「乳腺エコー検査の費用」は?検査でわかる病気も医師が徹底解説!

乳腺エコー検査の費用はどのくらいかかりますか?メディカルドック監修医が乳腺エコー検査の内容や、保険適用、自費の場合の費用、検査で分かる病気などを解説します。

監修医師:
木村 香菜(医師)
目次 -INDEX-
乳腺エコー検査とは?
乳腺超音波(エコー)検査とは、乳房に病気がないかどうかを調べる検査の一つです。 乳がんや乳腺症などのチェックに用いられています。マンモグラフィと異なり、放射線への被曝がないというメリットもあります。また、検査に際する痛みが少ないことも利点の一つです。乳がん検診のスタンダードはマンモグラフィです。しかし、乳腺の密度が高い方やペースメーカーや除細動器挿入後などで、マンモグラフィが推奨されない場合もあります。そうした方にとって超音波検査は有効な検査となります。乳腺エコー検査でなにをするの?
超音波検査は、乳房や脇の表面に超音波を出す超音波プローブという装置を当てて、跳ね返ってきた超音波を画像化するものです。病変の有無をリアルタイムで調べることができます。また、何からの病変があった場合、カラードプラ法での血流の評価や、エラストグラフィでの硬さの評価をすることもできます。乳腺エコー検査でわかることとは?
乳腺エコー検査でわかる所見としては、腫瘤性病変と非腫瘤性病変が主なものとなります。 腫瘤性病変は、他の組織と異なる成分が塊として認められる病変のことです。形や縦横の長さの比率、血流の有無や硬さなどから、腫瘤の性状を評価します。縦横比が0.7以上、血流が豊富で病変の内部に血液が流れ込むような所見、腫瘍が硬いといった所見は悪性を示唆しています。 一方、嚢胞や線維腺腫などの良性腫瘍は、円形、楕円形、分葉形を呈することが多いです。 非腫瘤性病変は、塊として認識することが難しい病変です。乳管の拡張や、低エコー域、構築の乱れ、多発性の嚢胞(水で満たされた袋のような構造)などがあります。また、石灰化を表す点状の高エコー域があり、マンモグラフィでも悪性を否定できない場合、組織を調べる検査の対象となります。乳腺エコー検査の当日の流れと注意点
乳腺エコー検査を受けるにあたって、当日の注意点は特にありません。 流れとしては、検査を受ける方がベッドに仰向けに横になります。その後、乳房の皮膚に専用のゼリーを塗り、検査を開始します。プローブを乳房の表面から軽く押し当て、乳房の内部をくまなく調べます。検査技師もしくは医師は、画面を確認しながら検査を行います。そのため、部屋は暗く保たれます。 超音波検査は、マンモグラフィーと異なり被曝の心配はありません。そのため、妊娠中でも検査を受けることが可能です。乳腺エコー検査の費用
ここでは、乳腺エコー検査に要する費用について解説します。乳腺エコー検査の費用(保険適用)
乳がん検診でのマンモグラフィで異常を指摘された場合、医療機関で精密検査として乳腺エコー検査を受けることになる場合も多いでしょう。その場合は、保険適用となり、それぞれの年齢や加入する医療保険によって自己負担割合が異なります。 乳腺エコー検査は、診療点数350点です。診療報酬は1点が10円として計算されるので、3,500円となります。この料金に、初診料291点(2,910円)などが付加されます。 そのため、3割負担の場合には2,000円程度になるかと考えられます。 加えて、マンモグラフィなどの他の検査が行われた場合、その費用も追加されます。乳腺エコー検査の費用(自費)
乳がん検診などで乳腺エコー検査を受ける場合、基本的には自己負担になります。 乳腺エコー検査のみのケースでは、約4,000円が相場と言えるでしょう。 その他に、マンモグラフィや診察などがある場合は、さらに費用は上乗せされることになるでしょう。乳腺エコー検査は何歳から受診した方がいい?
乳腺エコー検査は、現時点では検診に有効であるという根拠はなく、国が推奨する乳がん検診とはなっていません。 現状では、40歳代の女性では、乳がんのリスクが高く、かつ閉経前のためマンモグラフィで乳腺が真っ白に見えてしまう高濃度乳房の頻度が高いです。そのため、40歳代以降の方では乳腺エコー検査を受けた方が良いのかについて、現在厚生労働省が主体となり比較試験が行われています。乳腺エコー検査でわかる病気・疾患
ここではメディカルドック監修医が、「乳腺エコー検査」でわかる病気を紹介します。 どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。乳腺嚢胞
乳腺嚢胞は、内部に液体が溜まった袋状のものが乳腺内にできたものです。 周囲との境界が明確でツルッとしている、内部が真っ黒で、病変の後ろのエコー信号が強くなる場合には、単純性嚢胞という良性のものと判断されます。単純性嚢胞の場合には、精密検査は不要です。 ただし、嚢胞の中に単純な水以外の病変が認められ、腫瘤が大きな場合には、嚢胞内乳がんという病変も考慮する必要があるとされています。乳管内乳頭腫
乳管内乳頭腫は、乳房の乳管内にできる良性の腫瘍です。多くの場合は無症状ですが、まれに乳頭から透明、あるいは血性の分泌物が出ることがあります。 閉経期の前後に診断されることが多いです。ごくまれにがんになるケースもあります。 乳腺エコーでは、拡張した乳管の中のかたまりや、嚢胞の中に塊や鏡面の形成などが作られるといった所見が認められます。がんとの鑑別が難しい場合は、組織を少量切り取って調べる検査(組織診)を行う場合もあります。乳腺線維腺腫
乳腺の線維腺腫は、乳房内にできる硬いしこりです。良性の腫瘍です。15〜35歳の女性に多く見られますが、月経がある方ではどの年齢の方にも発生する可能性があります。 線維腺腫の多くは無症状ですが、乳房内に固く滑らかで、ゴムのような感触を持つしこりとして触れる場があります。 乳腺エコー検査での典型的な所見としては周囲との境界がはっきりしており、脂肪よりもやや黒く映る、横に幅広い楕円形の形となります。乳がん
乳がんは、乳腺を構成する乳管や小葉から発生するがんです。症状には、乳房にしこりが現れる、乳房から分泌物が出るなどがあります 。 乳腺エコーで乳がんを疑う所見はいくつかあります。周囲とのはっきりしない腫瘤、乳腺の周囲組織との境界線の断裂、複数にごく小さな白い点々が見られるなどがあります。乳管拡張症
乳腺拡張症は、良性で非増殖性の乳性疾患です。主に45歳から55歳の閉経前後の女性に見られますが、その他の年齢層の女性や男性にもまれに報告されています。 乳腺エコーでは、乳管が通常よりも拡張した所見が得られます。 乳管拡張症はほとんどが良性ですが、中には石灰化がみられるものもあります。マンモグラフィでも悪性の可能性がある石灰化を認める場合には、組織病理学的な確認ために生検が必要となります。乳腺症 (にゅうせんしょう)
乳腺症は、乳腺の非炎症性・増殖性の変化のことです。30〜40代の女性に多く見られます。ホルモンのバランスの異常などが原因と考えられており、月経周期に合わせてしこりや痛みなどの症状が現れます。月経の後には症状は改善します。 エコーでは、両側の乳房に多発する、マダラ状で境界不明瞭な低いエコー域(周囲よりも黒く見える)のような所見が得られます。「乳腺エコー検査の費用」についてよくある質問
ここまで乳腺エコー検査の費用などを紹介しました。ここでは「乳腺エコー検査の費用」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。
マンモグラフィーエコーの費用はどれくらいでしょうか?
木村 香菜 医師
乳がん検診としてマンモグラフィとエコーを組み合わせた場合、約10,000円が相場と考えられます。参考までに、マンモグラフィの場合診療報酬点数は306点となります。単独でマンモグラフィ検査を全額自費で受ける場合は、約3,000円となります。 がん検診の後の精密検査としてマンモグラフィや乳腺エコー検査を受ける場合、原則保険適用となります。そのため、それぞれが加入している医療保険によって、何割負担になるのかが変わってきます。費用について確認したい場合には、あらかじめ医療機関に問い合わせしておくと良いでしょう。
乳腺エコー検査は何年に一度受診した方がいいでしょうか?
木村 香菜 医師
乳腺エコー検査は、現状では乳がん検診として国としては推奨されていません。しかし、マンモグラフィが受けられない方の場合には、2年に1回受診するようにしてみるのが良いのではないでしょうか。
まとめ
今回の記事では、乳腺エコーの費用やわかることなどについて解説しました。乳腺エコー検査は放射線の被曝もなく、痛みもほぼないため、受診者さんの負担が少ない検査です。特に、マンモグラフィによる痛みが耐え難い、持病などの関係で検査が受けられない、などの場合は、乳がん検診として活用してみると良いでしょう。「乳腺エコー検査」の異常で考えられる病気
「乳腺エコー検査」から医師が考えられる病気は5個ほどあります。 各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。参考文献


