1. Medical DOCTOP
  2. 医科TOP
  3. コラム(医科)
  4. 佐藤B作、胃がん手術後に「まさかの食道がん」発覚… 死を覚悟した壮絶闘病

佐藤B作、胃がん手術後に「まさかの食道がん」発覚… 死を覚悟した壮絶闘病(2/2ページ)

 公開日:2025/03/21

佐藤B作「食道がん」で止まらぬ試練。辛すぎる2度目の闘病生活

佐藤B作「食道がん」で止まらぬ試練。辛すぎる2度目の闘病生活

角田卓也先生角田先生

いつ頃、食道のがんが見つかったのですか?

佐藤B作さん佐藤さん

手術をしてから1年後の検診の際に指摘されました。

角田卓也先生角田先生

そうなのですね。さまざまな可能性が考えられますが、初期の食道がんなのではないかと考えられます。がんが転移する場合には主に3つの経路があり、血液やリンパを介して広がる経路と、播種(はしゅ)といって、がん細胞が直接周囲の臓器に広がる経路があります。

佐藤B作さん佐藤さん

転移性のがんと通常のがんで治療の方法は異なるのでしょうか?

角田卓也先生角田先生

転移の場合は全身の病になるので、体中どこにがんがあっても不思議ではないという状況になります。治療に関しても、ひと昔前は保険収載された免疫療法がないので、抗がん剤治療のみで治療を進めることになります。このような場合、完治を目指すことは難しいことが多いと思われます。

佐藤B作さん佐藤さん

私の食道がんは、胃がんが転移したものではなく、新たに発症したがんだったのでしょうか?

角田卓也先生角田先生

胃がんと同様にお酒とタバコは食道がんのリスクにもなりますので、胃がんとは別で発症したがんの可能性が高く、重複がんの可能性もあったのではないかと考えられます。ちなみに、佐藤さんはお酒を飲むと顔が赤くなりますか?

佐藤B作さん佐藤さん

赤くなります。

角田卓也先生角田先生

お酒を飲むと顔が赤くなるフラッシャーという体質がありますが、この体質の人は食道がんになるリスクが、そうでない人の15倍ほど高いと言われています。

佐藤B作さん佐藤さん

まさに、私には食道がんのリスクがあったのですね。実際に放射線治療も30回おこない、大変でした。

角田卓也先生角田先生

放射線治療後に副作用として、がん細胞が消失した後も違和感が残ることがあります。佐藤さんは放射線治療の副作用はなかったのですか?

佐藤B作さん佐藤さん

未だに放射線を当てた場所には違和感を感じることがあります。私は放射線治療と同時に抗がん剤治療もおこないましたが、抗がん剤治療は本当に辛かった記憶があります。便秘になり、食欲もなくなり、常に体がだるく、横になっていないと辛いほどでした。

角田卓也先生角田先生

そうですよね。抗がん剤治療は辛いという方が多く、途中でやめてしまう方もいます。私は「毒を以て毒を制す」治療法であると説明しています。

佐藤B作さん佐藤さん

私の場合は1回だけ抗がん剤治療を受けましたが、副作用に耐えられず、抗がん剤治療を続けるくらいなら死んだ方がいいと思い、1回きりでやめてしまいました。

角田卓也先生角田先生

治療をおこなう際に重要なことは、患者さん自身が納得して治療を選択することです。最近ではシェアード・ディシジョンメイキング(shared decision making:SDM)と言って、難しい治療方法を決める際に、どんな治療があり実際の研究データがあるのかを患者さんと医師が一緒に相談して決定する方法が重視されています。

佐藤B作さん佐藤さん

当時はそのような場は設けられなかったですね。良い時代になったのだと感じます。私のように重複がんを発症する人は多いのですか?

角田卓也先生角田先生

最近のデータを踏まえると、がんができやすい人は確かにいるのではないかと思います。一方で、そのような方は治療の効果も得られやすい場合があります。今後さらに、そのような研究は進んでいくと思われます。

佐藤B作さん佐藤さん

治療が効果を発揮するのはありがたいことですが、がんになりやすいということでもありますから、複雑な気持ちですね。

角田卓也先生角田先生

おっしゃる通りですね。佐藤さんのご家族でがんの方はいらっしゃいますか?

佐藤B作さん佐藤さん

がんの家系では無いと思います。両親は共に脳卒中で亡くなりましたし、私の知っている範囲では、私が初めてがんになりましたね。

角田卓也先生角田先生

そうなのですね。そうすると佐藤さんの場合は、遺伝の影響は強くないことが考えられますね。食道がんの治療後に再び異変が起こったとお聞きしましたが、何があったのですか?

佐藤B作さん佐藤さん

胃がんの手術をした傷口が化膿して膿が溜まってしまい、再び検査をすることになりました。がんも疑われたのですが、最終的にはがんではないという検査結果でしたので安心したという経緯です。

角田卓也先生角田先生

がんの再発などの大事に至らない結果で安心しました。闘病生活の中で、家族の大切さを感じた場面や励まされたエピソードはありましたか?

佐藤B作さん佐藤さん

妻には本当に支えられました。仕事をしながらも24時間体制で看病してくれましたし、食事も工夫して作ってくれました。さらに、リハビリにも付き合ってくれて、自分一人だけでは絶対に乗り越えられなかったと思います。

角田卓也先生角田先生

家族の支えは治療を続けるうえで、大切な要素の一つですね。

佐藤B作さん佐藤さん

支えてくれる家族がいることは大きな励みになりました。本当に感謝しています。ちなみに、胃がんは完治する病気なのでしょうか?

角田卓也先生角田先生

胃がんは早期に見つかれば9割以上は完治し、5年生存率も95%程度というデータが出ています。しかし、胃がんはリンパ節転移があるとステージ3ということになり、5年生存率が50%程度に下がります。さらに、血液を経路として肺や肝臓など遠隔の臓器に転移がある場合には、5年生存率が10%程度とさらに低下してしまいます。そのため早期発見、早期治療がとても重要であると考えています。

佐藤B作さん佐藤さん

定期検診が重要なのですね。胃がんを予防、早期発見するためには具体的にどのような検査が有効なのでしょうか?

角田卓也先生角田先生

胃がんの検診で最も効果的な方法は胃カメラ(内視鏡検査)です。最近は鼻からカメラを入れる方法を選択できるようになっていますので、昔ほど辛い検査ではないと思われます。

佐藤B作さん佐藤さん

私の場合は半年に一回麻酔を使用して胃カメラと大腸カメラを同時におこなっています。寝ている間に終わっているので辛さは全く感じません。

角田卓也先生角田先生

佐藤さんの場合、特に検査は重要だと思います。胃がんの後に食道がんが見つかっているので、この後3つ目、4つ目のがんを発症する可能性はゼロではないと思います。胃カメラで胃や食道に新たにできていないかを確認し、CTなどで肺にがんが無いかを確認することは重要だと思います。

佐藤B作さん佐藤さん

胃がんを予防する方法として、胃カメラ以外にも重要なポイントはありますか?

角田卓也先生角田先生

胃がんを予防するためには、ピロリ菌の検査や除菌が重要です。検査の方法としては、血液や糞便、胃カメラなどで検査が可能ですが、最も簡単な方法は血液です。ピロリ菌は異物なので血液中にピロリ菌に対する抗体ができており、検査の結果、その数値が高いとピロリ菌がいるのではないかという判断になります。

佐藤B作さん佐藤さん

私は半年に一回検査を受けていますが、一般的には胃カメラやピロリ菌の検査は何歳頃から受けるべきなのでしょうか?また、どのくらいの頻度で検査するのが良いのでしょうか?

角田卓也先生角田先生

一般的には、30代以降の方は年に一回の頻度で検査をすることが推奨されています。ピロリ菌がいない場合には、2年に一回の検査で良いと言われています。

佐藤B作さん佐藤さん

そうなのですね。これからも検査と予防は続けたいと思います。私は、一日1時間くらい歩くことと、スクワットを運動としておこなっています。さらに水分も一日2リットル飲むと良いと聞き飲み続けています。

角田卓也先生角田先生

とても大切な取り組みだと思いますので、ぜひ継続してください。最後に、読者の方へのメッセージをお伺いしてもよろしいでしょうか?

佐藤B作さん佐藤さん

改めて、がんは早期発見が何より重要だと感じました。がんを甘く考えず、定期検診に行き、体の異変を早く見つけることの大切さを知って頂きたいと思いました。定期検診に加えて、運動や食事、睡眠も重要だと考えていますので、皆さんも生活習慣を見直してみてください。

編集部まとめ

佐藤B作さんの闘病体験を通じ、がんは誰にでも起こりうる病気であり、がんの早期発見と定期検診の重要性を改めて実感しました。ピロリ菌感染は胃がんの大きなリスク要因であり、適切な検査や除菌が予防につながることも教えて頂きました。さらに、食道がんが発覚した後、放射線治療や抗がん剤治療を経てがんを克服した闘病記は、すべての人にとって大きな気づきを与えてくれるのではないかと思います。本記事が皆様の健康を考えるきっかけとなれば幸いです。

近くの内科を探す

この記事の監修医師

S