【漫画付き】おならがよく出る原因は?おすすめの対策はこれ!
この記事の監修ドクター:
藤田 亨 医師(皿沼クリニック院長)
目次 -INDEX-
おならの原因とは何か
エチケットとして人前でおならをするのは避けるべきですが、中には特に意識していなくても自然とお腹の中が動き出し制御することができないという方もいらっしゃいます。
我慢の限界まで到達してしまうと独特な臭いとともに大きな音も生じやすいおならはどうして発生するのでしょうか?
まずはメカニズムを知り、効果的な対処法につなげていくことが大切です。
おならが出る仕組みを知ろう!
おならの成分は、60-70パーセントが口で吸い込んだ空気で, 30-40パーセントは腸にいる細菌によって作られるガスからなっています。 1日平均5-20回,量は1-2リットルと報告されています。成分は、窒素、酸素、水素、二酸化炭素、メタンという気体ですが, 99%を占めるこれらのガスはにおいがないことが知られています。 あの独特なにおいは、わずか1%以下のガスである アンモニア、硫化水素、インドール、スカトールなどです。 これらのガスは、大腸の中の細菌が、蛋白質を分解するときに生まれます。
ただし、お腹の中に溜ったガスは全ておならとして排出されるわけではなく、腸管という器官に吸収されなかった分が排便時に出されるか、おならとして肛門から身体の外へと出される仕組みとなっています。
【食べたものによる影響】
おならは食べた食品の種類によって、その発生度合いが増したり、臭いが増減したりすることが知られています。
もっとも排出を促す食品群は腸の動きを活発にする繊維質を多く含む食品であり、イモや豆類・ゴボウやレタス・きのこ類などが挙げられます。
また、肉類、小麦、乳製品、砂糖中心の欧米型の食生活は、グルテン、カゼイン、などの蛋白質の消化に時間がかかり、悪玉菌(後述)が繁殖しやすくなるため、より臭いおならを発生させやすい腸内環境を作り出すことも忘れてはなりません。肉食のライオンのおならや大便は臭く、他の動物除けに使われる位であるのに対し、草食動物は、臭くないことが知られています。
原因はストレス?
意外にもストレスが原因でおならの回数が増し、また臭いもきつくなることがわかっています。
【ストレス下では交感神経が優位に立ちやすい】
人間の身体は二律背反する自律神経(交感神経、副交感神経)の働きによって緊張(交感神経優位)と弛緩(副交感神経優位)を繰り返し、健康を維持(恒常性の維持)することができています。
しかし過度のストレスがかかると緊張を司る交感神経の働きばかりが優位に立ち、心身ともにリラックスを促す副交感神経の働きが衰えることで胃腸にさまざまな障害(便秘、下痢、腹痛など)が起こり、異常を発生しやすくしてしまいます。
【ストレスよる食事環境の乱れ】
ストレスによって常に切迫した状態では食事の内容に気を配ることも疎かになりやすく、このことも胃腸の負担を増やし腸内のガスを多くため込む原因となります。
バランスを欠いた単品の食品および血糖値をあげやすい(GI値が高い:満腹感を得やすい)食品ばかりを食べることで噛む回数も減り、消化を助けるだ液の分泌も減少し、流し込むようにして食べるなど、臭いおならの発生にとってはまさに悪循環となる原因も否めません。
【我慢がさらなるストレスを呼ぶ】
おなら(特に臭いもの)を我慢するがゆえにより大きなストレスをため込むパターンもあります。
過剰な心配は身体だけでなく心の問題も引き起こすなど、場合によっては深刻な病気に発展する可能性が懸念されます。
さらにストレスの多い環境下では唾を何度も飲み込む動作も頻繁にみられ、これが自然と空気をため込む原因にもつながっています。
大腸菌との関係
大腸の中には、おならの発生とは切り離すことのできない100種類以上もの細菌が生きており、その総数は100兆個を超えるとされています。
これらは主に善玉菌・悪玉菌・日和見菌という3つのグループに分けられており、その理想的なバランスは、2:1:7の割合を維持することで健康が保たれるとされています。つまり、善玉菌の割合が、悪玉菌の割合の2倍となることが理想とされているのです。
回数が増える、または臭いが強いといった場合はまさにこのバランスを欠いた状態を指し示しています。
欧米型の肉類、小麦、乳製品、砂糖中心の食事や、夏季など胃腸の消化能力が弱まったタイミングで増えることがわかっている悪玉菌の影響は特に臭いに現れやすいとされていて、本来は無臭であるはずのおならを臭く変化させる原因と考えられています。
お腹に溜ったガスの正体
おならの元となっている最大の要因は、冒頭、メカニズムの項で述べた通り、
飲食のタイミングでお腹の中に入る空気であり、これが約6~7割を占めています。
30-40パーセントは腸にいる細菌によって作られるガスからなっています。 成分は、窒素、酸素、水素、二酸化炭素、メタンという気体です。その量は多い人で一日に2リットル相当分にもなるようです。
こんな症状に注意!おならを伴う病気の可能性
身体の中で不要となったガスが外に排出されるという生理現象は、ある意味、健康を保つために必要と考えられます。しかし、ガスに普段とは違う兆候が見られる場合(たとえば、頻繁にガスが出るなど)や臭いがキツイと言った際には、背景にある別の大きな病気の可能性も考えなければなりません。
ここでは3つのキーワードに沿って、先述のおならの異常の兆候を伴う病気について解説していきます。
たくさん出る・止まらない
【呑気症(どんきしょう)】
呑気症はストレス過多の方が罹患しやすい病気であり、だ液と一緒に空気を多く飲み込むことが原因とされています。
同じように普段から炭酸飲料などを好んで飲まれる方にも同じような症状がみられ、やはり大量の空気(二酸化炭素を含む)が胃や腹部に溜ることによりおならやゲップ・しゃっくりなどが出やすい傾向がみられるものです。
しかし現在のところ明確な治療法が確立されておらず、これと疑わしい場合には炭酸飲料の摂取を控えるなどの対処が推奨されています。
【クローン病】
口から肛門まで続く消化管全体に炎症性の潰瘍が広がる病気をクローン病と言い、食事が欧米化した、主に若い世代の方が罹患しやすい病気だと言われています。
こちらも明確な治療法が見つかっていないため国の難病にも指定されており、下痢や腹痛のほかおならが多くなることも特徴とされています。
【慢性胃炎】
胃の機能が低下するのにともなって消化不良を起こしやすくなる慢性胃炎でも、異常が増える傾向にあります。
慢性胃炎の主な原因ではピロリ菌の影響が良く取りざたされていますが、これ以外にもストレスが重なることによって症状が増悪する場合があるなど、異常をさらに助長させる要因を含んでいる病気と言えそうです。
腹痛・下痢を伴う
【過敏性腸症候群(かびんせいちょうしょうこうぐん)IBS】
お腹がゴロゴロする、腹痛や下痢の症状を伴ってガスが頻繁に出るなら、過敏性腸症候群という病気も疑われます。
自律神経の乱れが腸の蠕動運動(ぜんどううんどう)を不規則にさせるのが原因であり、慢性的に下痢(運動が活発になる)と便秘(運動が低下する)を繰り返すなどの不快症状が続きます。
過敏性腸症候群は発症のタイミングがつかみづらく、一日の間に何度も便意を催すなど日常生活にも支障をきたすことも問題となっている病気です。
臭いがきつい
便やおならの強い臭いは食べ物や体調の影響を強く受けるものです。特に強いおならの臭いが特徴となる病気には、大腸がんの可能性も考えられます。
【大腸がん】
大腸がんの自覚症状ではおならが頻繁に出るようになるほか、肛門からの出血に気付いて医療機関を受診するといったケースが見られます。
進行するに従って肥大したがん細胞により大腸が圧迫されると強い便秘の症状がみられ、わずかなすき間から漏れ出るガスの音がおならとして認識されるようになります。
しかし、仮にそのような症状が出現したとしても、便秘とか、ガスが多いぐらいで、病院に行くのは、恥ずかしいと考える方がほとんどです。そのせいで、病期が進行し、多くの臓器に転移を招くという深刻な事態も考えられます。便に血が混じることが多くなったり腹部のしこりなどの異常を感じたり、健康診断の便鮮血で陽性になったりしたら、いち早く専門の医療機関を受診して、大腸がんを念頭に置いて原因の特定を急ぐ必要が出てきます。
【大腸憩室症(だいちょうけいしつしょう)】
憩室とは大腸の壁の一部が外に飛び出した状態のことを指し、これが複数できると憩室症という病気として認識されるようになります。
大腸憩室症は、肉類、小麦、乳製品、砂糖中心の欧米型の食生活で、便の体積が減ることが原因で、それを無理に押し出そうとする腸の蠕動運動が活発になり過ぎた場合に起こるとされています。
そもそも肉類、小麦、乳製品、砂糖中心の欧米型の食生活で、おならの臭いを強めることがわかっていますので、徐々に腸内細菌叢の環境の悪化に伴い、臭いが増える症状がみられる大腸憩室症では、大腸がんへの移行も視野に入れる必要があるようです。
臭う、臭わないおならの違い
当たり前のように、クサイものと軽く考えているとその背後に隠れている病気が存在する可能性を見逃しかねないことを、容易に理解いただけると思います。
しかし同じように口から食べものを摂取しているにも関わらず、臭うものと臭わないものがあるのはどうしてなのでしょうか?
参考イラストを元に解説すると、きれいな腸内(腸内細菌叢の環境が良い)では消化の際に良い腸内細菌(善玉菌)の働きで発生するガスは窒素、酸素、水素、二酸化炭素、メタンと呼ばれる物質で臭いません。
一方で汚れている(腸内細菌叢の環境の悪化が認められる)腸内で、腸に悪影響を及ぼす悪玉菌が優勢となった場合は、腸の中では異常発酵と呼ばれる現象が起き有害なアンモニア、硫化水素、インドール、スカトールなどごくわずかな量(1%程度)でも特異な刺激臭を放つガスが発生するため、おならも便も臭くなりその悩みを増幅させる結果となるのです。
おならの悩みにおすすめの対策
前述のように、健康な人は無臭であり音の問題さえクリアできれば日常生活に大きな支障をきたすことも少ない現象と考えられます。
ただ、未病の段階である、SIBO(Small Intestinal(小腸) Bacteria (バクテリア⁻細菌)Overgrowth(増殖)》、やリーキガット(Leaky Gut)症候群などが隠れている場合があるので、おすすめの対策を試して、まったく効果がなければ、これらの疾患に理解のある医療機関を受診するべきだと思います。残念なことに、ほとんどの病院の消化器内科の医師は、これらの病気を病気として認めていません。それゆえ、専門的な診察で対処方法を探ることはもちろん大切ですが、その前に家庭でできる対策があればこれを試してみる価値があります。
今回は個人レベルで毎日取り組める予防法とお薬を用いた対処の中からピックアップしてご紹介します。
対策1:お腹を温めてみる
下痢気味の方は、まずお腹の冷えを取ることで悩みを改善してみましょう。
身体が温まっている入浴中などを利用したり、季節によっては使い捨てカイロなどを用いて腹部を温めることにも効果があります。ただ、カイロの場合は、低温やけどに注意して下さい。以下の食生活の改善にも関係しますが、お腹を温める食材を多用しましょう。具体的には、生姜、ココアなどになります。生姜とココアを比べるとココアの方が、温める持続時間が長いことが、分かっています。ただどちらも、砂糖が加工の際、くわえられることが多いので、少量ずつ摂取した方が、よさそうです。ココアだと純ココアというものが売られていて、これに甘味料(エリスリトールなど)を加えて飲むことをおすすめします。乳製品は、腸を痛めますので、ココアには、牛乳や生クリームを加えては、なりません。ココアは、チョコレートからココアバターと呼ばれる油脂を抜いたものになりますので、チョコレートの摂取は少量で、マルチトールなどの砂糖ゼロの商品で、なおかつ、カカオのポリフェノールの含有量が多いものを選びましょう。ただ、ココアとチョコレートには、カフェインも含まれていますので、夜間の大量摂取は、厳禁です。
対策2:食生活の改善
毎日の食生活の中には、おならを快適にしていくヒントが多く詰まっています。
【効果のある食事のヒント】
- ゆっくり良く噛んで食べる
- 炭酸などガスを発生させやすい飲み物を控え、口に含んだらゆっくり飲み込む習慣をつける肉類、小麦、乳製品、砂糖中心の欧米型の食生活を避けることが、最も重要です。
- 一方、臭いの強い野菜(ニラ、ニンニク、ネギ、パクチー、セロリ、タマネギ、パセリなど)は、控える必要は、ありません。臭いの強い野菜は、デトックスの力が強く、蛋白質をほとんど含まないことが知られているからです。蛋白質の含有量が少ないため、硫黄が含まれていても
、臭いおならになることは、まずないと考えて頂いて結構です。ヨーグルトは、動物性乳酸菌を多く含みますが、動物性乳酸菌は、植物性乳酸菌に比べて、格段に胃酸に弱いことが知られています。またヨーグルトの中のカゼイン蛋白は、消化が悪く、腸に炎症を起こし、なおかつ、分解されてカソモルフィンというペプチドを産生します。このペプチドは、モルフィンと名前がついている通り、麻薬の受容体に作用し、乳製品が止められなくなります。したがって、乳酸菌を摂取したければ、ラブレ菌(商品名:ラブレ)や豆乳ヨーグルトなどの植物性乳酸菌を摂取することが望ましいと考えられます。腸内バランスを整える - 海藻類やきのこ類からは多くの方に適した食物繊維が摂れますし、腸に優しい食材と言えましょう。腸に優しい食材と言えば、ボーンブロススープが有名で、現在、ニューヨーカーの間で、流行しています。日本人になじみが深いボーンブロススープは、鶏ガラスープです。
対策3:おならに効く体操とツボの刺激
我慢をするとより深刻化するのがおならです。
不要となった体内のガスを効率よく排出させるためには適度な運動も効果的であるため、時間がある方はウォ―キングやストレッチなどを習慣にされるといいでしょう。
自宅で簡単に取り組める体操やツボの刺激でスッキリしたお腹を目指したい方のため次のような方法をご紹介いたします。
【お腹のマッサージ】
- 床に正座して座り、おへその辺りに手の平を置いて起点とします
- おへそを中心に「のの字」を書いてお腹を撫でるような動作をします。手の動きは自分の方から見て時計回りになるようにして下さい。
腹部の左下には肛門につながるS字結腸という器官があり、ここに溜ったガスを押し出すようなイメージで行うのが効果的です。
【赤ちゃんのポーズで腸を刺激する体操】
- 仰向けに寝て、まずは全身の力を抜いてリラックスします
- 両足の膝を軽く曲げて息を吸い、片方(両方でも可)の膝を手で抱えるように引き上げます
- そのまま胸にグッと近づけたら10秒程度姿勢をキープしましょう
- 息をゆっくり吐きながら元の位置まで足を戻します
- 片足ずつの場合はもう一方も同じ動作をおこないます
入浴後は身体も温まり、この体操の効果も高まります。腸の引き締めと同時にリラックスして眠りにつけるよう毎日5分間程度を目安に続けていくのがおすすめです。
【ツボ押しも効果的】
いつでもどこでもおこなうことができ、特別な道具もいらない解消法としては身体の中にあるツボを刺激することにも効果が期待できます。
ガスの排出に役立つツボはイラストで示している「天枢」で、おへそを挟み左右に指幅3本分外側に存在しています。
左右のツボをそれぞれ人差し指・中指・薬指の三本で押さえ、軽くお腹がへこむ程度にゆっくり圧をかけるのがポイントです。3分程度を目安にゆっくり指圧すればお腹の中が自然に動いてガスが出る準備を整えることができます。
対策4:薬剤を用いた改善
気になる臭いもなく出る回数も気にならない程度では、特別な薬物療法は必要ないとされるのが一般的です。
ただし仕事や学校など、おならによって生活が制限されてしまう場合には、SIBO(Small Intestinal(小腸) Bacteria (バクテリア⁻細菌)Overgrowth(増殖)》やリーキガット(Leaky Gut)症候群という未病の病態を考える必要があります。これに対しては、専用のサプリの内服が必要になります。なお制酸剤(胃薬)を長期間内服している人は、上記SIBOになりやすく、制酸剤の内服量を調節する必要があります。
特にストレスや神経が過敏になることで起こりがちな過敏性腸症候群などの場合は早めの受診である程度、快適な日常を取り戻すことが可能です。しかし、おならや腸の不具合で悩まない生活習慣のアドバイスなどは、上記サプリの指導ができる医療機関を受診することが、必要になります。
一般内科医師の処方の元で受けられるお薬では「ガスコン」などが有名です。この薬で、ある程度の快適な日常を取り戻すことは、可能ですが、対症療法なので、根本的な治療を必要とするなら、やはり、上記サプリの指導ができる医療機関を受診することをお勧めします。
このほか漢方薬では大柴胡湯(だいさいことう)・開気丸(かいきがん)・四逆散(しぎゃくさん)などに改善効果が認められていますが、漢方薬には、証と言って、人によって合う合わないがありますので、必ず医師の診察を受けてから、処方してもらって下さい。特に、虚証(体力のない証)の人に実証(体力のある証)の漢方薬を使用することは、厳禁です。
またお薬を用いた改善方法では「ガスピタン」などの商品名で販売されている市販薬もありますが、根本となる原因が何なのかを見極めて使用するためにも、専門の薬剤師や医師のアドバイスを受けることが、望ましいと思われます。
ガスの悩みは、家族や友人や医療機関にも、打ち明けにくく、対処法を行っても、改善しない場合は、未病の段階である、SIBO(Small Intestinal(小腸) Bacteria (バクテリア⁻細菌)Overgrowth(増殖)》、やリーキガット(Leaky Gut)症候群などが隠れている場合があるので、適切なサプリを教えてくれる医療機関に相談しましょう。当クリニックでは、安価で適切なサプリをお教えします。しかし、適切なサプリを教えてくれても、自費診療で、高額である場合は、良くお考えになってから受診することをお勧めします。
監修ドクター:藤田 亨 医師 皿沼クリニック 院長