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「小脳梗塞の症状」はご存知ですか?原因やリハビリ法も医師が徹底解説!

 公開日:2023/12/18
「小脳梗塞の症状」はご存知ですか?原因やリハビリ法も医師が徹底解説!

小脳梗塞の症状とは?Medical DOC監修医が小脳梗塞の症状・原因・リハビリ法や何科へ受診すべきかなどを解説します。気になる症状がある場合は迷わず病院を受診してください。

村上 友太

監修医師
村上 友太(東京予防クリニック)

プロフィールをもっと見る
医師、医学博士。福島県立医科大学医学部卒業。福島県立医科大学脳神経外科学講座助教として基礎・臨床研究、教育、臨床業務に従事した経験がある。現在、東京予防クリニック院長として内科疾患や脳神経疾患、予防医療を中心に診療している。
脳神経外科専門医、脳卒中専門医、抗加齢医学専門医。日本認知症学会、日本内科学会などの各会員。

「小脳梗塞」とは?

小脳梗塞とは、頭の後ろ側にある小脳という部分に起こる脳梗塞です。小脳は、ふらつかずに立ったり、まっすぐ歩いたりするために必要なバランス感覚を調整する重要な役割を担っています。この小脳に脳梗塞が起こる場合の特徴的な症状について解説していきます。

小脳梗塞の代表的な症状

めまい

小脳梗塞の代表的な症状にめまいが挙げられます。
めまいは日常で比較的自覚する不快な症状ですが、小脳梗塞で起こるめまいはぐるぐると目が回る「回転性」のめまいと、ふわふわとふらついてしまう「浮動性」のめまい2つのパターンがあります。これは、バランス感覚を司る機能に異常が出るために起こる症状です。脳が原因で起こるめまいでは、安静にしていても改善しないことが多いです。ただし、耳が原因で起こるめまいも回転性(ぐるぐると目がまわるような)のめまいを起こすことがあり、脳の異常なのか耳の異常なのかを判断するのは難しいこともあります。
突然めまいが始まった時には、まずはゆっくり座るか、横になってみましょう。安静にした状態でもめまいがおさまらない場合には、すぐに脳神経内科もしくは脳神経外科を受診してください。

ろれつが回らない、しゃべりにくい

しゃべりにくくなる症状は、脳梗塞全般で生じる可能性がある症状ですが、特に小脳梗塞の場合はろれつが回らなくなります。これは先ほどの協調運動障害が口で起こっており、唇や舌、口の中を正しい形に調整できず、各パーツの動きのタイミングもうまく合わせられないことが原因で起こります。
飲酒しているわけでもないのに酔っ払っているかのようにろれつが回らないことに加えて、言葉の抑揚もうまくコントロールできていないような場合には小脳梗塞が疑われます。このような症状のある場合には、すぐに脳神経内科もしくは脳神経外科を受診しましょう。

眼振

眼振は、目がこまかく動いてしまうという目の異常な状態です。
めまいを訴えている人の目を観察した時に、目が一点を見ることができずピクピクと動いてしまう場合はすぐに医療機関を受診してください。頭を動かさずじっとしている時に、左右に眼振が出ている場合は、前庭神経炎やメニエール病などの耳が原因で起こるめまいである可能性もありますが、上下方向の眼振になっている場合は小脳梗塞である可能性が高まります。

小脳梗塞の主な原因

高血圧

小脳梗塞の主な原因の一つに高血圧が挙げられます。
高血圧とは血圧が高い状態を指し、この状態が続くと血管にひどく負荷がかかります。血管に負荷がかかると動脈硬化が進行し、 血管が細くなって脳梗塞を起こしやすい状態になってしまいます。また、脳の血管の壁がもろくなり、その一部が膨らんで脳動脈瘤ができると、これもまた危険です。もしこの脳動脈瘤が破裂するとくも膜下出血になってしまうのです。
高血圧の主な原因は塩分の摂りすぎや肥満です。
塩分を摂り過ぎると、血液の塩分濃度が高くなってしまい、それを薄めようと水も吸収されます。こうして体の中(特に血管内)に塩と水が増えると血圧が上がってしまいます。
肥満には、皮下脂肪型肥満と内臓脂肪型肥満の二つがありますが、高血圧に関与するタイプは内臓脂肪型肥満です。腹腔内の特に腸管の周囲に脂肪が蓄積した状態で、下半身よりもウエスト周りが大きくなる肥満をさします。男性に多いと言われますが、食べ過ぎや飲み過ぎ、運動不足などが影響していると言われています。
塩分少なめの食事や適切な食事量、適度な運動を日頃から意識することが大切です。

脂質や糖質の多い食事

脂質や糖質の多い食事を続けると、小脳梗塞を起こしやすくなります。
脂質の多い食事を繰り返していると、血管の壁にコレステロールがくっつき動脈硬化が進行し血管が細くなります。そして、血管に張り付いたコレステロールの塊が剥がれて、その先の血管で詰まってしまうことで脳梗塞が起こります。
糖質の多い食事は糖尿病の原因となります。糖尿病になってしまうと、糖尿病のない人と比較し、脳梗塞を起こすリスクが男性で2.22倍、女性で3.63倍高まると言われています。
高コレステロール血症や糖尿病を予防するべく、脂質や糖質は適切な量摂取し、定期的に適度な運動を行いましょう。食生活のポイントとしては、普段からきのこや野菜を意識して多めに食べるよう心がけ、間食でスイーツ(特に洋菓子)を食べ過ぎないようにすることを意識すると良いでしょう。

不整脈

不整脈も小脳梗塞の原因となります。特に高齢者に多い心房細動という不整脈は脳梗塞の原因となることが多いです。心房細動には、平常時は一定のリズムで脈を打っているけども時々脈が乱れる「発作性心房細動」と、常に脈が乱れている「持続性心房細動」があります。動悸がある場合や脈が乱れているように感じる場合、あるいは健診で不整脈を指摘された場合は、なるべく早く内科や循環器内科を受診するようにしましょう。

椎骨動脈解離

小脳は、頭の後ろ側にある臓器です。頭の後ろを走行する椎骨動脈の壁が裂けると小脳梗塞を起こすことがあります。これは「椎骨動脈解離」と呼ばれ、なんのきっかけなく起きることもあれば、首を回したり、マッサージで首に負荷がかかったりすることで発症してしまうことがあります。
椎骨動脈解離は首の後ろが痛くなるのが特徴で、診断のために頭部MRIや頭部造影CTを行います。もし首の後ろに突然激痛が走り、めまいや吐き気などの症状も自覚した場合は、すぐに脳神経内科・脳神経外科を受診してください。

すぐに病院へ行くべき「小脳梗塞の症状」

ここまでは小脳梗塞の症状を紹介してきました。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。

突然のめまい、歩行困難、しゃべりにくさなどが出現した場合は、脳神経内科・脳神経外科へ

脳梗塞は突然症状が現れます。めまい、吐き気、頭痛などの症状に加え、まっすぐ歩けない、物をうまくつかめない、しゃべりにくいといった症状が出現します。脳梗塞は治療開始までの時間が短いほど、後遺症が残りにくい病気です。脳梗塞を疑う症状に気づいたら、すぐに脳神経内科・脳神経外科を受診しましょう。動けない時はためらわず救急車を呼ぶようにしてください。

受診・予防の目安となる「小脳梗塞の症状」のセルフチェック法

  • ・突然のめまい症状がある場合
  • ・突然まっすぐ歩けなくなった場合
  • ・突然手先がうまく使えなくなったり、足の動きが悪くなった場合

小脳梗塞のリハビリ法

装具療法によるリハビリ

小脳梗塞の患者さんは、最初は四肢のバランス調整が難しいことが多いので、杖などを使ってリハビリすることが有用です。通常のT字の杖のほか、両手で持てるタイプの杖などを使って歩行練習を行っていきます。最初は歩行が安定していないので、入院中からリハビリを開始します。歩行が安定してきたら、杖を使って日常生活を送ることを目標に日常生活でよくする動きの練習をして、ある程度できるようになったところで自宅へ退院します。

重りや弾性包帯を使ったリハビリ

小脳梗塞では、筋肉がだらんと力が抜けてしまい、良い姿勢を維持できないことがあります。このような患者さんには弾性包帯(よく伸び縮みする包帯)を巻くことで、関節の動きなどをある程度制限することで良い姿勢を維持できるようお手伝いします。また、重りをつけて、体を動かした時に遠心力や重りの抵抗が発生するようにすることで、腕を振っている感覚や移動している感覚を分かりやすくするといった方法もあります。
これらのリハビリは身体への負担が大きく、疲労が蓄積してしまう可能性もあります。試してみて疲労が大きい場合は、どの程度取り入れるかを主治医や担当の理学療法士と相談すると良いでしょう。

フレンケル体操

小脳梗塞などが原因で”思ったところにスムーズに手を伸ばす動作“がうまく出来なくなった人へのリハビリとして「フレンケル体操」というものがあります。フレンケル体操とは自分の体の動きを目で見ながら、何度も繰り返し練習するリハビリです。健康な人にとっては思った通りに体を動かすのは簡単なことですが、小脳に障害が出てしまうとそれぞれの筋肉をちょうど良いタイミングでちょうど良い具合に動かすというのが難しくなってしまいます。そこで、“自分のしたい動きをよく見て、目からの情報で動きを修正する”という訓練を何度も繰り返すことで体にその動きを覚えさせるのが、このフレンケル体操です。例えば歩行のリハビリであれば、歩く時に足で踏む場所にマークをつけて、そのマークをよく見て踏みながら歩くといったリハビリを行います。
小脳梗塞のリハビリは入院中から開始します。家に帰るために必要な動きができるようになったら退院し、その後は通院でリハビリを継続します。

「小脳梗塞の症状」についてよくある質問

ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「ここまで小脳梗塞の症状などを紹介しました。ここでは「小脳梗塞の症状」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

小脳梗塞の失調という症状はどのような状態でしょうか?

村上 友太(むらかみ ゆうた)医師村上 友太(むらかみ ゆうた)医師

私たちが体を動かす時、たくさんの筋肉が同時にタイミングよくちょうど良い力加減で調整されています。失調症状とは、この筋肉のコントロールがうまくできず、スムーズな動きが出来なくなることを指します。また、体のバランス感覚が鈍くなってしまうことで、うまく動けなくなってしまうこともあります。具体的には歩く時にふらついてしまう、何かを掴もうとした時に手がふるえてうまく掴めないといった症状が見られます。失調症状が口に起こると、はっきりと話せなくなり、食べ物や飲み物をうまく飲み込めなくなってしまいます。

編集部まとめ

脳梗塞の症状としては、めまいや頭痛は一般的によく知られている症状です。しかし小脳梗塞が起こると、まっすぐ歩けなくなる、ろれつが回らなくなるといった特徴的な症状が出現します。脳梗塞の治療は早く始めるほど後遺症が残りにくくなります。小脳梗塞を疑う症状が現れたら、すぐに脳神経内科もしくは脳神経外科を受診しましょう。

「小脳梗塞の症状」と関連する病気

「小脳梗塞の症状」と関連する病気は5個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

脳神経内科・脳神経外科の病気

小脳は頭の後ろ側にある脳の一部です。小脳梗塞ではめまいが出たり、しゃべりづらくなったりしますが、耳からのめまいや大脳の脳梗塞によるしゃべりづらさとの区別が難しい場合もあります。

「小脳梗塞の症状」と関連する症状

「小脳梗塞の症状」と関連している、似ている症状は5個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • めまいがする
  • 話しにくい
  • 歩くとふらふらする
  • 身体の半分が動かしにくい
  • 頭痛

これらの症状がある時には「小脳梗塞」「脳出血」「良性発作性頭位めまい症」「メニエール病」などの可能性があります。動けないほどのめまいやふらつきがある場合はすぐに医療機関を受診しましょう。

この記事の監修医師