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「がん」ではなく「ガン」と書かれた情報は疑うべき理由を医師が解説 “トンデモ情報”から身を守るための対策

 公開日:2025/03/27
「がん」ではなく「ガン」と書かれた情報は疑うべき理由を医師が解説 “トンデモ情報”から身を守るための対策

テレビやネットで「ガン」という表記を見かけたことはあると思います。じつは、単にカタカナとひらがなの表記の違いというだけではないことをご存じですか? 医学の世界では「ガン」と「がん」の表記の違いによって、意味が異なるのだそうです。トンデモ情報に惑わされず、医学的に正しい情報を知るためのコツについて、病理医で薬剤師の峰宗太郎先生に伺いました。

峰 宗太郎

監修医師
峰 宗太郎(医師)

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京都大学薬学部・名古屋大学医学部医学科を卒業後、東京大学大学院医学系研究科修了(医学博士)。国立国際医療研究センター病院、国立感染症研究所、アメリカ国立衛生研究所(NIH)・アレルギー感染症研究所(NIAID)などで病理学(血液病理・感染病理)・ウイルス学・免疫学・ワクチンの研究および診療に従事。2022年から2024年にかけては国立感染症研究所の主任研究官として新興ウイルス感染症やワクチンの研究に携わり、2024年は厚生労働省 健康・生活衛生局 感染症対策部で厚生労働技官/医療専門職を務めた。X(旧Twitter)などを通じてエビデンスに基づく情報発信に努め、多くのフォロワーから「ばぶ先生」の愛称で親しまれている。現在は病理診断と同コンサルティング、外来や訪問診療を含む医療プラクティス、製薬戦略、医学的・医療政策アドバイザリー、複数機関の研究員などとして実地医療、研究、情報発信・広報などに従事している。医師・薬剤師・博士。近著に『病理医が切実に伝えたい 病気の仕組みと予防の正解』がある。

「ガン」と書いてある情報には注意すべき理由

「ガン」と書いてある情報には注意すべき理由

編集部編集部

なぜ、「ガン」と書かれた情報を疑うべきなのですか?

峰宗太郎先生峰先生

病理学的には「がん」は悪性腫瘍全体を指し、上皮組織由来のものを特に「癌」と書きます。医学的にカタカナで「ガン」と表記することは、基本的にはありません。

編集部編集部

上皮組織とは、具体的にどこの部位を指すのでしょうか?

峰宗太郎先生峰先生

皮膚の表面、胃や腸などの消化管、肺、気管支などです。再生能力が高く、傷の治りも早いのが特徴です。

編集部編集部

上皮組織以外には、どのような組織がありますか?

峰宗太郎先生峰先生

結合組織、筋組織、神経組織があります。それぞれが異なる機能を持ち、体を支えたり動かしたり、信号を伝えたりします。

がんが発症する理由

がんが発症する理由

編集部編集部

なぜ、人の体にがんができるのでしょうか?

峰宗太郎先生峰先生

細胞の遺伝子に傷がつくことで正常な細胞が異常化し、がん細胞になるのです。

編集部編集部

遺伝子が少しでも傷つけばがんになるのですか?

峰宗太郎先生峰先生

通常、複数の遺伝子に傷が蓄積して初めてがん細胞になります。傷ついた遺伝子が複数になるとリスクが高まります。

編集部編集部

「遺伝子が傷つく」とは、具体的にどういうことでしょうか?

峰宗太郎先生峰先生

細胞分裂の際に、遺伝子情報が正しくコピーされないことです。環境要因や紫外線などでコピーの精度が下がることがあります。

がんの原因「遺伝子の傷」を防ぐ方法

がんの原因「遺伝子の傷」を防ぐ方法

編集部編集部

遺伝子の傷ががんを引き起こすのはなぜですか?

峰宗太郎先生峰先生

遺伝子が傷つくと細胞の増殖や修復が制御できなくなり、異常な細胞増殖を起こしてがん細胞が生まれるのです。

編集部編集部

傷つく原因には、どんなものがありますか?

峰宗太郎先生峰先生

紫外線、たばこ、慢性的な炎症などが主な原因です。日常的に遺伝子へのダメージが起こり得ます。

編集部編集部

がんのリスクは年齢とともに増えるのですか?

峰宗太郎先生峰先生

はい。細胞が分裂する限りリスクは高まりますが、生活習慣の改善でリスクを抑えることもできます。

編集部まとめ

普段何気なく目にする「ガン」という表記の違いが、情報の信頼性を左右するとのことでした。身近な健康情報だからこそ、きちんとした医学的な理解をもとに判断することが重要ですね。正確な医療情報を得るためにも、我々も慎重に内容を精査していく必要がありそうです。

この記事の監修医師

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