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「胆嚢がんの検査」はどんな検査をするかご存知ですか?症状や治療法も解説!

 更新日:2023/12/19
「胆嚢がんの検査」はどんな検査をするかご存知ですか?症状や治療法も解説!

胆嚢(たんのう)がんは、胆嚢に悪性腫瘍が作られる病気で男性に多くみられるがん疾患のひとつになります。

エコー検査で偶然発見されるようなケースがあるように、胆嚢がんは初期症状・自覚症状がほとんど無いことが特徴です。

本記事では胆嚢がんの検査・診断について解説します。また、胆嚢がんのステージ・症状・治療方法なども解説しますので参考にしてください。

胆嚢がんとは?

胆嚢がんとは、胆嚢に発生した悪性腫瘍のことです。胆嚢は胆道を構成する洋梨状の形をした臓器のひとつで、胆汁を貯蔵する役割があります。
また、胆道は胆嚢・胆管・十二指腸乳頭に分けられ、胆道に生じた悪性腫瘍は総称して胆道がんと呼ばれます。年間で人口10万人あたり約18人が診断され、60歳以降に多くみられる点が特徴のひとつです。
また、胆嚢がんは初期症状・自覚症状がほとんど無いのも特徴で、進行がんとして発見されるケースが多くみられます。そのため、定期的な検診などで早期発見に努めることが大切です。

胆嚢がんの検査・診断

胆嚢がんの診断で行う検査は以下の通りです。

  • 血液検査
  • 腫瘍マーカー検査
  • 腹部超音波検査
  • CT検査
  • MRI検査

これらの検査のどれかひとつでがんの有無は判断できません。そのため、複合的な検査と内視鏡検査による組織採取でがんの有無を診断します。

血液検査

血液検査とは、血液を採取して体の異常があるかどうか確認する検査方法です。胆嚢がんの有無を判断するには、血清総ビリルビン値・AST・ALT・γ‐GTP・ALPなどの肝・胆道系酵素と呼ばれる項目を確認します。
ただし、数値の異常が確認されただけでは胆嚢がんの確定診断は行えません。後述する腹部超音波検査・CT検査・MRI検査などを実施するかどうかの判断材料のひとつとして用いられます。

腫瘍マーカー検査

腫瘍マーカー検査は、血液・尿などに含まれる成分などを測定する検査方法です。腫瘍マーカーと呼ばれる成分には、がん細胞内で作られるタンパク質などが含まれています。
がんの種類によって腫瘍マーカーは異なりますが、胆嚢がんの場合は血清CEA・血清CA19-9などの腫瘍マーカーが確認項目です。
ただし、腫瘍マーカーは診断の補助として用いられるため、そのほかの検査も行う必要があります。

腹部超音波検査

腹部超音波検査は、腹部に超音波をあてて内部を画像化する方法で、エコー検査とも呼ばれます。この検査方法を用いることで、胆石・胆嚢ポリープなどを発見することが可能です。
腹部超音波検査ではポリープの良性・悪性の診断は行えませんので、必要に応じて内視鏡検査で組織を採取する必要があります。

CT検査

CT検査は、体の周囲からX線をあてて体の断面を画像化する検査方法で、胆嚢がんの有無・進行度を総合的に判別するために用いられます。血液検査・腹部超音波検査などで、胆嚢がんが疑われた場合にCT検査を実施することが一般的です。
胆嚢がんを調べる場合は造影剤を使用するケースがありますが、造影剤を使用できない方もいますので問診票には正確に回答するようお願いします。

MRI検査

MRI検査は、CT検査と同様に、胆嚢がんの有無・進行度を判別するのに行う検査のひとつです。また、がんの浸潤なども鑑別できるため術前検査として用いられる場合もあります。
これらの検査に加え、EUS・ERCPと呼ばれる内視鏡検査を実施することで胆嚢がんを診断します。

胆嚢がんのステージ(病期)

胆嚢がんのステージ(病期)は、局所進展度とリンパ節転移の程度から以下の4段階の進行度(ステージ)に分けられます。

  • ステージⅠ:胆嚢の筋層までにとどまっていて、転移していない初期のがん
  • ステージⅡ:胆嚢の筋層を越えているが、膣内にとどまっているもの。または胆嚢内にとどまっているが近くのリンパ節に転移しているもの。
  • ステージⅢ:胆嚢壁の外まで広がっているもの。胆管や肝臓にも広がっていて、胆嚢に近いリンパ節に転移することも多い。
  • ステージⅣ:2か所以上の周辺臓器へ転移がみられたり、太い血管へ浸潤がみられたりした状態。胆嚢から離れた臓器へ転移した状態も含む。

胆嚢がんの症状は?

胆嚢がんの症状は以下のようなものがあげられます。

  • 腹痛
  • しこり
  • 黄疸

ただし、これらの症状は胆嚢がんの初期段階で見られるケースは多くありません。そのため、症状に気づいた場合は速やかに医療機関を受診してください。

腹痛

胆嚢がんでは初期症状が見られるケースは少ないですが、がんの組織が大きくなることでみぞおち・右わき腹の痛みを自覚する場合があります。
特に、胆石発作や胆嚢炎に伴う右わき腹の痛みが発見のきっかけとなるケースもあるため、自覚症状がある場合は早めに医療機関を受診するようにしてください。

しこり

胆嚢がんが進行することで腫瘍が大きくなり、右わき腹にしこりとして触れる場合もあります。
ただし、がんの初期でしこりが触れるケースはほとんどありません。しこりに気づいた場合は早期に医療機関を受診してください。

黄疸

胆嚢がんで最も見られる症状のひとつが黄疸です。胆汁の通り道である胆道を塞ぐほどがんが大きくなってしまうと、胆汁が血管へ逆流してしまいます。
そうすることで、皮膚や眼球が黄色くなったり便が白っぽくなったりするでしょう。黄疸が進行すると、かゆみ・体重減少などがみられる場合もあります。

胆嚢がんの治療方法

胆嚢がんの治療方法は以下の通りです。

  • 外科治療
  • 化学療法
  • 放射線療法

これらの治療方法はがんの進行度・全身状態にあわせて選択していきます。それぞれの治療法について解説しますので参考にしてください。

外科治療

外科治療は、手術によりがんに犯された部位を切除する治療です。胆嚢がんの外科治療は原則、ステージⅢまでが適応範囲となります。
ステージⅠでは胆嚢のみを切除する手術で治療可能ですが、ステージⅡ・Ⅲの場合は周辺臓器も切除しなければなりません。そのため、周辺臓器への浸潤の程度・手術に耐えられる体調かどうかも含めて手術適応の有無が決まるのです。

化学療法

化学療法とは、抗がん剤を用いて治療する方法です。外科治療が難しい胆嚢がんに対して行います。抗がん剤治療と聞くと入院治療をイメージされるかもしれませんが、通院しながらの治療も可能です。
また、外科治療の術前・術後の補助療法として化学療法を行うケースもありますが、有効性を示す研究データは無いため標準治療ではありません。

放射線療法

放射線療法とは、がん組織に対して放射線を照射し、がんの完治・苦痛の軽減などを目的に行う治療法です。胆嚢がんの場合、外科治療適応とならないようなステージⅣ相当の患者さんに対して、がんの進行を遅らせたり痛みを和らげたりする目的で放射線治療を実施します。
外科治療後の補助治療として用いられることもありますが、どちらも効果を実証するデータは揃っていないことが現状です。そのため、放射線治療は治療の選択肢のひとつではありますが、標準治療として確立されていません。

胆嚢がんについてよくある質問

ここまで、胆嚢がんの検査・診断などを紹介しました。ここでは「胆嚢がんの症状」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

手術で起こる可能性のある合併症について教えてください。

    

一般的な手術後の合併症として、肝不全・胆汁漏(ろう)・膵液漏・腹腔内膿瘍・胆管炎・吻合部狭窄(ふんごうぶきょうさく)などがあげられます。

  • 肝不全:肝臓を切除したことで肝臓の機能が低下してしまった状態。黄疸・腹水・意識低下などの症状がみられる場合がある
  • 胆汁漏・膵液漏:胆道や膵臓をつなぎ合わせた部分から胆汁・膵液が漏れてしまうこと。胆汁・膵液などが漏れ出るまでドレーンと呼ばれる排液するための管を入れながら経過をみる必要がある
  • 腹腔内膿瘍:膿がお腹の中に溜まってしまった状態。敗血症と呼ばれる重篤な状態につながる可能性もある。ドレーンを使って膿を体外へ排出したり抗生剤を使ったりすることが一般的な治療方法
  • 胆管炎:胆管内で細菌感染を引き起こした状態。抗生剤を使って治療することが一般的
  • 吻合部狭窄:胆管と小腸をつないだところが狭くなったり詰まったりしてしまう状態。胆汁の流れが悪くなり、黄疸が見られるような場合では内視鏡を用いて手術するケースもある

重度の合併症は手術後1週間以内に好発するため、特に注意深く経過を診る必要があるでしょう。

将来妊娠や出産を望む場合の注意点はありますか?

化学療法で使用する抗がん剤が妊娠・出産に影響を与える可能性があります。そのため、妊娠・出産を望む場合は、妊娠するための能力を温存するための妊孕性(にんようせい)温存療法を選択できるかどうかを担当医と相談する必要があります。あらかじめ、ご自身の希望をお伝えください。

まとめ

胆嚢がんの検査に関連する解説は以上になります。

胆嚢がんは、血液検査・腹部超音波検査などを行う人間ドッグで発見されるケースもあるように、胆道がんに含まれるがんのひとつで初期症状・自覚症状が少ない点が特徴です。

治療方法には外科治療・化学療法・放射線療法がありますが、胆嚢がんのステージや全身状態に応じて選択します。

早期発見が難しいからこそ、定期的な検診や人間ドッグが大切です。自覚症状や体調の変化に気づいた場合は早期に医療機関を受診しましょう。

胆嚢がんと関連する病気

「胆嚢がんの症状」と関連する病気は2つほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する病気

これらのがんは、胆嚢がんとあわせて胆管がんの総称で呼ばれることもあります。自覚症状・初期症状に乏しく、発見した時点で進行がんである場合が多い点が特徴です。そのため、普段の体調とおかしな点があれば医療機関を受診しましょう。

胆嚢がんと関連する症状

「胆嚢がんの症状」と関連する症状は5個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 嗄声(黄疸
  • 右わき腹の痛み(右季肋部痛)
  • しこり
  • 激しい痛み
  • 体重減少

これらの症状はがんが発生した初期段階で自覚するケースは少なく、進行した段階でみられる場合が多い点が特徴です。そのため、これらの症状を自覚した場合は早期に医療機関を受診しましょう。

参考文献