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「パーキンソン病になりやすい人の性格」はご存知ですか?初期症状も医師が解説!

 公開日:2024/09/26
「パーキンソン病になりやすい人の性格」はご存知ですか?初期症状も医師が解説!

パーキンソン病になりやすい性格とは?Medical DOC監修医がパーキンソン病になりやすい人の性格・生活習慣・初期症状・原因・予防法などを解説します。

村上 友太

監修医師
村上 友太(東京予防クリニック)

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医師、医学博士。福島県立医科大学医学部卒業。福島県立医科大学脳神経外科学講座助教として基礎・臨床研究、教育、臨床業務に従事した経験がある。現在、東京予防クリニック院長として内科疾患や脳神経疾患、予防医療を中心に診療している。
脳神経外科専門医、脳卒中専門医、抗加齢医学専門医。日本認知症学会、日本内科学会などの各会員。

「パーキンソン病」とは?

パーキンソン病とは、安静時の手の震えや動作の緩慢さ、ぎこちなさを代表的な症状とする病気です。有病率は10万人あたり100人~300人であり、年を重ねるごとに発症しやすくなります。40歳未満での発症は珍しいのですが、65歳以上では1年間で1000人に1.6人が発症し、65歳以上全体で100人に1人程度が発症者となります。
パーキンソン病は神経変性疾患の中では有病率の高い病気であり、これまで様々な研究がなされています。症状を抑える治療法については薬物治療からデバイス療法まで様々なものがあります。
ここではパーキンソン病についての過去の報告をふまえて、パーキンソン病はどのような人になりやすいかなどをご説明いたします。

パーキンソン病になりやすい人の性格

これまでの報告では、便秘や気分障害、頭部外傷の既往、殺虫剤への暴露、農村生活、農業への従事、井戸水の飲用、降圧薬(β-blocker)の内服がパーキンソン病の発症リスクを増加させるといわれています。一方で、喫煙やコーヒー摂取、アルコール摂取、高血圧、降圧薬(Ca blocker)の使用、鎮痛薬(NSAIDs)の使用などがパーキンソン病の発症リスクを低下させるといわれています。またパーキンソン病に罹患すると、不安が強くなったり、抑うつ傾向になったりします。
これらを踏まえてパーキンソン病になりやすい人の性格について説明します。

繊細な性格

不安になりやすく、落ち込みやすい方はパーキンソン病を発症しやすい可能性があります。また、極度に虫を気にしてしまい、室内で殺虫剤を頻回に使用する場合も発症しやすくなる可能性があります。

生真面目な性格

飲酒や喫煙をせず、手を抜くことが下手でストレスを溜めやすい方はパーキンソン病を発症しやすい可能性があります。一方で、飲酒や喫煙を楽しみ、やや自堕落な性格で生活習慣病などにも罹患している方はパーキンソン病になりにくい可能性があります。

パーキンソン病になりやすい人の生活習慣

田舎での生活

農薬の関与も指摘されていますが、井戸水の飲用や農業への従事、農村生活はパーキンソン病の発症リスクを高めると報告されており、農家の多い田舎で生活するとパーキンソン病になりやすくなる可能性があります。

コーヒー(カフェイン)摂取

コーヒーやカフェインの摂取はパーキンソン病の発症率を下げるという報告は多数あり、普段からコーヒーを飲む習慣はパーキンソン病の発病しにくくする可能性があります。

喫煙・飲酒

喫煙や過度な飲酒は動脈硬化や癌などの様々なリスク因子となり、健康の維持には禁煙や節酒が望ましいとされていますが、パーキンソン病に関しては予防的に働くと報告されています。
一方で、パーキンソン病の素因がある人は発症以前からドーパミンの分泌が低下し、幸福感を感じる際に関与する神経回路(報酬系)が活発に働きにくいため、そもそも喫煙などをあまり好まないという可能性も考えられています。

パーキンソン病の前兆となる初期症状

パーキンソン病は安静時の振戦や動作の緩慢さが代表的な症状ですが、それらの症状が出る前から、REM睡眠行動障害や便秘症、嗅覚障害などがみられることが多いです。

>REM睡眠行動障害

REM睡眠行動異常とは夢を見ている時に、夢に合わせて実際に声を出したり、体が大きく動いてしまったりする症状です。REMとは急速眼球運動(Rapid Eye Movement)のことで、眠りが浅く、夢を見るなど脳が活動している時にみられる所見であり、睡眠の状態はREMがみられるREM睡眠と、REMがみられないNon-REM睡眠に分類されます。正常な方ではREM睡眠では脳からの信号が体に伝わらないように抑制され、いわゆる“金縛り”の状態となっていますが、パーキンソン病では抑制がされずに夢に合わせて声が出たり、体が動いたりします。
ベッド周囲に物を置かないなどで怪我の予防はできますが、薬で症状の改善が期待できますので、このような症状がある場合には脳神経内科や睡眠外来を受診してください。

便秘

便秘はパーキンソン病の初期症状として代表的な症状の一つで、動きの異常が出現する5年以上前から出現するといわれています。便秘は食物繊維の少ない食事や脱水、運動不足など、様々な原因でみられますが、生活習慣を改善しても続くような頑固な便秘がある場合にはパーキンソン病になる可能性があります。

嗅覚障害

便秘やREM睡眠行動異常に比べると頻度は下がりますが、パーキンソン病では運動症状の出現する数年前に嗅覚が低下することがあります。嗅覚の低下は日常生活中では気づかないことも多く、風邪などでもみられる症状ですが、改善しない嗅覚障害がある場合にはパーキンソン病になる可能性があります。

パーキンソン病の主な原因

パーキンソン病の病態に関しては腸管から脳に順に変性が進んでいくとしたBraak仮説、腸管からに加え、鼻腔からも神経変性が進むとしたDoal-hit仮説、遺伝的要因や環境要因が相互に作用して発症するとしたmultiple-hit仮説など様々な仮説が立てられていますが、まだわかっていないことが多く、パーキンソン病の原因は不明です。
遺伝的な要因を含めて関与しうると想定されている要因について説明します。

遺伝的要因

パーキンソン病はSNCA遺伝子、LRRK2遺伝子、RPKN遺伝子、PINK1遺伝子、DJ-1遺伝子などに異常がある場合に発症しやすくなります。遺伝的な関与があるパーキンソン病は全体の10%未満と多くはないですが、50歳未満とより若い年齢で発症します。

環境要因

これまでの観察研究により、便秘や気分障害、頭部外傷の既往、殺虫剤への暴露、農村生活、農業への従事、井戸水の飲用、降圧薬(β-blocker)の内服がパーキンソン病の発症リスクを増加させることが報告されています。まだどのような形で発症に関与しているかは判明していませんが、殺虫剤や農薬などの薬物の関与などが想定されています。

パーキンソン病の原因となる可能性の高い食べもの

パーキンソン病の正確な病因・病態は十分に解明されておらず、発症の要因となる食事がどのようなものかはわかっておりません。観察研究などから得られた現時点で悪影響が予想される食べ物についてご紹介いたします。

乳製品

アイスクリーム、チーズ、ヨーグルトなどの乳製品はパーキンソン病の発症や進行に関連があると言われており、特に低脂肪乳製品で悪影響があることが報告されています。尿酸値の関連や乳糖不耐症との関連、インスリン抵抗性などとの関連が考えられていますが、メカニズムはまだわかっておりません。

揚げ物

油は空気に触れたり、加熱したり、光に当たることで酸化し、過酸化脂質となります。過酸化脂質は唐揚げや天ぷらなどの揚げ物は活性酸素の増加に関与しているといわれ、パーキンソン病の進行を早める可能性があります。天ぷらや唐揚げなどの揚げ物は過酸化脂質を多く含みやすく、注意が必要です。

缶詰の野菜・果物

缶詰の野菜や果物の摂取はパーキンソン病の進行を早めるとの報告があります。缶の内側のコーティングとして使用されるビスフェノールAやアルミニウムが関連しているのではと想定されています。

パーキンソン病を予防する可能性の高い食べ物

パーキンソン病の正確な病因・病態は十分に解明されておらず、現時点では確立した予防法などはありません。観察研究などから予防効果のあるとされる食べ物は報告されており、そちらをご紹介いたします。

コーヒー

コーヒーはメタアナリシスでもパーキンソン病の発症や進行を抑える効果が確認されており、最も注目されている食品です。カフェインの抗酸化作用などが関与していると考えられていますが、ポリフェノールやビタミンA・C・Eなど抗酸化作用のあるその他の栄養素では有効性が証明されておらず、メカニズムはわかっておりません。

地中海食・MIND食

地中海食は果物、野菜、豆類、シリアル、ナッツ、魚、一価不飽和脂肪酸を多く含み、アルコール摂取は適度で、乳製品と赤身の肉の摂取量が少ない食事を指し、それに加えて葉物野菜やベリーの摂取を推奨したものをMIND食といいます。動脈硬化の予防にも有効で、健康的な食事として知られています。いくつかの研究からパーキンソン病においても発症や進行を予防する効果があると考えられています。

パーキンソン病の予防法

カフェイン入りのコーヒーの摂取

カフェイン入りのコーヒーの摂取は特に男性において予防効果があるといわれています。カフェイン入りのコーヒーを1日2杯以上飲む男性はパーキンソン病の発症リスクが50%弱低下したとの報告もあり、積極的にコーヒーを飲用することで発症を予防したり、遅らせたりできる可能性があります。

食事療法

地中海食やMIND食などの食事療法はパーキンソン病の発症や進行を予防できる可能性があります。これらの食事は動脈硬化などの予防にも有効で、心筋梗塞や脳梗塞の予防にも有効とされています。肉食や乳製品を控え、野菜や魚、ナッツ類などを多く摂取する食事を心がけましょう。

生活習慣病の薬物治療

高血圧の治療薬であるACE阻害薬(レニン-アンギオテンシン系阻害薬)や糖尿病の治療薬であるGLP-1受容体作動薬、高コレステロール血症の治療薬であるスタチンにパーキンソン病の予防効果があるのではと考えられています。生活習慣病にならないような生活習慣(バランスの取れた食事や適度な運動)が望ましいですが、生活習慣病になった場合には適切に治療を受けることも重要です。

喫煙

喫煙している人は喫煙していない人に比べてパーキンソン病の発症リスクが低いとの複数の報告があり、喫煙とパーキンソン病の間には強い関連があると想定されています。ニコチンによる神経保護作用が想定される一方で、パーキンソン病では発症前からドーパミンが大幅に減少するため、喫煙に伴う快楽物質の分泌が少なく、パーキンソン病のリスクのある人は喫煙を好まないからではないかとの検討もされています。
喫煙は舌癌や肺癌などの悪性腫瘍、生活習慣病にも関与し、様々な悪影響があることが知られており、パーキンソン病の発症に予防効果がある可能性はありますが、推奨はされません。

「パーキンソン病になりやすい性」についてよくある質問

ここまでパーキンソン病になりやすい性格などを紹介しました。ここでは「パーキンソン病になりやすい性格」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

ストレスが原因でパーキンソン病を発症することはありますか?

村上 友太(むらかみ ゆうた)医師村上 友太(むらかみ ゆうた)医師

パーキンソン病の症状の一つとしてうつ病などの精神症状があります。心理社会的要因やうつ病などの疾患がパーキンソン病の発症リスクになるかはわかっていませんが、うつ病などの精神症状とパーキンソン病との関連は指摘されています。

編集部まとめ

パーキンソン病は加齢とともに増加する病気であり、神経変性疾患の中では頻度の多い病気です。孤発例も多く、誰にでも発症する可能性があります。進行を抑える治療や予防法は確立していませんが、薬物治療により症状の改善が期待できる病気ですので、健康的な生活で予防に努めるとともに、パーキンソン病を疑う症状が現れた場合には脳神経内科に受診するようにしましょう。

「パーキンソン病」と関連する病気

「パーキンソン病になりやすい人」と関連する病気は8個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

脳神経系内科の病気

  • 進行性核上性麻痺
  • 多系統萎縮症
  • 脳血管性パーキンソニズム
  • 薬剤性パーキンソニズム
  • レビー小体型認知症

パーキンソン病は、薬物治療・非薬物療法により症状の改善が期待できるため早めから医療機関での相談を行うことをお勧めします。また、普段から健康的な生活で予防に努めていきましょう。

「パーキンソン病」と関連する症状

「パーキンソン病」と関連している、似ている症状は7個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 動作が遅くなる
  • 細かい動作がしづらくなる
  • 安静時に手が震える
  • 歩行時に足が出にくい、手の振りが小さい
  • 首や腰が曲がる
  • 転びやすくなる
  • 寝相が悪い

これらの症状が見られる場合には、早めの医療機関への受診をお勧めします。

この記事の監修医師

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