目次 -INDEX-

  1. Medical DOCTOP
  2. 医科TOP
  3. 闘病体験
  4. 「がん」の闘病体験
  5. 【闘病】”たかが鼻血”はステージ4『鼻副鼻腔がん』だった 嗅覚失い「もっと検査が早ければ…」

【闘病】”たかが鼻血”はステージ4『鼻副鼻腔がん』だった 嗅覚失い「もっと検査が早ければ…」(1/2ページ)

 更新日:2025/10/30
【闘病】たかが鼻血がステージ4『鼻副鼻腔がん』だった 嗅覚失い「もっと検査が早ければ…」

がんは体の様々な部分に発生します。森さんは頻繁に出る鼻血に異変を感じ、かかりつけ医に検査を強く希望しました。その後、鼻副鼻腔がんと診断されました。鼻副鼻腔がんは初期症状が出づらく、痛みを伴わないため、進行した状態で受診する人が多いそうです。このがんによって嗅覚を失った森さんに、これまでの体験を語ってもらいました。

※本記事は、個人の感想・体験に基づいた内容となっています。2024年12月取材。

森綾子さん

体験者プロフィール
森 綾子

プロフィールをもっと見る

神奈川県横須賀市在住、1986年生まれ。診断時はパートをしていたが、現在は家事や育児をしながらゆっくりと過ごしている。2024年6月に鼻副鼻腔がんと判明し、7月にCT、MRI、PET-CT、リンパ節エコーなどの検査をおこない、8月にがん摘出手術を受ける。がんを取り除き追加の化学療法はおこなわず、飲み薬を服用しながら通院中。

小柏 靖直

記事監修医師
小柏 靖直(上福岡総合病院)
※先生は記事を監修した医師であり、闘病者の担当医ではありません。

症状を軽視せず早めに受診することが大切

症状を軽視せず早めに受診することが大切

編集部編集部

病気が判明した経緯やきっかけについて教えてください。

森綾子さん森さん

2023年の春頃から副鼻腔炎を繰り返し、近所の耳鼻科に通っていました。鼻詰まりなどはそこまでつらくなかったのですが、その年の夏頃から鼻血がたびたび出るようになりました。洗顔時や、鼻をかむと血が混じるようになりました。ほぼ毎日出血していましたね。自分なりに調べると「長引く鼻血は要注意」とあったので少し怖くなり、かかりつけ医の先生に話したのですが、アレルギーやカビが原因のこともあるという説明で、検査はしてもらえませんでした。

編集部編集部

それ以外の症状はありましたか?

森綾子さん森さん

2024年の春頃から家族が感じるにおいが私には鈍く感じられるようになり、食べ物の味もよく分からなくなりました。猫のトイレのにおいも分からず、パンを焦がしても気づきませんでした。これはおかしいと思い、耳鼻科の先生に強く訴えてやっと検査をすることになりました。鼻の内視鏡で内部を見たところ、右側にポリープのようなものがありそうだとのことで、レントゲンを撮りました。白い影があったので、総合病院でCTを取るため紹介状を書いてもらいました。においが分からない原因も、おそらくこのポリープが匂いを感じる神経を圧迫しているからだろうという見解でした。

編集部編集部

その後はどうなりましたか?

森綾子さん森さん

総合病院でのCTの結果もポリープがあるかもとのことでした。内視鏡でもポリープのような物が見えたので、念のため一部組織を取って病理検査に出しました。その結果、悪性腫瘍だということが分かり、すぐに市外の大学病院に転院することになりました。

編集部編集部

病気が判明したときの心境について教えてください。

森綾子さん森さん

ポリープを取り除くかを決める気持ちで来院したので、主治医の先生に「がんです」と言われたときは、他人事のように感じました。何かの間違いではないかとも思い、本当にがんなのか聞き直しました。「信じられない」というのが正直な気持ちだったと思います。

10時間以上の手術と術後の痛み

10時間以上の手術と術後の痛み

編集部編集部

実際にどのような治療をされましたか?

森綾子さん森さん

私の場合は化学療法よりも手術で取り除くのがよいとのことでした。がんが脳の近くまで浸潤していて、鼻からだけではなく脳外科手術も組み合わせての手術となりました。術前検査としては、数回のCT、MRI、血液検査、他臓器への転移がないか調べるPET-CT検査、リンパ節への転移がないかを調べるエコーなどです。幸い、転移などはありませんでした。

編集部編集部

医師から説明を受けたときの印象はどうでしたか?

森綾子さん森さん

手術はできるのか、転移はないかなどを聞くため、診察室に入ったときは怖すぎて夫婦で震えていました。入った瞬間は医療ドラマで見るような感じでお医者さんがずらっと並んでいて、もうダメかもと思いました。手術は10時間以上かかること、嗅神経ごと取り除くため、一生涯においが分からなくなる(嗅覚脱失)ことやリスクなどの説明を受けました。ふわふわしていて半分以上は頭に入らなかったと思います。

編集部編集部

手術前後の様子をお聞かせください。

森綾子さん森さん

手術当日は心細くて涙が出ました。コロナが再流行していたこともあり、家族にも面会できませんでした。麻酔から目覚めるとバットで頭を殴られたくらいの痛みに加え、吐き気と背中から腰にかけても激痛がありました。その日は鼻に詰め物をしているので口呼吸しかできず、喉が渇いても水が飲めなくて本当につらかったです。その痛みは3日間くらい続きました。また術後2日目に、目がパンパンに腫れて物が二重に見えるようになってしまいました。原因は脳外科手術の影響かもしれないとのことでした。

編集部編集部

術後の痛みや症状が大変だったのですね。退院まではいかがでしたか?

森綾子さん森さん

術後4~5日目から少しずつ痛みが落ち着いて頭も動かせるようになり、普通食も食べられるようになりました。ほとんど味が分からないのですが、最初に出たビーフシチューが本当においしかったのを覚えています。

嗅覚を失うという悲しさ

この記事の監修医師