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「腟がんの症状」はご存知ですか?ステージ別に徹底解説!【医師監修】

 更新日:2023/11/14
「腟がんの症状」はご存知ですか?ステージ別に徹底解説!【医師監修】

腟がんは、女性特有のがんであり、早期発見が非常に重要となる疾患の一つです。

初期段階では症状がほとんど現れないことが多いため、定期的な検診や自身の体調の変化に注意を払うことが求められます。

この記事では、腟がんについて症状や検査・治療方法などを詳しく解説します。

気になる症状があれば気軽に病院で検診を受けることがおすすめです。自身の健康管理や早期発見に役立てましょう。

馬場 敦志

監修医師
馬場 敦志(宮の沢スマイルレディースクリニック)

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筑波大学医学群医学類卒業 。その後、北海道内の病院に勤務。 2021年、北海道札幌市に「宮の沢スマイルレディースクリニック」を開院。 日本産科婦人科学会専門医。日本内視鏡外科学会、日本産科婦人科内視鏡学会の各会員。

腟がんとは?

腟がんは、女性が罹るがんの中で非常に稀な病気です。女性生殖器がん全体の1-2%を占めるだけにすぎません。この腟がんは、他の部位にもがんが見つかると、その部位でのがんとして扱われることが多いです。
例えば、がんが子宮頸部に及んでいれば子宮頸がん、外陰までの拡がりがあれば外陰がんとして扱われることが多いです。
腟がんの約85%は扁平上皮がんで、その半数以上は70歳以上の高齢者に発症します。
また、ヒトパピローマウイルス(HPV)との関連が指摘されており、腟扁平上皮癌の約8割からHPVが検出されています。腟がんの症状として多いのが、性器からの出血です。
また、がんが大きくなり膀胱を圧迫するようになると、頻尿・残尿感・排尿痛などの症状が現れる場合があります。
腟がんは罹る人が少なくデータが少ないため、他のがんとは異なり、大規模な信頼性のある研究が難しいとされています。そのため、治療は子宮頸がんを基準に行われることが多いのが現状です。

腟がんが疑われる症状

腟がんは、初期段階では症状がほとんど現れないことが多いですが、進行するにつれて以下のような症状が現れることがあります。

  • 出血
  • 異常なおりもの
  • 性交時の痛み
  • 腹痛や腰痛
  • 排尿障害

腟がんのステージ別の症状

腟がんはがんの進行度合いによって、ステージⅠからステージⅣまで分類されています。この各ステージでの特徴についてそれぞれ詳しく解説をしましょう。

ステージⅠ

ステージⅠは、がんが腟壁内に限られている状態です。この時期の5年後生存率は75〜95%程度とされています。
この段階では、治療方法として手術が選択されることが多いです。

ステージⅡ

ステージⅡのがんは腟の周囲の組織にも広がっているものの、骨盤の壁には進展していない状態です。
この時期の5年後生存率は50〜70%となっています。

ステージⅢ

ステージⅢは、がんが骨盤壁にまで広がっている状態を指します。この段階では治療方法として手術を選択することはまれで、放射線治療を行うことが一般的です。
ステージ3の5年後生存率は30〜50%となっています。

ステージⅣ(A期・B期)

ステージⅣは、骨盤を越えて広がっている状態です。骨盤を越えて周辺組織にまで広がっている場合を、ステージⅣのA期といいます。
また、がんが肺や骨など腟から遠く離れた部位にまで転移している状態はステージⅣのB期といいます。
ステージⅣのA期では放射線治療が治療方法として選択される場合が多いです。
それに対して、ステージⅣのB期では、症状を和らげるための緩和ケアが行われます。その場合、放射線治療に化学療法が組み合わせて行われます。ステージⅣの5年後生存率は0〜20%です。

腟がんの検査方法

腟がんの発見と診断には、腟だけでなく子宮頸部や子宮体部などを調べる検査が行われます。それらを調べる検査は主に内診・細胞診・組織診・CTやMRI検査の4つがあります。
ここでは、それら3つについて詳しく解説をしましょう。

内診

腟がんの初期段階での発見は、内診を通じて行われることが多いです。内診では、医師が手袋をはめて腟内を触ることで腟や子宮頸部の異常を感じ取り、腫瘍や他の異常を検出します。

細胞診

細胞診は、腟や子宮頸部から採取した細胞を顕微鏡で観察し、がん細胞の存在を確認する検査です。細胞診の結果によって、がんが疑われたときには、さらなる詳しい検査が推奨されます。

組織診

組織診は、腟の腫瘤から組織の一部を採取し、顕微鏡で観察してがんの組織のタイプを確認する検査です。 この検査で腟がんであるという確定診断が行われます。

CT・MRI検査

がんの広がりや転移の有無を確認するために、CT検査やMRI検査が行われます。これらの画像診断は、がんの位置・大きさ・周囲の組織や臓器との関係を詳しく把握するために非常に有効です。
特に、がんの進行度や病期を確定するためには、これらの画像診断が欠かせません。

腟がんの治療方法

腟がんの治療方法は主に以下の3つです。

  • 外科手術
  • 放射線治療
  • 抗がん剤

外科手術

外科手術は腟がんの治療として一般的な治療方法です。外科手術が主に6つに分類でき、それぞれ異なる特徴があります。レーザー蒸散術はレーザー光線を使用して、出血を起こさずに病変部位や腫瘍を切除する方法です。
部分腟壁切除術は腟壁上のがんとその周囲の正常組織の一部を切除する手術です。この手術はがんが腟のみに存在し、周囲の臓器に広がっていない場合に行われます。
広汎子宮全摘出+腟部分切除術は、腟の上部や子宮にがんが広がっている場合に行われる手術です。
この手術では、腟上部の部分切除とともに子宮も切除します。広汎外陰切除術+腟部分切除術は、腟の下部や外陰部にがんが広がっている場合に行われる手術です。腟部分切除とともに外陰部も切除します。
骨盤除臓術は腟を超えて広がったがんや他の器官に広がっている場合に行われる手術です。この手術を行う場合、下部結腸・直腸・膀胱・子宮・腟・卵巣付近のリンパ節などを摘出します。
リンパ節郭清は、手術の際にがんだけでなく、がんの周辺にあるリンパ節も取り除くことを指します。
このリンパ節郭清の主な目的は、がんが転移している可能性がある部分を取り除くことで、再発を防ぐことです。

放射線治療

放射線治療は、高エネルギーのX線やガンマ線を使用してがん細胞を破壊する治療法です。放射線を体の外から照射する外部照射と、腟を通して腟や子宮頸部のがんのある部分に照射する腟内照射の2つの方法があります。

抗がん剤

抗がん剤を使用してがん細胞の増殖を防ぐ治療法です。抗がん剤は進行した症状や再発した場合に用いられることが多い治療法です。
使用される抗がん剤の投与方法は、薬によって異なり、経口投与や静脈内・筋肉内・体腔内への注射などがあります。

「膣がんの症状」についてよくある質問

ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「膣がんの症状」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

症状が現れずに発症することはある?

馬場 敦志馬場 敦志医師

腟がんの初期は症状が現れないことが多いです。
そのため、子宮系の検診で偶然見つかり、発症していたと気づくケースもあります。

定期検診の適切な頻度は?

馬場 敦志馬場 敦志医師

子宮頸がんや子宮がん・子宮体がんなど子宮系の定期検診は2年に1回は受けるようにしましょう。
定期検診をすることで腟の状態も一緒に診れ、異変に気づきやすいです。

編集部まとめ

腟がんは、腟の内壁に発生するがんで初期症状は殆ど現れませんが、出血や異常なおりものなどが症状として現れることがあります。

病状や病期に応じて、手術・放射線治療・抗がん剤治療などの治療方法が選択されます。

早期発見・早期治療が重要であるため、定期的な婦人科検診を受けるようにしましょう。そうすることで、初期の段階での発見が期待されます。

腟がんと関連する病気

「腟がん」と関連する病気は5個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

これらの病気も、腟がんと同様に、早期発見・早期治療が重要です。異常な症状を感じた場合や、症状が長引く場合は、専門の医師の診察を受けることをおすすめします。

腟がんの症状と関連する症状

「腟がん」と関連している、似ている症状は6個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 出血
  • 性交時の痛み
  • 腹痛や腰痛
  • 排尿時の痛み
  • 腟内のしこり

これらの症状は、腟がんだけでなく、他の婦人科系の疾患にも見られることがあります。これらの症状が少しでも気になれば、早めに病院に行き、相談しましょう。腟がんは早期発見・早期治療が非常に重要です。

この記事の監修医師