脂肪吸引で後悔するポイントは?効果が現れるまでの期間やダウンタイム・アフターケアも詳しく解説
厳しい食事制限や運動をしなくても痩せられる、気になる部位だけ集中的に痩せられる、リバウンドしにくいと、脂肪吸引には魅力がいっぱいです。
一方で決して安くない費用をかけて、手術や麻酔の不安も乗り越えて受けるからには、期待した効果が得られず「こんなはずではなかった」と後悔する結果になっては残念です。
この記事では脂肪吸引で後悔しないために押さえておくべきポイント、効果が現れるまでにどれぐらいの期間が必要か、ダウンタイムがあること、そしてアフターケアの重要性について解説します。
脂肪吸引を受ける前に知っておくことで、安心して施術に向かい、失敗のリスクを最小限に抑えるための助けになれば幸いです。
監修医師:
竹内 想(名古屋大学医学部附属病院)
目次 -INDEX-
脂肪吸引で後悔するポイントは?
脂肪吸引を受けたが後悔している、受けなければよかった、という方に共通する理由がいくつかあります。
施術費用の高さから、期待した効果が得られなかったという機能的な不満、そしてクリニックの対応に対する不満まで、脂肪吸引で後悔するポイントを1つずつ解説していきます。
施術費用が高い
脂肪吸引の施術費用は通常、顔や体の部位ごとにかかります。たとえば顔の両頬だけで18万〜30万円、お腹であれば下腹部だけで20万〜30万円、脚のふくらはぎだけで20万〜30万円といった金額が一般的です。
顔全体、お腹全体、お腹と脚のように複数箇所をまとめて行うと多少のセット割引があるものの基本的には部位ごとの費用を合計した金額がかかることになります。
全身の脂肪吸引を行うと、全ての部位を足し合わせて200〜400万円の費用になる計算です。さらに表示されている金額に麻酔などの費用が含まれておらず、別途かかる場合もあります。
これを高いと思うか安いと思うかは、考え方次第です。仮にエステやフィットネスジムで同等の効果を得るためには、何度も通わなければなりません。脂肪吸引ならば、一度で済みます。
また、エステやフィットネスジムでは、せっかく苦労して痩せてもリバウンドのリスクがつきまといます。脂肪吸引では脂肪細胞そのものを取り去ってしまうので、術後はよほどのことがない限りリバウンドしにくいというのもメリットです。
とはいえ一度に大きな出費には違いありませんから、思い通りにならなかった場合に後悔する方がいるのは想像できます。
変化が感じられない
脂肪吸引を行ってから半年以上が経過し、腫れやむくみなどの一時的な症状が引いても、吸引前のサイズから変化が感じられない場合「取り残したのではないか」と不安になると思います。脂肪吸引のやり直しはできるのでしょうか。
脂肪吸引のやり直しができるかの判断は「通常6ヶ月以上が経過していること」が条件です。脂肪吸引の施術後は必ず後述のダウンタイムがありますので、その期間を過ぎても変化が感じられないようであれば、医師と相談の上でやり直しが可能な場合があります。
術後6ヶ月以上過ぎて変化が感じられなくても、脂肪吸引のやり直しができない場合もあります。原因が皮下脂肪以外にある場合です。たとえば、内臓脂肪は脂肪吸引によっては除去できません。脂肪でなく、筋肉の量が多い場合も同様です。
最初の脂肪吸引をする前に、医師からそういった説明を受けて納得した上で施術を行っていれば、変化が感じられないという理由で後悔するリスクを減らせます。
脂肪吸引の再手術は初回よりも細胞組織が強固になっているため技術的に難しくなる上、費用面の負担も大きいので、できるならば1回で済むに越したことはありません。
施術した部位がデコボコになる
変化が感じられないのと同様に、脂肪吸引のやり直しの理由にもなるのが、施術した部位がデコボコになってしまった場合です。
脂肪吸引の施術後6ヶ月以内の場合は、「拘縮(こうしゅく)」といって皮膚が引き締まる過程で起きる通常の現象と考えられます。
拘縮は、脂肪吸引後に起きる後述のダウンタイムの1つです。拘縮であれば、3ヶ月〜6ヶ月でデコボコはおさまりますので心配は要りません。
拘縮によるデコボコがどうしても気になる方は、マッサージやストレッチで緩和できます。インディバという高周波を当てて血行を促進することで、拘縮を緩和するのも1つの対処法です。
術後6ヶ月を過ぎてもデコボコが気になるとしたら、別の原因が疑われます。脂肪の取り残しかもしれません。特にお腹は範囲が広いので、お腹の脂肪吸引には高い技術が望まれます。
再手術ではもちろんのこと、最初の手術でも技術力の高い医師に施術を受けられるように、クリニック選びは重要です。
皮膚にたるみが出る
脂肪吸引後に後悔する理由の1つに、皮膚のたるみがあります。術後すぐの腫れやむくみが消えた後で、たるみが目立ってくる場合は注意が必要です。特に顔の脂肪吸引でしわやほうれい線が目立つようになってしまったといった場合です。
脂肪吸引後に残るたるみの原因として考えられるのは、吸引量を増やすために皮膚の浅い部分の脂肪を取りすぎた可能性があります。
皮膚の強さ・厚さ等、皮膚の状態は本来1人ひとり違いますが、それを考慮せずに不適切な吸引をしてしまうとたるみの原因になります。
吸引量と仕上がりはバランスが肝心です。吸引量が多ければ良いというわけではありません。この辺りも医師の熟練が求められます。
傷跡が残る
脂肪吸引後に思ったより傷痕が残ってしまって、後悔する場合もあります。
脂肪吸引でいくら細くなっても、大きな傷跡が残ったら失敗だったと思うでしょう。脂肪吸引は手術ですから、傷跡を全くなくすのは無理ですが、できるだけ小さく目立たないようにする工夫はできます。
脂肪吸引の傷跡で後悔するリスクを最小限にするためには、傷を目立たない場所に小さく作る・傷を作る場所の数を最小限にする・特に高音の超音波による火傷を防ぐために「スキンポート」という保護機器を装着して吸引をするなどの方法があります。
いずれにしても、実際に施術にあたる医師と事前に充分な相談が必要です。
体重が減らない
脂肪吸引でたとえ1キロの脂肪を吸引したとしても、実は体重は1キロも減りません。
脂肪組織の密度は0.9007g/cm3で水よりも軽いため、見た目は大きく変化してもその変化は体重には現れません。
体重は減らなくても効果は出ているので安心してください。
クリニックの対応に不満がある
脂肪吸引は体に傷をつけ費用もかかる人生の大きなできごとです。
特にこれまでこの記事で紹介してきたようなことが起こってしまった場合や、後述のダウンタイムの間は不安なことも多く、1人で苦しんでいる患者も少なくないはずです。
そのような時に施術を受けたクリニックに問い合わせをして、待てど暮らせど回答が来なかったり、すぐに対応してもらえなかったりすると、不安や不満に繋がり、結果的に後悔したと感じる場合もあります。
脂肪吸引の効果が現れるまでの期間
脂肪吸引したら翌日から理想通りに痩せてスリムになっているはず、と思っている方がいるかもしれませんが、それは誤解です。
脂肪吸引が完成するのは、後述のダウンタイムの期間を経て施術の6ヶ月後です。
個人により感覚の差がありますが、吸引する部位によっても効果を実感するタイミングは異なります。
お腹や太ももは吸引する範囲も広く吸引量も多いため、術後1週間の腫れやむくみの症状も多く出ます。そのため実際には脂肪が大きく減っていても、すぐには効果を実感しにくいです。
顔は吸引する範囲が狭く吸引量も少ないため、すぐにフェイスラインがすっきりしたという効果を実感できます。ただ昼間は腫れやむくみが少ないですが、夜になると腫れやむくみが出てくるので、時間帯によっても印象が異なりやすいです。
二の腕は、1週間程度で効果を実感できる方が多いです。
いずれにしても「効果が出ない」と医師に相談するタイミングは、脂肪吸引の施術後6ヶ月を過ぎてからにしましょう。
脂肪吸引のダウンタイム
ダウンタイムとは「施術を受けてから回復するまでの期間」です。
脂肪吸引はダイエットやフィットネスジムと違って、長期間コツコツ通う苦労はありませんが、そのかわり施術後のダウンタイムに向き合う覚悟が必要です。この期間には、痛み・内出血・腫れ・むくみ・拘縮などの症状が現れます。
部位によって異なるので、1つずつ見ていきましょう。
まず顔の脂肪吸引では、ダウンタイムは1週間程度です。腫れ・むくみ・内出血が中心で、つっぱり感や軽いしびれを感じることもあります。痛み止めの服用や着圧固定で緩和されます。
二の腕の脂肪吸引ではダウンタイムは3週間~1ヶ月程度です。症状は、筋肉痛に似た鈍い痛み・むくみ・内出血などです。術後1ヶ月程度は着圧固定が必要で、そのために手の甲・手先がむくむこともあるでしょう。むくみ対策は数時間固定を外すことです。
お腹の脂肪吸引では吸引量が他の箇所より多く、手術中は全身麻酔を使用します。脂肪吸引後は腰に水がたまりやすいので、術後数日間は患部の圧迫と経過観察が必要です。
お腹では脂肪吸引範囲が広いため、デコボコや内出血も起こりやすいです。ダウンタイムは1~2週間程度で、筋肉痛に似た鈍い痛み・内出血などが起きるかもしれません。痛みのピークは術後3日間で、その後むくみ・内出血が目立ち始め、やがて落ち着きます。
太ももの脂肪吸引では、ダウンタイムは1週間程度で比較的短いですが、脂肪吸引を行った直後の痛みが強くなる場合もあります。そのような場合は処方された痛み止めで緩和が可能です。
椅子に座ったりベッドに横になったりするときは、下にタオルなど柔らかいものを敷くとよいでしょう。
太ももでは、ダウンタイム中に脂肪吸引した箇所の肌が硬くなる「拘縮」が起こりやすいといわれています。通常は最大6ヶ月かけて回復していくので、心配は要りません。
以上のように部位によって異なりますが、ダウンタイムは通常1週間〜1ヶ月です。
脂肪吸引の前にダウンタイムに備えて、準備しておくとよいことを以下に紹介します。
仕事をしている方は、休みの取得が必要です。脂肪吸引をする部位にもよりますが、最低2〜3日は自宅で安静にできる時間を確保しましょう。早めに職場復帰が必要な場合は、クリニックから処方される痛み止めで対処可能です。
顔の脂肪吸引では、圧迫固定用のフェイスバンドがクリニックから支給されます。その他は部位によりますが、圧迫固定は痛みの緩和および仕上がりのために必要です。手術後2日〜1週間程度は継続的に使用しましょう。
脂肪吸引で後悔しないためにはアフターケアが重要
脂肪吸引では、ダウンタイムの症状を和らげると同時に、美しい仕上がりのためにアフターケアが重要です。
手術直後から痛みの引く安定期まで、時間を追って推奨されるアフターケアと注意点を説明します。
手術後は安静にする
脂肪吸引の手術後、最低3日間は安静にできる環境を整えましょう。
手術直後の患部を冷やすには、保冷剤またはビニール袋にブロック氷と少量の水が便利です。ただし冷やすのは術後3日程度にして、その後は温めて血行を良くすると回復が早まります。
着圧タイツなど着圧下着類も効果的です。むくみを抑えます。
コルセットなどで固定する
クリニックから支給される包帯が取れた後も、引き続きガードルやコルセットで圧迫することが大切です。しっかり圧迫することで腫れやむくみを抑え、内出血や痛みも軽減されます。それだけではなく美しい仕上がりにも繋がるのです。
特に太ももや上腹部・下腹部はデコボコになりやすいので、圧迫で仕上がりが大きく変わります。
脂肪吸引の手術から3週間程度が経過して安定してきたら、手術部位のマッサージを始めると効果的です。ダウンタイムの症状の1つとして、拘縮が起きて肌がデコボコしてくることがありますが、マッサージによって拘縮の回復が早まります。
この頃には痛みがおさまってきているので、マッサージの他にストレッチやヨガ、脂肪吸引した方に向けたエステなども利用できます。
脂肪吸引後のダウンタイム中の注意点は、痛みがあるうちは血行を促進する行動はNG、逆に拘縮が始まれば積極的に体を動かして、血流をよくすることで回復が早まります。
術後のシャワーは2日目以降、入浴は抜糸後です。
むくみを抑えるために、塩分や水分の取りすぎには要注意です。脂肪吸引で破損した組織の回復のため、タンパク質・ビタミンB群・亜鉛を併せて積極的に摂取しましょう。禁煙も必須です。
脂肪吸引が向いている方
脂肪吸引は誰でも簡単に痩せられるというものではありません。患者の要望・健康状態・医師の判断に基づいて、吸引方法・吸引箇所・吸引量が決定されます。吸引後のダウンタイムにも、きちんと向き合う覚悟が必要です。
脂肪吸引に向いている方・向いていない方がいます。踏み出す前に本当に自分に必要なのか・合っているのか、もう一度チェックしてみましょう。
ダイエットでは効果が出なかった方
脂肪吸引はダイエットが続かなかった方や、何度もリバウンドを繰り返している方に効果的です。
脂肪吸引は、長期間の厳しいダイエットやフィットネス・ジムに通うことに比べると、一度の施術で結果がでます。
脂肪組織そのものを物理的に除去しますので、よほどのことがない限り元の状態に戻ってしまうことは考えにくいです。
ですから結果の出ない長年のダイエットに終止符を打ちたい方に脂肪吸引は向いています。
気になる部位だけ細くしたい方
ダイエットで特定の部位だけ痩せるのは難しいです。たとえば二の腕だけ・太ももだけ・脇腹だけを細くしようと思っても、逆に痩せたくない胸から先に痩せてしまうなど、なかなか思い通りにいかないものです。
脂肪吸引ではピンポイントで落としたい部位の脂肪を落とせるので、気になる部位だけ細くしたい方に向いています。
脂肪吸引で後悔しないためのクリニック選びのコツ
脂肪吸引が自分に向いているかチェックした上で、いざ脂肪吸引という選択肢に向かって踏み出すからには、後悔したくないですね。そのために重要なのがクリニック選びです。
脂肪吸引で後悔しないためのクリニック選びのコツを整理します。
しっかりリサーチをする
クリニックの広告には耳障りのよい言葉が並んでいますが、本当のところはどうなのかしっかりリサーチする必要があります。
リサーチのポイントは多くありますが、次のようなチェックは必須です。
まず、ダウンタイムへの配慮があるかというチェックポイントは見過ごせません。脂肪吸引でダウンタイムは決して避けて通れません。
手術中の工夫や手術後のケアで、ダウンタイムを軽減するサポート体制がきちんとできているか、調べておきましょう。
次に、カウンセリングに時間をかけているかというのも大切なポイントです。脂肪吸引で後悔する事例のほとんどが、医師との事前のコミュニケーションで回避できたともいえます。
そして、クリニックの技術力です。扱っている機器の性能はどうでしょうか。医師は経験豊富(症例数が多い)でしょうか。クリニックのウェブサイトが頻繁に更新されているかも要チェックです。
不安な点はカウンセリングで確認する
脂肪吸引にはメリットもデメリットもあります。事前に自分でもリサーチし、医師と納得のいくまでカウンセリングを重ねることで、デメリットの多くは回避できます。
納得できない場合は契約をしない
カウンセリングを重ねてもどうしても納得できない場合は契約をしない、これに尽きます。自分の体と人生をコントロールするのは自分自身です。後悔しないために毅然と構えましょう。
脂肪吸引で後悔しないように実績の多いクリニックで受けよう
脂肪吸引の失敗と成功を分けるのは医師の技術力です。技術力は経験によって蓄積されるので、経験豊富であることは重要です。
実績の多いクリニックには経験豊富な医師がいます。ただし実績は新しいものか、ウェブサイトの更新が頻繁であるかチェックするのを忘れないようにしましょう。
編集部まとめ
この記事では、脂肪吸引で後悔するポイントについて1つひとつ説明してきました。
後悔するポイントがあまりに多くて最初は不安になってしまった方もいたかもしれません。
ですが、効果が出るまでの期間やダウンタイムについての正しい知識を持つことにより、不安に感じていた事象の多くが正しいプロセスの一段階で、心配には及ばないことに気づくでしょう。
そしてアフターケアについても、事前にきちんと知って守ることにより、後悔するかしないかの明暗を分けるのは自分自身だとわかってきます。
ぜひ必要な知識を備えて、自分に合った信頼できるクリニックの医師とともに、脂肪吸引というリスクもあるが可能性に満ちた世界に立ち向かっていただきたいと願います。
参考文献
- 契約を急かされる!高額な施術を勧められる!美容医療サービスの勧誘トラブルに注意!-美容医療・契約トラブル 110 番の実施結果から-|独立行政法人国民生活センター
- 料金表|独立行政法人 地域医療機能推進機構 大阪みなと中央病院 美容医療センター
- 美容医療サービスを受けるに当たっての確認ポイント~ 美しくなるはずが、予想外の腫れ・痛みに ~|消費者庁
- 脂肪吸引|独立行政法人 地域医療機能推進機構 大阪みなと中央病院 美容医療センター
- 本学城西大学学生の体力測定の結果一考察
- 【若者向け注意喚起シリーズ
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- 脂肪吸引|神戸大学医学部附属病院 美容外科
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