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「胃がん検診」の検査内容や癌以外に発見できる病気など医師が徹底解説!

 公開日:2023/10/12
「胃がん検診」の検査内容や癌以外に発見できる病気など医師が徹底解説!

胃がん検診は癌以外もわかる?Medical DOC監修医が消化器内科や健康診断の胃がん検診で発見できる病気や検査結果の見方・再検査の内容などを解説します。

木村 香菜

監修医師
木村 香菜(医師)

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名古屋大学医学部卒業。初期臨床研修修了後、大学病院や、がんセンターなどで放射線科一般・治療分野で勤務。その後、行政機関で、感染症対策等主査としても勤務。その際には、新型コロナウイルス感染症にも対応。現在は、主に健診クリニックで、人間ドックや健康診断の診察や説明、生活習慣指導を担当している。また放射線治療医として、がん治療にも携わっている。放射線治療専門医、日本医師会認定産業医。

胃がん検診とは?

胃がん検診は、胃がんを早期発見し、適切な治療を行うことで、がんによる死亡を減少させることを目標としています。
この記事では、胃がん検診のやり方や費用などについて解説していきます。

胃がん検診とはどんな検査?

胃がん検診は「有効性評価に基づく胃がん検診ガイドライン」という厚生労働省ではなく国立がん予防・検診研究センターから刊行されているガイドラインによって、胃部X線検査または胃内視鏡検査(胃カメラ検査)が推奨されています。

胃がん検診の費用・保険適用の有無

胃がん検診は、基本的には症状が特にない健康な方が受けるものなので、保険適用にはならない場合が多いと考えられます。
市町村ではがん検診の費用の多くを公費で負担しており、一部の自己負担で検診を受けることができます。

胃がん検診はいつから・何歳からどれくらいの頻度で受けるべき?

胃がん検診の対象者は、男女ともに50歳以上の人で、検診の間隔・頻度は2年に一度です。ただし、何歳から受けた方が良いかについて、胃部X線検査に関しては、当分の間、40歳以上の者を対象としても差し支えない、と厚生労働省から指針がでています。
ただし、20代〜30代の若い世代でも胃がんが発生する場合はもちろんありますので、気になる症状がある、心配だ、という場合は希望に応じて胃がん検診を受診することも可能です。胃がんのリスクが血液検査でわかるABC分類といった検査も方法もあるので、検討してみると良いでしょう。

胃がん検診の前日の注意点

バリウム検査の前日の食事は午後10時以降まで。胃内視鏡検査の場合は午後9時以降は食事を摂ってはいけません。

胃がん検診の種類と違い

胃がん検診には胃X線検査(バリウム)と胃内視鏡検査の二つが推奨されています。

胃X線検査(バリウム)による胃がん検診

胃X線検査(バリウム)検査は飲んだバリウムを胃の中に薄く広げて、胃の形や表面の凹凸をレントゲンで観察するものです。
実際に検査を行うのは、医師ではなく検査技師の場合が多いです。なお、胃がん検診専門技師特定という認定資格もあります。
服装としては、金属(ブラジャーのワイヤーやアクセサリー)などがないようにします。
バリウム検査は手軽にできるなどのメリットがありますが、少量ではあるものの放射線被ばくがあります。また、バリウム内服による一時的な下痢といった副作用もあります。

胃内視鏡検査による胃がん検診

内視鏡検査は先端についた小型カメラで胃の中を直接観察するもので、医師が行います。
胃内視鏡には、早期の胃がん病変の指摘に優れているというメリットがあります。さらに「がん」が疑われたら、その病変の組織を一部採取して、病理診断をすることで悪性かどうかの確定診断をつけることができます。一方デメリットとしては、喉の麻酔薬によるショックや生検(組織採取)による出血、内視鏡による粘膜の損傷や出血、穿孔があり、鼻からの内視鏡では鼻出血がみられることもあります。費用面では、バリウム検査よりも高額に設定されている場合が多いようです。

胃がん検診の結果の見方と要精密検査と言われたら

ここまでは肺がん検診について基本的なことを紹介しました。
再検査・精密検査を受診した方が良い結果がいくつかあります。
以下のような診断結果の場合にはすぐに病院に受診しましょう。

胃がん検診の結果・判定の見方

胃X線検査(バリウム)での検診のカテゴリー分類は以下のようになっています。
管理区分は基本的に精検該当(要精検)と精検不要の2つとなります。
精検不要者には必要に応じてH.pylori感染や除菌治療の情報提供・啓発などが行われます。

カテゴリー カテゴリーの説明 管理区分
1 胃炎・萎縮のない胃 精検不要
2 慢性胃炎を含む良性病変 精検不要
3a 存在が確実でほぼ良性だが、精検が必要 要精検
3b 存在または質的診断が困難な所見 要精検
4 存在が確実で悪性を疑う 要精検
5 ほぼ悪性と断定できる 要精検

一方、胃内視鏡検査の場合は、以下のようなカテゴリー分類がなされます。

カテゴリー 判定区分
A 異常なし
B 軽度異常
C 要経過観察・要再検査・生活指導
D1 要治療
D2 要生検
E 治療中

胃がん検診の再検査・精密検査内容

胃がんで要精密検査、つまり「引っかかった」場合には、精密検査を必ず受けるようにしましょう。
精密検査の方法には、内視鏡検査や病理検査・病理診断などがあります。
内視鏡検査の生検で採取した組織に、がん細胞があるかどうかなどを調べることを病理検査といいます。精密検査を受ける場合は、消化器科のある専門医療機関を受診しましょう。再検査の費用は、保険診療となりますので加入している保険によって自己負担額が変わります。
胃がん検診の要精密検査になった場合に胃がんが見つかる確率については、検診受診者のうち、6.78%の方が要精密検査となり、要精密検査者の1.50%の方から胃がんが発見されたという調査もあります。

胃がん検診でわかる病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「胃がん検診」で発見できる病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

胃がん

胃がんは、胃の壁の内側をおおう粘膜の細胞が何らかの原因でがん細胞となるもので、ヘリコバクターピロリの感染が発症の原因の一つとして考えられています。
胃がんは、早期の段階では自覚症状がほとんどなく、かなり進行しても症状がない場合もあります。代表的な症状は、胃の痛み・不快感・違和感、胸やけ、吐き気、食欲不振、貧血、黒い便(血便)が出ることなどがあります。食事が喉を通らない、痩せていく、といった症状がある場合は、進行胃がんの可能性もあります。このような症状がある場合は、内科や消化器内科などの身近な医療機関を受診するようにしましょう。

胃潰瘍

胃潰瘍は、胃から分泌される胃酸と、胃酸から胃壁を守る粘液の分泌のバランスが崩れ、胃酸によって胃壁が傷つき、痛みを感じたり出血を起こしたりする病気のことです。
喫煙やヘリコバクター・ピロリ菌への感染、非ステロイド消炎鎮痛薬(NSAID)の内服、ストレスやお酒の飲み過ぎも胃潰瘍との関連が深いと考えられています。
症状としては、みぞおちの痛みや背部痛、食欲不振、悪心、黒い便などがあります。こうした症状がでた場合には、消化器内科を受診するようにしましょう。

胃ポリープ

病気の内容、発症の原因胃のポリープは、胃の上皮から発生した良性の隆起性病変、つまり小さな山のようになっている病変のことをいいます。一般的に症状は出ず、胃がん検診などで発見されることが多いと考えられます。出血しているものや悪性が疑われるものでなければ、基本的には1年に1回の内視鏡検査を受けるようにすればよいでしょう。

「胃がん検診」についてよくある質問

ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「胃がん検診」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

胃がん検診は何歳から受けた方がいいですか?

木村 香菜木村 香菜 医師

男女ともに、50歳以上になったら受けましょう。胃部X線検査のみ受診対象年齢が40歳以上となっています。

胃がん検診はどのくらいの頻度で受けるべきですか?

木村 香菜木村 香菜 医師

1年もしくは2年に一度の頻度で受けるように推奨されていますが、症状がある場合には検診を待たずに医療機関を受診しましょう。

胃がん検診は胃がん以外の病気もわかりますか?

木村 香菜木村 香菜 医師

胃がん検診では、胃のポリープや胃潰瘍、胃炎などがわかることもあります。

胃がん検診がはじめてなのですがバリウムを飲むのでしょうか?

木村 香菜木村 香菜 医師

胃X線検査(バリウム)か、胃内視鏡検査のどちらかを受けるようにすれば良いかと考えられます。両者にはメリット・デメリットがあります。それらを把握した上で、どちらを受けるのか判断しましょう。

胃がん検診は胃X線検査と胃内視鏡検査どちらも受けた方がいいですか?

木村 香菜木村 香菜 医師

基本的には、どちらかの検査で問題ないでしょう。ただし、過形成性ポリープなどの所見がある場合には、胃の内視鏡検査を受けたほうが良いでしょう。

胃がん検診の費用は保険適用されますか?

木村 香菜木村 香菜 医師

胃がん検診は症状がない方が受けることが前提なので、保険適用とはならないケースが多いと考えられます。

まとめ 「胃がん検診」で胃がんを早期発見!

胃がんは、他のがんと同様に早期の段階では症状が出ない場合もあります。場合によってはかなり進んだ段階でも症状が特にない、ということも珍しくありません。そのため、胃がん検診の必要性は高いといえるでしょう。また、胃がん検診では、胃がん以外の病気が見つかることもあります。
1年ないしは2年に1回の胃がん検診を受け、胃がんの早期発見・早期治療を目指しましょう。

「胃がん検診」の異常で考えられる病気

「胃がん検診」から医師が考えられる病気は4個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

消化器の病気

これらの胃の病気は、症状がない場合もありますので、胃がん検診を定期的に受けてチェックをすることが大切です。

この記事の監修医師