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「軽度認知障害と認知症の違い」はご存知ですか?それぞれの症状・原因も解説!

 公開日:2026/01/14
「軽度認知障害と認知症の違い」はご存知ですか?それぞれの症状・原因も解説!

軽度認知障害と認知症の違いとは?Medical DOC監修医が軽度認知障害と認知症の違い・原因・症状・予防法などを解説します。気になる症状がある場合は迷わず病院を受診してください。

村上 友太

監修医師
村上 友太(東京予防クリニック)

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医師、医学博士。
2011年福島県立医科大学医学部卒業。2013年福島県立医科大学脳神経外科学入局。星総合病院脳卒中センター長、福島県立医科大学脳神経外科学講座助教、青森新都市病院脳神経外科医長を歴任。2022年より東京予防クリニック院長として内科疾患や脳神経疾患、予防医療を中心に診療している。
脳神経外科専門医、脳卒中専門医、抗加齢医学専門医、健康経営エキスパートアドバイザー。

「軽度認知障害」とは?

軽度認知障害(Mild Cognitive Impairment:MCI)は、加齢相応の物忘れよりは強いものの、認知症ほど日常生活に支障が出ていない状態です。
本人や家族が「最近、物忘れが増えた」「段取りが悪くなった」と気づくことが多い一方で、買い物・料理・金銭管理などは概ね自立して行うことができます。MCIは「認知症の前段階」と説明されることがありますが、必ず認知症に進むわけではなく、改善する人もいる点が重要です。一方で、MCIの背景にアルツハイマー病などの病気がある場合、時間とともに認知症へ進行するリスクが高くなるため、早めの評価と対策が大切です。

「認知症」とは?

認知症は、脳の病気などにより記憶・判断・言葉・注意など複数の認知機能が低下し、日常生活に支障が出ている状態を指します。
単なる病名ではなく、アルツハイマー病、脳血管障害、レビー小体病など、原因となる病気はさまざまです。特徴は、物忘れだけでなく「金銭管理が難しい」「料理の手順が分からない」「道に迷う」「服薬管理ができない」など、生活上の困りごとが明確になることです。多くの場合、認知症は進行性ですが、薬物療法・リハビリ・環境調整・介護サービスの組み合わせで、生活の質を保つことが可能です。

「軽度認知障害」と「認知症」の違いとは?

軽度認知障害(MCI)と認知症の違いは、日常生活への影響(自立できているか)です。
・MCI:検査や本人・家族の実感として認知機能の低下はあるが、生活は概ね自立
・認知症:認知機能低下によって、買い物・服薬・金銭管理・調理・交通機関の利用などで支障が出て見守りや支援が必要
MCIの段階は、原因によっては改善や維持が期待できることがあり、ここでの介入が将来を左右します。反対に「物忘れは歳のせい」と放置し、背景に治療可能な病気(慢性硬膜下血腫・正常圧水頭症・甲状腺機能低下症など)が隠れていると、対応が遅れることがあります。

軽度認知障害の主な原因

認知機能低下症状がある場合には、かかりつけの内科があればそこで相談するか、必要に応じて精神科・心療内科、睡眠外来、脳神経内科、脳神経外科へ受診して相談するのが良いでしょう。

アルツハイマー病などの神経変性疾患

MCIの背景として多いのがアルツハイマー病の初期段階です。特徴は近時記憶(最近の出来事)の低下で、「同じ話を繰り返す」「約束を忘れる」が目立ちます。

脳血管障害(小さな脳梗塞の蓄積など)

高血圧・糖尿病・脂質異常症がある方では、脳の小血管病変などが積み重なり、注意・処理速度・段取り力が落ちることがあります。症状は、できることと、できないことの差が出やすい(まだら)傾向もあります。

治療可能な原因(うつ、睡眠障害、薬、内科疾患など)

うつ状態では集中力・意欲が落ち「認知症みたい」に見えることがあります。
睡眠時無呼吸症候群、甲状腺機能低下、ビタミンB12欠乏、過量の睡眠薬・抗不安薬なども認知機能に影響します。ここは改善できる余地が大きいので、自己判断せず評価を受けるのがおすすめです。

認知症の主な原因

アルツハイマー型認知症

アルツハイマー型認知症は最も頻度が高い原因です。
初期は「食事したこと自体を忘れる」「同じ質問が増える」など、近時記憶障害が中心で、進行とともに見当識(日時・場所)や段取り力が低下します。家族の方は、服薬・金銭・火の管理など、事故につながる部分から支援を始めることが必要になります。

脳血管性認知症

脳血管性認知症は、脳梗塞・脳出血などの後に生じ、身体麻痺や歩行障害など神経症状を伴うことがあります。悪化が階段状に起こる場合もあります。再発予防(血圧・血糖・抗血栓薬など)が進行抑制のために重要です。

レビー小体型認知症

幻視(実際にないものが見える)、パーキンソン症状(ふるえや、体がスムーズに動きにくくなることなど)、睡眠中の異常行動(レム睡眠行動障害)が手がかりになります。薬の副作用が出やすいこともあり、専門的な調整が重要です。幻覚や不穏が強い場合には、自己判断で薬を増減せず必ず主治医へ相談してください。

軽度認知障害の代表的な症状

物忘れ(特に最近の出来事)

「さっき聞いた話を忘れる」「予定を忘れる」「同じ質問が増える」。ただし、メモや工夫で補えることが多く、生活は自立していることが多いです。すぐできる対策としては、予定は1か所(カレンダーやスマホなど)に集約し、物は定位置に置くことなどが良いと思います。本人や家族が不安、仕事や家事のミスが増えた、短期間に悪化した場合には受診することをお勧めします。

段取り力・注意力の低下

料理や家事がうまく回らないことや、同時進行が苦手になったり、ミスが増えたりする症状などが見られます。対策としては、チェックリストを用いた手順の見える化や、マルチタスクは避けて一度に一つの作業を行うこと、睡眠をしっかり確保することなどが挙げられます。突然の混乱や急激な悪化は、せん妄や脳卒中の可能性もあるため早目に受診することが必要です。

言葉・空間認知の軽い障害

言葉が出にくい、道に迷いやすい、運転や駐車が不安になるなどの症状が見られます。車の運転は同乗者を乗せて慎重に行うなどの対策もありますが、症状の程度に応じて運転操作の中止も考慮する必要があります。もし急な失語(会話が成り立たない)、片側の視野障害などの症状が出現した場合には脳卒中を疑って救急病院を受診するようにしてください。

認知症の代表的な症状

記憶障害が生活に影響する

記憶障害が悪化すると、予定や服薬、金銭、火の管理が難しくなり、同じことを何度も繰り返す、食事の重複、物盗られ訴えなどが出る症状が目立つようになります。周りの方は、本人の行動を否定することはせずに、服薬管理、火元対策、貴重品管理などの安全確保に重点をおくようにしてください。

見当識・判断力の低下

見当識の障害(日時や場所が分からない)や、判断力の低下(道に迷う、手続きができない、詐欺に遭いやすい)などの症状も見られます。対策として、お金や契約関係は家族で管理することが必要になります。また、地域包括支援センターに相談することも有用です。

行動・心理症状(BPSD)

行動・心理症状(BPSD)といって、不安、易怒性、抑うつ、幻覚、徘徊、介護拒否などの症状も認知症では問題となります。環境や体調(便秘・痛み・感染)で症状が悪化することもあります。対応策としては、原因探索と環境調整を行うことが必要です。介護者の方が対応に困った際には医療機関や介護サービスで遠慮なく相談してもらいたいと思います。

軽度認知障害の予防法

運動(有酸素運動と筋トレ)

ウォーキングなどの有酸素運動や筋力トレーニングの継続が予防に重要と言われています。WHOも認知機能低下のリスクを低下させるものと身体活動を推奨しています。

食事と生活習慣病管理

食事では塩分・過剰な糖質を控え、たんぱく質と野菜・魚の摂取を意識することが重要です。生活習慣病(高血圧・糖尿病・脂質異常症など)の管理、あるいは生活習慣病の発症予防は、脳血管障害の予防にもつながります。

社会参加と知的活動

社会参加や知的活動を継続することも重要な予防法と言われています。他者との会話、趣味を楽しむこと、学び直し、地域活動などを通して、「孤立しない」ことが大切です。もし、聞こえづらさがあって他者との交流が難しいと感じる場合は耳鼻科を受診して補聴器の使用も検討してください。

認知症の予防法

中年期からのリスク管理

高血圧、糖尿病、肥満、喫煙は認知症の発症に重要なリスク因子と言われています。健康診断で数値の異常を指摘された際には放置せずに近くの内科を受診して相談するようにしましょう。

筋力・歩行の維持

認知機能だけでなく、筋力や歩行の維持を行い転ばないようにすることも生活の自立を守ることにつながります。有酸素運動など、続けられる運動を選ぶのがコツです。

睡眠・うつ・難聴のケア

睡眠障害やうつ、聞こえづらさは認知機能に影響しやすく、早めに対応することで認知機能の悪化を抑えることができる可能性があります。

「軽度認知障害と認知症の違い」についてよくある質問

ここまで軽度認知障害と認知症の違いなどを紹介しました。ここでは「軽度認知障害と認知症の違い」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

軽度認知障害と診断されたら、認知症へ進行するのでしょうか?

村上 友太(むらかみ ゆうた)医師村上 友太(むらかみ ゆうた)医師

いいえ、認知症へ必ず進行するわけではありません。軽度認知障害の中には、生活習慣の改善や原因(睡眠障害、うつ、薬、内科疾患など)の治療で改善するケースもあります。一方で、背景にアルツハイマー病などがある場合は進行リスクが高くなるため、定期フォローと運動・食事・社会参加などの介入を早期に始めることが大切です。進行が疑われる場合や生活に支障が出始めた場合は、もの忘れ外来、脳神経内科や脳神経外科、精神科・心療内科などで検査を行い、治療方針を相談することをお勧めします。

まとめ

軽度認知障害(MCI)と認知症の違いは、ひとことで言うと「生活が自立できているか」です。MCIは軽い認知機能低下があっても日常生活は保たれ、原因によっては改善も期待できます。一方、認知症は認知機能低下が生活に影響し、支援が必要になります。
「年のせい」と決めつけず、短期間で悪化する、道に迷う、服薬や金銭管理が難しいなどのサインがあれば早めに専門診療科(物忘れ外来、脳神経内科、脳神経外科、精神科・心療内科など)を受診して相談してください。MCIの段階で、運動・食事・社会参加、そして睡眠やうつのケアを始めることが、将来の生活を守る一歩になります。

「軽度認知障害と認知症」と関連する病気

「軽度認知障害と認知症」と関連する病気は13個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

脳神経系

精神科の病気

内科の病気

軽度認知障害と認知症には違いがあり、軽度認知障害は治る可能性のある状態です。また、認知症の中にも、甲状腺機能低下症やビタミン欠乏症、正常圧水頭症、慢性硬膜下血腫など、治る病態もあるので、忘れやすさや注意力の低下など気になる症状がある場合には早めに医療機関を受診して検査を受けることをお勧めします。

「軽度認知障害と認知症」と関連する症状

「軽度認知障害と認知症」と関連している、似ている症状は7個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 判断力が落ちた
  • 一度に複数のことができない
  • よく理解できない
  • 性格が変わった
  • 怒りっぽい

一時的なストレスや疲れなどで認知症に似たような症状が出現することもありますが、なかなか症状が改善しない場合には一度医療機関で相談することをお勧めします。

この記事の監修医師