「骨密度を上げる食べ物」はご存じですか?下げる食べ物もあわせて医師が徹底解説!
公開日:2025/08/27

骨密度を上げる食べ物とは?Medical DOC監修医が骨密度が低下する原因や骨密度を上げる栄養素や下げる食べ物などを解説します。

監修医師:
岩佐 沙弥(医師)
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【経歴】
山口大学医学部卒業。初期研修医終了後、整形外科医として勤務。現在はリハビリテーション医学を専門とし、幅広い疾患による障害の治療を行っている。地域の医療に携わってきた経験が長く、現在も地域のクリニックに勤務。一人一人の生活に合った運動や食事の提案を行えるよう心がけている。
【資格】
医学博士、整形外科専門医、リハビリテーション科専門医・指導医、日本医師会認定産業医、障害者スポーツ医
山口大学医学部卒業。初期研修医終了後、整形外科医として勤務。現在はリハビリテーション医学を専門とし、幅広い疾患による障害の治療を行っている。地域の医療に携わってきた経験が長く、現在も地域のクリニックに勤務。一人一人の生活に合った運動や食事の提案を行えるよう心がけている。
【資格】
医学博士、整形外科専門医、リハビリテーション科専門医・指導医、日本医師会認定産業医、障害者スポーツ医
目次 -INDEX-
骨密度とは?
骨は、単なる体を支える構造物ではなく、古い骨が壊され(骨吸収)、新しい骨が作られる(骨形成)サイクルを繰り返して新陳代謝を行っている生きた組織です。骨がどのぐらい丈夫かを示す指標が、骨密度です。新陳代謝のバランスが崩れ、骨を壊すサイクルに傾くことにより、骨密度が低下します。骨密度が低下すると、骨がもろくなり、些細な衝撃でも骨折しやすくなる「骨粗しょう症」のリスクが高まります。骨粗しょう症は高齢者の病気だとイメージされる方も多いと思いますが、過度なダイエットやホルモンが乱れることなども骨粗しょう症のリスクが高まります。気づかないうちに骨折のリスクが高まっている可能性があるため、定期的な骨密度検査などで自身の骨の状態を把握し、骨折してしまう前に対策を始めることが重要です。骨密度が低下する原因
骨密度が低下する原因は多岐にわたります。遺伝的要因、加齢、性ホルモンの変化、生活習慣、特定の病気などが複雑に絡み合って骨密度の低下を引き起こします。 特に閉経後の女性など骨密度が気になる場合は、整形外科を受診しましょう。骨折してしまう前に、早めに診てもらうのがおすすめです。食事内容のご相談は、栄養士とできる場合もあるため、かかりつけ医に相談してみましょう。 すでに特定の病気で治療を受けている方や、長期的に薬を服用している方は、主治医に骨密度への影響について相談しましょう。必要に応じて、整形外科や内分泌内科など専門の医療機関との連携が必要になる場合があります。加齢と性ホルモンの変化
骨密度は、年齢とともに少しずつ減っていきます。特に女性は、閉経後に骨吸収を抑える働きがある女性ホルモンのエストロゲンが急に減るため、骨が脆くなってしまいます。男性も年とともに男性ホルモンは減りますが、女性ほど急ではないため、骨密度の低下は比較的緩やかです。栄養不足と生活習慣の乱れ
骨の健康には、カルシウム、ビタミンD、ビタミンKなどの栄養素が不可欠です。これらの栄養素が不足すると、骨形成が十分にできず、骨密度が低下しやすくなります。そのため、食生活の乱れは骨に影響を及ぼします。また、運動不足も骨密度の低下に大きく影響します。喫煙や過度な飲酒も骨代謝に悪影響を及ぼし、骨密度を低下させる原因となります。特定の病気や薬の影響
一部の病気や薬も骨密度の低下を引き起こす可能性があります。例えば、甲状腺機能亢進症、副甲状腺機能亢進症、慢性腎臓病、慢性炎症性疾患(関節リウマチなど)、消化器疾患(クローン病など)は、骨代謝に影響を及ぼし、骨密度の低下を招くことがあります。 また、ステロイド薬の長期使用など、一部の薬も骨密度を低下させる副作用が知られています。骨密度を上げる栄養素
骨密度を維持・向上させるためには、食事も重要です。骨密度を上げる栄養素を知り、食事の内容を見直してみましょう。カルシウム
カルシウムは、丈夫な骨を作るのに欠かせない、とても大切な栄養素です。体のカルシウムのほとんど(約99%)は骨と歯にあります。残りのわずかなカルシウムは、血液や細胞の中にいて、筋肉を動かしたり、神経の働きを助けたりと、生きていくために必要な大事な働きをしています。血液中のカルシウムの量は、いつも一定に保たれています。もし食事から足りなくなると、体は骨からカルシウムを借りてきて、血液中の量を補おうとします。これが長く続くと、骨の中のカルシウムが減ってしまい、骨密度が低下する原因になります。ビタミンD
ビタミンDは、カルシウムが体の中に入りやすくするための「案内役」のようなものです。腸でカルシウムがスムーズに吸収されるのを助けます。また、吸収されたカルシウムが骨に定着するのを助け、新しい骨を作ることを助けます。ビタミンDが足りないと、せっかくカルシウムを摂っても骨にしっかり届きません。また、ビタミンDは食べ物から摂れるだけでなく、太陽の光を浴びることで私たちの皮膚でも作られるため、適度な日光浴が必要です。ビタミンK
ビタミンKは、骨が丈夫になるための「のりしろ」のような働きをします。骨に存在するオステオカルシンというタンパク質を活性化し、カルシウムが骨に沈着するのを手助けし、骨からカルシウムが溶け出してしまうのを抑える働きもあります。マグネシウム
マグネシウムも、骨や歯を作るのに欠かせないミネラルです。体のマグネシウムの約60%は骨にあります。カルシウムが体に吸収されるのを助けたり、骨を作るのに必要な酵素の働きを活発にしたりと、骨の健康を保つ上でとても大切な役割を担っています。タンパク質
タンパク質は、骨の土台となるコラーゲンの材料になります。コラーゲンは、骨にしなやかさを持たせ、骨密度を保つ上で重要な働きをしています。また、タンパク質は筋肉を作るためにも必要不可欠です。筋肉は骨に適度な刺激を与え、骨が新しく作られるのを促す働きもしています。骨密度を上げる可能性の高い食べ物
骨密度を上げる可能性のある栄養素を豊富に含む食品を積極的に食事に取り入れることで、効果が期待できます。乳製品
乳製品は、骨の健康に不可欠なカルシウムを豊富に含んでいます。牛乳コップ1杯(200ml)には、約220mgのカルシウムが含まれており、効率的にカルシウムを摂取できる優れた食品です。また、乳製品に含まれる乳糖は、カルシウムの吸収を促進する働きがあると言われています。ヨーグルトやチーズは、牛乳よりもカルシウム濃度が高いものもあり、手軽に摂取できる点も魅力です。具体的な食品名: 牛乳、ヨーグルト、チーズなど
魚
小魚は、骨ごと食べられるため、カルシウムを丸ごと摂取できる非常に優れた食品です。また、サケやイワシ、サンマなどの脂の乗った魚は、効率よくビタミンDを摂取できる優れた食材です。具体的な食品名: しらす干し、ちりめんじゃこ、煮干し、干しエビ、サケ、イワシなど
緑黄色野菜
緑黄色野菜は、カルシウム、ビタミンK、マグネシウムなど、骨の健康に必要な様々な栄養素を含んでいます。特に小松菜やほうれん草は、カルシウム含有量が多く、ビタミンKも豊富です。ブロッコリーは、ビタミンKの他にビタミンCも豊富で、コラーゲン生成を助ける働きがあります。具体的な食品名: 小松菜、ほうれん草、ブロッコリー、モロヘイヤなど
きのこ類
きのこ類もビタミンDを含む貴重な食材です。特に干ししいたけは、太陽の光を浴びることでビタミンDが増えるため、生しいたけよりも多くのビタミンDを含んでいます。具体的な食品名: 乾燥きくらげ、干ししいたけ、ぶなしめじ、まいたけなど
納豆
納豆は、骨の健康に重要なビタミンK2を豊富に含んでいます。ビタミンK2は、骨形成を促進するタンパク質の働きをサポートし、骨からカルシウムが溶け出すのを抑制する働きがあります。また、納豆にはカルシウムやタンパク質も含まれています。大豆製品(豆腐、豆乳、厚揚げ)
大豆製品は、植物性タンパク質が豊富で、骨の土台となるコラーゲンの生成をサポートします。また、豆腐や厚揚げにはカルシウムも含まれており、特に厚揚げはカルシウム含有量が多いのが特徴です。さらに、大豆に含まれるイソフラボンは、女性ホルモンのエストロゲンに似た働きをすると言われており、閉経後の女性の骨密度維持に役立つ可能性が指摘されています。具体的な食品名: 豆腐、豆乳、厚揚げ、きな粉など
骨密度を下げる可能性の高い食べ物
リンを多く含む加工食品・清涼飲料水
リンは、骨や歯の構成成分であり、体に必要なミネラルですが、摂り過ぎるのは骨の健康に悪影響を及ぼす可能性があります。特に、加工食品や清涼飲料水に多く含まれるリン酸は、腸でのカルシウム吸収を阻害したり、尿中へのカルシウム排泄を促進したりすることで、骨密度の低下につながる可能性があります。現代の食生活ではリンを過剰摂取しやすいため、注意が必要です。具体的な食品名: インスタント食品、スナック菓子、加工肉(ソーセージ、ハム)、清涼飲料水など
カフェインを多く含む飲料
カフェインには、利尿作用があり、尿と一緒にカルシウムを排出する働きがあると言われています。また、腸でのカルシウム吸収をわずかに阻害する可能性も指摘されています。適度な摂取量であれば問題ありませんが、過剰な摂取は骨密度に影響を与える可能性があります。具体的な食品名: コーヒー、紅茶、エナジードリンクなど
アルコール
アルコールは、骨を作る細胞の働きを抑制し、骨を壊す細胞の働きを促進することが知られています。また、アルコールの摂取は、カルシウムの吸収を阻害したり、尿中へのカルシウム排泄を増加させたりする作用もあります。過度な飲酒は、骨密度を低下させるだけでなく、肝臓や膵臓など他の臓器にも悪影響を及ぼすため、控えめにすることが重要です。具体的な食品名:ビール、酎ハイ、ウイスキーなど
塩分の多い食事
塩分(ナトリウム)を過剰に摂取すると、尿中へのカルシウム排泄が増加することが知られています。これは、体内のナトリウム濃度を調整する際に、カルシウムも一緒に排出されるためと考えられています。塩分の多い食事は、骨密度だけでなく、高血圧などの生活習慣病のリスクも高めるため、減塩を心がけることが大切です。具体的な食品名: 加工食品、インスタント食品、漬物、ラーメン、スナック菓子など
「骨密度を上げる食べ物」についてよくある質問
ここまで骨密度を上げる方法などについて紹介しました。ここでは「骨密度を上げる食べ物」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
低下した骨密度を食事で回復させることはできますか?
岩佐 沙弥 医師
一度低下してしまった骨密度を、食事だけで完全に回復させることは難しい場合が多いです。食事の見直しに加えて、適度な運動を取り入れること、日光を浴びること、禁煙や節酒などの生活習慣の改善など、複合的な取り組みが必要です。すでに骨密度が著しく低い場合や骨粗しょう症と診断された場合は、医師の指導のもと、薬物療法を併用することで骨密度を改善できる可能性があります。
骨粗しょう症を発症した際に控えた方が良い食べ物はありますか?
岩佐 沙弥 医師
骨粗しょう症と診断されても、「これを絶対に食べてはいけない」という食品はありません。しかし、骨密度がさらに下がらないよう、いくつか気をつけたい食品はあります。具体的には、リンが多く含まれる加工食品や清涼飲料水、摂りすぎると良くないカフェイン、アルコール、そして塩分の多い食事などです。大切なのは、バランスの取れた食生活の中で、食べる量や頻度を適切に調整することです。
まとめ 骨密度が気になるときは整形外科を受診
骨粗しょう症は食事や運動、生活習慣の改善で予防できます。見えないからこそ定期的な検査を受けましょう。「骨密度」の異常で考えられる病気
「骨密度」から医師が考えられる病気は6個ほどあります。各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。骨の病気
- 骨粗しょう症
- 続発性骨粗しょう症
腎臓の病気
- 慢性腎臓病(CKD)
消化器の病気
参考文献