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眠れないときの対処法は?原因を取り除いて快適な睡眠へ

 更新日:2023/03/27

健康的で快活な生活を送るために適切な睡眠がとても重要であることは言うまでもないことでしょう。

しかし、なんらかの理由によって「就寝時に布団に入ってもなかなか眠れない」「眠りが浅くしばしば目覚めてしまい、翌日に睡眠不足を感じる」などの、睡眠がうまくできないことに対するお悩みを抱えている方も少なからずいることでしょう。

このように、就寝時に適切な睡眠をとれないことは疲労やストレスの蓄積へとつながってしまうばかりでなく、全身の健康にとっての悪影響へとつながってしまう恐れがあるため、早急な改善が求められる症状であると考えられています。

では一体どのような原因によってうまく眠れなくなってしまうのでしょうか?

ここからは、就寝時にうまく眠れなくなってしまう原因について探ってまいりたいと思います。

この記事の監修医師
今野 裕之 (ブレインケアクリニック 名誉院長)

「眠りたいのに眠れない」その原因とは?

疲れているのに眠れない・明日も早いのに眠れないなど、心底眠りたいのになかなか眠れない。誰もが一度はこのような経験に苛まれたことがあるのではないでしょうか?

このように、就寝時に適切な睡眠が摂れなくなってしまう原因は大きく3つに分類することができます。

以下に、うまく眠れないときに考えられる3つの原因についてそれぞれ解説いたします。

原因① 身体的な原因によるもの

うまく眠れない原因のひとつとして、痛みやかゆみなどによって睡眠が妨げられてしまっているケースや、頻尿などによって睡眠が断続的になってしまうケースがあります。これらのケースの場合においては、その原因に対する対応をおこなうことで睡眠トラブルを改善できます。

原因② 不安・ストレスなどの心理的なもの

ストレス社会と呼ばれて久しい現代社会においては、誰しもが不安やストレスなどの心理的負担を抱えていることでしょう。職場や学校など社会生活における人間関係によるものや健康についての悩みによるものなど、不安やストレスの原因にはさまざまなものがありますが、これらは睡眠を妨げてしまう大きな原因となります。
適切な睡眠を摂れているとき、人間の身体では「交感神経」という身体活動を活発にし、覚醒させる神経系が抑制され、体を休ませ、身体の修復を促進する「副交感神経」が優位となっている状態にあります。しかし、不安やストレスなどよって交感神経の働きが活発になると副交感神経の働きが抑えられてしまい、睡眠が妨げられてしまうのです。さらに、眠れないことによるストレスや睡眠に対する不安などによって、ますます睡眠に困難をきたしてしまうという悪循環に陥ってしまう場合もあるのです。

原因③ 病気によるもの


睡眠の問題を引き起こす原因となる疾患として代表的なものにはうつ病や統合失調症などの精神疾患のほか、睡眠時無呼吸症候群・レストレスレッグス症候群・高血圧・糖尿病・前立腺肥大・アレルギー疾患などの身体疾患があります。これらによる不眠症が疑われる場合は専門の医療機関での治療が必要です。

「慢性的にうまく眠れない」不眠症の症状をチェック

不眠症について前項でも軽く触れましたが、ストレスや不安などによって一時的にうまく眠れなくなってしまう状態は誰にでもあり、通常は数日から数週間のうちに改善します。このような一時的な不眠は心配しなくても良いでしょう。しかし、以下のような状態になっている場合は不眠症と診断されます。

point 1 睡眠の問題が長期化している

寝付きが悪い・途中で目が覚める・早朝に目が覚める・睡眠の質が悪いなどの睡眠トラブルが1ヶ月以上もの長期にわたって続いている場合には不眠症の可能性が考慮されます。

point 2 日中に精神や身体の不調を自覚しており、生活に支障が及んでいる

睡眠がうまく取れなくなると、集中力や注意力の低下・倦怠感・食欲低下などの症状が出現することがあります。

うまく眠れない時の対策・改善方法について

 

ここからは、自宅でできる対策や改善方法についてご紹介します。

音楽がもたらすリラックス効果で睡眠を改善!

穏やかで心地よい音楽を聴いていたらついついウトウトと居眠りをしてしまった、という経験に心当たりがある方も多いことかと思います。

実際、音楽は人間の生理的・心理的・社会的効用によって心身の健康状態の改善が期待できます。静かでゆったりとしたリズムで作られたヒーリング音楽は、深いリラックスや心地よい入眠を促すためにはお勧めです。

ヒーリング音楽がもたらす自律神経改善効果

先に解説した交感神経と副交感神経は総じて「自律神経」と呼ばれており、この自律神経がバランス良く働くことによって健全な生命活動が支えられています。
しかし何らかの理由によって自律神経のバランスが崩れてしまい、就寝時にも交感神経が優位になってしまっている状態のときに睡眠トラブルが生じてしまいます。ヒーリング音楽は副交感神経の働きを活発にし、心身をリラックスさせて眠りやすくしてくれます。このような時、脳波を測定するとα波という4〜7ヘルツの波が多く見られます。ただし、一晩中音楽がなっていると眠りを妨げる可能性があるので、1時間程度で止まるようにタイマーをセットするなどしておきましょう。

ツボを刺激して睡眠を改善!

なんと360箇所以上もあると言われている人体のツボ。整体や鍼灸などでもお馴染みのツボへの刺激にはさまざまな健康効果があり、その中には睡眠の質の向上が期待できるツボもあるのです。「うまく眠れない」「深く眠れない」などの睡眠トラブルの直接的な原因としては、なんらかの理由によって筋肉の緊張がほぐれず血行が悪くなってしまっていることや、呼吸が浅いことによる寝苦しさなどもあります。以下に、筋肉の緊張をほぐすことによって睡眠の改善効果が期待できるツボについていくつかご紹介します。

失眠(しつみん)

足の裏側、かかとの中央の少しへこんだところにあるあるツボです。ゴルフボールやワインのコルクなどを上から踏んで刺激すると良いでしょう。

安眠(あんみん)

耳の後ろにある骨の出っ張りの下にあるツボです。眠りが浅い時などに特に効果があると言われています。

百会(ひゃくえ)

頭の頂上、左右の耳の上の先端と鼻から伸ばした直線が交わるところにあるツボです。自律神経の不調を改善し、ストレスやイライラした気分に効果が期待できます。

なかなか眠れないときに効果のある薬について

なかなか改善しない睡眠トラブルに対して、市販薬や処方薬などを用いて対処している方も多いことかと思います。睡眠トラブルを改善する目的で服用される薬剤は、ドラッグストアで購入できる市販薬と医療機関でしか処方できないものがあります。ここでは、代表的な睡眠薬であるベンゾジアゼピン系の薬剤について解説します。

ベンゾジアゼピン系睡眠薬を服用したときの脳内メカニズム

ベンゾジアゼピン系の薬剤は主に鎮静作用や催眠作用を持つGABAという神経伝達物質の働きを亢進することで、不安や緊張が緩和し睡眠を促します。

ベンゾジアゼピン系睡眠薬の副作用について

【持ち越し効果】
起床後にも効果が持ち越してしまうことです。眠気やふらつき、脱力感などが起こります。特に作用時間が長い薬剤を使用したときに起こりやすくなります。
このような場合には、自動車の運転などの危険をともなう行為は控えましょう。また、高齢者によくみられる副作用であるため、転倒などによるケガには十分注意が必要です。より作用時間が短いものに変更するか、薬を減量することによって改善します。

【健忘】
頻度はまれですが、薬が効いている間の記憶が一過性に失われる健忘という症状が起こる場合があります。事前に眠る準備を整えてから薬を服用し、その後はすぐにベッドに入るようにすると起こりにくくなります。

【依存】
長期間使用していると依存が形成され、急に中止すると不眠のみならず、不安・焦燥感・頭痛・吐き気、ふるえなどの離脱症状が出現することがあります。
また、薬剤の服用がもたらす入眠効果に頼りすぎることによって、精神的な依存が生じてしまうケースもあります。薬剤に頼り切った睡眠習慣ではなく、睡眠トラブルのそもそもの原因に対する改善も怠らぬよう心がけましょう。

【耐性】
長期間の服用によって薬剤に対する耐性ができてしまい、同じ量ではなかなか効果が得られなくなってしまうケースもあります。
このような状態になってしまう前に、やはり睡眠トラブルのそもそもの原因を改善することが望まれます。

正しく服用するためのポイント

睡眠薬は、用法をまもって正しく服用することが重要であることは言うまでもありません。以下に、睡眠薬を服用するにあたって注意すべきポイントについてご紹介いたします。

※アルコールとの併用を避ける

飲酒後にまだ体内にアルコールが残っている状態での服用や、薬剤服用後のアルコール摂取は持ち越し効果や健忘などの副作用の原因となります。

また、アルコールの作用によって覚醒してしまい、薬剤の効果が十分に得られない場合もあります。

薬剤を服用する際にはアルコールの摂取を避けるとともに、アルコールが体内に残っている際には薬剤の服用を控えるよう心がけましょう。

※短時間の睡眠には使用しないよう心がけましょう
ちょっと小一時間程度眠ろう、などという場合には睡眠導入剤は不向きであると言えます。効果の短いタイプの睡眠導入剤でも2~4時間程度は効果が持続することにくわえて、薬が体内に吸収され効果が現われるまで15~30分程度の時間を要します。睡眠導入剤の効果が残ってしまっている状態で起きて活動することによって、意識の低下やふらつき、めまいなどが生じてしまいます。睡眠導入剤を服用してまで短時間の睡眠を摂らずとも、横たわるなど楽な姿勢を取り安静に休息をとることで疲労回復を図ることができます。

寝具の見直しで睡眠トラブルを改善!

忙しい一日の生活を全て終え、お気に入りの布団に潜り込む瞬間こそが最高の幸せの瞬間!という方も少なくないのではないかと思います。

しかし、使用している寝具が原因となって睡眠トラブルが生じてしまっているケースもあります。

「お気に入りのベッドなのに、そんなハズはない!」

という声も聞こえてきそうですが、以前は良く眠れていた寝具であったとしても経年劣化などによって身体に負担がかかってしまう状態となり睡眠トラブルを招いてしまう場合があるのです。

以下に、快眠の妨げとなってしまう寝具のチェックポイントをご紹介いたします。

寝具の使用期間と耐用年数

それぞれの寝具や使用頻度などによっても異なりますが、寝具にはそれぞれ耐用年数があり、長期にわたって使用すればするほどに劣化してしまいます。

いくらお気に入りのマットレスだからと言っても寝れば寝るほどに劣化し、身体に負担がかかる形状へと変化することによって睡眠の妨げとなってしまう場合があります。

劣化の進行度合いは個々の製品や使用状況によっても差異がありますので一概には言えませんが、一般的には敷布団では3~5年、マットレスでは3年~10年程度が耐用年数の目安であると言われています。

睡眠トラブルや身体の不調などが生じてしまう前に寝具の劣化をチェックして、必要があれば修繕・交換などの対処をおこなうことが重要となります。

寝具のへたり・形状の変化

睡眠時の姿勢のクセやベッド上のマットレスを椅子がわりに使用するなどによって、寝具の形状が変化したりへたってしまうことで身体を横たえた時に適切な姿勢を保てなくなってしまう場合があります。

耐用年数にかかわらず、使用習慣などによっても劣化する場合もありますので、「特に原因は無いがよく眠れない」「起床時に身体の痛み・寝違えが生じる」という場合には寝具の形状をチェックするとよいでしょう。

横たわったときに感じる姿勢の違和感

たとえ新品の高級寝具であったとしても、横たわったとき姿勢に違和感を感じるようではその寝具はご自身の身体に合っていないと考えられます。

腰が沈みすぎる・浮きすぎるなどの場合にはそれ自体がストレスの原因となってしまい、なかなか眠れない原因となってしまうことが懸念されます。

見た目やご予算も寝具選びの重要なポイントではありますが、なによりもご自身の身体に合った寝具を選ぶことが重要です。

「何を試しても目が冴えて眠れない・・・」深刻な不眠のお悩みは病院へ

睡眠トラブルは病院のどこの科に相談する?

どのような改善方法を試しても一向に改善されない辛い睡眠トラブルの改善を図るためには、やはり専門家である医師に相談するのが最善の解決策であることは言うまでもないことでしょう。しかし、お腹が痛ければ内科、骨折したら整形外科、というように受診の目的がある程度明確な疾病とは異なり、睡眠トラブルの場合には病院の何科を受診したらよいのか迷ってしまう方も多いことかと思います。
精神医学的な問題が原因となっている睡眠トラブルの場合には精神科、睡眠トラブルに加えて内科的な不調も生じている場合には心療内科など、それぞれの原因や症状に応じた診療科がありますが、適切な診療科が判断できない場合には診療科目を問わず医師へと症状を相談すれば適切な診療科を紹介してもらえます。睡眠を専門に扱う医療機関や外来も存在しますので、そういったところに相談するのも良いでしょう。


いずれの診療科でも構わないので、まずは医師に相談することが重要です。加えて、相談を受ける医師が適切な診断をおこなうためには患者からの適切な症状の申告が重要となります。病院を受診する前に、しっかりとご自身の症状について把握しておくよう心がけましょう。

病院を受診するべき理由について

先に解説したとおり、睡眠障害にはそれぞれの原因や症状に応じた診療科があります。睡眠障害で深刻に悩んでいる場合には、迷わず病院を受診してください。

監修ドクターコメント

今野先生

睡眠は心身の回復のため非常に重要ですが、日本人の睡眠時間は年々減ってきているという報告があります。睡眠不足は各種疾患の原因になるだけでなく、長期的には認知症のリスクも高めてしまいます。自然のリズムに合わせるように生活リズムを見直し、日没後から就寝まではできるだけリラックスして過ごすようにしましょう。

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