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「急性硬膜下血腫の症状」は進行が早い?5つのサイン・原因・後遺症を医師が解説!

 公開日:2026/03/26
「急性硬膜下血腫の症状」は進行が早い?5つのサイン・原因・後遺症を医師が解説!

急性硬膜下血腫の症状とは?メディカルドック監修医が急性硬膜下血腫の症状・原因・後遺症・入院期間・治療法なども解説します。

村上 友太

監修医師
村上 友太(東京予防クリニック)

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医師、医学博士。
2011年福島県立医科大学医学部卒業。2013年福島県立医科大学脳神経外科学入局。星総合病院脳卒中センター長、福島県立医科大学脳神経外科学講座助教、青森新都市病院脳神経外科医長を歴任。2022年より東京予防クリニック院長として内科疾患や脳神経疾患、予防医療を中心に診療している。
脳神経外科専門医、脳卒中専門医、抗加齢医学専門医、健康経営エキスパートアドバイザー。

「急性硬膜下血腫」とは?

脳は、頭蓋骨という硬い骨に守られていますが、その骨の内側には、脳を覆うように何層かの膜があります。一番外側にある、特に丈夫な膜を「硬膜」と呼びます。
急性硬膜下血腫は、この硬膜と脳の表面との間に出血が起こり、血の塊(血腫)がたまって脳を圧迫する病気です。多くの場合、頭を強くぶつけるなどの外傷(けが)が原因で、脳の表面にある細い血管(橋静脈など)が破れて出血します。出血のスピードが速いため、血腫が急激に大きくなり、脳を強く圧迫することで、非常に危険な状態になることがあります。

急性硬膜下血腫は発症してからどれくらいの時間で症状が現れる?

急性硬膜下血腫は、その名前の通り「急性」に症状が現れるのが特徴です。一般的には、頭をぶつけたりした外傷を受けてから、数分〜数時間以内に症状が出始めることが多いです。場合によっては、数時間から半日程度の「意識がはっきりしている時間(意識清明期)」があることもありますが、その後、急激に悪化することがあります。
これは、脳の表面の血管からの出血が止まらず、どんどん血腫が大きくなって脳を強く圧迫するためです。この脳への圧迫が強くなると、意識がもうろうとしたり、体が麻痺したりと、命に関わる重篤な症状を引き起こします。そのため、頭をぶつけた後に少しでもいつもと違うと感じたら、時間をおかずに医療機関を受診することが非常に重要です。

急性硬膜下血腫の代表的な症状

急性硬膜下血腫の症状は、血腫の大きさや脳の圧迫される程度によって様々ですが、進行が速いため、迅速な対応が必要です。急性硬膜下血腫の最も典型的な症状は、強い頭痛、意識障害、そして体の麻痺です。
急性硬膜下血腫の場合、残念ながらご自身ですぐにできる処置はありません。激しい頭痛や意識障害がある場合は、すぐに救急車を呼んで、速やかに脳神経外科がある病院を受診することが必要です。

激しい頭痛

頭をぶつけた直後から、今まで経験したことのないような激しい頭痛が起こることが多いです。脳神経外科を受診し、緊急のCT検査を受ける必要があります。

意識障害

意識がぼんやりする、呼びかけに反応しない、眠ってばかりいる、混乱した状態になるなど、意識レベルの低下が見られます。これは、血腫が脳を強く圧迫することで、脳の働きが妨げられるために起こります。

片麻痺

体の片側の手足が動きにくくなる、力が入りにくくなる症状です。血腫が、体を動かす司令塔である脳の領域を圧迫することで起こります。

瞳孔不同

左右の瞳孔(ひとみ)の大きさが異なる状態です。これは、脳への圧迫が強くなり、目の動きを制御する神経が障害されるために起こります。

吐き気・嘔吐

脳の圧迫により、頭蓋骨の中の圧力(頭蓋内圧:ずがいないあつ)が高まることで、吐き気や嘔吐が起こることがあります。特に、噴水のように勢いよく吐く「噴水状嘔吐」が見られる場合は、頭蓋内圧が非常に高まっているサインです。

【高齢者】急性硬膜下血腫の代表的な症状の特徴

高齢者も若い方とほとんど同じような症状を示します。
ただし、高齢者の場合、若い方に比べて脳が縮む脳萎縮が進行していることが多く、そのために硬膜と脳の間の隙間が広くなっています。この隙間があるため、出血してもすぐに脳が圧迫されず、症状の現れ方がゆっくりになることがあります。

比較的軽微な頭部外傷でも発症する

若い人であれば何ともないような、少し頭をぶつけた程度でも、血管が破れて出血しやすいことがあります。例えば、軽い転倒や、家具に頭をぶつけただけでも注意が必要です。

症状がゆっくり現れる

意識がぼんやりする、体が麻痺するといった症状が、頭部外傷後、数時間〜半日、あるいはそれ以上経ってからゆっくりと現れることがあります。このため、けがをした直後には「大丈夫」と思っていても、後から症状が出てくることがあるので注意が必要です。
「なんとなく元気がない」「食欲がない」「一日中寝ている」など、普段よりも活動性が低下している場合に、頭の中で出血が起きている可能性も考えられます。異常を感じたら、ためらわずに脳神経外科を受診してください。

急性硬膜下血腫の主な原因

急性硬膜下血腫の主な原因は、頭部の外傷です。
もし頭部外傷の原因に他の病気が隠れている場合(例えば、めまいを起こす病気、心臓の病気による失神など)、その症状も同時に現れます。

転倒・転落

高齢者や子どもに多く見られます。足元の不安定な場所での転倒や、高い場所からの転落によって頭を強く打つことで発症します。転倒による頭部外傷の場合、意識状態や神経症状を慎重に観察し、少しでも異変があれば脳神経外科を速やかに受診してください。特に高齢者の転倒は、見た目以上に頭部に大きな衝撃を受けている可能性があるので注意が必要です。

暴行・スポーツ外傷

殴られるなどの暴行や、ラグビー、サッカー、ボクシングなどのコンタクトスポーツにおける頭部への衝撃も原因となります。頭部外傷以外にも、顔面骨折や脊椎(背骨)の骨折など、他の関連する症状が出ることがあります。なお、スポーツ外傷によって急性硬膜下血腫を発症した際には、競技復帰は難しくなることがあります。

交通事故

自動車やバイク、自転車に乗っている際の事故、あるいは歩行中の事故などで頭部に強い衝撃を受けることで発生します。シートベルトの着用やヘルメットの装着が重要です。
交通事故による頭部外傷は、非常に強い衝撃が加わっていることが多く、緊急性が極めて高いです。症状の有無にかかわらず、すぐに救急車を呼び、脳神経外科のある総合病院を受診してください。頭部への強い衝撃があった場合は、たとえ意識がはっきりしていても、後から症状が悪化する可能性があるので、脳神経外科を受診し、詳細な検査を受けることをお勧めします。特に、意識を失った、記憶がない、けいれんを起こしたなどの場合は、緊急性が高いため、すぐに救急車を呼んでください。

急性硬膜下血腫の後遺症

急性硬膜下血腫は、命に関わる危険な病気であり、たとえ命が助かったとしても、様々な後遺症を残すことがあります。後遺症の程度は、けがをしたときの脳へのダメージの程度や、治療開始までの時間、手術がうまくいったかどうかによって大きく異なります。

高次脳機能障害

記憶力の低下、集中力の低下、感情のコントロールが難しくなる、性格の変化、言葉が出にくい(失語症)など、脳のより高度な機能に障害が残ることがあります。高次脳機能障害は、残念ながら完全に元通りになることは難しい場合が多いです。しかし、適切なリハビリテーションを行うことで、残された機能を最大限に活用し、日常生活を送れるように改善を目指すことができます。退院後も、ご家族や周囲のサポートが非常に重要になります。症状が目に見えにくい場合もあるため、焦らず、専門家と相談しながら社会生活への適応を支援していく必要があります。

運動機能障害

手足の麻痺が残ることがあります。片側の手足に力が入らない、細かい作業ができない、歩行が不安定になるなどの症状が見られます。麻痺の程度によっては、完全に回復するのは難しい場合もありますが、リハビリテーションを継続することで、残された機能を回復させ、日常生活動作の改善を目指します。早期からのリハビリテーションが非常に重要です。理学療法士、作業療法士などの専門のリハビリスタッフと協力し、継続的に取り組むことが回復への鍵となります。

てんかん

脳に傷が残ることで、脳の異常な電気的活動が起こり、てんかん発作(けいれんなど)を繰り返すようになることがあります。てんかんは、薬で発作をコントロールできることが多いのですが、完全に薬なしで生活できるようになるかどうかは個人差があります。長期間の治療が必要となる場合があります。発作が起きた場合は、周囲の人が安全を確保し、適切な対応をとれるよう、てんかんについて理解しておくことが重要です。定期的な診察と服薬を継続し、発作の誘因(睡眠不足、ストレスなど)を避けるように生活を工夫する必要があります。

急性硬膜下血腫の入院期間

軽度の場合

「軽度」とは、血腫が小さく、脳への圧迫が比較的軽く、意識状態も安定しているようなケースを指します。
手術が必要ない場合や、小さな血腫で自然吸収を待つようなケースでは、数日〜1週間程度の入院となることもあります。しかし、症状が安定していることを確認し、後から症状が悪化しないかを慎重に観察する必要があるため、医師の判断によります。

重症の場合

「重症」とは、血腫が大きく、脳への圧迫が強く、意識障害や麻痺などの症状が重いケースを指します。多くの場合、緊急手術が必要です。
重症の場合、手術後の集中治療室(ICU)での管理期間や、全身状態の回復、リハビリテーションの期間も考慮されるため、数週間から数ヶ月、あるいはそれ以上の長期入院となることが多いです。特に、後遺症が残る場合は、回復期リハビリテーション病院への転院が必要となり、入院期間がさらに長くなることもあります。

急性硬膜下血腫の治療法

急性硬膜下血腫は、脳への圧迫を速やかに取り除くことが、患者さんの命を救い、後遺症を最小限に抑えるための最も重要なポイントとなります。診断には、頭部CT検査が必須です。CT検査で血腫の大きさや脳の圧迫の程度を確認し、手術をするかしないかという治療方針を決定します。

手術療法(開頭血腫除去術)

血腫が多い場合には、頭蓋骨の一部を開けて、血腫を直接取り除き、脳への圧迫を解除します。出血源となっている血管を止血することも重要です。
脳神経外科にて全身麻酔下で行われる大手術です。手術後の経過や回復状況によりますが、一般的には数週間から数ヶ月の入院期間を要します。
術後の回復にはリハビリが必要です。早期から積極的なリハビリを行い、運動機能や高次脳機能の改善を目指します。

保存的治療

血腫が非常に小さい場合や、患者さんの全身状態が悪く手術のリスクが高い場合、または手術ができない場合に選択されることがあります。脳神経外科にて厳重に経過を観察し、症状が悪化しないか、血腫が増大しないかを慎重にみていきます。
頭部CTなどの画像検査で定期的に血腫の状態を確認します。脳のむくみ(脳浮腫)を抑える薬を使うこともあります。
入院して厳重な観察が必要です。血腫が小さい場合、症状が安定しており血腫の増大が見られないことを確認できれば、数日〜1週間程度で退院できることもありますが、その後も定期的な外来受診が必要です。

リハビリテーション

急性硬膜下血腫によって出現した症状によりますが、リハビリが必要となることが多くなります。
急性期に行うリハビリは、ベッド上での簡単な運動から始め、体を動かす練習を行います。
急性期は救急病院で治療を行いますが、全身状態が安定した段階で回復期リハビリに移行します。専門のリハビリテーション病院に転院し、理学療法士(PT)による運動機能の回復訓練、作業療法士(OT)による日常生活動作(着替え、食事など)の訓練、言語聴覚士(ST)による言葉や飲み込みの訓練などを集中的に行います。

「急性硬膜下血腫の症状」についてよくある質問

ここまで急性硬膜下血腫を紹介しました。ここでは「急性硬膜下血腫」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。

急性硬膜下血腫の危険性は高いのでしょうか?

村上 友太医師村上 友太(医師)

はい、急性硬膜下血腫は非常に危険性の高い病気です。
脳は頭蓋骨という限られた空間に収まっているため、出血して血腫が大きくなると、すぐに脳を強く圧迫してしまいます。この圧迫により、脳の機能が障害され、意識障害や麻痺といった重篤な症状が現れ、最悪の場合は命に関わることもあります。特に、出血のスピードが速く、血腫が急激に大きくなるタイプの急性硬膜下血腫は、緊急手術が必要となることが多く、治療が遅れると命を救えなかったり、重い後遺症が残ったりする可能性が高まります。頭部外傷の後に少しでも異変を感じたら、すぐに医療機関を受診することが、何よりも大切です。

まとめ

急性硬膜下血腫は、頭を強くぶつけるなどの外傷が原因で、脳を覆う膜の下に出血し、脳を圧迫する非常に危険な病気です。症状は、頭痛、意識障害、手足の麻痺などが特徴で、外傷後すぐに現れることが多いですが、高齢者の場合はゆっくりと症状が出ることもあります。
この病気の治療においては、早期発見と迅速な治療が何よりも重要です。頭をぶつけた後に「いつもと違う」と感じたら、たとえ軽い症状でも、迷わず脳神経外科を受診し、検査を受けるようにしてください。特に、意識がもうろうとする、激しい頭痛が続く、手足が動かないといった症状がある場合は、一刻を争う緊急事態ですので、すぐに救急車を呼ってください。適切な治療と、その後のリハビリテーションによって、回復を目指すことができます。この病気について正しく理解し、万が一の時に冷静に対応できるよう、知っておくことが大切です。

「急性硬膜下血腫」に関連する病気

「急性硬膜下血腫」から医師が考えられる病気は6個ほどあります。
各病気の詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

脳神経外科の病気

大きな頭のけがを負った場合、これらの病気を同時に発症することがあり、集中治療が必要となることがあります。数週間の急性期治療を乗り切るまでも大変ですが、まずはけがを負った時点から数時間以内に早い段階で適切に治療を行うことで救命率は上がり、後遺症を少しでも減らすことに繋がります。

「急性硬膜下血腫」に関連する症状

「急性硬膜下血腫」と関連している、似ている症状は7個ほどあります。
各症状の詳細についてはリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

急性硬膜下血腫のサイン

怪我をした直後から、意識がもうろうとする、頭痛が続く、手足が動かないといった症状がある場合は、一刻を争う緊急事態であるため、すぐに救急車を呼んで病院を受診してください。

この記事の監修医師