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体からのサインに耳を傾けよう!生理不順の原因とは?

 更新日:2023/03/27

この記事の監修ドクター:
伊藤 晄二 医師(栄産婦人科院長)

 生理の遅れは妊娠の可能性

来るはずの生理がその月に限って10日以上遅れていたら妊娠の可能性がでてきます。生理は、卵巣から排出された卵子が受精しなかった場合に子宮内膜がいらなくなるため体外に排出されることによって起きるのです。

もし卵子が受精したのであれば、子宮内膜は赤ちゃんを受け入れるベッドとなるので排出されず、生理は起きません。生理が10日以上遅れているのなら妊娠が原因とも考えられます。

生理不順であるために排卵日を探し出すことが困難となってしまい、タイミングがつかめず妊娠しづらくなってしまう可能性もでてきます。

 ストレスが生理不順の引き金となる

人は毎日の生活で仕事・勉強・家事・育児・介護・人付き合いなど、様々なストレスにさらされています。そのストレスがたまってしまうと生理不順となることがあります。

生理を起こすのは女性ホルモンなのですが、女性ホルモンのなかの卵胞ホルモンと黄体ホルモンのバランスが崩れてくると生理不順となります。

この分泌をコントロールしているのは視床株や脳下垂体です。大きなストレスがかかってしまうとホルモン分泌を促す指令が滞ってしまうのです。

 ストレスとなる原因

 身近な人の死

家族や恋人、大事にしていたペットがなくなると誰もが悲しい思いをするのものであり、このような大きな悲しみや精神的なショックはストレスとなります。

 転校や転勤

いつも通っていた学校や職場が変わり、新しい環境になるとストレスがたまりやすくなります。知らない人と新たな人間関係を築かなければならないことがストレスになるのです。

 結婚や離婚

結婚と離婚は別のものですが、今までの環境が変わるという意味では同じであるとも言えるでしょう。環境の変化はストレスを生みだします。

 仕事や勉強

残業や多くの仕事を抱え込んだり、受験のために勉強しすぎたりするとストレスがたまります。頭を使いすぎたために脳が疲れてしまいホルモン分泌の指令が上手くいかなくなるのです。

 栄養不足に!無理なダイエットが生理不順の原因

痩せて美しくなりたいという願望からダイエットをおこなう女性は多いかと思いますが、ダイエットは生理不順の原因になります。特に「短期間で痩せた」「激しすぎる運動」「過度な食事制限」など体に無理をさせすぎると脳が状況を把握して、今は妊娠できる状態ではないと判断し生殖機能を停止させてしまうのです。

その原因として皮下脂肪量の減少があります。

女性ホルモンのエストロゲンは皮下脂肪組織からも作られているのであり、ダイエットによって皮下脂肪が極端に減ってしまうとエストロゲンの減少につながり、それによって生理が止まったり生理不順となるケースがあります。

また、ダイエットのために極端な食事制限をしてしまうと少ししかない栄養は体の脳や心臓などの生命維持に必要な臓器に優先に送られ、栄養が送られなくなった生殖機能は停止し生理がこなくなってしまうのです。

 生理不順となる更年期

閉経が近づいてくる更年期となる40代半ばから50代半ばになると生理不順となってきます。いつも規則的にきていた生理の周期が短くなったり、長くなったりしながら生理の回数が減りやがて閉経となります。最後の生理から1年間生理がないなら閉経といっていいでしょう。

生理不順は40歳を過ぎた頃から起きはじめます。はじめては23日程度ぐらい生理周期が短縮されていき、その後も周期は定まらずに45歳ぐらいになると反対に生理周期は長くなってきます。50歳頃になると2、3ヶ月の間隔になりやがて生理は停止し閉経します。

更年期の生理不順になる原因は、卵巣機能が低下して女性ホルモンである卵胞ホルモンと黄体ホルモンのバランスが崩れることで起きてきます。特に影響が大きいといえるのは卵胞ホルモンです。

 思春期に多い無排卵性周期症

排卵をともなわない無排卵性周期症になると、生理が規則的にこなくなり生理不順となります。無排卵性周期症は出血があるのに周期は短かったり長かったりと不順で、月経量も定まらないのです。

これらの症状は、月経が始まったばかりの思春期に多く見られ卵巣機能が未熟なためにおこります。思春期の場合は体が成長していくにつれて卵巣機能が成熟していくと無排卵性周期症は改善していきます。

また、更年期になると卵巣機能が低下するために無排卵性周期症が多く見られることがあります。思春期や更年期に生理不順が多いのは、排卵がともなっていない無排卵性周期症が原因であると言えるでしょう。

 生理不順にともなう症状をチェックしましょう!

生理が不規則なってしまう生理不順ですが、人によって周期の乱れ方は異なってきます。

生理不順には、次の生理までの期間が39日以上となる稀発月経やその反対に生理の周期が24日以下となる頻発月経などがあります。

さらに生理の時期ではないはずの出血など、生理不順の症状は人によって違ってくるのです。症状によっては隠れた病気のサインかも知れません。

こちらでは生理不順にともなう症状を解説していきます。ご自分の症状と合わせてご覧ください。

 妊娠による腹痛

生理前や生理中に腹痛を感じる女性は多いのではないでしょうか?

生理中の腹痛は、子宮が収縮することで経血をスムーズに押し出すための働きによるものであり、その際に分泌されるプログラスタンジンが多いと腹痛を強く感じてしまうのです。

しかし、生理がこないのに腹痛がある場合には妊娠や着床痛が考えられます。妊娠すると子宮が大きくなり始めて周囲の臓器や骨が圧迫されるためにお腹が痛くなってしまう場合があります。

 子宮筋腫による腹痛

子宮筋腫は子宮にできる良性の腫瘍のことをいいます。

子宮筋腫は発生する場所によって、筋層内筋腫・漿膜下筋腫・粘膜下筋腫と3つにわけられます。

筋腫が小さな時にはほとんど症状はありませんが、徐々に大きくなってくると月経量が増加し生理不順となることに加えて、子宮全体が大きくなることで他の臓器を圧迫して症状を起こしてしまうのです。

子宮筋腫の疑いがある方は婦人科で受診し定期的な診察をするようにしてください。

 熱や吐き気が起こる

生理が長期的にきていない生理不順のときに熱や吐き気が起こるのであれば、妊娠の可能性が考慮されます。

妊娠は高温期が長く続くために体温が高くなり、発熱したりボッーとなったりします。

また、妊娠すると匂いに敏感になり吐き気をもよおすつわりの症状もでてきます。つわりの症状は早い人だと生理の予定日からわずか2、3週間で吐き気・嘔吐・胃のむかつきなどの症状があらわれてきます。

また、生理不順と同時に吐き気や頭痛を感じるようであれば、ストレスや過酷なダイエットによって女性ホルモンや自律神経に障害を与えているとも考えられます。

無理なダイエットをしていないか?仕事や人間関係でストレスをためていないか?などの原因をセルフチェックしてみると良いでしょう。

生理不順は体が教えてくれる危険信号ですので、見逃すことのないようにしてあげてください。

 不正出血がある

不正出血とは月経以外の性器からの出血のことをいいます。不正出血には大量の鮮血がでることもあれば、おりものに血が混じる程度のものと症状はさまざまです。

機能性出血であればホルモンのバランスが崩れる思春期や更年期に見られるものなので心配はいりません。また排卵期によって卵胞ホルモンの分泌が低下するために起こる中間出血も特に心配しなくてもいい不正出血です。

ただし、なんらかの病気が原因によって引き起こされる器質性出血の場合には、子宮膣部ビラン・子宮頸管ポリープ・子宮頸がん・子宮体がんなどが考えられますので早めに婦人科で診察を受けるようにして下さい。

 ニキビ・肌荒れが続く

思春期の頃から生理不順や排卵障害が続き、にきびや多毛などの症状があるのならば多のう胞性卵巣(PCOS)という疾患かもしれません。

多のう胞性卵巣症候群は卵胞がたくさんできても、排卵が起きにくくなってしまう疾患です。排卵されにくい状態で、月経不順や無月経を起こします。

このとき男性ホルモンが作られてしまうためにニキビや多毛・低音声など男性傾向的な症状が出てきてしまいます。ただし多のう胞性卵巣症候群は軽度ものが多く生理不順の治療を行うことにより、にきびや多毛は解消されます。

肌荒れは女性ホルモン分泌量との関係が深く、女性ホルモンである卵胞ホルモンと黄体ホルモンの関わってくることがあります。

卵胞ホルモン(エストロゲン)は、過度な皮脂を出さないように皮脂線の分泌をコントロールし、コラーゲンの合成をサポートして肌のバリア機能を高めてくれます。

黄体ホルモン(プロゲステロン)は、子宮の環境を整えるホルモンです。皮脂をでやすくしコラーゲンの合成を制御してしまうので肌のバリア機能が低くなります。

生理不順となると、このような役割をもっている卵胞ホルモンと黄体ホルモンのバランスがうまく保てなくなるために肌荒れを起こしてしまうのです。

 生理不順の治し方

規則的な生理がおこらない月経不順の治し方についてご存知でしょうか?

生理が不順だからといっても「次回の生理がくれば大丈夫」と先延ばしにしている方も少なくないことかと思います。

生理不順の原因はストレスなどさまざまですが、体からのバロメーターであることは確かです。生理不順ぐらいと軽く考えないで、原因をつきとめながら病院や薬などで治していくようにしましょう。

こちらでは、生理不順の治し方について解説していきます。

 婦人科を受診すれば安心です

1回ぐらいの生理不順はそれほどの心配はありませんが、2ヶ月3ヶ月と続くようなら婦人科を受診してください。

すこし面倒でも2ヶ月基礎体温をつけることで排卵の周期や有無がわかるのでおすすめです。無排卵性月経のときには高温期がないのでチェックしてみるとよいでしょう。

生理不順で婦人科を受診した場合には、問診票を記入した後に医師に生理不順の状況を伝えることになります。

このとき血液検査でホルモンの状態を検査し、内診によって卵巣や子宮に異常がないかを確認します。内診時の超音波エコー検査は細長いプローブという器具を膣内にいれて子宮と卵巣の状態をチェックする検査です。痛みはほとんどなく数分で終わります。

生理不順の治療方法は症状や病気によって異なりますが、ほとんどの場合は女性ホルモンか、黄体ホルモンあるいはその合剤を処方して生理が周期的に起こるよう促す治療となります。

また、その他に疾患が原因となっている場合には、元となっている病気の治療がおこなわれます。

生理不順や無排卵がつづくと、子宮内膜が増殖を続けてしまい子宮体がんが発生の原因となってしまう場合もありますので、きちんとした治療はとても大切なのです。

 妊娠検査試薬でチェックする

妊娠の可能性がある方で、生理不順、生理がこない場合は妊娠検査試薬ですぐにチェックしてみると良いでしょう。

妊娠検査試薬はドラッグストアや医療品を販売しているコンビニなどでも購入できます。お値段は1000円ぐらいです。

また、お店で買うことに抵抗があるようのならネットで購入するとよいでしょう。

妊娠するとhCGホルモンが増えるので、このホルモン量が規定の値よりも高ければ妊娠検査でに陽性となってあらわれます。

妊娠してhCGホルモンが増えてくるのは妊娠12週目がピークですが、妊娠4週目ぐらいからでも判定できるようです。妊娠5週目であれば正確な判定となるでしょう。

 妊娠検査試薬の使い方

妊娠検査試薬は棒状になっていますので、尿採取部分に尿を直接かけるか、コップで貯めた尿の中に妊娠検査試薬をつけるようにして検査します。

その後はキャップをして平らな場所において判定時間を待ちます。

判定時間になり確認窓に線がひかれていることをチェックしてから判定窓をみます。

判定窓に線が引かれていれば陽性となり妊娠していることがわかります。判定窓に線がなければ妊娠していません。

また、確認窓に線が引かれていない場合は尿の量が適切ではなかったために判定できていなかったということになります。その場合は、新しい妊娠検査試薬を使ってもう一度検査をおこなってください。

 適度な体操で血行をよくする

体に無理がある過度な運動は生理不順の原因にもなりますが、骨盤体操・ヨガ・ウォーキングなどの血行をよくして体を温めてくれる運動は生理不順に効果があります。

骨盤体操によって子宮を包んでいる骨盤の動きがスムーズになり子宮の働きを高めてくれるのです。

骨盤体操のひとつに『おしり歩き体操』があります。『おしり歩き体操』はおしりを使って前後へゆっくり歩くだけの簡単な体操ですので試してみてはいかがでしょうか?

また『足首回し体操』は足首を内回しと外回しを5回ずつおこなう方法です。足首をまわしてあげることで体が温められて骨盤の動きがよくなります。

 ツボを刺激する

多くの生理不順はストレスや過剰なダイエットによって女性ホルモンのバランスが崩れることでおきてきます。女性ホルモンを調整しているのは間脳下垂体です。また自律神経の乱れが生理不順の原因となることもあります。

ツボは神経が集まるポイント(経穴)のことをいい、ツボを押すことによって神経や自律神経にじかに働きかけてくれます。

 生理不順におすすめのツボ

生理不順に効果のあるツボは耳穴の下の切れ込みの内側です。

このツボに人差し指をあてて息を吐きながら押していきます。回数は10回程度でいいでしょう。1日5セットほどおこなってください。効果を増やしたい場合は回数を増やします。

また足首のくるぶしから指を4本分上にあるツボも生理不順を改善してくれるツボです。この部分を親指で5秒ほど押し、その後5秒ほどかけて指を離していきます。この動作を10回ほど繰り返しおこなってください。

 薬で生理不順を改善させる

生理不順は薬を服用することによっても改善できます。

婦人科ではおもにホルモン剤などが処方されますが、生理不順に効果があるとされる市販薬や漢方薬がドラッグストアなどでも気軽に購入することができます。

生理不順が長く続くときや異常があれば、婦人科で受診して薬を処方してもらうとよいでしょう。

また原因がある程度、断定できる生理不順ならば市販薬や漢方を利用してもよいでしょう。ホルモン剤・市販薬・漢方薬がどんな効果や成分があるのか知っておくといいかもしれません。

 ホルモン剤を処方してもらう

婦人科では低用量ピルが生理不順の薬として処方されることがあります。

低用量ピルには女性ホルモンである黄体ホルモンと卵胞ホルモンが含まれており、服用することでホルモンのバランスがコントロールされて正しい月経周期にもどしてくれます。

ピルの副作用としては気持ちが悪くなる・頭痛・吐き気・むくみなどがあげられますが飲み始めに起きる症状のこともあり、やめないで一周期は続けましょう。

避妊薬としては知られているピルですが、生理不順の治療にも使われることもあります。

 漢方薬を使う

ホルモン剤のような低用量ピルを使用することに抵抗がある方には漢方薬がおすすめできます。

漢方薬には数多くの種類があるので、生理不順の改善に期待できるものを選ぶことが大切です。

生理不順に適している当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)は血行を促し全身に栄養を与えてくれます。新陳代謝を整える効果が余分な水分を取り除くので冷え症や生理不順の方におすすめの漢方薬です。

その他にも桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)や加味逍遥散(カミショウヨウサン)などがありますが、専門の先生に相談しながら体に合った漢方薬を選ぶようにしましょう。

薬局で買える市販薬

ドラッグストアや薬局でも生理不順の改善に期待がもてる薬が販売されています。

漢方薬がバランスよく配合されて必要なビタミン類も含まれているので、総合的に体を改善してくれるといえるでしょう。

ただし、更年期の方が飲む薬と思春期の方が飲む薬とでは、種類が違ってきますので表示されている説明をよく読んで購入するようにして下さい。

 まとめ:たかが生理不順と軽く見ることなく改善につとめましょう!

規則的にきていた生理が乱れてしまう生理不順。女性なら誰でも経験あるのではないでしょうか?

この記事では生理不順の原因・症状・治療方法など、生理不順についてご紹介しました。

生理不順の原因は、妊娠の可能性から精神的なものまで幅広くありますが、それに対処できる治療方法も用意されています。

女性にとって毎月の生理は体が健康であるバロメーターになっていますので、軽視することなく治療方法や原因を見つけだして生理不順の改善につとめしょう。

伊藤 晄二 医師 栄産婦人科 院長監修ドクターのコメント

月経(生理)は、約1ヶ月の間隔で起こります。着床に向けて準備した子宮内膜は妊娠成立しなかったために子宮内膜がはがれ、血液とともに対外へ排出されます。これが月経(生理)です。したがって生理不順は妊娠成立に不具合が生じている状態かもしれません。
女性にも色々なライフスタイルがありますが将来お子さんを希望される方で生理不順の方は早めに婦人科を受診され原因を確かめられることをお勧めします。
最先端の体外受精技術をもってしても40歳女性の妊娠成功率は10%に満たないといわれています。
生理不順を軽く見ないで下さい。

 

監修ドクター:伊藤 晄二 医師 栄産婦人科 院長

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