「妊娠中の高血圧」はどう”下げる”?受診の目安や日常生活の注意点も医師が解説!

妊娠中に血圧が高いときの対処法とは?メディカルドック監修医がマタニティで注意したい妊娠高血圧症候群や予防のための生活習慣を解説します。

監修医師:
佐藤 浩樹(医師)
目次 -INDEX-
なぜ妊娠中は血圧が高くなりやすいの?
妊娠中は、胎児に十分な栄養や酸素を届けるため母体の血液量が増えます。また、胎児を育てる胎盤から分泌されるホルモンの影響で、血管が収縮しやすくなるため、血液の流れが悪くなることがあります。またこのホルモンは、水分や塩分を体にため込みやすい作用があるため、血圧が高くなる事も少なくありません。
妊娠による体の変化と血圧の関係
妊娠すると、胎児を育てるために母体の体は変化します。具体的には、血液量が増えて心臓や血管に負担がかかります。また、妊娠中のホルモンの影響で、血管が収縮し、水分や塩分を体にため込みやすいです。こうした変化が重なることで血圧は上がりやすくなります。
血圧が高い状態が続くと母体や赤ちゃんにどう影響する?
血圧が高くなると、母体においては、心血管や腎臓への負担が高まります。症状は、頭痛、肩こり、むくみなどです。重症化すると、妊娠高血圧症候群を発症することがあります。一方、胎児においては、胎盤からの血流が不足するため、胎児の発育が不十分になったり、早産のリスクが高まることもあります。
血圧が上がりやすい妊婦の特徴は?
特徴として、体質や基礎疾患が関与します。以下に、具体的な因子をあげて解説いたします。これらを事前に知っておくことで、血圧上昇のリスクを早期に意識でき、妊娠中の生活管理の注意点を理解しやすくなるでしょう。
肥満
肥満妊婦では、肥満に伴うインスリン抵抗性や慢性炎症があるため、血管内皮機能障害を起こしやすいです。結果、血管が傷害されるため、血管の拡張機能が低下し、血圧が上がりやすくなります。
高年妊娠
一般的に動脈硬化は年齢とともに進みます。そのため、高年妊娠では、動脈硬化の影響で血管がかたくなるため、妊娠によって起こる体液量増加に対応しにくくなります。結果、血管が広がることができずに血圧が上がりやすくなります。
妊娠前からの高血圧
妊娠前から高血圧がある妊婦は、正常血圧の人と比較して、もともと血管に負担がかかっています。妊娠によって血液量が増えると、血管への負担がさらに大きくなるため、血圧が上がりやすくなります。
「妊娠中高くなった血圧を下げる方法」は?
生活習慣の見直しや心身の負担を減らす対策が基本です。次に、必要に応じて医師の判断のもとで降圧治療を行います。日常生活における血圧値の把握と医療機関との連携により、血圧を安定させることが重要です。
横になるなど安静にして休養を取る
妊娠中に血圧が高い場合は、無理をせず安静にして休養を取ることが大切です。横になって安静にすることで体動が少なくなり、交感神経の働きが抑えられます。その結果、心拍数が安定し、血圧の上昇を抑えることができます。家事や仕事は無理のない範囲にとどめ、こまめに休養を取ることが重要です。
塩分を控えるなど食事の見直し
過剰な塩分摂取は、体内に水分をため込みやすくなり、血液量が増えて血圧が上昇しやすくなります。減塩を心がけることで余分な水分が体内に貯留しないため、心臓や血管への負担が軽減されます。妊娠中は、過度な減塩は必要ないですが、塩分のとり過ぎには注意しましょう。薄味を意識し、バランスのよい食事を心がけることが大切です。
入浴や運動の注意点は?
妊娠中に血圧が高い場合、入浴や運動には注意が必要です。熱い湯に長く入ると血管が急に拡張するため、血圧や心拍数が大きく変動することがあります。ぬるめの湯で短時間にとどめるようにしましょう。運動は血流改善や気分転換に役立ちますが、強度が高い運動を行うと、心拍数が上昇するため、血圧上昇につながります。医師の指示のもと、無理のない範囲で行うことが大切です。
「妊娠中の血圧」で気をつけたい病気・疾患
ここではメディカルドック監修医が、「妊娠中の血圧」に関する症状が特徴の病気を紹介します。どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。
妊娠高血圧症候群(旧称 妊娠中毒症)
妊娠高血圧症候群とは、妊娠中に高血圧が認められる疾患です。具体的には、妊娠中に、収縮期血圧(上の血圧)が140mmHg以上、または、拡張期血圧(下の血圧)が90mmHg以上になった場合、妊娠高血圧症候群と診断されます。以前は妊娠中毒症と呼ばれていました。
原因は現在もよくわかっておりませんが、胎盤が注目されています。胎盤の形成がうまくいかないと胎児の栄養や酸素が不足状態となります。この状態になると、母体は胎盤への血液量を増やそうとします。その結果、母体自体の血圧が上昇し、高血圧状態になるのではないかと考えられています。
治療の基本は安静です。しかしながら、160/110mmHgを超えるような高血圧、タンパク尿を認めた場合は、入院治療が必要となります。降圧薬や痙攣予防薬が投与されることが多いです。母体や胎児が危険な状態に陥ったと判断された場合は、陣痛を促進する薬剤により分娩を誘発したり、帝王切開による胎児の排出を検討したりします。
特徴的な症状はありませんが、頭痛、むくみ、めまい、吐き気などの症状がみられる場合は、早めに医療機関を受診することが重要です。自覚症状をほとんど認めない場合もあるので、健診で異常を指摘された場合は放置しないことが大切です。受診先は産婦人科が基本となります。妊婦健診を受けている医療機関がある場合は、まず主治医に相談し、指示に従ってください。
妊婦の高血圧で受診すべき症状とは?
基本的に高血圧は自覚症状を認めないことも多いです。しかしながら、高血圧に伴い、頭痛、頭重感、めまい、ふらつき、動悸、耳鳴りなどの症状がある場合は医療機関を受診しましょう。その他、注意すべき点について記載しました。参考にしてください。
血圧が高い以外にどんな症状が現れたら受診したほうが良い?
強い頭痛、視界がぼやける、急な手足や顔のむくみ、めまい、嘔吐などの症状があれば、早めに医療機関を受診してください。特に、妊娠高血圧症候群では急に自覚症状が悪化することがあるため、少しでも普段と違う体調変化を感じたら、自己判断せず医療機関を受診することが大切です。
受診を検討した方が良い血圧の数値は?
高血圧の基準である、収縮期血圧140mmHg以上、または拡張期血圧90mmHg以上が持続する場合は受診を検討しましょう。さらに、160/110mmHg以上の高値がみられる場合は重症化の可能性があり、早急な受診が必要です。
自己判断で血圧が高い状態を放置しない
高血圧は、自覚症状が出にくい疾患です。加えて、自覚症状がない状態においても、血管や臓器に負担がかかり、体内に悪影響を及ぼします。特に、妊娠中は知らないうちに妊娠高血圧症候群へ進行し、母体や赤ちゃんに悪影響を及ぼすこともあります。「症状がないから大丈夫」と考えず、血圧が高いと指摘された場合は早めに医療機関へ相談し、適切な管理を受けることが大切です。
「妊娠中の血圧を下げる方法」についてよくある質問
ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「妊娠中の血圧を下げる方法」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。
妊婦の血圧が上がったとき、家庭でまずすべきことは何でしょうか
佐藤 浩樹 医師
基本は安静です。安静になることにより、心拍数が安定化し、血圧を安定化させることができます。特に、横になって体を休めることで、心臓や血管への負担が軽減されます。無理に動いたりと自己判断で対応したりせず、落ち着いた環境で休息を取り、必要に応じて血圧を測定することが大切です。
妊娠高血圧のときに控えた方が良い食べ物はなんでしょうか
佐藤 浩樹 医師
塩分の多い食べ物を控えましょう。中でも、漬物、加工食品、インスタント食品、ファーストフードは塩分が多いので避けましょう。味付けは薄味を心がけ、素材の味を生かした食事を意識することが大切です。
妊娠中は自宅でも血圧を測るべきですか?妊婦健診だけで大丈夫ですか?
佐藤 浩樹 医師
妊娠中は妊婦健診だけでなく、家庭で血圧を測定しましょう。血圧は健診時以外に上昇することも多く、家庭測定により早期の血圧変化に気づくことができるからです。特に、妊娠高血圧症候群は自覚症状が乏しいまま進行することがあるため、日常的な家庭での測定が重要です。家庭での血圧記録は診察時の貴重な情報となり、異常の早期発見や適切な治療判断にもつながります。
出産前は薬が飲めないと聞きましたが妊娠高血圧症候群で降圧薬は使えるのでしょうか?
佐藤 浩樹 医師
妊娠高血圧症候群では、母体と胎児の健康を守るため、医師の判断により使用できる降圧薬はあります。これらは妊娠中の安全性が確認された限られた薬剤で、胎児への影響を十分に考慮したうえで選択されます。自己判断で薬を避けたりせず、医師の指示のもとで服薬してください。血圧を適切にコントロールすることは、母体の健康ばかりではなく、胎児の発育環境を守ることにもつながります。
まとめ 妊娠中の血圧を下げる方法は早めの気づきと適切な管理!
妊娠中の血圧管理で最も大切なことは、血圧の異常に早く気づき、自己判断せず適切に対応することです。日頃から血圧を測定し、生活習慣を整え、異常を感じたら早めに医療機関を受診しましょう。正しい知識と継続的な管理が、母体と胎児の健康につながります。
「妊娠中の血圧」と関連する病気
「妊娠中の血圧」から医師が考えられる病気は8個ほどあります。
各病気の詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
婦人科の病気
- 妊娠高血圧症候群
- 子癇
- HELLP症候群
- 胎盤機能不全
- 常位胎盤早期剝離
妊娠中の血圧異常は、妊娠に伴う病気だけでなく、腎疾患や内分泌疾患など内科的な病気が関係していることもあります。背景にある原因を正しく見極めることが重要です。医療機関を受診してください。
「妊娠中の血圧」と関連する症状
「妊娠中の血圧」から医師が考えられる症状は10個ほどあります。
各症状の詳細についてはリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
妊娠中の高血圧は、自覚症状が乏しいことが多いですが、これらの症状が現れた際は、高血圧が原因となっている可能性があります。自己判断によって放置せず、医療機関で相談ください。




