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「乳がんの原因」となる食べ物はご存知ですか?予防法も医師が徹底解説!

 公開日:2023/09/21
「乳がんの原因」となる食べ物はご存知ですか?予防法も医師が徹底解説!

乳がんの原因とは?Medical DOC監修医が乳がんの原因・予防法や何科へ受診すべきかなどを解説します。

木村 香菜

監修医師
木村 香菜(医師)

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名古屋大学医学部卒業。初期臨床研修修了後、大学病院や、がんセンターなどで放射線科一般・治療分野で勤務。その後、行政機関で、感染症対策等主査としても勤務。その際には、新型コロナウイルス感染症にも対応。現在は、主に健診クリニックで、人間ドックや健康診断の診察や説明、生活習慣指導を担当している。また放射線治療医として、がん治療にも携わっている。放射線治療専門医、日本医師会認定産業医。

「乳がん」とは?

乳がんは乳腺の組織にできるがんです。その多くは乳管から発生しますが、一部は小葉から発生します。また、乳腺以外の乳房の組織から発生することもあります。
進行すると、がん細胞は周りの組織を壊しながら増殖し、血液やリンパ液の流れなどに乗って転移することもあります。転移しやすい場所は乳房の近くのリンパ節、骨、肝臓、肺、脳などです。
がんの症状が進み、悪化した場合には、腹水や胸水といって、お腹や胸に水が溜まるような症状を呈することもあります。また、治療が終わってからも、同じ側、またはもう一方の乳腺や、リンパ節に再発することもあります。
乳がんは男性にも発生することがあり、女性と同様、多くの場合乳管から発生します。男性乳がんに対する治療の流れは、基本的には女性乳がんと同じです。また、男性乳がんの予後は女性乳がんと比べて大きな差はありません。
乳がんの主な症状は、乳房のしこりです。自分で乳房を触ることで気付く場合もあります。ほかには、乳房にくぼみができる、乳頭や乳輪がただれる、左右の乳房の形が非対称になる、乳頭から分泌物が出るなどがあります。
食生活の欧米化などに伴い、日本でも、乳癌の罹患率と死亡率はともに増加しています。

乳がんの原因

乳がんのリスク要因としては、まだはっきりとしたことは分かっていませんが、その中でもいくつかの要因が考えられています。
そうした要因のうち、いくつかを紹介していきます。

女性ホルモンのエストロゲンに関連する要因

乳がんの発生には、女性ホルモンのエストロゲンが深く関わっていることが知られています。
エストロゲンを含む経口避妊薬の使用や、閉経後の長期のホルモン補充療法は、乳がんを発生するリスクを高めることが分かっています。

そして、体内のエストロゲンに関連する要因として、以下のようなものがあるとされています。

  • ・初経年齢が低い
  • ・閉経年齢が高い
  • ・出産経験がない
  • ・初産年齢が高い
  • ・授乳経験がない

こうしたリスクがある方は、特に30歳以降には乳癌検診などをきちんと受けるようにしましょう。

生活習慣や糖尿病の既往

飲酒、閉経後の肥満、運動不足といった生活習慣や、糖尿病の既往なども乳がんを発生するリスクを高めると考えられています。
過剰な飲酒は肝機能障害の原因にもなりますので、厚生労働省の推奨する「適切な飲酒量」を守るようにしましょう。

お酒の種類 ビール
(中瓶1本500ml)
清酒
(1合180ml)
ウイスキー・ブランデー
(ダブル60ml)
焼酎(35度)
(1合180ml)
ワイン
(1杯120ml)
アルコール度数 5% 15% 43% 35% 12%
純アルコール量 20g 22g 20g 50g 12g

また、食事面ではカロリーのとりすぎに気をつけ、1日30分程度の運動を行い、肥満にならないようにしていきましょう。

遺伝的な要因

第一親等(自分の親または子)で乳がんになった血縁者がいる場合、乳がんのリスクが高いことが分かっています。
乳がんを早期発見、早期治療するためにも、乳がん検診を欠かさず受けることが望ましいと考えられます。
遺伝性乳がんの原因としては、BRCA1、BRCA2という遺伝子の変異が知られています。
一方、これらの変異があるからといって必ずしも発症するとは限りません。もし自分が遺伝性乳がんの素因を持っているか知りたい場合は、
遺伝医学などの専門家のいる施設で、遺伝カウンセリングや遺伝子検査を受けるのが良いでしょう。
このような専門家やカウンセラーなどが在籍している施設などの情報は、がん相談支援センターで確認することができます。

ストレス

ストレスが乳がん転移を促進するということも報告されています。
バーゼル大学とバーゼル大学病院の科学者らが、乳がんの転移とストレスホルモンの増加を結びつける分子機構を解明したという研究データがあります。
さらに、癌治療において抗炎症剤として頻繁に使用されるストレスホルモンの合成誘導体が化学療法の効果を低下させることも発見しています。
この研究では、乳がん患者にとってのストレス管理の重要性についても述べられており、適度な運動とリラクゼーション法は、乳がん患者の生活の質の向上と生存期間の延長に相関することが示されています。

良性の乳腺腫瘍になったことがある

乳腺に発生する腫瘍には、悪性腫瘍つまりがんの他にも、線維腺腫や葉状腫瘍といった良性の腫瘍があります。
良性腫瘍の中でも、増殖性病変のタイプの場合には、乳癌発症リスクを増加させることは確実であり、特に異型乳管過形成(atypical ductal hyperplasia)をはじめとする異型を伴う上皮内病変では乳癌発症リスクが高くなります。
ただし、日本人ではまだはっきりとわかっていないこともあり、さらなる研究が期待されています。

乳がんの予防法

それでは、ここからは乳がんの予防法について述べていきます。

乳がん検診を受ける

40歳以上の女性は2年に1回、乳がん検診を受けるように、国が推奨しています。
ほとんどの市区町村では、検診費用の多くを公費で負担しており、一部の自己負担で検診を受けることができます。
検診の内容は、問診とマンモグラフィ(乳房X線検査)です。
問診では、現在の症状、月経に関することや妊娠の可能性の有無、自分や家族が乳がんにかかったことがあるか、過去の検診の受診状況、マンモグラフィを実施できるかどうかなどを確認します。
万が一、検査の結果が「要精密検査」となった場合は、必ず精密検査を受けるようにしましょう。

適切な食生活や運動習慣

日本人を対象とした研究では、がん全般の予防には、禁煙、節度のある飲酒、バランスのよい食事、身体活動、適正な体形の維持、感染予防の6点が有効であることが分かっています。
中でも乳がんを予防するためには、飲酒を控え、閉経後の肥満を避けるために体重を管理し、適度な運動を行うことがよいと考えられています。

乳製品は、乳癌発症リスクを減少する可能性が示唆されているのですが、過剰摂取にはリスクを高める可能性があり注意を要するとされています。
そして、大豆食品や大豆食品に含まれるイソフラボンの摂取が乳癌発症リスクを減少させる可能性もあるとされています。
また、コーヒーはカフェインやポリフェノール(カフェイン酸等)等のさまざまな生理活性物質を含んでおり、そのカフェインやカフェイン酸が抗エストロゲン作用により乳癌細胞にアポトーシスを誘導することが示されています。

しかしながら、リスク減少効果はわずかで、報告されている研究はほとんどが米国や欧州、アジアからであるため、「コーヒーの摂取が乳癌発症リスクを減少させるかどうかは結論付けられない」とガイドラインでは判断されています。

ブレスト・アウェアネス

ブレスト・アウェアネスという「乳房を意識する生活習慣」を意識することが大切です。
乳房の状態に日ごろから関心をもち、乳房の変化を感じたら速やかに医師に相談するという、正しい受診行動を身に付けることが大切とされています。
ブレスト・アウェアネスには、以下の4つのポイントがあります。
(1)ご自分の乳房の状態を知る
(2)乳房の変化に気を付ける
(3)変化に気付いたらすぐ医師へ相談する
(4)40歳になったら2年に1回乳がん検診を受ける
このようなポイントに気をつけ、セルフチェックを行なっていくことも大切です。

「乳がんの原因」についてよくある質問

ここまで乳がんの原因・予防法などを紹介しました。ここでは「乳がんの原因」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

乳がんの原因となる食べ物を教えて下さい。

木村 香菜医師木村 香菜(医師)

肉類・加工肉、パン、果物ジュース、コーヒー、ソフトドリンク、マヨネーズ、乳製品、魚介類などが関連した「欧米型」の食事が乳がんのリスクを高めたという報告があります。そのうち飲酒や肉類・加工肉の過剰摂取と乳がんとの関連はこれまでの研究から指摘されています。
こうした食べ物を摂りすぎると、乳がんに罹患するリスクが高くなる可能性があるということは知っておいても良いでしょう。

乳がんが増加している原因を教えて下さい。

木村 香菜医師木村 香菜(医師)

乳がん増加の背景には、ライフスタイルの欧米化によって、高カロリー・高脂肪の食生活となり、思春期女性の初潮が低年齢化したり、肥満が増えたりしていることが原因としてあるのではないかと考えられています。また、晩婚・少子化による初潮から第1子出産までの期間の長期化していることなども乳がんが増加している一因として挙げられます。

編集部まとめ

今回は、乳がんの原因や予防法について解説しました。
乳がんは早期発見すれば治癒する可能性が高い病気です。
基本的な生活習慣に加えて、乳がん検診を受けましょう。

「乳がんの原因」と関連する病気

「乳がんの原因」と関連する病気は5個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

乳腺の病気

  • 線維腺腫
  • 葉状腫瘍
  • 遺伝性乳がん

内分泌科の病気

乳がんになるリスクを高める疾患としては、上記のようなものがあります。エストロゲンのレベルが高まる要素(初経年齢が低い、閉経年齢が高い、出産経験がない、初産年齢が高い、授乳経験がない、など)も乳がんになるリスクを高める要因です。

「乳がんの原因」と関連する症状

「乳がんの原因」と関連している、似ている症状は6個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

乳がんの初期症状としては、乳腺にしこりを感じるといったものがあります。セルフチェックをしたり、また乳がん検診を受けたりするなどして、乳がんの早期発見につなげましょう。

この記事の監修医師