり、食べ物を摂取する際に支障が出てきます。
また、しゃべりづらさを感じるようになります。舌の動きに違和感がある場合には、舌に異変が生じている可能性があるため、炎症や腫れなどの症状がないか確認してみましょう。

舌の痺れ

舌がんが進行すると、舌が痺れてくることもあります。がん細胞が大きくなることで、舌の神経細胞が損傷され痺れや麻痺が出てくるのです。舌の感覚がおかしいと感じた場合は、何かしら異変が起こっている可能性があります。見た目で何か変化していることがないか、鏡を見てよく観察してみましょう。

舌粘膜の赤い斑点

舌の粘膜にできる鮮やかな赤い斑点は、「前がん病変」といい、がんになる前の状態であるため注意が必要です。半数以上の確率で、これからがんになる可能性がある状態、またはすでにがんになっている状態といわれています。「紅板症(こうばんしょう)」といわれ、刺すような痛みを伴う特徴があります。
周りの粘膜に比べて赤みが強いため、見た目で判断できるでしょう。

舌粘膜の白い斑点

舌の粘膜にできる白い板状の病変は、前述した赤い斑点と同様に前がん病変といわれ、がんになる前の状態です。指やガーゼなどでこすっても取れない白色の病変で、痛みは無くやや硬いものが多い傾向にあります。口腔内では見られない白色の異変は、すぐに見つけられるでしょう。
紅板症に比べるとがんになる確率は5~10%程度と低いものの、がん化する可能性があるため注意深く観察する必要があります。

舌がんの診断のために行う検査

舌がんは胃や腸など内臓にできるがんとは違い、見た目や自覚症状で気付けるがんです。しかし、確実な診断のためには医療機関を受診し、適切な検査を受けることが重要です。ここでは、診断のために行われる検査方法を3つ解説します。

視診・触診

視診は、口腔内に光を当ててがんの大きさや形を目視で観察する方法です。舌がんの前がん症状である紅板症や白板症の有無・むし歯の有無・入れ歯や歯の被せ物によるトラブルの有無などについて調べます。触診は口の中に指を入れ、舌にできている炎症や潰瘍を直接触り病変を確認する方法です。
がんの大きさ・硬さ・広がり具合・痛みの有無などを調べます。また、舌がんはリンパ節に転移する場合も多いため、頸部を触りリンパ節が腫れていないかを確認します。

超音波検査

超音波検査は、超音波が出るプローブを体の表面に当てて、体内から反射してくる超音波を画像として写し出す検査です。舌の検査では、舌に直接プローブを当て、がんが進行している深さや広がり具合を観察します。また、リンパ節を観察する場合にも超音波検査が行われ、転移の状態やその範囲を確認します。

細胞診

細胞診とは、がんが疑われる組織の一部を採取し顕微鏡で検査する方法です。綿棒やブラシなどで舌の表面をこすり細胞を採取します。がん細胞の有無・どのような種類の細胞からがんが発生しているのか・がん細胞が正常な細胞とどのくらい異なっているのかを調べます。
舌がんの治療を進めていくための指標となる検査です。

舌がんの原因

舌がんを発症する根本的な原因は明らかになっていません。しかし、他のがんを誘発する危険因子と同じく、喫煙や飲酒などの化学的な慢性刺激が大きく影響しているという統計が出ています。喫煙と飲酒を日常的に行っている方は、がんになるリスクが高い傾向にあります。
たばこに含まれている発がん物質がアルコールを摂取することで溶け出し、口腔内の粘膜に刺激を与えることでがんを発症しやすくなると考えられているのです。また、舌の粘膜に機械的な刺激が慢性的に加わることも原因として挙げられます。治療をしていないむし歯・合っていない入れ歯やインプラント・尖った歯などにより舌の粘膜に傷がつくことで、潰瘍や炎症を引き起こします。同じ部位で何度も潰瘍や炎症を繰り返すことで、がんを誘発する可能性が高まるのです。
普段の食生活が影響している可能性もあります。例えば、熱い食べ物で口腔粘膜を何度もやけどしている場合・強い香辛料や酸味のあるものを好んで食べる傾向にある場合などです。口腔粘膜を過度に刺激する食べ物を好んで食べる方は注意が必要です。

口内炎と口腔がんの見分け方とは?

口内炎と口腔がんを識別するのは難しいのですが、見た目と触った感触により見分けられます。見た目の違いは、炎症が起きている部分と粘膜との境目を見ると分かります。口内炎は炎症が起きている部分とその周りの粘膜の境目がはっきりしていますが、口腔がんの場合は境目があいまいではっきりしていないのが特徴です。
触れたときの違いは、痛みがあるかどうかで識別できます。口内炎は触れると小さくても痛みを伴い、食べ物や飲み物などの刺激が加わるとさらに痛みを感じるのに対し、口腔がんの場合は病変が小さいときには痛みがありません。また、表面のざらつき・硬いしこり・炎症部の厚みがあることが、口内炎と異なる部分です。

舌がんについてよくある質問

ここまで舌がんの初期症状についてご紹介しました。ここでは舌がんについてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

口腔がんの早期発見につながる症状について教えてください。

坪光 玄義医師坪光 玄義(医師)

口腔がんの初期症状は、痛みを伴いません。痛み以外で早期発見につながる症状として以下のものが挙げられます。

  • 赤い斑点や白い斑点がある
  • 2週間以上続くただれや潰瘍がある
  • 痛みがない腫れが続いている
  • 舌にしこりがある

気になる症状がある場合は、早めに医療機関を受診しましょう。

舌がんを予防する方法はありますか?

坪光 玄義医師坪光 玄義(医師)

がんのリスクを高める喫煙を控え、飲酒の機会を減らすなど生活習慣を見直すようにしましょう。また、口腔内の清潔を保つことも大切です。定期的に歯科医院を受診し検診を受けることで、口腔内の異常にいち早く気付けます。
むし歯や合っていない入れ歯などを治療し、口腔内の環境を整えることもリスクを減らすことにつながります。「ただの口内炎」と思って放置するのではなく、日頃から口腔内の様子に関心を持つようにしましょう。

編集部まとめ

舌がんは、喫煙や飲酒・口腔内の環境悪化により引き起こされるがんです。口内炎と間違われやすく、放置していると悪化してしまう可能性が高くなります。

2週間以上治らない口内炎の場合はがんの可能性も視野に入れ、気になる場合は早めに医療機関を受診することが大切です。

日頃から、口腔内の様子を観察することも早期発見につながる行動の1つです。

快適な日常生活を送るためにも、早期発見・早期治療を心がけましょう。

舌がんと関連する病気

舌がんと関連する病気は5個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する病気

舌がんは初期の段階では口内炎と識別するのが難しい病気です。舌以外にも口腔内にできるがんは複数あります。なかなか治らない口内炎の場合は口腔がんである可能性が高いため、気になる場合は早めに医療機関を受診しましょう。

舌がんと関連する症状

舌がんと関連している、似ている症状は9個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 口腔粘膜が赤色または白色に変色している
  • 口腔粘膜に硬いしこりがある
  • 口腔粘膜が腫れている
  • 舌に刺すような痛みがある
  • 舌が痺れる
  • 口が開けづらい
  • 食事が飲み込みにくい
  • 話しにくい
  • 首や顎の下のリンパ節が腫れている

舌がんは進行すると、さまざまな自覚症状が現れます。上記のような症状が気になる場合には、早めに医療機関を受診しましょう。早期発見・早期治療が大切です。

この記事の監修歯科医師