放置して大丈夫? うるさいいびきと『睡眠時無呼吸症候群』のサインとは【医師解説】

いびきがうるさいと指摘されたことがありながら、「ただの癖」「体質」と放置している人も少なくありません。しかし、いびきの背景には、睡眠の質の低下や病気が隠れている場合もあります。今回は、いびきの原因や注意すべきポイント、改善方法について、医療法人サムグレイス 名古屋おもて内科・呼吸器内科クリニック院長の表先生に聞きました。
※2026年4月取材。

監修医師:
表 紀仁(医療法人サムグレイス 名古屋おもて内科・呼吸器内科クリニック)
いびきってなぜ起こるの? ただの音じゃない?

編集部
いびきは、なぜ起こるのですか?
表先生
いびきは、空気の通り道である上気道が狭くなり、呼吸の際に通過する空気によって周囲の組織が振動することで生じます。気道自体が狭くなるだけでなく、舌などが喉の奥に落ち込むことで音が発生することもあります。単なる音の問題でないことが多く、呼吸状態の変化が背景にある現象です。
編集部
深く眠っている際に、いびきが出るイメージがあります。果たして、本当に熟睡できているのでしょうか?
表先生
「いびきは深く眠っている証拠」と思われる人は多い傾向にありますが、必ずしも熟睡時に出るとは限りません。むしろ、気道が狭くなることで体に十分に酸素が取り込めない状態でいびきが生じている場合、睡眠の質が低下し、かえって熟睡感が得られていないケースも少なくありません。
編集部
「十分に酸素が取り込めていない状態」について詳しく教えてください。
表先生
ここ5〜10年でよく耳にするようになってきた「睡眠時無呼吸症候群」という状態です。気道が狭くなると呼吸が浅くなったり、一時的に止まったりすることがあります。気道が狭い状態では、体内に取り込まれる酸素の量が低下します。低酸素状態が繰り返されると、睡眠中であっても体が十分に休まらず、日中の眠気やだるさにつながることがあります。
編集部
いびきと睡眠時無呼吸症候群は関係があるでしょうか?
表先生
大いにあります。むしろ睡眠時無呼吸症候群における代表的な症状の一つが「いびき」です。睡眠時無呼吸症候群になると、就寝中に呼吸が何度も止まったり浅くなったりするため、断続的に低酸素状態が生じます。その結果、眠りが分断され、質が低下してしまうのです。
睡眠時無呼吸症候群って病気? 放置していいの?

編集部
どのような人が睡眠時無呼吸症候群を疑うべきですか?
表先生
大きないびきをかく人や、家族から「呼吸が止まっている」と指摘されたことがある人は注意が必要です。また、十分に眠っているはずなのに日中に強い眠気を感じる、夜中にトイレに何度も起きてしまう、起床時に頭痛やだるさがあるという自覚症状がある場合も、睡眠時無呼吸症候群が疑われます。大きないびきや日中の眠気などに悩まされている人は、一度医療機関に相談することが大切です。
編集部
自分では気付かないケースも多そうですね。
表先生
いびきや睡眠時の無呼吸は本人が自覚しにくく、周囲からの指摘で気付くことが少なくありません。自覚症状が乏しくても、眠っている間はずっと体に負担がかかっている可能性があります。特に日中の眠気や集中力低下がある場合は、睡眠の質に問題があるサインとして捉えることが重要です。
編集部
放置すると、どのような影響がありますか?
表先生
高血圧や心疾患、脳血管疾患などのリスクが高まるとされています。また、日中の眠気による事故や仕事のパフォーマンス低下にもつながる上に、突然死との関連も報告されています。単なるいびきと軽く考えず、全身への影響も知り、早めに対応することが大切です。
編集部
受診や検査は、どのように進めるのでしょうか?
表先生
まずは問診で症状を確認し、自宅で行える簡易検査を行います。その結果を踏まえ、必要に応じて医療機関もしくは在宅での精密検査を実施する流れです。睡眠中の呼吸状態や酸素の低下を評価することで、重症度や治療の必要性が判断できます。簡易検査は入院の必要がないだけでなく、機器も自宅に郵送可能ですので、気になる場合は早めの相談をおすすめします。
いびきは改善できる? 対策と治療法

編集部
いびきが気になる場合、日常生活でできる対策はありますか?
表先生
軽度の場合や睡眠時無呼吸症候群のリスクが低い場合には、生活習慣の見直しが有効です。横向きで寝る、抱き枕を使う、寝る前のアルコールを控えるといった工夫で、気道の閉塞(へいそく)を防ぎやすくなります。また、過体重の人は減量によって、いびきが改善するケースもあります。
編集部
治療が必要になる基準について教えてください。
表先生
症状や検査結果に応じて治療方針を決定し、中等度以上の場合はCPAP(持続陽圧呼吸療法)が必要になります。軽症のケースでは生活改善に加えて、マウスピースを用いて気道の確保を図ることがあります。
編集部
CPAPとは、何ですか?
表先生
睡眠時にマスクを装着して、睡眠中の気道の閉塞を防ぎ、安定した呼吸状態を保つ治療法です。中等度以上の睡眠時無呼吸症候群の場合、保険適用され、睡眠中の無呼吸が軽減されることにより、睡眠の質の改善が期待できます。継続することで、いびきの軽減だけでなく、睡眠の質の改善や日中の眠気の軽減、さらには血圧の安定や心血管疾患の発生率低減にもつながる点が特徴です。
編集部
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
表先生
いびきは単なる“音の問題”ではなく、体からの大切なサインの可能性があります。特に大きないびき、呼吸が止まる、日中の強い眠気を伴う場合は、睡眠時無呼吸症候群が隠れているかもしれません。放置すると高血圧や心血管疾患、交通事故リスクの増加にもつながるため、早めの評価と適切な治療が重要です。現在は簡便な検査で診断が可能で、治療によって生活の質が大きく改善することも少なくありません。「ただのいびき」と自己判断せず、気になる症状があれば一度医療機関に相談してください。
編集部まとめ
いびきは単なる音の問題ではなく、気道の狭窄や呼吸状態の変化によって生じます。睡眠時無呼吸症候群が隠れているケースもあり、放置すると全身の健康に影響を及ぼす恐れがあります。気になる症状がある場合は生活習慣を見直し、必要に応じて医療機関の受診を検討してください。
参考文献
日本睡眠学会ホームページ 睡眠障害の基礎
睡眠時無呼吸症候群(SAS)診療ガイドライン2020
医院情報

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| 診療科目 | アレルギー科、内科、呼吸器内科、小児科 |
| 診療時間 | 月火水金 9:00~19:00 木 9:00~12:30、14:00~17:00 土 9:00~13:00 |
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