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「頭をぶつけた後に頭痛が続く」際の対処法はご存知ですか?医師が解説!

「頭をぶつけた後に頭痛が続く」際の対処法はご存知ですか?医師が解説!

頭をぶつけた後に頭痛が続くとき、身体はどんなサインを発している?Medical DOC監修医が主な原因や考えられる病気・何科へ受診すべきか・対処法などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。

村上 友太

監修医師
村上 友太(東京予防クリニック)

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医師、医学博士。福島県立医科大学医学部卒業。福島県立医科大学脳神経外科学講座助教として基礎・臨床研究、教育、臨床業務に従事した経験がある。現在、東京予防クリニック院長として内科疾患や脳神経疾患、予防医療を中心に診療している。
脳神経外科専門医、脳卒中専門医、抗加齢医学専門医。日本認知症学会、日本内科学会などの各会員。

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「頭をぶつけた後に頭痛が続く」症状で考えられる病気と対処法

壁や何らかの物体、あるいは誰かと頭をコツっとぶつけることがあると思いますが、強くぶつけたり頭から血を流したりすると、頭が痛いですし心配になりますよね。
実は、ぶつけた場所にこぶができたり、傷ができて出血したりすることだけでは、頭蓋骨の中、つまり脳内の損傷を判断することはできません。頭をぶつけた後に頭痛があれば、必ず検査を行う必要はありませんが、意識状態の悪化などの症状がある場合には画像検査を要します。
今回の記事では、頭をぶつけた後で頭痛がある場合に、確認してほしい注意するべきポイントなどについて説明します。

頭をぶつけた後に頭痛が続く症状で考えられる原因と対処法

頭を強く打ち付けた後にそのぶつけた部分が痛いということや、それほど打撲が強くなかった場合でも時間が経ってから頭が痛くなるということがあります。
強くぶつかった場合には、頭部打撲や皮下出血のような頭の表面の傷だけではなく、頭蓋骨骨折や頭蓋内出血という緊急性の高い病気が考えられます。頭部を強く打撲した直後に、意識状態の悪化や吐き気・嘔吐の出現、けいれんなどの出現があると頭蓋内出血などの危険な病気を疑うきっかけになります。頭部打撲直後だけではなく、頭部打撲後1日以内はこのような神経症状が出現する可能性があるため、注意して経過を見てください。頭蓋内出血は緊急治療が必要であるため、すぐに救急車を呼んで脳神経外科のある救急病院を受診しましょう。
これらの病気は年齢を問わず発症しますし、頭蓋内出血で手術が必要なケースは治療開始までの時間が遅くなると致命的になるので注意してください。
意識状態の悪化や吐き気・嘔吐の出現、けいれんなどの出現がなく、打撲した後に頭痛が続く場合には、ぶつけた部分を冷やすと痛みが緩和されるので、まずは冷却しながらしばらく経過を見ましょう。打撲による擦り傷や皮下血腫(たんこぶ)であれば、2−3週間で自然に治るので、痛み止めを使うなどして経過を見ましょう。切り傷であれば縫合する必要があるため、脳神経外科を受診してください。

大人で頭をぶつけた後に頭痛が続く症状で考えられる主な原因と対処法

大人、特に高齢者が転倒などによって頭部打撲をして、その後に頭痛が続いている場合には、慢性硬膜下血腫が疑われます。
慢性硬膜下血腫は、頭をぶつけてから1~2カ月間をかけて、じわじわと頭蓋内に出血が溜まる病気です。転倒や頭部打撲で発症しやすくなると言われており、高齢男性に比較的多く見られます。頭をぶつけてから1ヶ月程度経過した時点で、頭痛や物忘れ、手足の筋力低下・しびれなどが特徴的な症状です。このような症状がある場合には脳神経外科を受診して頭部画像検査を受けるようにしてください。出血量が少ない場合には、薬剤投与などで経過を見ますが、出血量が多い場合や症状が出現する場合には手術治療が必要です。1−2割の方が再発するため治療が長引くこともあります。自分自身で対処することは難しく、転倒や頭部打撲を繰り返さないことが重要です。

子供で頭をぶつけた後に頭痛が続く症状で考えられる主な原因と対処法

子供は体格の割に頭が大きいため、転倒しやすく頭をぶつけやすいという特徴があります。転んだりぶつけたりすることはよくありますし、目を離した時に怪我をすることもあります。1歳未満の乳幼児は特に頭蓋骨も薄くて柔らかいために、ベッドやソファーなどから落ちる程度の軽い衝撃でも頭蓋内出血などの重篤な状態になる可能性があります。年齢を重ねるうちに衝撃への耐久力が備わってきますが、大きな怪我にならないように注意して様子を見ることが重要です。
子供の場合も大人と同様に、強く頭をぶつけた後に意識状態の悪化や、吐き気や嘔吐、けいれんなどがないかどうか確認してください。多くの場合は頭部打撲後1日以内に症状は悪化しますが、特に6時間以内に悪化するケースを多く経験します。そのような場合には、すぐに脳神経外科のある病院に救急車で受診してください。
意識状態は、機嫌が良くて、ミルクや食事量が普段通りであって、元気に遊び、さまざまなものに関心を示しているようないつも通りの様子であれば問題ないでしょう。
打撲した後に頭痛が続く場合には、前述と同様ですが、ぶつけた部分を冷却しながら経過を見ましょう。切り傷があれば縫合する必要があるため、脳神経外科を受診してください。

すぐに病院へ行くべき「頭をぶつけた後に頭痛が続く」に関する症状

ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。

意識が悪い、けいれんする、嘔吐や吐き気が続く症状の場合は、脳神経外科へ

頭を強くぶつけた後に、意識が悪くなったり、けいれんしたり、嘔吐や吐き気が続く場合には、頭蓋内出血(脳出血)の可能性を考える必要があります。典型的には、頭を強くぶつけた直後からそのような症状がある場合に急性硬膜下血腫という病気が、ぶつけた後しばらくは意識があったけれど、数時間後に急激に意識が悪化したという場合に急性硬膜外血腫が疑われます。
このような頭蓋内出血は命に関わる緊急性の高い疾患です。すぐに救急車を呼んで脳神経外科のある救急病院を受診しましょう。
なお、一般的には、強く頭をぶつけて24時間以内にこのような危険な病気が見つかる可能性があります。頭の中の出血なので、頭や目、耳、鼻などから出血しているかどうかという見た目の問題は関係ありません。
なお、頭を強く打っていない場合や、1日以上経過して上記のような症状がない場合には、脳出血を心配しなくて良いケースがほとんどです。

受診・予防の目安となる「頭をぶつけた後に頭痛が続く」ときのセルフチェック法

  • ・頭をぶつけた後に頭痛が続く以外に意識の悪化やけいれん、吐き気・嘔吐がある場合
  • ・頭をぶつけた後に頭痛が長く続いて痛みが悪化する場合
  • ・頭をぶつけた後に頭痛が続く以外に物忘れの出現や、手足の筋力が低下する場合

「頭をぶつけた後に頭痛が続く」症状が特徴的な病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「頭をぶつけた後に頭痛が続く」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

脳震盪(脳震とう)

脳震盪とは、頭部を打撲した際に頭への激しい衝撃が加わることで、頭痛やめまい、ふらつき、筋力低下、集中力の低下、意識消失などの症状が起こる脳機能障害のことです。
体育や部活などのスポーツのプレー中に発症することも多く、体を激しくぶつけ合うことや転倒が多い競技では起こりやすく、柔道やラグビー、サッカーなどは注意が必要です。コンタクトプレーがあって意識が悪い状態が見られた場合には、練習や試合を一旦中止することが重要です。脳震盪を繰り返すと重い障害が残る場合があるので、プレーを続けずに十分な療養期間を儲けることが重要です。プレーの再開には、段階的な復帰プログラムが必要となりますので、まずは脳神経外科を受診してご相談ください。

慢性硬膜下血腫

慢性硬膜下血腫とは、頭部を打撲してから1~2カ月かけて、頭蓋骨の内側で脳の表面を包む膜(硬膜)と脳との間(硬膜下腔)に出血が溜まってしまう病気です。転倒や頭をぶつけることで発症しやすくなると言われており、高齢男性に比較的多く見られます。しかし、軽い怪我や頭をぶつけていない方にも発症する場合もあり、原因がいまだにはっきり判明していません。出血量が多いと命に関わることになるため注意すべき病気です。
症状の特徴は、頭をぶつけてから1ヶ月程度経過した時点で、頭痛や物忘れ、手足の筋力低下・痺れなどが出現することです。このような症状がある場合には脳神経外科を受診して頭部画像検査を受けるようにしてください。出血量が少ない場合には、薬剤投与などで経過を見ますが、出血量が多い場合や症状が出現する場合には手術治療が必要です。1−2割の方が再発するため治療が長引くこともあります。自分自身で対処することは難しく、転倒や頭部打撲を繰り返さないことが重要です。

「頭をぶつけた後に頭痛が続く」ときの正しい対処法は?

どのような頭のぶつけた方だったかによって頭痛の程度が異なると思います。
何か固いものに勢いよく強くぶつけた場合には、まずは意識がしっかりしているかどうか、出血しているかなどを確認しましょう。意識が遠のいたり、出血が続いていたり、けいれんしたり、吐き気がひどい場合には、すぐに脳神経外科のある救急病院を受診してください。
そこまでの具合の悪さはないもののぶつけた部位が痛いという場合には、まずは冷やすと痛みが少しずつ緩和されると思います。冷やしたタオルや、保冷剤を包んだタオルなどを患部に当ててみましょう。この場合も頭をぶつけてから1日以内は症状の変化を確認して、悪化するようであれば、すぐに脳神経外科のある救急病院を受診してください。
頭を強くぶつけておらず、吐き気などもないけれどその後も頭痛が続く場合には、まずは市販の痛み止めを使ってみましょう。ロキソニンSやイブなどの市販の鎮痛薬も良いでしょう。ぶつけた直後は、患部は冷やすと痛みが緩和されるので数日以内は冷却が効果的です。数日経っている状態であれば、頭部の痛みがあることで首周りの筋肉などが緊張して、首や肩がこってしまっていることもあります。このような場合は、首や肩のこりによる緊張型頭痛も併発していることも考えられるため、首まわりを温めることが効果的であると思います。
痛み止めを使っても改善しない場合には、脳神経外科を受診してください。症状に応じて頭部画像検査の確認や、各種痛み止めや筋肉をほぐす薬の処方を受けることになります。
頭をぶつけた後、1ヶ月程度たった時点で頭痛がひどい場合には、慢性硬膜下血腫の可能性もあります。忘れやすさや手足の動きの悪さなどがあれば発症している可能性も高いため、脳神経内科や脳神経外科を受診して頭部画像検査を受けましょう。

「頭をぶつけた後に頭痛が続く」症状についてよくある質問

ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「頭をぶつけた後に頭痛が続く」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

頭をぶつけた後に頭痛が続くときは何科に行けばいいですか?

村上 友太(むらかみ ゆうた)医師村上 友太(むらかみ ゆうた)医師

脳神経外科を受診すると良いでしょう。

頭部を打ってから頭痛が続くのは危険な状態ですか?

村上 友太(むらかみ ゆうた)医師村上 友太(むらかみ ゆうた)医師

頭痛の有無だけでは危険度は判断できません。意識状態の悪化や吐き気、けいれんなどのいずれかが見られる場合には、注意すべき頭痛だと思います。

頭をぶつけた後に頭痛が続くのですがどれくらい続きますか?

村上 友太(むらかみ ゆうた)医師村上 友太(むらかみ ゆうた)医師

数日で収まることが多いと思います。ぶつけて腫れている場所があって触ると痛いという症状は腫れが引いてくる3−4週間後くらいまで続くこともあります。

大人が頭をぶつけてから眠気が強いのは後遺症の危険がありますか?

村上 友太(むらかみ ゆうた)医師村上 友太(むらかみ ゆうた)医師

頭をぶつけた後に眠気が強いという状態が、意識が遠のく=意識状態の悪化のことを意味するのであれば、すぐに救急病院を受診するべき症状といえます。頭蓋内出血(脳出血)を発症すると、後遺症がのこる可能性はあります。

まとめ 頭をぶつけた後に頭痛が続くときは意識状態や嘔気などの神経症状の変化に注意

頭部打撲は程度によって危険な状態になる可能性があります。頭部打撲直後に意識状態の悪化など危険な神経症状の出現があった場合には、ためらわずに救急車を呼んで救急病院へ受診してください。
上記のような重症の頭部外傷ではなく、頭をぶつけた後に頭痛が続く場合には、ぶつけた部分を冷やすなどして痛みの緩和に努めましょう。頭部打撲から1ヶ月程度の時点でも頭痛がある場合には、慢性硬膜下血腫というケガをした時点から時間が経過してから見つかる病気もあるため、痛みが続く場合には脳神経外科で相談することも考慮しましょう。

「頭をぶつけた後に頭痛が続く」症状で考えられる病気

「頭をぶつけた後に頭痛が続く」から医師が考えられる病気は9個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

脳神経外科の病気

頭を強く打っていない場合や、1日以上経過して普段と同じように過ごせる状態であれば、頭をぶつけたことによる大きな病気を心配しなくて良いケースがほとんどです。

「頭をぶつけた後に頭痛が続く」に似ている症状・関連する症状

「頭をぶつけた後に頭痛が続く」と関連している、似ている症状は8個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

「頭をぶつけた後に頭痛が続く」症状以外にこれらの症状が見られた際も、「急性硬膜下血腫」「急性硬膜外血腫」「頭蓋骨骨折」「脳震盪」「脳挫傷」「慢性硬膜下血腫」「緊張型頭痛」などの疾患が疑われます。特に、意識状態の悪化やけいれん、嘔気・嘔吐がある場合は、すぐに救急治療が必要な状態となりかねないので、速やかに医療機関を受診しましょう。

この記事の監修医師