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「尿酸値を下げる食べ物」はご存知ですか?予防法も医師が徹底解説!

 公開日:2024/11/27
「尿酸値を下げる食べ物」はご存知ですか?予防法も医師が徹底解説!

尿酸値を下げる食べ物とは?Medical DOC監修医がおすすめの食事や尿酸値が高いと診断された人が気をつけたい病気と予防法等を解説します。

伊藤 陽子

監修医師
伊藤 陽子(医師)

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浜松医科大学医学部卒業。腎臓・高血圧内科を専門とし、病院勤務を経て2019年中央林間さくら内科開業。相談しやすいクリニックを目指し、生活習慣病、腎臓病を中心に診療を行っている。医学博士、産業医、日本内科学会総合内科専門医、日本腎臓学会腎臓専門医、日本透析医学会透析専門医、日本東洋医学会漢方専門医、日本医師会認定産業医、公認心理師。

尿酸値とは?

尿酸値とは血液中の尿酸の値です。
尿酸とは何ですか?と思う方もいると思います。尿酸とはプリン体というエネルギーの原料となる物質が体内で代謝された後に残るものです。
尿酸値が7.0mg/dL以上となった時に高尿酸血症と診断します。
尿酸値が高くなる原因は、尿酸産生過剰・飲水不足などで尿酸の排泄力が弱い・それらの混合型です。
食事・飲酒・飲水量・運動習慣などの生活習慣や肥満や高血圧・脂質異常症・糖尿病などの生活習慣病が尿酸の産生や排泄に影響します。

尿酸値が高いとどうなる?痛風以外の病気の可能性も

尿酸値が高いまま放置すると、体内で尿酸が結晶化し、関節や臓器に沈着して痛風・尿路結石・腎臓病などを引き起こす危険があります。肥満・メタボリックシンドローム・高血圧・糖尿病・脂質異常症など生活習慣病を合併していると、動脈硬化がさらに進行しやすくなり心疾患や脳血管障害などの合併症のリスクが高まります。
尿酸値を下げる食べ物の摂取や尿酸値を上げやすい食べ物の制限など、生活習慣を改善して合併症のリスクを低減させましょう。

尿酸値の上昇を抑える、予防する食べ物・食生活

牛乳や乳製品を摂取しましょう

牛乳などの乳製品に含まれるカゼインやアミノ酸というたんぱく質は尿酸を排出する作用があります。牛乳や乳製品は尿をアルカリ化する作用もあり、尿酸の排泄を促します。
低脂肪や無脂肪の牛乳やヨーグルトの摂取がおすすめです。

野菜を摂取しましょう

野菜は尿をアルカリ化して尿酸を尿に溶けやすくし、排出されやすくなります。また、野菜はビタミンCを豊富に含んでいる食材です。ビタミンCは腎臓での尿酸再吸収抑制や排出促進効果があります。
特定の野菜にこだわらず、色々な野菜を毎食取り入れることがおすすめです。

海藻・きのこを摂取しましょう

海藻・きのこは尿をアルカリ化して尿酸を尿に溶けやすくし、排出されやすくなります。
ひじき・わかめやしいたけ・しめじなどを毎日取り入れることがおすすめです。

水分を摂取しましょう

十分な水分補給は尿量を増やし、尿酸の排出を促します。
日本痛風・尿酸核酸学会のガイドラインでは1日2000mLの尿量になるような飲水量を推奨しています。一度に大量に飲むと体に負担がかかってしまうため、こまめに補給をしましょう。
心臓病・腎臓病などで医師から飲水制限の指示がある場合は指示に従ってください。
水・麦茶・ほうじ茶などカフェインの含まれない飲み物がおすすめです。

DASH食・地中海食がおすすめです

DASH食とはアメリカで調査・研究され、高血圧の改善・予防に推奨されている食事法です。果物・野菜・ナッツ・低脂肪乳製品・全粒穀類・さや豆類を多く摂り、食塩・甘味飲料・肉類摂取を減らします。
地中海食とは地中海沿岸の伝統的な料理のことです。果物・野菜・ナッツ・豆類・全粒穀物・乳製品を毎日、魚を週に2回程度、肉類、甘味、菓子類の摂取を減らします。
DASH食や地中海食は尿酸値を下げる効果があると、日本痛風・核酸代謝学会のガイドラインで推奨されています。

「尿酸値を下げる」食べ物・飲み物はご存知ですか?病気についても医師が解説! | メディカルドック
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尿酸値を下げる予防法

肥満があれば解消しましょう

内臓脂肪蓄積型の肥満は、尿酸値を上げる原因となるだけでなく、糖尿病や高血圧などの生活習慣病を発症する危険因子です。BMI25以上の肥満があれば、体重を減らすことで尿酸値の低下が期待できます。標準体重(BMI22)までの減量が理想ですが、まずは現体重より少しでも減らしましょう。急激な減量は痛風発作の原因となることがあります。
体重の減少や尿酸の産生過剰予防には、摂取エネルギー・夕食の過食・嗜好品(飲酒や菓子やジュースなど)・間食や夜食などの食習慣を見直すことがおすすめです。
標準体重の方は現体重を維持しましょう。

BMIの計算式
BMI=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)
BMI18.5未満→やせ、18.5~25→普通体重、25以上→肥満

例)165cm、60kgの場合
60(kg)÷1.65(m)÷1.65(m)=22 
BMIが22となります。

飲酒量を適量にしましょう

ビールはプリン体を多く含むので、アルコールの中でも尿酸値を増加させやすいです。
しかし、ビール以外のプリン体を多く含まないアルコールも、体内で代謝される際にプリン体の分解が亢進し、尿酸値を上昇させます。また尿酸の排泄を低下させるため、尿酸値を上げやすくなります。
摂取量の目安は1日に日本酒なら1合、ビールなら350~500ml(メーカーによりプリン体の含有量が異なります。)、ウィスキーなら60mlが目安です。
飲酒量を適量にし、休肝日を週2日以上作ることをおすすめします。

プリン体の摂りすぎに注意しましょう

プリン体の過剰摂取は、体内での尿酸の過剰な産生に繋がり、尿酸値を上昇させます。
プリン体の摂取は1日400mg未満になるようにしましょう。
プリン体は肉類や魚類・レバーなどの内臓や白子などに多く含まれています。100g中の含有量が多くない場合でも、一度に多く摂取するとプリン体の摂取量も過剰になってしまうため、摂取量にも注意が必要です。

プリン体の摂取目安量
主食+主菜+副菜のような食事で主菜が肉や魚で80~100gの場合、プリン体量は140~180mgになります。主菜を納豆や豆腐や卵にすると、プリン体量は30~40mgとなります。
一日のプリン体量を400mg以下にするには、1食は納豆や豆腐や卵を主菜にした食事がおすすめです。
プリン体含有量一覧では納豆は中程度に分類されますが、1パック(30~40g)中のプリン体はおよそ34~45mgになります。

プリン体含有量一覧(100gあたり)

極めて多い(300mg~) 鶏レバー、干物(マイワシ)、白子(イサキ、ふぐ、たら)、あんこう(肝酒蒸し)、太刀魚、健康食品(DNA/RNA、ビール酵母、クロレラ、スピルリナ、ローヤルゼリー)など
多い(200~300mg) 豚レバー、牛レバー、カツオ、マイワシ、大正エビ、オキアミ、干物(マアジ、サンマ)など
中程度(100~200mg) 肉(豚、牛、鶏)類の多くの部位や魚類など、納豆、ほうれんそう、ブロッコリースプラウトなど
少ない(50~100mg) 肉類の一部(豚、牛、羊)、魚類の一部、加工肉類など、ほうれんそう(葉)、カリフラワー
極めて少ない(~50mg) 野菜類全般、米などの穀類、卵(鶏、うずら)、乳製品、豆類、きのこ類、豆腐、加工食品など

十分な水分補給をしましょう

十分な水分補給をすることで、尿酸の排出を促し尿酸値が低下します。尿量が1日2000ml以上になるように、水・お茶などカロリーがない飲み物を十分に摂りましょう。
コーヒーや紅茶、緑茶にはシュウ酸が多く含まれます。尿路結石の原因となる可能性があるため摂取量に注意が必要です。
ただし、心臓病や腎臓病があり医師から水分制限の指示がある場合は医師の指示に従いましょう。
水分補給にジュース・スポーツドリンク・果汁ジュース類はおすすめしません。果糖を多く含むものが多いため、尿酸値を上げやすく、カロリーオーバーの原因にもなるので控えた方がよいでしょう。

尿酸を排泄しやすい食品を多く摂りましょう

野菜・海藻・きのこはビタミンCを多く含み、尿をアルカリ化させる作用があります。これらを多く摂ることで、尿酸の排泄が高まり尿酸値が下がりやすくなります。
厚生労働省「健康日本21(第三次)」では、野菜・海藻・きのこの摂取目標は1日350gです。毎食120g程度食べることがおすすめです。

健康診断で「尿酸値が高い」と言われたら?医師が病気のリスクなどを徹底解説! | メディカルドック

健康診断・尿検査で「尿酸値が高い」と診断された場合に気をつけたい病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「尿酸値が高い」に関する病気を紹介します。
どのような病気や症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

高尿酸血症

高尿酸血症の基準値は、男女共に尿酸値が7.0mg/dL以上です。高血圧、肥満、脂質異常症や糖尿病などの生活習慣病を合併している方も多くみられます。
発症の原因は、肥満・過剰飲酒・飲水不足などの生活習慣や遺伝が影響します。また、腎機能の低下は、尿酸値が排泄されづらくなるため高値になりがちです。
肥満の解消・適正量の飲酒・十分な水分摂取・プリン体の摂取制限・夕食の過食や夜食を摂らない・尿をアルカリ化させる食品を多く摂るなど食生活の改善により、尿酸値の低下が期待できます。
生活習慣病や腎臓病などがある場合は薬物療法も考慮します。
健康診断などで尿酸値が高ければ、内科を受診をしましょう。

痛風

痛風とは慢性的な高尿酸血症が原因で、関節に尿酸結晶がたまり、炎症を起こして突然足の親指などに激痛、発赤、腫脹などを伴う病気です。発作的に起こるため、痛風発作といわれます。
治療法は高尿酸血症と同様の生活改善を行います。痛風発作が持続している間は禁酒が必要です。痛風発作がある時は痛み止めの薬を使用します。食生活の改善などで尿酸値が低下しない場合は薬物治療を検討します。
突然痛みがでるなど痛風発作の疑いがある場合は整形外科や内科を受診しましょう。

痛風の症状や原因、治療方法とは? | メディカルドック

尿路結石

尿路結石とは、尿路(腎臓・尿管・尿道・膀胱)に結石ができて尿の停留や細菌感染が起こり、激痛を生じる、血尿が出るなど様々な症状を引き起こす病気です。
遺伝・高尿酸血症・肥満や食習慣などが発症の危険因子です。
再発予防として、1日2000mL以上の飲水・動物性たんぱく質・脂質・シュウ酸・プリン体の制限・減塩・カルシウムを一定量(600~800mg/日)摂取する・肥満の解消・適度な運動など、食事や生活習慣の改善を行います。
シュウ酸とはほうれん草・たけのこなどの野菜・チョコレート・コーヒー・紅茶・緑茶などに多く含まれています。シュウ酸は水溶性のため、野菜類は茹でこぼすことがおすすめです。
基礎疾患などがあり、再発の高リスクの場合は薬物療法を行う場合もあります。
結石が自然に排出されない場合は、薬物による溶解や粉砕術や内視鏡手術で摘出します。
痛みや血尿がある場合はすみやかに泌尿器科を受診しましょう。

糖尿病

糖尿病とは血糖を下げるインスリンというホルモンの作用不足により、高血糖が続く病気です。遺伝や食生活や運動習慣などの環境因子が主な発症原因です。
高血糖が持続すると動脈硬化が進行し、合併症を起こしやすくします。網膜症・腎症・神経障害が糖尿病特有の三大合併症です。他にも心疾患・脳梗塞・認知症などの合併症を起こすリスクが高くなります。
治療は食事療法と運動療法が基本です。食事療法と運動療法だけでは血糖コントロールが困難な場合は薬物療法を併用します。
健康診断などで血糖など糖の項目が高値であったり、急激な体重減少・口渇・尿量の増加・倦怠感などの症状がある場合はすみやかに一般内科を受診しましょう。

糖尿病の症状や原因、治療方法とは | メディカルドック

脂質異常症

脂質異常症は、食べ過ぎ・肥満・過度の飲酒・運動不足やホルモンバランスの変化などが主な原因で、脂質の代謝異常の状態です。
脂質異常症が持続すると動脈硬化を進行させ、脳梗塞・狭心症・心筋梗塞・など合併症を起こす危険因子になります。
LDLコレステロールが140mg/dL以上、HDLコレステロールが40mg/dL未満、中性脂肪(空腹時)150mg/dL以上が診断基準です。

摂取エネルギーを適量にする・飽和脂肪酸やコレステロールの摂取制限・食物繊維を多く摂る・運動の習慣化など、生活習慣の改善を行います。食事・運動療法を行っても効果が不十分な場合は薬も併用していきます。
健康診断などでコレステロールが高いと指摘されたらすみやかに一般内科を受診しましょう。

「尿酸値を下げる食べ物」についてよくある質問

ここまで尿酸値を下げる食べ物について紹介しました。ここでは「尿酸値を下げる食べ物」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

トマトを摂取することで尿酸値を下げることはできるのでしょうか?

伊藤 陽子医師伊藤 陽子(医師)

トマトはビタミンCを多く含む食品であり、アルカリ性食品です。ビタミンCやアルカリ性食品の摂取は尿酸値の低下が期待できます。他の野菜・海藻・きのこもアルカリ性食品で、ビタミンCを含みます。トマトだけではなく、色々な野菜・海藻・きのこを摂取することがおすすめです。

プリン体が少ない食事を心掛ければ尿酸値は下がりますか?

伊藤 陽子医師伊藤 陽子(医師)

プリン体の過剰摂取は、体内での尿酸を過剰に産生し、尿酸値を上げる原因となります。尿酸は肥満(摂取エネルギーの過剰)や過剰飲酒などでも産生されます。
プリン体の少ない食事を心掛けるだけではなく、適正量のエネルギー摂取や適量の飲酒量にして、尿酸の産生が過剰にならないような食生活がおすすめです。

まとめ 尿酸値を下げる食べ物を知って痛風予防

尿酸値が慢性的に高い状態が続くと、痛風発作を起こしたり、腎臓病や生活習慣病の発症、心疾患や脳血管障害を引き起こすリスクになります。
尿酸値高値を指摘されたら、自覚症状がないからと放置せず、肥満の解消や食生活の見直しをし、早めに医療機関を受診することをおすすめします。

「尿酸値」の異常で考えられる病気

「尿酸値」から医師が考えられる病気は4個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

整形外科の病気

腎臓内科の病気

  • 腎臓病

泌尿器科の病気

慢性的に尿酸値が高い状態は、結石の関節や臓器への沈着が起こりやすくなり、痛風や腎臓病など他の病気を引き起こすリスクになります。尿酸値が高い人は肥満や他の生活習慣病を合併していることも少なくないため、動脈硬化が進みやすく、心疾患や脳血管障害を引き起こす危険があります。
健康診断などで尿酸値の高値を指摘されたら、早めに医療機関を受診しましょう。

この記事の監修医師