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「マンモグラフィ」は痛い?費用は?毎年受けるべき?医師が徹底解説!

 更新日:2023/12/19
「マンモグラフィ」は痛い?費用は?毎年受けるべき?医師が徹底解説!

マンモグラフィとは?Medical DOC監修医が発見できる病気や健康診断や乳がん検診結果の見方と所見、乳腺エコー検査との違い等を詳しく解説します。

寺田 満雄

監修医師
寺田 満雄(名古屋市立大学病院乳腺外科)

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2013年名古屋市立大学医学部卒。2017年愛知県がんセンター乳腺科部を経て、2019年より名古屋市立大学乳腺外科および名古屋大学分子細胞免疫学に所属。2020年より、より正確でわかりやすい乳がん情報を発信するために、「一般社団法人BC Tube」の立ち上げに携わり、同法人の理事となる。SNSを中心に乳がんに関する動画情報発信や乳がん啓発活動を行う。日本外科学会専門医、乳腺専門医。

マンモグラフィ(乳房X線検査)とは?

マンモグラフィは、乳房のX線写真を撮る医療検査です。この検査は、乳がんの早期発見に非常に有効で、乳房の中に異常がないかをチェックします。乳房を特殊な装置で軽く押さえながら、X線を通して乳房の内部を撮影し、画像を作成します。この画像を医師が詳しく見て、乳がんや他の乳房の問題を見つけ出します。
マンモグラフィは、異常が見つかる前に早期の段階で乳がんを見つけるのに役立ち、早期治療の手助けとなります。検査は短時間で終了し、特別な準備は必要ありませんが、一部の人々は少し不快に感じるかもしれません。しかし、マンモグラフィは女性の健康を保つ重要な検査であり、多くの場合、1~2年に1回受けることが推奨されます。

マンモグラフィ(乳房X線検査)とはどんな検査?

マンモグラフィ検査では特別なX線装置を使用し、乳房を平らなプレートで軽く押さえることで、乳房の内部を複数の方向から高解像度で撮影します。検査の流れは、まず、患者が上半身を裸にし、X線技師が乳房を装置に正しく位置づけます。次に、別のプレートが乳房を押さえ、X線が乳房を通過して画像を撮影します。これを両方の乳房に対して行い、必要に応じて異なる角度から追加の画像を撮影することもあります。検査は通常、短時間(約15~30分)で終わり、結果は後日医師によって解析され患者に通知されます。

マンモグラフィでは乳がんや胸のどんな異常がわかる?

マンモグラフィは、特に乳がんの早期発見に効果的な検査方法です。やわらかく、しこりを形成しないような乳がんの初期段階で発見されることもあり、乳がん以外にも乳腺の非常に細かな変化や異常を検出することができます。例えば、嚢胞、腫瘍、乳腺炎、乳房の肥大や非対称、また、乳頭の引き込みなどの変化や異常が見つかることがあります。マンモグラフィは、乳房の組織構造を非常に詳細に画像化することができるため、微細な変化や異常を検出することが可能です。

マンモグラフィ(乳房X線検査)の費用は?

マンモグラフィの費用は、保険適応の有無や、施設や地域により異なるため一概には言えません。精密検査として医療機関で実施する場合には、健康保険が適用されます。自覚症状がなく定期的なチェックとしてのマンモグラフィは、検診施設、人間ドック等で受けることができます。その際には、自費となりますが、乳がん検診で受けるマンモグラフィは自治体によって補助や割引がある場合もあります。具体的な費用は、受ける医療機関に直接お問い合わせいただくことをお勧めします。健康保険を利用する場合には、保険証を持参し、医療機関に保険適用の範囲や費用について確認することが重要です。

マンモグラフィ検査前日や当日の注意点

マンモグラフィ検査前日や当日は、香水やローション、クリーム、パウダーなどの外用製品の使用を避けることが重要です。これらの製品は、検査結果に影響を与える可能性があります。また、快適な服装を選ぶことも重要で、特に上半身が簡単に脱げる服を選ぶと良いでしょう。検査当日は、リラックスし、指示に従うことが求められます。マンモグラフィは若干の不快感を伴う可能性がありますが、リラックスして技師の指示に従うことで、スムーズかつ正確な検査が行えます。

マンモグラフィ(乳房X線検査)を受けるリスクはある?

マンモグラフィはX線を使用するため、ごく微量の放射線曝露が伴います。しかし、この放射線の量は非常に低く、通常は安全とされています。マンモグラフィ検査による放射線の量は、日常生活で自然に受ける放射線の量と比べても低いため、健康への影響は極めて限定的です。ただし、妊娠中の女性は、胎児に影響を与える可能性があるため、放射線に注意が必要です。また、乳房の圧迫は一時的な不快感を引き起こす可能性がありますが、検査は通常数分で終わるため、不快感はすぐになくなることが多いです。

マンモグラフィと乳腺エコー検査との違い

マンモグラフィと乳腺エコー検査は、乳房の異常を検出するための2つの異なる方法です。マンモグラフィはX線を使用して乳房の画像を作成し、乳がんの早期発見に非常に効果的です。一方、乳腺エコー検査は超音波を使用して乳腺の画像を作成し、特に乳腺組織が密な若い女性や妊娠中の女性に推奨されることがあります。乳腺エコーは放射線を使用しないため、放射線曝露のリスクはありません。両者の検査は補完的な役割を果たし、時には両方の検査が推奨されることもあります。

マンモグラフィの結果の見方と再検査が必要な診断結果・所見

ここまではマンモグラフィについて基本的なことを紹介しました。
再検査・精密検査を受診した方が良い結果がいくつかあります。
以下のような診断結果の場合にはすぐに病院に受診しましょう。

マンモグラフィの結果の見方・カテゴリー分類と主な所見

マンモグラフィの結果は、乳腺専門医や放射線科医によって解析されます。結果はカテゴリー分類に基づいて報告されることが一般的で、カテゴリーは1-5に分類され、3-5の場合には精密検査(精査)が必要となります。

カテゴリー分類 判定 検査結果の説明
カテゴリー1 異常なし 異常所見を認めません。
カテゴリー2 良性
(経過観察/精査不要)
異常所見はあるが、
明らかに良性と判断できる。
カテゴリー3 良性の可能性が高い
(要精査)
異常所見があり、
良性の可能性が高いが悪性も否定できません。
精密検査が必要です。
カテゴリー4 悪性の疑い
(要精査)
異常所見があり、
悪性の可能性が高いです。
精密検査が必要です。
カテゴリー5 悪性
(要精査)
異常所見を認め、
ほぼ悪性と考えられます。
早急な精密検査が必要です。

また、石灰化は乳房の異常を示す兆候であり、異常な石灰化が見られる場合にはさらなる評価が必要です。FAD(Focal Asymmetric Density)は腫瘤ほどはっきりしない白い影を指し、乳がんでも認められることがあります。周りの様子も含めて総合的な診断がなされるため、検査後は医師の説明をきちんと確認するようにしてください。

マンモグラフィ
検査所見
所見の説明
石灰化 乳房の内部に、輝度の高い領域が認められる。
良性疾患でも悪性疾患(乳がん)でも認められる可能性があり、領域の分布や性状から悪性の可能性ありと診断されます。
腫瘤 白い塊状の陰影で、石灰化と同様に良性疾患でも悪性疾患でも認められます。
陰影の濃度や性状などをふまえて総合的な判断が必要となります。
FAD
(局所的非対称陰影)
腫瘤ほどははっきりとしない、しかし周囲とは異なる白い陰影です。
陰影の性状や周囲の乳腺の状態をふまえて悪性の所見かどうか判断されます。

マンモグラフィの結果で悪性の疑いがある・精密検査が必要な基準と内容

マンモグラフィの結果で悪性の疑いがある場合や不明瞭な所見がある場合は、精密検査が勧められます。精密検査としては乳腺エコー検査、MRI(磁気共鳴画像診断)、乳房生検などが行われ、これらの検査で悪性腫瘍の有無を確認します。検査費用は保険の適用や施設によって異なるほか、国や地域の医療制度から補助がある場合もあります。
精密検査は通常、専門のクリニックや病院で行われます。再検査の緊急性は、初期のマンモグラフィの結果をふまえて決定されます。また、再検査で悪性腫瘍が確認された場合には、がんのステージや個々の健康状態に応じて治療計画が立案され、手術、放射線療法、化学療法などの治療が考慮されます。

「マンモグラフィ」で発見できる病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「マンモグラフィ」で見つかる可能性がある病気を紹介します。
どのような症状がある病気なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

乳がん

乳がんは、乳腺組織が異常に増殖することで発生し、その原因は遺伝やホルモンの影響、生活習慣など多岐にわたります。治療法は、がんの進行度や患者の健康状態によって異なり、手術、放射線療法、化学療法などが一般的です。マンモグラフィの結果から乳がんの疑いがある場合、早期に乳腺外科のある医療機関を受診することが重要です。速やかに適切な治療を開始することが推奨されます。

乳腺線維腺腫

乳腺線維腺腫は10-20歳代の女性に好発する良性の乳房腫瘍で、乳房の腺組織や結合組織が過剰に成長することにより発生します。原因は明確には判明していませんが、ホルモンの変動が関与している可能性があります。通常、痛みや不快感を伴うことがあり、乳房の一部にしこりを感じることができます。乳腺線維腺腫は、触診や超音波検査で診断されることが多く、マンモグラフィでも石灰化などをきっかけに発見されることがあります。
自然に退縮することがほとんどで特別な治療は通常必要ありませんが、3㎝以上まで大きくなる、または3㎝以下でも乳がんとの区別がつかない場合には、乳腺外科での評価や手術が推奨されることがあります。乳腺線維腺腫が疑われる場合は、乳腺外科または一般外科を受診し、専門医のアドバイスを受けることが重要です。

「マンモグラフィ」で引っかかる理由は乳がん以外にもある?

マンモグラフィで異常が見られる場合、それが必ずしも乳がんを示すわけではありません。例えば、乳腺線維腺腫、乳腺嚢胞、脂肪壊死、乳管拡張症などの異常が見つかることがあります。これらの病気はしばしば乳房の痛みや腫れ、または乳房のしこりとして認められ、乳房の炎症や感染、乳房手術の既往などもマンモグラフィの結果に影響を与える可能性があります。マンモグラフィで引っかかった場合には専門医による評価が重要であり、さらなる検査が必要となることが一般的です。

「マンモグラフィ」についてよくある質問

ここまで検査でわかる可能性のある病気や診断結果の見方などを紹介しました。ここでは「マンモグラフィ」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

乳がん検診や婦人科検診のマンモグラフィは毎年受けるべきですか?

寺田 満雄寺田 満雄 医師

乳がん検診の頻度は個人のリスクファクターと年齢によって異なります。一般的には、40歳以上の女性は毎年または2年に1回のマンモグラフィを受けることが推奨されています。しかし、家族歴や遺伝的リスクがある場合は、より早い年齢で、またはより頻繁にスクリーニングを受けることが推奨されます。婦人科検診と合わせて、定期的な乳がん検診は乳がんの早期発見と治療に非常に有用であり、生存率を向上させる可能性があります。検診の頻度やタイミングについては、医師と相談し、個人の健康状態とリスクプロファイルに基づいて決定することが重要です。

マンモグラフィは何歳から受けた方がいいですか?

寺田 満雄寺田 満雄 医師

マンモグラフィは通常、40歳以上の女性に推奨されることが多いです。若い女性では乳腺の厚みがあり、マンモグラフィでは乳がんを発見しにくいことがあるためです。しかし、家族に乳がんの歴史がある場合や、遺伝的リスクがある場合には、医師の勧めに基づき、40歳未満でもマンモグラフィを受けることがあります。乳がんのリスクが高い女性では、検診の開始時期と頻度について医師と相談することが重要です。

妊娠中や授乳中でもマンモグラフィは受けられますか?

寺田 満雄寺田 満雄 医師

妊娠中や授乳中の女性がマンモグラフィを受けることは可能ですが、通常は必要のある場合に限られます。妊娠中は乳腺組織が密であり、マンモグラフィの結果が不明確になる可能性があります。また、放射線曝露は胎児に影響を与える可能性があるため、検査を受ける際には医師と十分に相談し、放射線を遮蔽する保護エプロンを使用することが重要です。
授乳中の女性も乳腺の変化によって画像が不鮮明になる可能性があり、マンモグラフィの代わりに乳腺エコー検査やMRIが推奨されることがあります。最終的に妊娠中や授乳中でもマンモグラフィを受けるかどうかは、医師との相談が必要です。

健康診断でマンモグラフィの検査ができない人はどんな女性ですか?

寺田 満雄寺田 満雄 医師

前述の通り、妊娠中や授乳中の場合には検診でマンモグラフィ検査が推奨されないことがあります。ペースメーカ植込みや豊胸手術の既往、胸部の外傷歴やまっすぐ立つことが困難な場合には、マンモグラフィ検査が施行できないことがあります。また、乳房にしこりや乳頭分泌物などの自覚症状があったり、乳腺疾患の経過観察中の場合は、医療機関で医師の診察とともに検査を受けることが必要になりますので、検診でのマンモグラフィは適していません。

胸のマンモグラフィ検査と超音波検査は両方受けるべきですか?

寺田 満雄寺田 満雄 医師

マンモグラフィは乳がんの早期発見に特に有効で、超音波検査は乳腺組織を詳しく調べるのに適しています。状況に応じて両方の検査を受けることが推奨されることがあります。また、それぞれの検査の結果は相補的であり、一方の検査だけでは見逃す可能性がある情報を補うことができます。最終的には、個人の健康状態や医師の勧告に基づいて、どちらの検査を受けるか、または両方を受けるかを決定することが重要です。現在、乳がん検診で乳がんによる死亡率を下げることが証明されている検診方法はマンモグラフィだけですので、まずはマンモグラフィを基本に考えることをお勧めします。

まとめ「マンモグラフィ」で乳がんを早期発見!

マンモグラフィは乳房の健康を評価し、特に乳がんの早期発見に非常に有効な検査方法です。この検査を定期的に受けることで、乳がんや他の乳房の異常を早期に発見し、早期治療につなげることができます。また、マンモグラフィと乳腺エコー検査は相補的な情報を提供し、一方だけでは見逃す可能性のある重要な所見を補完することができます。乳がんを初めとする乳房の異常を早期に発見するために、マンモグラフィの検査概要とその目的について知っておくことが大切です。
今回は乳がん検診の検査に焦点をあてましたが、検診開始年齢の前でも、開始後でも、日頃から自分の乳房の健康状態に気をかけることは大切です。ブレスト・アウェアネスと言います。検診だけでなく、定期的に乳房のセルフチェックもあわせて行い、何か変化に気がつくことがあれば医療機関を受診するという習慣もとても大切です。

「マンモグラフィ」の異常で考えられる病気

「マンモグラフフィ」の検査結果から医師が考えられる病気は2個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

婦人科の病気

マンモグラフィは乳がんの早期発見に効果的な検査法です。また、乳がん以外にも微細な変化を検出する能力が高いので、診察や他の検査で異常がない場合にも定期的な検査がおすすめです。

この記事の監修医師