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「総ビリルビンを下げる食べ物」は?高い場合に気をつけたい病気などを解説!

 公開日:2025/09/03
「総ビリルビンを下げる食べ物」は?高い場合に気をつけたい病気などを解説!

総ビリルビンを下げる食べ物とは?メディカルドック監修医が総ビリルビンを下げる食べ物・飲み物や高くなる原因・予防法・総ビリルビンが高いと診断された場合に気をつけたい病気などを解説します。

木村 香菜

監修医師
木村 香菜(医師)

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名古屋大学医学部卒業。初期臨床研修修了後、大学病院や、がんセンターなどで放射線科一般・治療分野で勤務。その後、行政機関で、感染症対策等主査としても勤務。その際には、新型コロナウイルス感染症にも対応。現在は、主に健診クリニックで、人間ドックや健康診断の診察や説明、生活習慣指導を担当している。また放射線治療医として、がん治療にも携わっている。放射線治療専門医、日本医師会認定産業医。

総ビリルビンとは?

総ビリルビンは、血液中に含まれる「ビリルビン」という物質の量を測定した値です。ビリルビンは、古くなった赤血球が分解される過程で生成される黄色い色素で、肝臓で処理された後に胆汁として排出され、脂肪の消化を助けます。ビリルビンには、肝臓で処理される前の「間接ビリルビン」と、肝臓で処理された後の「直接ビリルビン」の2種類があります。間接ビリルビンは水に溶けにくい性質を持ち、直接ビリルビンは肝臓で処理され、水に溶けやすい形に変換されます。これらを合わせたものが「総ビリルビン」です。
総ビリルビンの値は血液検査で簡単に測定でき、基準値は通常0.2-1.2mg/dLです。そして、肝臓や胆道の健康状態を評価する重要な指標となります。

総ビリルビンが高いとどうなる?

総ビリルビンの数値が高い場合は、肝臓の機能低下や胆のう・胆管の異常が原因である可能性があります。
実際に、数値が高くなると以下のような症状が現れることがあります。
・黄疸(おうだん)が発生する
・尿の色が濃くなる(オレンジ~茶褐色)
・疲れやすさやだるさが強い
・かゆみが出る
・腹痛や発熱

総ビリルビンが高い状態を放置すると、肝硬変などの重篤な疾患に進行する可能性があるため、早期の受診と適切な治療が重要です。ただし、検査結果が確認できなかった場合は、再検査を受けることをおすすめします。

総ビリルビンが高くなる原因

総ビリルビンが高値になる主な原因について解説します。

肝臓の病気

肝炎、肝硬変、肝がんなどの肝疾患は、肝臓の機能を低下させ、ビリルビンの処理がうまくいかなくなることがあります。特に、慢性肝炎や肝硬変では、肝細胞の破壊が進むため、ビリルビンの代謝が妨げられます。

胆道の病気

胆石や胆道閉塞、胆のう炎など、胆道に問題があると、ビリルビンがうまく排出されなくなり、総ビリルビン高値となる場合がみられます。胆道閉塞では、胆汁の流れが妨げられるため、ビリルビンが血液中に逆流し、黄疸やビリルビン尿などの症状が現れます。

溶血性貧血

赤血球が過剰に破壊される「溶血性貧血」を生じると、ビリルビンの量が肝臓の処理能力を超えて過剰に増加します。この場合、間接ビリルビンの値が特に上昇するのが特徴です。

遺伝性の病気

ジルベール症候群などの遺伝性の病気では、肝臓がビリルビンを処理する能力が部分的に欠如しています。そのため、血液中にビリルビンが蓄積して黄疸を引き起こす場合があります。この病気による肝機能障害は軽度で、通常は健康に重大な影響を与えることはありません。そのため、特別な治療は基本的に必要ありません。

薬の副作用

抗生物質、解熱鎮痛薬、精神神経系の薬、抗がん剤などの薬によって、肝機能障害が生じることがあります。これは「薬物性肝障害」と呼ばれ、総ビリルビンが高くなる原因となります。黄疸、尿の色の変化、腹痛、発熱などの症状がある場合は、肝臓や胆道の機能が低下している可能性があるため、専門医による診察を受けましょう。

総ビリルビンを下げる可能性の高い食べ物・食生活

総ビリルビンの値を下げるためには、食生活の見直しが非常に重要です。以下に、効果的な食べ物や食生活のポイントを解説します。

良質なタンパク質を摂る

ビリルビンは血液中のタンパク質であるアルブミンと結合して肝臓に運ばれて処理されます。そのため、タンパク質を意識して摂取することで、肝臓の修復や再生が期待されます。
さらに良質なタンパク質を摂取するとさらに効果が期待できます。
良質なタンパク質とは、体内で作り出すことのできない9種類のアミノ酸がバランス良く含まれたタンパク質のことです。肉類(牛肉、豚肉、鶏肉など)、魚介類、大豆製品、卵などがおすすめです。

野菜や果物を積極的に摂る

ほうれん草、ブロッコリー、ケールなどの緑黄色野菜や、リンゴやバナナなどの果物は、ビタミンやミネラルが豊富です。そのため、肝機能の改善が期待できます。さらに、食物繊維は胆汁の排出を促進するため、総ビリルビンを下げる効果が期待されます。
それ以外にも、植物に含まれるポリフェノールの一種である「フラボノイド」には抗酸化作用があるため、肝機能をサポートする可能性があります。

脂質を控える

脂質や糖質を摂りすぎると、肝臓への負担が大きくなり、肝臓に中性脂肪が蓄積される「脂肪肝」を引き起こす可能性があります。脂肪肝は、肝炎や肝硬変、さらには肝癌のリスクを高める原因となります。揚げ物や加工品(ベーコン、ウインナーなど)は脂質が多いため、摂取量に注意しましょう。

発酵食品を摂る

発酵食品に含まれる乳酸菌や酵素は、腸内環境を整え、肝臓への軽減が期待できます。発酵食品は、ヨーグルト、納豆、キムチ、味噌などがあるため、これらを積極的に取り入れましょう。

バランスの良い食事を意識する

主食(ご飯、パン、麺類)、主菜(肉、魚、卵、大豆製品)、副菜(野菜、きのこ、海藻)をバランス良く摂ることが重要です。偏った食事を避け、肝臓の健康を維持しましょう。

総ビリルビンの上昇を抑えるための予防法

総ビリルビンの上昇を抑え、肝臓や胆道の健康を維持するためには、食生活だけでなく、生活習慣全般を見直すことが重要です。以下に、具体的な予防法を解説します。

適度な運動を行う

定期的な運動は、肝臓の機能を向上させ、ビリルビンの代謝を促進する効果が期待されます。ウォーキングや軽いジョギングなどの有酸素運動を週3~4回、30~60分程度行うと効果的といわれています。ただし、激しい運動は逆に肝臓に負担をかけることがあるため、適度な強度を心がけましょう。

ストレスをためない

ストレスが続くと自律神経が乱れ、肝臓の血流が減少し、機能が低下することがあります。十分な睡眠やリラックスタイムを確保し、ストレスを軽減することが重要です。趣味や瞑想、深呼吸なども効果的です。

規則正しい生活リズムを保つ

不規則な生活リズムは、体の代謝を乱して、肝臓に負担をかけます。毎日同じ時間に起床・就寝し、3食きちんと食べることを心がけましょう。特に、夜遅い時間の食事は避け、20時までに夕食を終えることが理想的です。

アルコールを控える

アルコールは肝臓に大きな負担をかけ、ビリルビン値の上昇を引き起こす可能性があります。適量を守り、週に2日程度は休肝日を設けることが重要です。目安として、ビールは中瓶1本(500mL)、日本酒は1合(180mL)、ワインは2杯(200mL)までに抑えましょう。

定期的な健康診断を受ける

定期的に健康診断を受けることで、総ビリルビンの値や肝機能の変化を早期に把握できます。年に1回は血液検査を受け、肝臓や胆道の状態を確認しましょう。

健康診断・血液検査で「総ビリルビンが高い」と診断された場合に気をつけたい病気・疾患

ここではメディカルドック監修医が、「総ビリルビンが高い」に関する病気を紹介します。
どのような病気や症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

肝炎(ウイルス性肝炎、アルコール性肝炎など)

肝炎は、ウイルス感染やアルコールの過剰摂取によって肝臓に炎症が起こる病気です。肝臓の機能が低下し、ビリルビンの処理がうまくいかなくなります。主な症状として、倦怠感、食欲不振、黄疸、吐き気などが現れます。治療は、ウイルス性肝炎の場合は抗ウイルス薬、アルコール性肝炎の場合は禁酒が基本です。重症例ではステロイド治療も行われることがあります。

胆石症

胆石症は、胆汁の通り道である胆道(胆のうや胆管)に石ができる病気です。石が胆道を塞ぐと、ビリルビンがうまく排出されなくなり、総ビリルビンが高くなります。主な症状として、食後のみぞおち〜右上腹部の痛み、黄疸、発熱などが現れます。治療は、胆石の種類によって異なり、コレステロール結石の場合は薬物療法で溶解を試みることもあります。また、胆石の大きさや症状によっては外科的治療として手術が選択されることもあります。

肝硬変

肝硬変は、長期間にわたる肝臓の炎症や損傷が原因で、肝臓が硬く変化する病気です。肝硬変になると、肝臓の機能が著しく低下し、ビリルビンの処理が不十分になります。主な症状として、腹水、黄疸、倦怠感、食欲不振などが現れます。肝硬変は根本的な治療法がなく、進行を遅らせるための対症療法(食事療法・栄養療法など)が中心です。重症例では肝移植が検討されることもあります。

溶血性貧血

溶血性貧血は、赤血球が過剰に破壊されることで発症する貧血です。赤血球が破壊されると、ビリルビンが増加し、黄疸や茶褐色の尿が現れます。主な症状として、貧血、黄疸、倦怠感、動悸などが現れます。治療は、原因によって異なり、薬物療法や輸血が行われますが、免疫抑制剤や脾臓摘出術も選択されることがあります。

ジルベール症候群

ジルベール症候群は、肝臓がビリルビンを処理する能力が低下する遺伝性の病気です。一般的に症状は軽度で、特別な治療を必要としませんが、定期的な経過観察が推奨されます。主な症状として、軽度の黄疸や疲労感が現れることがあります。通常は治療を必要としませんが、症状が気になる場合は医師に相談しましょう。

「総ビリルビンを下げる食べ物」についてよくある質問

ここまで総ビリルビンを下げる食べ物について紹介しました。ここでは「総ビリルビンを下げる食べ物」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。

肝臓に悪い食べ物を3つ教えてください。

木村 香菜木村 香菜 医師

肝臓に負担をかける食べ物として、以下の3つが挙げられます。
・アルコール
・高脂肪食品
・加工食品
これらの食べ物を摂りすぎると、肝機能が低下し、総ビリルビンの値が上昇する可能性があるため注意が必要です。

肝機能を回復させる食べ物について教えてください。

木村 香菜木村 香菜 医師

肝機能を回復させるためには、以下のような食べ物がおすすめです。
・緑黄色野菜
・大豆製品
・魚
これらの食べ物を積極的に取り入れることで、肝機能の回復を促進し、総ビリルビンを下げる助けとなることが期待できます

まとめ

総ビリルビンが高い場合、体質的な要因のこともありますが、肝臓や胆道の病気が隠れている可能性もあります。黄疸や倦怠感、腹痛がある場合は、早めに消化器内科を受診しましょう。また、健康診断や人間ドックで総ビリルビンが高く要精密検査となった場合も、必ず医療機関で詳しい検査を受けることが大切です。

「総ビリルビン」の異常で考えられる病気

「総ビリルビン」から医師が考えられる病気は5個ほどあります。各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

消化器内科の病気

血液内科の病気

遺伝・代謝内科の病気

  • ジルベール症候群

総ビリルビンの異常が見つかった場合は、消化器内科を受診するのが一般的です。しかし、血液の異常が考えられる場合は血液内科、遺伝性の病気が疑われる場合は遺伝・代謝内科 の受診を検討しましょう。

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