うおのめの原因は?病院での治療から自分でできるケアまで
この記事の監修ドクター:
河島 和彦 医師(医療法人 河島医院院長)
目次 -INDEX-
うおのめって何?
足の裏などにできる「うおのめ」。
ひとたびうおのめが出来てしまうと歩く度に痛みを感じるようになったり、履ける靴も限られてしまったりなどなにかとやっかいなものです。
見た目が魚の眼に似ているということから「うおのめ」と広く呼ばれるようになっていますが、正式には「鶏眼」と言います。
うおのめとは足の裏などにしこりを生じる皮膚病変のことで、放置しておくと歩くのも困難になるぐらいの痛みを感じることもあります。
うおのめの中央には芯があります。この芯とは刺激を一点に受けた部分の角質が厚くなっていき真皮(皮膚の表皮の内側にある層)の方に円錐状に硬くなったもののことです。
この円錐状の芯が神経を圧迫することで痛みを感じるようになるのです。
うおのめの種類にはどのようなものがある?イボ・タコとの違いは?
一言でうおのめと言っても、その状態によっていくつかの種類に分けることができることに加えて、うおのめと間違いやすいほかの皮膚疾患もあります。
ここでは以下にうおのめの種類とイボ・タコとの違いについて説明していきます。
うおのめの種類
うおのめはその状態によって主に以下の3つの種類に分けることができます。
硬性鶏眼
うおのめとしてもっとも良く知られているのがこの硬性鶏眼です。その名前のとおり皮膚が硬くなります。表面に光沢があり、中央に芯が見られるのが特徴です。できる場所によって痛み方が異なります。
軟性鶏眼
足の指の間にできるうおのめです。足の裏にくらべ指の間は湿ったままになりやすいため、白くふやけてやわらかい状態になっています。窮屈な靴を履くなどして足の指同士が圧迫されることでできることが多くなります。
粒状鶏眼
足裏やかかとにできるうおのめです。芯だけでその周囲に角質増殖は見られません。
タコとの違い
タコとはうおのめと同じように角質の増殖・硬化がみられる皮膚病変です。
うおのめが皮膚の内側(深部)に角質増殖して硬い芯をつくるのに対して、タコは皮膚の外側(表面)に角質増殖して皮膚を分厚くします。黄色みを帯びて盛り上がった状態になります。
タコには芯がないため痛みのないことが多く、逆に皮膚が厚くなるため外部からの刺激を感じにくい状態にあると言ってもよいでしょう。
タコは足裏などの骨の上にできやすいのですが、足以外にも体のどの部分にでもできます。
イボとの違い
うおのめと間違いやすい皮膚病変にはイボもあげられます。
イボにはいろいろな種類がありますが、足にできやすいのは「尋常性疣贅(じんじょうせいゆうぜい)」などです。
尋常性疣贅は、ヒトパピローマウイルス(HPV)というウイルスに感染することで発症します。表面が盛り上がっていて茶色の粒が見られます。痛みもかゆみもありません。
うおのめが他の部位や他人に感染することはありませんが、イボはウイルス性であるため他の部位や他人に感染する恐れがあります。うおのめかイボかわからないといった場合は、皮膚科を受診するとよいでしょう。
水いぼの症状についてもっと詳しく知りたい方は、こちらの記事を参照してください。
うおのめになる原因とは?
うおのめは皮膚が刺激を一点に受けて角質が厚くなることによってできます。ここでは以下にうおのめになる主な原因について説明していきます。
足に合っていない靴
サイズの小さい靴を履いている時には足の指先が靴に当たったり指先が曲がったままで固定されたり、指が両側から圧迫されたりと、足の皮膚が刺激を受け続けるという状態になっています。
反対にサイズの大きな靴を履いている時は、歩く度に靴の中で足が動いてしまい指先が靴に当たることなどによって刺激を受けることになります。
また、自分の足のサイズに合ってない靴を履いて歩く場合、歩き方も不安定になるため足裏への重心が偏ってしまい特定の一点が刺激を受け続けることにもなります。
これらの外的刺激によって角質が厚くなり、うおのめができてしまうケースがあります。
角質の蓄積
足の角質は蓄積しやすく放置しておくとなかなか除去しにくくなってきます。
適切なケアをせず放置して硬くて古い角質が溜まってしまうことでうおのめができやすくなってしまいます。
冷え性
冷え性により血行不良になってしまい皮膚の新陳代謝が衰えることで足裏の角質が溜まりやすくなってしまいます。古い角質が溜まってしまうことでうおのめができやすくなってしまうのです。
また、足が冷えている人は冷えていない人にくらべ足裏の刺激を強く感じてしまうようになります。
糖尿病
糖尿病は、インスリンが十分に働かないため血液中のブドウ糖の濃度(血糖値)が上昇してしまう病気です。様々な合併症を引き起こしますが、その合併症のひとつに神経障害があります。ひどくなると手足の感覚が鈍くなってしまいます。
そのため、サイズの合わない靴を履いていても違和感を覚えることができずに履き続けるため、うおのめができやすくなってしまいます。
また、感覚が鈍くなっているため痛みも感じにくく、うおのめをそのままにしておく事で悪化し、最悪の場合は壊疽(えそ・組織が腐ってしまうこと)を引き起こし、足を切断しなければならなくなることもあります。
糖尿病の方は、定期的に足裏をチェックすることが重要になってきます。
うおのめが発症する部位と症状について
うおのめができる場所によって症状が異なることもあります。ここでは以下にそれぞれの場所における症状について説明していきます。
指の付け根・間
指の間には、患部の皮膚が白くふやけてやわらくなっている軟性鶏眼がよくみられます。指の間は汗で湿ったままの状態になりやすいため、白くふやけてやわらかくなるのです。
指の間の皮膚は神経までの距離が近いため、小さなうおのめでも痛みを伴うことがほとんどです。
指の付け根のうおのめは、外反母趾や歩き方にくせのある方、きつめの靴を履く方などにできやすいとされています。
このようなケースでは痛みを伴うことが多くみられます。
うおのめの芯
うおのめの芯とは、圧迫や摩擦などの刺激を一点に受けた角質が厚くなって、皮膚の深い所である真皮の方に円錐状にささるように伸びて硬くなったもののことを言います。
この芯はかなり硬くなっており、それが皮膚の深いところにある神経を圧迫することによって痛みを感じるようになります。
歩く度に痛みを感じるのは、うおのめが重心などによる刺激を受けることで芯が神経を圧迫してしまうからなのです。
足の裏・かかと
足の裏やかかとには、芯だけで角質増殖がほとんどみられない粒状鶏眼がよくみられます。
芯はあっても非常に浅く、また周りを囲む角質層がないため、痛みがないケースがほとんどです。
うおのめの治療法について
歩く度に痛みを感じたり、好きな靴が履けなくなったりと不便な思いをすることになる「うおのめ」。放っておくと歩くのも困難になるほどの痛みを感じるようになることも。そのようなことにならないためにも、早く治したいものですよね。
ここでは以下に、うおのめの主な治療法・ケアについて説明していきます。
病院で受けられる「うおのめ」の治療
病院では軽度のものから重度のうおのめまで治療をおこなうことができます。いくつかある治療法の中から、そのうおのめの状態に合った方法が選択されます。
うおのめか他の疾患か判断しにくい場合があり、間違ったセルフケアで重症化することもあるので、皮膚科など専門の病院を受診することをおすすめします。
うおのめの治療のため病院を受診した場合、主に以下のような治療がおこなわれます。
カミソリなどによる芯の除去
もっとも一般的な治療法であり、カミソリやハサミを使ってうおのめの周囲から削り込み除去します。削り取る部分は角質だけなので痛みはありません。
サリチル酸製剤を使った治療
角質をやわらかくし、芯とその周りの皮膚を分離させる作用のあるサリチル酸製剤を使用する治療法もあります。早期のうおのめに治療効果が期待できます。
外科手術による芯の除去
うおのめの芯が深い場合や日常生活が困難になるほどの痛みを伴う場合には、メスを使った外科手術がおこなわれることもあります。局所麻酔をしてから患部を切開し芯を取り除くといったものです。
手術後の傷の痛みの方がうおのめの痛みよりも強くなってしまうこともあり、手術による芯の除去が選択されることは少ないようです。
また、細菌感染の恐れがあることも外科手術が選択されにくい理由のひとつでもあります。
レーザー治療による芯の除去
局所麻酔をしてから患部にレーザーを照射することでうおのめの芯を取り除く治療法です。
皮膚の深い部分にある芯まで取り除くことができる上に、外科手術とくらべて出血や痛みが少ないというメリットがあります。ただし、自費診療になるため経済的な負担は大きくなってくるでしょう。
また、傷が完全に癒えるまでには1か月程度かかってしまいます。
冷凍凝固療法
液体窒素で患部を凍結し、皮膚を壊死させる治療法です。芯が深くて削れないといった場合に併用されることがあります。
冷凍凝固療法は主にウイルス性のイボの治療に効果的だとされています。
液体窒素により皮膚に低温やけどを起こすことになるので痛みを伴うこともあります。
市販薬を使った処置
薬店やドラッグストアなどではいろいろなタイプの「うおのめ改善薬」が市販されています。
早期の小さなうおのめには効果が期待できるので、早めの処置が重要になってくるでしょう。
しかし、市販薬で対応しきれないような大きなうおのめや痛みが強いといった場合や何度も繰り返してしまう場合には、速やかに病院を受診したほうがよいでしょう。
うおのめ改善薬に配合されているサリチル酸は、硬くなった角質をやわらかくする作用があるだけに、皮膚への刺激が強いということが言えます。
そのため、薬剤が健康な皮膚に付着すると炎症を起こしたり痛みを感じたりといったことがありえます。薬を使うときは十分注意してください。
絆創膏タイプ
角質をやわらくする作用のあるサリチル酸を配合した薬剤付きのパッドをうおのめの上に絆創膏のように貼っておきます。
数日間貼ったままにしておけるので、薬を塗りなおすという手間がいらず便利です。
歩いたり動いたりすると外れやすくなるので、上から固定テープを貼っておくと外れにくくなって良いでしょう。
液体タイプ
指先や関節などの細かい部分にも塗りやすくなっています。また、テープでかぶれやすい人も使うことができます。
ジェルタイプ
液体タイプとくらべて粘性があるため塗りやすくなっています。また、液だれしにくいというメリットもあります。
フットケアサロンでの施術
最近ではタコ・うおのめのケアのほか、足の角質ケア・巻き爪ケア・足のネイルトリートメント・フットマッサージ・足形測定カウンセリングなど足に関するケアを専門におこなうフットケアサロンがよく見られるようになってきました。街に実店舗があったり出張してケアをおこなってくれたりと誰もが施術を受けやすいというのがうれしいですね。
また、専門的な知識・技術を持つスタッフがうおのめに対する施術をおこなうので、自己判断による間違ったケアで悪化させてしまった…ということもなく足をキレイにすることができます。
サロンによってメニューやサービスが異なるので、自分の希望や症状にあったところを選んで施術してもらうとよいでしょう。
一般的なサロンでのうおのめケア施術の流れとしては、まずはフットバスで足裏の角質をやわらかくしていきます。そして専用器具で足裏の角質を素早く削っていきます。うおのめの芯は専用マシンでキレイに取り除きます。その後、パックしたり表面を磨いてやわらかく整えたりと足裏全体をケアするといったものになります。
自分ではできないようなケアを専門的な知識・技術を持つスタッフが丁寧におこなってくれるフットケアサロンには、うおのめのお悩みがなくなるだけでなく足裏全体がキレイになる上、リラックスして施術を受けることができるというメリットがあります。
うおのめ以外にも他の疾患にかかっていたり、炎症を起こしていたりといった場合は医療機関への受診が必要となってきます。フットケアサロンでは専門的な知識を持つスタッフがカウンセリングをおこなうため、サロンで施術できるケース・できないケースの判断は的確です。施術できないようなケースの時は医療機関を紹介してくれるので安心してケアをお願いすることができます。
うおのめを予防するには
病院やフットケアサロン、自宅でのセルフケアで「うおのめ」が治ったとしても、根本的な原因が解消されない限り繰り返しできてしまうこともあります。そのため、うおのめの原因となっている状況を改善することが重要となってきます。
ここでは以下に、うおのめを予防するために大切なことを紹介します。
自分の足のサイズに合った靴を履く
小さい靴を履くことは指先が曲がったまま固定されたり、指が横から圧迫されたりと足が刺激を受け続けることになります。
大きい靴を履くと歩く度に靴の中で足が滑ってしまい指先が刺激を受けてしまいます。それらのようなことにならないためにも、自分の足のサイズにピッタリ合った靴を履くことが大切です。
自分に合ったものならば靴からの刺激を受けないばかりか、歩行時の体のバランスも良い状態を保てるので特定の一点のみに刺激が加わるといったこともありません。
爪先が圧迫される靴は避ける
うおのめを予防するにはハイヒールや爪先の狭いパンプスなど足の前半分が圧迫される靴は避けた方がよいでしょう。
足の前半分の特定の一点に刺激が加わり続けることにより、うおのめができやすい状態になってしまうからです。
底の薄い靴は避ける
クッション性のない底の薄い靴で歩くと、地面からの圧力が強くなるため足裏に刺激が加わりやすく、うおのめができやすくなってしまいます。そのため、底の薄い靴・クッション性のない靴は避けた方がよいでしょう。
インソールを入れる
歩行時の地面からの圧力を軽減させるために、靴の中に衝撃を和らげるためのインソール(やわらかい中敷き)などを入れるとよいでしょう。
また、自分の足の状態に合ったインソールを使うと、足裏のバランスがよくなり正しい歩き方になることもあります。正しい歩き方も、うおのめ予防に効果的です。
オーダーメイドでインソールを作成してくれる医療機関もあり、場合によっては保険が適用されることもあるので、自分の足にあったインソールを作りたいという方はフットケア外来などがある医療機関に相談されることをおすすめします。
保護パッドを貼る
靴に足用保護パッド(クッション)を貼ることで足に加わる圧力を軽減させることもよいでしょう。歩行の負担を軽減してくれます。
歩き方・立ち方の改善
歩き方・立ち方が悪い場合、重心が偏ってしまい特定の一点に強い圧力がかかってしまいます。その刺激を受ける一点にうおのめができやすくなってしまうのです。
そのため、歩き方・立ち方を改善し、重心をバランスよく保つことが大切です。
正しい歩き方として、かかとで着地し、かかとに乗った重心を足裏の外側から小指の付け根に移動させます。そして、小指の付け根から親指の付け根まで地面をつかむような感じで重心を移動させ、最後は親指で蹴り上げるといった歩き方が知られています。
外反母趾の治療
外反母趾とは、足の親指が小指側に曲がって変形して「くの字」になる状態を言います。
親指の付け根の関節が外側に出っ張ってくるため靴からの刺激を受けやすくなり、うおのめができてしまいます。
外反母趾を治療して出っ張りをなくすことが、うおのめの予防にもつながってきます。
足の形を整える
足裏には3つのアーチがありますが、これらのアーチは全身の体重をバランスよくささえたり、歩行時に地面から加わる衝撃を吸収したり、重心移動をスムーズにしたりといった役割を担っています。
これらのアーチが崩れると足の形も悪くなり、重心も偏ってしまうため、うおのめができやすくなってしまいます。そのため、足のアーチを鍛えて足の形を整えることが大切になってきます。
足のアーチを鍛える方法としては、足の指をじゃんけんの「グー」・「パー」のように動かす運動が有効です。指先だけではなく足のアーチを意識しながら動かしましょう。
ただし、足の痛みがあるときは行わないようにしてください。
血行促進・老廃物の代謝を促す
冷え性で足が冷たくなっていると血行が悪くなり、皮膚の新陳代謝が衰えて古い角質が溜まりやすくなってしまいます。足裏に古い角質が溜まらないようにするためには、足裏・足指をマッサージして、血行を促進させ老廃物の代謝を促すことが効果的でしょう。また、足の血行促進のためには足湯も効果的です。
うおのめができるということは、足の一点が圧迫や摩擦を長期間受けて続けている状態であったり、足が冷えている状態であったりといったことを、体が教えてくれているサインであると言えるでしょう。
うおのめができてしまったら、健康のために改善すべき点があるよというお知らせを足からもらったと考えて、足への圧迫・摩擦をなくすためにはサイズの合った靴を選んだり歩き方・立ち方を良くしたり、冷え性を改善するためにはマッサージのほか体を冷やさない格好やバランスの良い食事・十分な睡眠・適度な運動など、普段から気を付けるようにすることが大切であると言えるでしょう。
ご自身でケアを行なうときにぜひ気をつけていただきたいことがあります。
記事にもある市販薬は確かに身近で便利なものです。ただ、間違った使い方をしてかえってこじらせてしてしまってから病院にこられる方もいます。
自己判断で安易に治療せず、一度専門医にご相談してみてください。
監修ドクター:河島 和彦 医師 医療法人 河島医院 院長
いぼ、足の裏が痛い症状についてもっと詳しく知りたい方は、こちらの記事を参照してください。
この記事の監修ドクター
出典:http://www.kawashima-cl.jp/
河島 和彦 医師
医療法人 河島医院 院長
PROFILE
関西医科大学医学部医学科卒業後、関西医科大学附属病院に内科研究医員として入局。その後、済生会兵庫県病院への出向を経て医学博士号取得。2005年に父親の跡を継ぐ形で河島医院院長就任、2006年には医療法人河島医院理事長就任。現在、内視鏡検査や治療においては、30年以上、合計約5万件の実績を誇る。日本内科学会、日本消化器病学会、日本消化器内視鏡学会、日本肝臓学会、日本超音波学会、日本胃癌学会の各会所属。日本消化器病学会認定消化器病専門医、日本肝臓学会認定肝臓専門医、日本消化器内視鏡学会認定消化器内視鏡専門医および指導医。