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「喉頭がんの生存率」はご存知ですか?ステージ分類や治療法も解説!【医師監修】

 公開日:2023/12/29
「喉頭がんの生存率」はご存知ですか?ステージ分類や治療法も解説!【医師監修】

喉頭がんは、のどの痛みや声の変化などの症状を引き起こすことが多く、早期発見が非常に重要です。

この記事では、喉頭がんの基本的な情報から、関連する病気・症状・治療方法までを詳しく解説していきます。

喉頭がんに関する正確な知識を持つことで、早期発見や予防に役立てましょう。

渡邊 雄介

監修医師
渡邊 雄介(医師)

プロフィールをもっと見る
1990年、神戸大学医学部卒。専門は音声言語医学、音声外科、音声治療、GERD(胃食道逆流症)、歌手の音声障害。耳鼻咽喉科の中でも特に音声言語医学を専門とする。2012年から現職。国際医療福祉大学医学部教授、山形大学医学部臨床教授も務める。

所属
国際医療福祉大学 教授
山王メディカルセンター副院長
東京ボイスセンターセンター長

喉頭がんとは?

喉頭がんは、喉頭と呼ばれる呼吸や発声に関わる器官に発生する悪性腫瘍です。喉頭は声帯を含む声門・声門上・声門下の3つの部位に分けられ、喉頭がんはこれらの部位のいずれかに発生します。それぞれの発生割合は下記の通りです。

  • 声門:70%程度
  • 声門上部:25%程度
  • 声門下部:5%程度

喉頭がんにおいて最も一般的ながんは声門がんで、早期に発見されることが多いです。喉頭がんの主な原因は長年の喫煙と飲酒であり、これらのリスクファクターを持つ人々は、喉頭がんの発症リスクが高まります。また、喉頭がんの初期症状として、持続的な咳・声のかすれ・のどの痛みなどが挙げられます。
喉頭がんの進行を妨げるためにも、早期発見・早期治療が重要です。また、その早期発見・早期治療のためには定期的な健康診断や自身の体の変化に注意を払うことが重要です。

喉頭がんの生存率

喉頭がんの生存率は、がんのステージ・治療の時期・一般的な健康状態などの要因によって異なります。一般的に、喉頭がんは早期に発見されることが多いため、5年生存率は高いとされています。
具体的な数字としては、早期の喉頭がん(ステージIやII)の5年生存率は70%以上です。一方、進行した喉頭がん(ステージIIIやIV)の場合、5年生存率は50%以下になることが報告されています。
生存率を向上させるためには、早期発見と適切な治療が重要です。定期的な健康診断や自身の体の変化に注意を払うこと、喫煙や過度な飲酒を避けることなどの生活習慣の改善が、喉頭がんの予防と生存率向上に寄与します。

喉頭がんのステージ分類

喉頭がんのステージ分類は、がんの進行度や広がりを示すものです。このステージ分類は0期からIV C期まで7期に分類されており、治療方針の決定や予後の予測に役立てられます。
ここでは、そのステージ分類を声門・声門上・声門下といった喉頭がんができる部位毎に分けて解説をします。

0期

0期の喉頭がんは、癌原発巣が上皮内にとどまる極早期の段階です。この0期に関しては、声門・声門上・声門下によって分類の違いはありません。

I期

I期の声門がんでは、がんが片側の声帯にとどまっている状態をT1a期と呼び、両側の声帯にがんがある状態をT1b期と呼びます。I期の声門上がんと声門下がんは、がんが片側の声門上部あるいは下部の一部にとどまっている状態です。

II期

II期の声門がんでは、がんが声門の上部や下部にまで広がっているか、声帯の動きに制限が出始めている状態です。声門上がんでは、がんが声門を含む声門上部の外側まで広がっているか、声門上部の広い範囲に及んでいる状態を指します。
声門下がんでは、がんが声帯にまで広がってしまっており、動きが制限されている状態です。このように、喉頭がんのII期になると声帯の動きが制限される症状が表れ始めます。

III期

III期の喉頭がんは、さらに広範囲に広がり、リンパ節に転移する可能性が高まります。声門がんでは、声帯の動きがなく固定され、声門の周囲組織にまでがんが広がってしまった状態です。
声門上がんでは、声帯の動きが完全に失われ、がんが声門上部の周辺または声門の周囲にまで広がっている状態です。また、声門下がんでは、がんが声帯にまで広がり、その動きが完全に失われてしまいます。

IV A期

IV A期は、声門がん・声門上がん・声門下がんのいずれにおいても、がんが喉頭の外側の組織にまで広がった状態です。さらにリンパ節への転移も一般的です。
IV A期における治療は手術・放射線治療・化学療法を組み合わせて行われます。

IV B期

IV B期の喉頭がんは、声門がん・声門上がん・声門下がんのいずれにおいても、背骨・縦隔・頸動脈全周などに及んでいる状態です。

IV C期

IV C期は、がんが肺や肝臓などの他の部位にまで広がっている状態を指します。この段階のがんは非常に進行しており、治療の選択肢や予後が限定されることが多いです。緩和ケアや症状の緩和を目的とした治療が行われます。

喉頭がんの治療

喉頭がんの主な治療方法には、外科療法・放射線療法・化学療法の3つがあります。ここではこれら3つの治療方法の特徴やメリット・デメリットについて詳しく解説をしましょう。

外科療法

外科療法は、がん組織を直接取り除く方法です。早期の喉頭がんであれば、部分的な切除が行われることが多いです。
進行した場合、喉頭全摘出手術が必要となることもあります。手術後のリハビリテーションや発声訓練が必要となる場合があります。
この方法の利点は、がん組織を直接取り除けるため、完治の可能性が高まる点です。一方、喉頭の部分的または全摘出が必要な場合、発生やのみこみに影響が出るリスクが考えられます。

放射線療法

放射線療法は、がん細胞を破壊するための放射線を使用する治療方法です。早期の喉頭がんや手術が困難な場合に選択されることが多いです。放射線療法は、単独で行われることもあれば、手術や化学療法と併用されることもあります。
この方法の利点は、手術を避けられるため、身体への負担が少ない点治療期間が短い場合が多い点です。一方、放射線による副作用が考えられる点がデメリットとして挙げられます。

化学療法

化学療法は、がん細胞の成長を抑制する薬剤を使用する治療方法です。進行した喉頭がんや再発、転移が疑われる場合に適応されます。化学療法は、放射線療法や外科療法と併用されることが多いです。
この方法の利点は、全身に広がったがん細胞を攻撃できる点や、他の治療方法との併用で効果を高めることが期待される点です。一方、薬剤の副作用や定期的な通院が必要となる点がデメリットとして挙げられます。

喉頭がんの再発転移

喉頭がんの治療後に注意すべきは、再発転移のリスクが残ることです。再発転移は、治療によって見えなくなったがんが再び現れたり、別の臓器で「転移」として見つかることを指します。
再発転移のリスクは、がんの初期ステージ・治療方法・健康状態などによって異なります。再発や転移を早期に発見するためには、定期的な検診や自己チェックが重要です。
再発や転移の兆候としては、以下の症状が挙げられます。

  • のどの痛み
  • 声の変化
  • 嚥下困難
  • 耳の痛み

これらの症状が現れた場合、速やかに医師の診察を受けることが推奨されます。再発や転移を予防するためには、健康的な生活習慣を維持し、タバコやアルコールの摂取を控えることが有効です。

喉頭がんについてよくある質問

ここまで喉頭がんのステージ別の症状や余命・生存率などを紹介しました。ここでは「喉頭がんの生存率」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

喉頭がんは手術の必要がありますか?

渡邊 雄介医師渡邊 雄介(医師)

喉頭がんの治療では手術が必要となる場合があります。手術には喉頭部分切除術と喉頭全摘術の2種類があります。このうち、喉頭部分切除術は早期のがんで行われる手術です。また、喉頭全摘術は進行したがんで行われることが多い手術です。これらの手術と放射線治療を組み合わせることが喉頭がんの治療の中心となります。

喉頭がんは予防できますか?

渡邊 雄介医師渡邊 雄介(医師)

喉頭がんを予防するためには、喫煙を避けることが重要です。喉頭がんの患者さんの95%以上が喫煙者であり、また60歳代後半に喉頭がんを多く発症します。そのため、タバコを若い時から長期間に渡って吸い続けた結果として起こるがんだと考えられています。このことから、喉頭がんを予防するためには、喫煙を避ける事が重要だといえます。

編集部まとめ

喉頭がんは、喉頭に発生するがんの一種で、早期発見と適切な治療が非常に重要です。

喉頭がんの主な症状には、のどの痛み・声の変化・食べ物や飲み物をうまく飲み込めなくなることなどがあります。

早期の段階では症状が軽微であることが多いため、定期的な健康診断や自己チェックをしましょう。

治療方法としては、外科療法・放射線療法・化学療法などがあり、健康状態やがんのステージに応じて適切な治療が選択されます。

各治療方法にはそれぞれのメリットとデメリットがあり、医師との十分な相談のもとで治療方針を決定することが大切です。

治療後も再発や転移のリスクは残るため、健康的な生活習慣の維持や定期的な検診が必要です。再発や転移を早期に発見することで、より良い治療結果を期待できます。

喉頭がんに関する知識や予防方法を理解し、早期発見・早期治療の重要性を認識することで、健康な生活を継続するための一助となることを願っています。

「咽頭がん」と関連する病気

「喉頭がんの生存率」と関連する病気は5個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

呼吸器系の病気

生活習慣病

喉頭がんのリスクを高める疾患としては、上記のようなものが考えられます。特に、タバコやアルコールの過度な摂取は喉頭がんのリスクを高める要因として知られています。

「咽頭がん」の症状と関連する症状

「喉頭がんの生存率」と関連している、似ている症状は4個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 声のかすれ
  • のどの痛みや違和感
  • 嚥下困難
  • 咳や血痰

喉頭がんは早期に発見すれば、高い生存率の病気です。上記の症状が少しでも気になれば、早めに病院へ行き相談しましょう。喉頭がんは早期に発見し、治療することが非常に大切です。

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