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「脳出血の主な5つの後遺症」はご存知ですか?リハビリについても医師が解説!

 公開日:2024/01/31
「脳出血の主な5つの後遺症」はご存知ですか?リハビリについても医師が解説!

脳出血の後遺症とは?Medical DOC監修医が脳出血の後遺症・リハビリなども解説します。

村上 友太

監修医師
村上 友太(東京予防クリニック)

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医師、医学博士。福島県立医科大学医学部卒業。福島県立医科大学脳神経外科学講座助教として基礎・臨床研究、教育、臨床業務に従事した経験がある。現在、東京予防クリニック院長として内科疾患や脳神経疾患、予防医療を中心に診療している。
脳神経外科専門医、脳卒中専門医、抗加齢医学専門医。日本認知症学会、日本内科学会などの各会員。

「脳出血」とは?

脳出血とは、脳の血管が破れて出血してしまう病気です。出血によって脳組織にダメージが加わった結果、その脳組織の有する脳機能が低下して後遺症を引き起こします。後遺症の内容はさまざまであり、出血した場所や出血量によって重症度も変わります。
今回は代表的な脳出血の後遺症の症状とそのリハビリ方法について解説します。

脳出血の後遺症

出血した場所によってダメージを受ける脳組織の領域が異なることで、後遺症の症状も変化します。自己流では効果のないことがあるので、入院中に正しいリハビリ方法を習得するようにしましょう。後遺症はリハビリによって軽減しますが、基本的には完全に元通りのレベルまで改善することは難しいことがほとんどです。いずれの症状も担当医に相談してしましょう。代表的な症状を紹介します。

顔や手足の運動麻痺・しびれ

運動神経や感覚神経が脳出血のためにダメージを受けると、筋力低下やしびれ・感覚の鈍さなどの症状が現れます。手足の力が入らないと歩行が難しくなり、筋力の程度によって杖や車椅子、足の装具などを使用して移動しなければならなくなります。顔の動きが悪いと顔が曲がってしまうという見た目の問題だけではなく、しゃべりづらさや飲み込みづらさ、などの症状も出現します。感覚が鈍くなると、温度や痛みの感じ方がおかしくなったり、自分の腕や足の位置感覚が悪くなることから歩行が難しくなったり、体のバランスをとりづらくなったりします。

会話が成立しない

脳内で言語を司る領域や神経線維があり、その部分が脳出血でダメージを受けると、うまくコミュニケーションが取れなくなってしまいます。話す、聞く、読む、書くなどの言語機能が低下して、失語症といわれる状態となります。
失語症は細かく分類されるのですが、代表的な失語について紹介します。

  • ・運動性失語:話の内容は理解しているが、うまく話すことができない。
  • ・感覚性失語:流暢に話すことはできるが、話の内容を理解できていない。
  • ・全失語:言葉を話すこと、相手の話の理解、読み書きなどの全てができない。
  • ・健忘失語:流暢に話すことも、話の内容の理解も可能だが、ものや人の名前が出てこない。自分の伝えたい内容を話すには時間がかかる。
  • ・伝導失語:流暢に話すことも、話の内容の理解も可能だが、単語の一部を間違って発音してしまう。相手の言った内容を繰り返す(復唱する)ことが苦手。

リハビリを続けることで徐々に改善する可能性があるので、じっくりと続けましょう。

認知症・高次脳機能障害

脳出血によって記憶に関する領域にダメージが加わることで認知症の症状が出現します。これは認知症の中でも血管性認知症と言われるもので、認知症全体の20%程度を占めると言われています。脳領域の部位によっては高次脳機能障害といって、注意力が低下したり、物事を順序立てて計画して実行するという能力が低下したりするなどという症状も出現します。

意識障害

脳幹という意識を司る領域に脳出血でダメージを受ける、あるいは、脳幹でなくても脳内に大量出血をきたすなどの場合には意識状態が悪いままで過ごすことになります。長期間にわたって経過を見ないとどこまで回復できるかは何ともいえません。寝たきりの状態が続き、目を開けるだけ、あるいは簡単な単語や文を言うだけといった重篤なレベルの後遺症となるケースもあります。意識障害が続いている場合には、介護を必要とする状態で過ごすこととなります。

けいれん

脳出血後にてんかんが一定の確率で起こることが知られています。
てんかんとは、脳内での電気的な異常活動が繰り返し起こる病気です。てんかんには脳出血などの脳の病気が原因で生じるタイプと、原因が特定できないタイプとの2つのタイプがあります。手足がガクガクとけいれんしたり、体が動かなくなったり、意識を失ったり、といったさまざまな症状が現れることがあります。
基本的には薬物療法を行いますが、適切な治療を行うには専門的な診断が必要となります。睡眠不足などのストレスや薬の飲み忘れによって発作は起きやすくなるので、それらは避けるようにしてください。症状が落ち着いていれば、てんかんの治療(薬の服用)を終えることもありますが、慎重な判断が必要であるといわれています。

脳出血の後遺症を軽減するリハビリ

脳出血の後遺症に対してリハビリを行うことがその症状の軽減につながります。担当の診療科はリハビリ科になります。
リハビリは、症状が軽い場合には短期間で改善しますが、症状が重い場合には長期間にわたって進めていく必要があります。入院中には定期的にリハビリ治療を受けられますが、退院後には自分で行う必要もあるため、効果的なリハビリ方法や日常生活での体の動かし方などを身につけることも重要です。

理学療法(PT)

理学療法では、起き上がったり、座ったり、立ったり、歩いたりするような基本的な動作に必要な体の動きや筋力を評価し、この基本的な動作がうまくできるように訓練します。
装具などを用いた歩行訓練や、階段の上り下りやトイレ、入浴などの動作の練習を行います。自転車などを用いて心肺機能を高める訓練を行うこともあります。

作業療法(OT)

作業療法では、不自由になった手や腕の細かい動きや機能を評価し、食事やトイレ、着替え、歯磨き、字を書くことなどの日常生活動作の訓練を行います。細かい手の動きを練習する一環で、絵画や編み物などの創作活動を行ないながら訓練します。
また、注意障害や記憶障害などの高次脳機能障害がある場合には、日常生活での注意の向け方や、記憶を留めておく方法、メモやスケジュール表などを活用する訓練などを行うことがあります。

言語聴覚療法(ST)

言語聴覚療法では、食事を安全に取るために飲み込みづらさやムセがあるかどうかの評価を行ったり、コミュニケーションや日常生活の支障となる失語などの高次脳機能障害についての評価を行います。食事については、喉の動きの状態に合わせた食形態の工夫を行い、適切な食べる姿勢をとりながら食べる訓練を行います。
高次脳機能障害はすぐには判明しないこともあるので、さまざまな検査によって問題となる症状を見つけ出して、それに応じた訓練を行って退院後の注意すべき点や対応方法について検討します。

「脳出血の後遺症」についてよくある質問

ここまで脳出血の後遺症を紹介しました。ここでは「脳出血の後遺症」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

脳出血の後遺症なしの確率はどれくらいでしょうか?

村上 友太(むらかみ ゆうた)医師村上 友太(むらかみ ゆうた)医師

少量の脳出血で、何らかの症状がわかりやすく現れていない場合には、後遺症なしという状態と言えるかもしれませんが、その確率は一概には言えません。

脳出血の後遺症は治るのでしょうか?

村上 友太(むらかみ ゆうた)医師村上 友太(むらかみ ゆうた)医師

リハビリを続けることで後遺症の程度が軽くなることはありますが、脳組織にダメージがあって現れている症状であることから、完治することを期待するのは難しいと思います。

脳出血と脳梗塞の後遺症の違いについて教えて下さい。

村上 友太(むらかみ ゆうた)医師村上 友太(むらかみ ゆうた)医師

脳出血と脳梗塞は症状が似ているので、後遺症の症状もほとんど同じです。

編集部まとめ

脳出血は脳組織にダメージを与えてしまうために、何らかの後遺症が残ってしまうことがほとんどです。脳出血を含めた脳卒中は、最も介護を必要とする病気であるといわれています。後遺症が重い場合には寝たきりになってしまうことが現実的です。
脳出血の再発予防を目的とした薬物治療を行いながら、後遺症の程度に関わらずリハビリを進めていく必要があります。年単位で徐々に症状が改善することもあるので、担当医にリハビリによってどこまで回復が見込めるかを確認して焦らずに根気強く続けることや、周りの方の後遺症に対する理解も重要です。

「脳出血の後遺症」と関連する病気

「脳出血の後遺症」と関連する病気は2個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

脳神経科の病気

脳出血の患者さんの多くに何らかの後遺症が残ると言われています。脳出血は前触れなく突然発症するので、高血圧にならないようにするなどの発症予防に努めることが重要です。

「脳出血の後遺症」と関連する症状

「脳出血の後遺症」と関連している、似ている症状は7個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 手足が動かない
  • 顔の動きが悪い
  • うまく話せない
  • 会話が成立しない
  • うまく飲み込めない

脳卒中の後遺症はこれらの症状の他にも、退院後日常生活に戻ってから気がつく場合もあります。年単位といった長い期間で徐々に改善することもあるので、焦らず地道にリハビリを続けることは重要です。

この記事の監修医師