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代表的な花粉症の症状は?風邪との違いや初期症状・症状を和らげる方法・治療方法も詳しく解説

 公開日:2023/12/14
医師 薬剤師 歯科医 白衣と花粉症

花粉症は日本人の4人に1人が発症しているといわれており、今や国民病ともいえる疾患のひとつです。

そのような花粉症ですが、実はよく知らない…という人も多いのではないのでしょうか。

この記事では花粉症についてより詳しく知りたい人のために、症状・風邪との違い・治療法などを解説しています。

症状を少しでも和らげるために効果的なセルフケアについての解説もしていますので、花粉症対策にお役立てください。

竹内 想

監修医師
竹内 想(名古屋大学医学部附属病院)

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名古屋大学医学部附属病院にて勤務。国立大学医学部を卒業後、市中病院にて内科・救急・在宅診療など含めた診療経験を積む。専門領域は専門は皮膚・美容皮膚、一般内科・形成外科・美容外科にも知見。

代表的な花粉症の症状

花粉症 Hay Fever
花粉症の症状が現れる主な体の部位には、目・鼻・のど・皮膚などが挙げられます。
ただしこれらの症状は花粉症患者の全てに当てはまるわけではありません。症状の現れ方や強さには個人差があり、症状が軽い人もいれば重い人もいます。
症状が重い人ほど日常生活に支障をきたしやすいので、花粉症の症状が認められた場合は病院で治療を受けることをおすすめします。

目に現れる症状

花粉症の症状が現れやすい部位のひとつに目が挙げられます。目に現れる花粉症の三大症状といわれているのが、目の痒み・涙・目の充血です。
これらはいずれも、目に入ってきた花粉を取り除こうとして起こるアレルギー反応です。
その他にも目に異物感がある・めやにが出る・まぶたが腫れるなどの症状が発現する人もいます。

鼻に現れる症状

鼻をかむ女性
鼻は目とともに花粉症の症状が現れやすい部位となっています。鼻に現れる花粉症の三大症状は、くしゃみ・鼻水・鼻づまりです。
これらの症状も目の場合と同じく、体内に入ってきた花粉を取り除こうとしてアレルギー反応が引き起こされたために現れるのです。
三大症状の他に発現する症状として、鼻の痒み・嗅覚障害・鼻血・鼻内乾燥感が挙げられます。

のどに現れる症状

のどには、咳が出る・痰がからむ・のどの痛み・のどの痒み・乾燥感・イガイガする・ゼイゼイするなどの症状が現れる人もいます。
花粉症の症状がのどに現れるのは、ふたつの原因が考えられます。ひとつめの原因は、目や鼻の粘膜から侵入した花粉がのどの粘膜に到達しアレルギー反応を起こすことです。
そしてふたつめの原因は、花粉症の鼻症状です。
鼻づまりが発生して口呼吸となったためにのどが乾燥して粘膜が刺激されたり、鼻水がのどの方に流れてきたりすることで、喉に違和感を覚えるケースが考えられます。

皮膚に現れる症状

女性の腕 スキンケア
花粉が皮膚に付着することにより引き起こされるアレルギー症状を、花粉皮膚炎といいます。
花粉皮膚炎の主な症状は以下の通りです。

  • 肌の赤み
  • 痒み
  • 腫れ(蕁麻疹のような発疹が現れることも)
  • むくみ
  • 皮膚のカサカサ感や乾燥

花粉皮膚炎は、鼻水や目の痒みといった花粉症の症状がなくても発症することがあるので注意が必要です。

その他の症状

上記に挙げた症状の他にも、花粉症には以下の症状が現れることがあります。

  • 口腔内の痒みやむくみ
  • 耳の痒み
  • 頭痛・頭重感
  • 発熱・熱っぽさ
  • 倦怠感
  • 不眠
  • 下痢
  • 顔や体のほてり
  • イライラ感

このように花粉症は体の様々な部位に症状が現れる場合があるのです。
なかには肉体的にも精神的にも意欲が低下し、QOL(日常生活の質)が著しく損なわれてしまう人もいます。

花粉症の症状で頭痛が現れるのはなぜ?

頭痛やストレスで悩む体調不良の日本人女性
花粉症で頭痛が現れることには、いくつかの原因が考えられます。まず考えられる原因は、副鼻腔炎(蓄膿症)です。
花粉によるアレルギーで副鼻腔の粘膜に炎症が起こり発症し、副鼻腔内に鼻水や膿が溜まってしまう症状を引き起こすのです。
副鼻腔炎では鼻水や鼻づまりなど複数の症状が認められますが、頭痛もその中のひとつに数えられています。
さらに副鼻腔炎による頭痛は、前頭部が締め付けられるように痛む・目の奥が痛む・顔が痛むという特徴を持っています。
そのほかに考えられる原因は、鼻づまりによる一時的な酸欠状態・くしゃみによる肩こり・鼻水や鼻づまりによる睡眠不足などです。
さらに花粉症で目や鼻に炎症を引き起こすヒスタミンという物質には、血管を広げる働きも含まれています。血管が広がると周りの神経が圧迫されて、頭痛が起こることがあるのです。

花粉症に初期症状はある?

不眠症の女性
そもそも花粉症とは、体内に入ってきた花粉を体が異物(敵)だとみなし、敵を取り除こうとして起こるアレルギー反応を指しています。
花粉が体内に入ってきたときに、体内の免疫システムによって「異物(敵)」だとみなされると、敵に対抗するために抗体(IgE抗体)が作られます。
このIgE抗体は花粉と接触するたびに作られ体内に蓄積されるのですが、蓄積できる許容量をオーバーしてしまうとアレルギー反応を起こすヒスタミンなどの化学物質が分泌され、花粉症を発症するのです。
したがって「去年は大丈夫だったのに今年になって花粉症の症状が出始めた」など、突然発症したように感じることが多いでしょう。
ただし花粉症の症状は風邪の症状とよく似ているため、本当は花粉症なのに風邪の初期症状だと勘違いしてしまうことがあります。

花粉症と風邪の症状の違い

医療や健康の疑問と女性医師
花粉症と風邪の症状は非常によく似ていますが、よく観察するとそれぞれ異なる特徴を持っています。

  • 水のようなサラサラの鼻水が続いている
  • 何度も連続してくしゃみが出る(10回以上続く場合も)
  • 目の痒みを伴っている
  • 発熱はない。もしくは微熱程度

上記のような症状が認められた場合、風邪ではなくて花粉症が疑われます。
逆に下記の症状が出た場合には花粉症ではなく、風邪やインフルエンザの可能性が高いです。

  • 粘り気のある鼻水が出る
  • くしゃみは連続しても3~4回までくらい
  • 高熱が出る
  • 関節や筋肉の痛みを感じる

ただし発現する症状には個人差があるので注意してください。上記の症状全てに当てはまらなくても、花粉症または風邪である可能性は十分に存在します。
そして風邪と花粉症の最も大きな違いは、症状の持続期間です。
風邪の場合は数日間で治まることが多いのですが、花粉症の場合アレルギー症状を起こす原因となっている花粉が飛散している期間は症状が持続します。
1日の中でも風邪は同じ程度の症状が続くのに対して、花粉症には花粉の飛散量に対応して症状が強くなる時間帯があります。
花粉症を疑う症状が花粉の飛散時期に2週間以上続く場合には、耳鼻咽喉科や眼科などの受診を検討してください。

花粉症の症状を緩和する治療方法

花粉症対策のイメージ素材
花粉症は適切なセルフケアで、症状をある程度緩和することが可能です。セルフケアの最大の目的は「花粉を目や鼻に付着させないこと」です。
そのためには広く一般的に知られているマスクや眼鏡を装着する他にも、衣服や体に花粉が付着しないように気を付けたり、家の中に花粉を持ち込まないようにしたりといった対策を行いましょう。
これらのセルフケアは、花粉の飛散が始まる前から予防的に行うと効果的です。

鼻・のどの保湿をする

鼻やのどの粘膜が乾燥すると外敵からの防御機能が弱まるため、花粉症の症状が悪化しやすくなってしまいます。
マスクの内側に湿らせたガーゼを挟む・部屋の中では常に加湿器を稼働させる・のど飴をなめるなどの対策をして、鼻と喉の潤いを常に保ちましょう。
入浴時に意識的に鼻から空気を吸い込むように意識することも、鼻やのどの保湿には効果的です。

鼻うがいをする

マスクやメガネで対策をしても、全ての花粉の侵入を防ぐことはできません。そこで鼻の粘膜に付着してしまった花粉を取り除くためには、鼻うがいが効果的です。
鼻うがいとは、鼻うがい用の液体を鼻孔から流し込み、鼻の粘膜に付着した花粉などの異物を洗浄する方法です。
ただし水道水を鼻に入れると浸透圧の関係で鼻の奥がツーンと痛くなってしまうため、市販の鼻うがい用の薬液を使用するか、自作しましょう。
鼻うがい用の液は、人肌程度に温めたぬるま湯1リットルに対し9グラムの食塩を溶かすだけで簡単に作成できます。
自作した液は先の細いノズルがついた容器に入れて、鼻の奥に流し込むようにして使用します。
鼻うがいを実行する際には、鼻を洗った液を誤って飲み込んでしまわないように注意してください。

外出を控える

部屋でストレッチする女性
花粉の飛散量が特に多い日には、なるべく無駄な外出を避けるようにしてください。
花粉の飛散量が多くなりやすい日には、以下のような条件の日が挙げられます。

  • よく晴れた気温の高い日
  • 風が強く空気が乾燥している日
  • 雨上がりの翌日
  • 気温の高い日が2~3日続いた後

天気予報の花粉情報やスマホアプリなどで、その日の飛散量をチェックしておくと安心です。
どうしても外出する必要があるときは、花粉飛散が比較的少ない午前中に済ませておくと良いでしょう。

花粉がつきにくい服を着る

花粉が飛散する時期はまだまだ肌寒いことが多いですが、ウールの衣類は花粉が付きやすいのでできるだけ着用を避けましょう。
外出の際には、表面がツルツルとしたナイロンのアウターを羽織ることをおすすめします。また顔に花粉が付着するのを防ぐために、つばの広い帽子を被るのも効果的です。

掃除を徹底する

自宅内に侵入した花粉は、こまめな掃除で排除しましょう。ただし窓を全開にするとそこから大量の花粉が侵入してしまいますので、窓を開ける幅は小さめにしてください。
開けた窓から花粉の侵入を抑えるためには、レースのカーテンを引いておくことがおすすめです。カーテンにも花粉が付きますので、こまめに洗濯してください。

花粉症に効果的な食べ物を摂る

花粉症の症状を改善するには、食生活の改善も効果的です。不規則な食事で栄養バランスが崩れると、免疫力が低下してアレルギー症状が起こりやすくなってしまいます。
さらに、花粉症に効果的だとされている食べ物を積極的に摂ることで、更なる予防効果が期待できます。花粉症に効果的だと言われている主な食べ物は以下の通りです。

  • 青じそ
  • サバ・アジ・イワシなどの青魚
  • 甜茶
  • ヨーグルト
  • れんこん

上記の他にも、体の抵抗力や免疫力を高めてくれるビタミン、ミネラルが不足しないように注意してください。
バランスのとれた食事の中に、花粉症予防に効果的な食べ物を取り入れて、花粉に負けない体づくりを目指しましょう。

花粉症の治療方法

医師 薬剤師 歯科医 白衣を着た男性
辛い花粉症の症状を抑えるには、病院での治療が最も効果的な方法です。
花粉症の治療とはすなわちアレルギー治療を指しており、今ある辛い症状を抑えるための対症療法と、花粉症を完全に治すための根治療法の2種類に大別できます。
適切な治療方法を見つけるためにも、まずは自分がどの花粉に対してアレルギー症状を起こすのかを調べておきましょう。
花粉症の検査は、耳鼻咽喉科・眼科・内科(お子様は小児科)・アレルギー科などで受けられます。自分の症状に合った病院を受診してください。

薬物治療

薬を使った対症療法である薬物治療は、最も一般的な花粉症の治療方法です。
薬物治療の種類は、第二世代抗ヒスタミン薬・抗ロイコトリエン薬・化学伝達物質遊離抑制薬などの内服薬と、点鼻薬・点眼薬・鼻噴霧用ステロイド薬・点眼ステロイド薬などの外用薬があります。
これらの内服薬と外用薬を症状に合わせて組み合わせて使用し、花粉症の治療を行うのです。
より鼻づまりが強い場合は、点鼻用血管収縮薬や経口ステロイド薬が使用されることもあります。
どちらも花粉の飛散が始まる半月くらい前から使用を始めることで、最盛期の症状が緩和されます。花粉症の人は花粉シーズンが到来する前に病院を受診し、薬を処方してもらうようにしましょう。

減感作治療

減感作治療とはアレルゲン免疫療法とも呼ばれ、特に症状の重い花粉症患者に適用される根治療法のことです。
具体的には、花粉の抽出液を体内に注射して花粉に対する免疫を獲得しようという治療方法となっています。
最初は花粉の濃度の低い抽出液から始め、徐々に濃度を高くして花粉への免疫を獲得していくのです。
治療には2~3年ほどの期間を要します。ただし通院頻度が高かったり、治療を受けられる病院が限られていたりと、治療へのハードルは少々高いといえるかもしれません。
しかし減感作治療の効果は高く、スギ花粉症の場合は80%以上の患者が軽症や無症状にまで治まることが確認されています。

手術

鼻の症状が辛い場合は、手術による治療も選択肢の1つです。軽症〜中等症の場合はアルゴンプラズマ凝固法もしくはレーザー手術が適用されます。
これは鼻粘膜でのアレルギー反応を少なくして、症状の軽減を図るという手術です。手術に伴う危険性や後遺症はなく、出血や痛みもほとんどありません。
また保険適用となりますので、3割負担の場合では1万円程度で手術を受けられます。そのため、日帰りで安全かつ手軽に受けられる手術として広く普及しています。
一方で症状が重度の花粉症患者に効果的なのが、後鼻神経切断術と粘膜下下鼻甲介骨切除術です。
後鼻神経切断術は内視鏡を用いて鼻の中で行われ、鼻水を出す神経とくしゃみを起こす神経を切断することにより、鼻水とくしゃみを抑制するというものです。
さらに鼻腔を拡大するための粘膜下下鼻甲介骨切除術を同時に行うことにより、後鼻神経を確実に切断するとともに、鼻づまりへの高い効果も期待できます。
この手術は全身麻酔で行われるため、短期間ではありますが入院が必要です。

花粉症の症状が重い場合は治療を検討しよう

並んで立つ医療従事者
花粉症で悩む多くの人は、セルフケアを実践したり、内服薬・点鼻薬・点眼薬などでの対症療法を行ったりしていると思います。
しかしいくらセルフケアをしたり薬を使用したりしても、症状自体が重いとなかなか効果を感じられず、日常生活に支障をきたしてしまいます。
そこで症状が重くて辛い場合には、減感作治療や手術などの治療法を検討すると良いでしょう。
ただし症状の程度によって選択する治療方法が異なります。自分に合った治療を受けるために、まずはかかりつけ医への相談がおすすめです。

編集部まとめ

自然を満喫する女性
毎年花粉が飛散する時期が近づくと憂鬱な気分になる人は多いかと思います。対策を行うためにも、自分がどの花粉に反応しているのかをまずは病院で検査しておきましょう。

また、花粉症の症状が出始める前からセルフケアを行ったりを使用したりすると、花粉最盛期の症状を緩和させることができます。

早めの対策が、辛い花粉の時期を少しでも楽に乗り切るコツだといえるでしょう。

あまりにも症状がひどく、日常生活に支障をきたす場合には減感作治療や手術などの根治治療を検討してください。

この記事の監修医師