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「貧血検査」の数値や見方は?検査で引っかかる理由は?医師が徹底解説!

 更新日:2023/12/13
「貧血検査」の数値や見方は?検査で引っかかる理由は?医師が徹底解説!

貧血検査とは?Medical DOC監修医が赤血球・ヘモグロビン・鉄・フェリチンなど診断結果の見方と貧血の種類や改善方法等を詳しく解説します。

小正 晃裕

監修医師
小正 晃裕(医師)

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京都大学医学部卒業。循環器内科・臨床不整脈を専門とし、これまで関西電力病院、京都大学医学部附属病院などで勤務。主にカテーテルアブレーション、不整脈デバイス診療に従事。現在は大手企業の専属産業医、複数クリニックで内科外来業務に従事しながら医療DX推進に向けて複数事業を運営中。日本内科学会認定内科医、日本循環器学会認定循環器専門医、日本不整脈心電学会認定不整脈専門医、日本医師会認定産業医。

血液の健康状態がわかる貧血検査とは?

貧血検査は、我々の身体の健康状態を明らかにする重要な診断ツールです。血液は、体内を流れる赤血球、白血球、そして血小板といった主要な成分から構成され、それぞれが独自の重要な役割を果たしています。赤血球は酸素を運ぶ役割を担い、白血球は身体を感染から守り、血小板は出血を止める助けとなります。
貧血は主に赤血球の数やヘモグロビン(血色素量)の量の減少によって特徴付けられ、これは身体の各部位への酸素供給が不十分であることを意味します。貧血検査は、血液の基本的な成分を評価し、特に赤血球の数量やヘモグロビンのレベルを測定することで、貧血の存在と程度を判断します。この検査により、貧血の原因を特定し、適切な治療計画を立てることが可能になります。

貧血検査とはどんな検査?

貧血検査は、血液検体を通じて赤血球の数やヘモグロビン(Hb)、ヘマトクリット(Ht)の量を測定する検査です。採血は主に腕の内側の静脈から行われることが多く、多くの場合非常に短時間で行われます。
採取された血液検体を通じて赤血球の数、ヘモグロビンの量、ヘマトクリットのパーセンテージを測定します。これらの値から貧血の程度を評価し、その原因を突き止める手助けとなります。たとえば、ヘモグロビンは赤血球内の酸素運搬タンパク質であり、その量は体内の酸素運搬能力を示しています。ヘマトクリットは、血液中の赤血球の体積を示し、低い値は貧血を示す可能性があります。
貧血検査は、貧血の診断だけでなく、他の血液関連の病気や状態の検出にも有用です。そして、適切な治療や管理計画を立てるための重要なデータとなります。

貧血検査で体の何がわかる?

貧血検査は、血液の基本的な成分、特に赤血球の数やヘモグロビンの量、ヘマトクリットのパーセンテージを測定し、体内の酸素運搬能力を評価することができます。これらの値は、身体が十分な酸素を組織や器官に運んでいるかどうかを示す重要な指標です。貧血は赤血球の数やヘモグロビンの量が低下することによって特徴付けられ、これが身体の各部位への酸素供給が不十分であることを意味します。
また、貧血検査は貧血の種類や原因を特定する助けにもなります。たとえば、鉄欠乏性貧血、ビタミンB12欠乏性貧血、慢性疾患に関連する貧血などがあります。貧血検査はこれらの状態を区別し、適切な治療法を導き出すための第一歩となります。
貧血検査はさらに、赤血球の形や大きさなどを評価することも可能で、これらの情報は貧血の原因をさらに特定する助けとなります。たとえば、赤血球が通常よりも小さい場合、鉄欠乏性貧血の可能性があります。これらの情報は、貧血の治療や管理の計画を立てる際に重要です。

貧血検査の費用は?

貧血検査の費用は検査を受ける際の健康保険の加入有無やどの程度精密な検査を行うかによって自己負担額が異なりますが、一般的な貧血検査のための採血であれば、自己負担額は3割負担の場合に1,500~3,000円程度となることが多いです​。

貧血検査前日や当日の注意点

貧血検査を受ける前日や当日には、特定の食事制限が求められることは少ないですが、アルコールの摂取は控えめにすることが推奨されます。また、十分な睡眠とリラックスを確保することが重要であり、ストレスを避けることも大切です。採血前には適切な水分摂取が推奨されます。また、検査前に医師の指示をよく理解し、疑問がある場合は医師に相談することが大切です。

貧血検査結果の見方とヘモグロビン・ヘマトクリット等の基準値・精密検査が必要な数値

ここまでは貧血検査について基本的なことを紹介しました。
再検査・精密検査を受診した方が良い結果がいくつかあります。
以下のような診断結果の場合にはすぐに病院に受診しましょう。

貧血検査結果の見方と主な所見

貧血検査の結果は、主に赤血球数やヘモグロビン(Hb)、ヘマトクリット(Ht)の値によって評価されます。ヘモグロビンは血液中の酸素を運搬するために重要で、ヘマトクリットは赤血球の容積を示します。通常の範囲外の値は貧血の兆候であり、さらなる評価や治療が必要かもしれません。
貧血の程度は軽度から重症まで変わり、これらの数値とその他所見も含めて医師の診断によって判断されます。また、貧血のタイプも重要で、鉄欠乏性貧血や慢性疾患に関連する貧血など、異なる原因によって貧血が起こる可能性があります。

検査項目 基準値 検査項目の説明
成人男性 成人女性
赤血球数(/μL) 427-570万 376-500万 血液中の赤血球の総数
ヘモグロビン(g/dL) 14-18 12-16 血液中のヘモグロビンの量
ヘマトクリット(%) 40-52 33.5-45 血液全体における赤血球容積の割合

貧血検査のヘモグロビン・ヘマトクリット等の異常値と精密検査内容

貧血検査でヘモグロビンやヘマトクリットの異常値が見つかった場合、さらなる精密検査が推奨されることがあります。これらの精密検査は、貧血の原因を特定し、適切な治療計画を立てるために重要です。精密検査には、鉄分(血清鉄やフェリチン)、ビタミンB12や葉酸のレベルの測定、骨髄検査などが含まれることがあります。検査費用は保険が適用されるかどうかによって異なり、再検査・精密検査は主治医の指示にもとづいて行われます。再検査・精密検査の緊急度は、患者の症状や初期検査結果によって決まり、再検査結果に応じて鉄剤やビタミンの補給、他の治療が必要となります。

「貧血検査」で発見できる病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「貧血検査」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

鉄欠乏性貧血

鉄欠乏性貧血は、体内の鉄の不足により赤血球の生成が十分でなくなる状態です。主な原因は鉄の摂取不足、吸収不良、または出血です。対処法としては、鉄分を豊富に含む食品の摂取や鉄剤の投与があります。
重症化すると動悸や息切れが生じ、日常生活に影響をもたらすため、病院への受診が必要となります。初期段階では、一般内科への受診が推奨され、精密検査で鉄欠乏性貧血と判明すれば、速やかに適切な治療を受けることが重要です。

鉄芽球性貧血

鉄芽球性貧血は、鉄利用障害によって正常な赤血球が生成されなくなる病気です。骨髄異形成症候群という病気に合併することが多く、その他には遺伝的要因や一部の薬剤が関与することがあります。
対処法は、原因物質の中止やビタミン・ミネラルの補充などです。症状が出た時点で速やかに病院を受診することが重要で、精密検査では主に血液内科に受診します。適切な治療を受けることが重要で、治療の選択肢や進行状況は定期的な医師の診察と相談しながら進めます。

溶血性貧血

溶血性貧血は、赤血球が異常に早く壊れることで起こる病気です。原因は遺伝的要因や自己免疫疾患、特定の薬物反応など多岐にわたります。治療法は原因により異なりますが、輸血や免疫抑制剤、脾臓摘出術などが選択されることがあります。症状が現れた場合、内科や血液内科を受診することが推奨されます。医師の指導に従って適切な治療を受けることが重要で、病状の進行や治療の効果によって治療計画は変更されることがあります。

再生不良性貧血

再生不良性貧血は、骨髄が血液成分を十分に生産しなくなり血液中の白血球、赤血球、血小板の全てが減少する病気です。原因は遺伝や薬剤、放射線などがあります。治療法は骨髄移植や免疫抑制療法などがあります。症状が現れたら血液内科を受診し、医師の指示に従って治療を受けることが重要です。再生不良性貧血は進行が早い病気ですが、早期に適切な治療を受けることで予後が改善される可能性があります。

多血症

多血症は、赤血球の数が通常よりも異常に多くなる状態を指します。原因は遺伝子異常や高地に住むこと、喫煙、肺疾患や悪性腫瘍などがあります。治療法は、定期的な血液の抜き取り(瀉血)や薬物療法があります。症状が現れたら、内科や血液内科を受診することが推奨されます。医師の指示に従い、適切な治療を受けることが重要です。多血症は、適切な管理と治療を行うことで、生活の質を維持し、合併症を予防することが可能です。

「貧血検査」で引っかかる理由は?貧血は改善できる?

貧血検査で引っかかる主な理由は、ヘモグロビンやヘマトクリットの値が基準値以下であることです。これは鉄欠乏、ビタミンB12や葉酸の不足、慢性疾患、出血、骨髄の問題などが原因で起こります。貧血の症状にはふらつきや息切れなどがあり、改善するには原因に対する適切な治療と健康的な食生活や生活習慣の改善が求められます。症状が続く場合や重症の貧血の場合には、その他疾患の有無や治療疱疹について専門科の医師の診断が必要です。

「貧血検査」についてよくある質問

ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「貧血検査」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

貧血検査の結果はすぐわかりますか?

小正 晃裕小正 晃裕 医師

貧血検査の結果は通常、検査当日から数日以内にわかります。しかし、結果が得られるまでの期間は検査を行った医療機関や検査の混雑状況によって異なることがあります。緊急性が求められる場合や指定の医療機関であれば、数時間で結果が出ることもあります。検査結果の受け取りについては、医師やスタッフに確認してください。

健康診断以外で貧血検査は何科の病院で受けることができますか?

小正 晃裕小正 晃裕 医師

貧血検査は一般的に内科や血液内科で受けることができます。また、婦人科での検査や小児科での子供向けの検査も行われることがあります。貧血の症状がある場合や貧血を疑う場合は、最寄りの内科や血液内科を受診し、医師の指示に従って貧血検査を受けることが推奨されます。

貧血検査を女性が生理中に受けると結果に影響はありますか?

小正 晃裕小正 晃裕 医師

生理中は血液の量が一時的に減少するため、貧血検査の結果に影響を与える可能性があります。特に、ヘモグロビンやヘマトクリット値が普段よりも低く測定される可能性が高くなります。そのため、可能なら生理中の貧血検査は避け、生理が終わってから検査を受けることが推奨されます。また、生理中に貧血検査を受ける場合は、医師に生理中であることを伝えることが重要です。

貧血検査の前は食事を抜いたほうがいいですか?

小正 晃裕小正 晃裕 医師

貧血検査の前に食事を抜く必要は基本的にはありませんが、医師や検査施設の指示に従ってください。一部の血液検査では食事を抜くことが求められる場合があります。

貧血検査を受けると自分がどんなタイプの貧血持ちかわかりますか?

小正 晃裕小正 晃裕 医師

貧血検査では、ヘモグロビンやヘマトクリットの値を通じて貧血の有無を判別できます。しかし、具体的な貧血のタイプや原因を知るためには、さらなる詳細な検査が必要となることが多いです。貧血のタイプを特定するには、鉄分、ビタミンB12、葉酸値の確認や必要に応じて骨髄検査など、さまざまな補足の検査が行われることがあります。

血液検査・貧血検査で貧血と診断されたら治療は可能ですか?

小正 晃裕小正 晃裕 医師

貧血のタイプや原因によって治療法は異なります。原因が特定された軽度の貧血であれば内服薬や食事療法で治療可能ですが、重度の貧血や特定の種類の貧血の場合は、輸血や骨髄移植が必要なこともあります。いずれにせよ医師の指示に従って適切な治療を受けることで、貧血症状改善や生活の質向上が期待できます。

まとめ「貧血検査」で鉄欠乏性貧血を早期発見!

貧血検査は、血液の健康状態を評価し、貧血の存在や種類を特定する検査です。
貧血は多くの病気や疾患の初期兆候であり、早期に発見することが重要です。また、貧血のタイプによっては治療が可能で、適切な治療を受けることで生活の質を向上させることが可能です。日常生活での疲れやすさや息切れ、手足の冷えなどの症状がある場合には貧血検査を受けるようにしましょう。貧血検査を受けることで、自身の健康状態をより良く理解し、必要に応じて医師のアドバイスを受け、早期治療を受けることが可能となります。

「貧血検査」の異常で考えられる病気

「貧血検査」から医師が考えられる病気は5個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

循環器系の病気

婦人科の病気

内科の病気

貧血は症状だけでの診断は困難であり、診察所見および血液検査の結果で判断されます。貧血の種類によって必要となる治療は大きく異なるほか、他の疾患の一症状として貧血を認めたり、貧血が他の疾患の引き金になることもあるため、貧血による症状以外の症状がないか確認することが大切です。

この記事の監修医師