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「レビー小体型認知症の余命」はどれくらい?初期症状や原因も医師が徹底解説!

 公開日:2024/11/12
「レビー小体型認知症の余命」はどれくらい?初期症状や原因も医師が徹底解説!

レビー小体型認知症の余命とは?Medical DOC監修医がレビー小体型認知症の症状・初期症状・原因・なりやすい人の特徴・治療法などを解説します。気になる症状がある場合は迷わず病院を受診してください。

村上 友太

監修医師
村上 友太(東京予防クリニック)

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医師、医学博士。福島県立医科大学医学部卒業。福島県立医科大学脳神経外科学講座助教として基礎・臨床研究、教育、臨床業務に従事した経験がある。現在、東京予防クリニック院長として内科疾患や脳神経疾患、予防医療を中心に診療している。
脳神経外科専門医、脳卒中専門医、抗加齢医学専門医。日本認知症学会、日本内科学会などの各会員。

「レビー小体型認知症」とは?

レビー小体型認知症とは、アルツハイマー型認知症、血管型認知症に次いで患者数の多い認知症です。
レビー小体型認知症は高齢者に多くみられますが、アルツハイマー型認知症と比べて、物忘れなどの記憶障害は軽度であると言われています。パーキンソン症状、幻視、認知機能の変動、レム睡眠行動異常の症状などが特徴的な病気として知られています。今回は症状や原因、治療法など幅広く解説していきます。

レビー小体型認知症の余命・生存率

レビー小体型認知症と診断された後の余命は3〜7年前後であると言われており、アルツハイマー型認知症など他の認知症疾患と比べて予後が悪いといわれています。

レビー小体型認知症の代表的な症状

レビー小体型認知症の主な症状は注意力や遂行機能の低下とその症状の変動、繰り返し出現する具体的な幻視、レム睡眠行動異常、パーキンソニズム、起立性低血圧や便秘などの自律神経障害などです。またアルツハイマー型認知症、パーキンソン病、多系統萎縮症などその他の神経変性疾患との合併も多く、記憶力の低下が目立つ場合やパーキンソニズムが目立つ場合があります。

認知機能障害

レビー小体型認知症の初期には記憶力の低下はあまりめだちませんが、注意力や判断力、理解力などが低下する傾向があります。複数のことを並行して進めることや、計画的に物事を進めていくことが難しくなります。また、道に迷いやすくなることもありますが、これらの症状が時間や日によって大きく変動することも特徴です。

幻視

幻視とは実際に存在しない人や物が見えてしまう症状です。レビー小体型認知症では人や虫、小動物などがはっきりと見えていることが多く、具体的に説明することもできます。

レム睡眠行動異常

レム睡眠行動異常は、睡眠障害の一つですが、認知機能の低下よりも早期に見られることがあります。
睡眠にはノンレム睡眠とレム睡眠があります。レム(REM:Rapid Eye Movement)とは、睡眠中の眼球運動に注目して睡眠の深さを分類したものです。ノンレム睡眠は脳が休んでいる状態のことを言い、レム睡眠では体が休んでいるが脳は活動している状態のことを言いますが、夢はこのレム睡眠中にみています。
通常、夢を見ている間には声を出したり、手足を動かしたりしませんが、レム睡眠行動異常症があると夢に合わせて大声を発したり、手足を動かしたりすることがあります。そのため寝相が悪くなったり、睡眠中にけがをしたりすることがあります。

パーキンソニズム

パーキンソニズムとはゆっくりとした動作になる、四肢・体幹の筋肉が固くなる、手足がふるえる、体のバランスが取りづらくなるというパーキンソン病で見られる症状のことです。レビー小体型認知症が進行するとよく見られる症状ですが、初期の時点では、このパーキンソニズムは目立たないこともあります。

レビー小体型認知症の前兆となる初期症状

自律神経症状

自律神経には交感神経と副交感神経があり無意識の状態で体のさまざまな機能が調節されています。この自律神経に支障をきたすと、便秘や立ちくらみ、めまいなどの症状が現れます。特に便秘については、認知機能が低下するよりも早期にみられることが多いと言われています。

幻視

実際に存在しない人や虫、小動物などがはっきりと見えてしまう幻視という症状は、認知機能障害が進行する前から出現することがあります。本人は幻視について自覚しており、この幻視があることを周りの人に伝えずに過ごしていることもあります。

レム行動睡眠異常

睡眠障害の一つであるレム睡眠行動異常が、認知機能の低下よりも早期に見られることがあります。寝相が悪かったり、ベッド周りのものに手足をぶつけて怪我をしたりするようなエピソードがある場合には注意が必要です。

ニオイがわかりにくい

レビー小体型認知症では初期の段階から嗅覚障害がみられることもあります。料理の味が少し異なるとか、コーヒーや香水などの香りが周囲の人ほど気にならないなど、これまでと何か違いがある場合には注意してみてください。

レビー小体型認知症の主な原因、なりやすい人の特徴

レビー小体型認知症は、α-シニクレインとよばれるタンパク質が脳の細胞に異常に溜まってしまい、神経細胞が失われることで発症するといわれています。
現時点でレビー小体型認知症ではα-シニクレインが蓄積するメカニズムは判明していませんが、年齢(55歳以上)や頭部外傷、慢性的なストレス、うつ病、遺伝などさまざまな要因が関与すると考えられています。
また、レビー小体型認知症に限った話ではありませんが、一般的な認知症の発症リスクを高めるような生活習慣も改善させる必要があります。
いわゆる生活習慣病である高血圧や脂質異常症、糖尿病、肥満などは、脳の病気をはじめさまざまな病気の発症リスクになります。認知症疾患についても発症リスクを高めることが知られています。野菜や魚を中心に食材の種類も豊富にするようにしてバランスの良い食事を摂っていくのがおすすめです。
運動不足は肥満になりやすい他にも筋肉量の低下につながります。筋肉量の低下は認知症の発症リスクを高める要素になりますし、継続的な運動習慣は脳の刺激となって認知症になりにくくなるといわれています。適度な運動も積極的に行うようにしましょう。
また、家族や友人をはじめ、社会的な交流を続けることが認知症の予防に重要と言われています。孤独で人と会話する機会が減少すると脳の活性化する機会が減り、認知症が一気に進む危険性があります。人との交流、趣味を通じた活動などを継続することが重要です。

レビー小体型認知症の治療法

薬物療法

認知機能低下に対しては、ドネペジルやリバスチグミンが使用されます。投薬による効果は限定的であって主に進行抑制が目的となります。
幻視や妄想に対しては、クエチアピンやオランザピン、抑肝散が使用されます。ただし、興奮症状は抑えられる一方で、活動意欲の低下や、転倒リスクが高くなるため注意が必要です。
パーキンソニズムに対してはドパミン製剤が有効です。
レム睡眠行動異常にはクロナゼパムが有効です。比較的少量でも有効であることが多いですが、傾眠やふらつき、倦怠感などの副作用があり、過量での使用に注意が必要です。また、睡眠中のけがを避けるために、布団で寝たり、入眠の際には周囲に物がないようにするとよいでしょう。

非薬物療法

幻覚や妄想に対して、介助者がすぐに否定をせずに理解を示すことは重要です。また、室内が暗いなど環境に影響されることもあるため、室内の明るさを統一して影をつくらないといった工夫もすると良いでしょう。
パーキンソニズムには、運動療法が有効です。ストレッチやバランス訓練などを行い、運動機能の維持や転倒予防を目指します。
積極的にリハビリテーションに取り組むとよいでしょう。
睡眠障害がある場合には、規則的な生活リズムをつくることや、就寝前にリラックスするための睡眠習慣を取り入れることが必要になります。
栄養面の問題もあります。体の動きが悪くなったり、自律神経症状で便秘などの症状があるために食事を摂りにくくなることもあります。食事内容や食形態の工夫によってバランスの良い栄養摂取が維持できるようにしましょう。

「レビー小体型認知症の余命」についてよくある質問

ここまでレビー小体型認知症の余命などを紹介しました。ここでは「レビー小体型認知症の余命」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

レビー小体型認知症の末期症状について教えてください。

村上 友太(むらかみ ゆうた)医師村上 友太(むらかみ ゆうた)医師

幻視の症状が繰り返し起こるようになり、本人は不安が増える可能性があります。また、パーキンソニズムの進行によって体の動かしにくさが目立ち、日常生活動作に支障がでるという問題が出現します。自律神経障害のためにめまいや立ちくらみなどの症状も悪化要因です。認知機能低下の症状も進行し、最終的には寝たきりになる方もいらっしゃいます。

レビー小体型認知症の進行速度は早いのでしょうか?

村上 友太(むらかみ ゆうた)医師村上 友太(むらかみ ゆうた)医師

レビー小体型認知症の症状が出現してからの平均寿命は5年前後とする報告もありますが、個人差のあるところです。症状の悪化スピードが早まったときは、別の病気が併存している可能性もあるため、受診して相談することをお勧めします。

編集部まとめ

レビー小体型認知症は原因をはじめ不明点も多く、アルツハイマー型認知症などその他の疾患とも合併し診断が難しい場合も少なくありません。発症後の治療や予防法も確立されていません。現時点では、一般的な認知症予防策を行うのが現実的と考えます。
この病気が疑わしい場合には、早めに脳神経内科や脳神経外科、認知症外来などへの受診をお勧めします。

「レビー小体型認知症」と関連する病気

「レビー小体型認知症」と関連する病気は9個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

内科の病気

脳神経科の病気

レビー小体型認知症は他の病気に合併している可能性もあり診断が難しい病気の一つです。気になる症状がある場合には早めに医療機関で相談してください。

「レビー小体型認知症」と関連する症状

「レビー小体型認知症」と関連している、似ている症状は9個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

睡眠障害や嗅覚障害、便秘症状などは早期から出現するkともあるので、症状がある場合には一度医療機関への受診をお勧めします。

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