ピアストラブルを放置すると“壊死”する可能性も? 予防法・セルフチェックのポイントを医師が解説

ピアスはおしゃれの定番として幅広い世代に人気ですが、その一方で、「耳が赤く腫れてしまった」「しこりができて痛い」「耳たぶが裂けてしまった」といったトラブルに悩む方も少なくありません。特に軟骨部分や金属アレルギーを持つ人では症状が重くなるケースもあります。そこで今回は、ピアスで起こりやすい皮膚トラブルの種類や原因、セルフケアの方法、医療機関での治療、予防のポイントまで、 あざみ野駅前形成外科の亀山先生に解説していただきました。
※2025年11月取材。

監修医師:
亀山 誠(あざみ野駅前形成外科)
ピアスで起こるトラブルとは? よくある症状とその原因

編集部
ピアスが原因で起こる皮膚トラブルには、どのようなものがありますか?
亀山先生
ピアスで最も多いトラブルは、耳の赤みや腫れ、膿(うみ)を伴う感染症です。軟骨部分に炎症が起こると治りにくく、強い痛みを伴います。耳たぶが引っ張られて裂けてしまうケースや、慢性的な刺激で硬いしこり(ケロイド)が盛り上がってくることもあります。また、金属アレルギーがあると、かゆみや湿疹、ただれを繰り返すことも少なくありません。単なるおしゃれの範囲に思えるピアスですが、皮膚や軟骨に小さな傷を作るため、トラブルが起きやすいことを知っておくことが大切です。
編集部
ピアスによる皮膚トラブルはなぜ起こるのでしょうか?
亀山先生
ピアスは皮膚に穴を開けて金属を通すため、細菌が入りやすく炎症や感染が起こりやすい構造になっています。特に穴を開けて間もない時期は傷がふさがっておらず、数カ月は細菌感染やアレルギー反応が起こりやすい状態が続きます。また、不衛生なピアッサーで開けたり、清潔に保たないまま触れたりすることでリスクは高まります。金属の種類によっても反応が異なり、特にニッケルなどはアレルギーを引き起こしやすいので注意しましょう。こうした複数の要因が重なることで、トラブルが発生しやすくなります。
編集部
特に注意が必要な症状にはどのような症状がありますか? 放置するとどのようなリスクがあれば教えてください。
亀山先生
強い腫れや膿、耳全体が熱をもつような状態は感染が進んでいるサインです。放置すると耳の形が変形したり、軟骨が壊死して穴が開いてしまったりすることもあります。耳たぶが裂けた場合も自然に閉じることは難しく、縫合手術が必要になります。さらに、ケロイドは時間が経過するほど大きく硬くなり、見た目だけでなく痛みやかゆみの原因にもなります。トラブルを軽視せず、早めに医療機関で診てもらうことで悪化を防ぎ、後の修復もスムーズにおこなえる可能性が高まります。
受診すべきトラブルと医療での対処法

編集部
ピアスによる腫れや痛みがある場合、自宅でできるケアにはどのような方法があるのでしょうか?
亀山先生
軽度の腫れや痛みであれば、まずは清潔を保つことが重要です。石けんでやさしく洗浄し、流水でよくすすぐだけでも効果があります。消毒液はかえって皮膚を刺激するため、使わない方がよいでしょう。腫れが気になる場合は、冷たいタオルや保冷剤を短時間あてて炎症を和らげます。ピアスを無理に外すとホールがふさがり、膿が中にたまることがあるため、自己判断で外さずに様子を見るのが基本です。市販の抗菌軟膏(なんこう)を薄く塗布するのも一時的なケアとして有効です。
編集部
自宅でのケアだけでは対処が難しい状態や、病院を受診すべきタイミングの目安を教えてください。
亀山先生
腫れが数日たっても改善しない、膿が繰り返し出る、痛みで眠れないといった場合は受診が必要です。ピアスが皮膚の中に埋まってしまったり、出血が止まらなかったりする場合も自己処置は難しく、医師の対応が欠かせません。熱感を伴うような強い炎症は全身に影響が及ぶ可能性もあり、早急に治療を受ける必要があります。放置すれば耳の変形や瘢痕(はんこん)、ケロイドのリスクが高まるため、「少しおかしい」と思った段階でピアス治療をおこなっている形成外科や皮膚科を受診するのが安心です。
編集部
医療機関では、具体的にどのような治療をおこなうことが多いのでしょうか?
亀山先生
感染がある場合は抗生物質の飲み薬や塗り薬で治療します。膿がたまっているときは排膿処置をおこないます。不良肉芽とよばれるものが形成されていたら、局所麻酔をして肉芽除去をおこないます。耳たぶが裂けた場合は縫合手術をおこない、きれいに形を戻すことが可能です。ケロイドはステロイド注射や手術、レーザー治療を組み合わせて対応します。症状によっては形成外科での精密な処置が必要となります。治療は比較的短期間で済むことが多いですが、早めに受診することで耳の変形や再発を防ぐことにつながります。
正しい知識と予防、病院選びのポイント

編集部
受診を検討する場合、皮膚科と形成外科の違いや選び方のポイントを教えてください。
亀山先生
皮膚科は、感染やアレルギー、炎症など皮膚に関する幅広いトラブルを主に保存的治療で治していきます。形成外科は、見た目や形を整える外科的治療に強みがあり、耳たぶが裂けたケースや大きなケロイドの手術などを得意としています。軽度の腫れやかゆみであれば、皮膚科での診察もよいのですが、整容面を考えたトータル的な治療であれば形成外科がよいでしょう。
編集部
金属アレルギーの人や、過去に腫れやすかった人がピアスを楽しむための工夫はありますか?
亀山先生
金属アレルギーがある場合は、チタンやプラスチック、医療用ステンレスといった低アレルギー素材を選ぶことが大切です。過去に腫れやすかった方は、ホールが完全に安定するまで十分な期間を設けることや、定期的にホール周囲を洗浄して清潔を保つことがポイントです。皮膚科でパッチテストを受け、自分が反応しやすい金属を事前に確認しておくと安心です。こうした工夫で、ピアスを安全に楽しむことが可能になります。
編集部
ピアスによるトラブルを防ぐために、開けるとき・日常的に注意すべきポイントを教えてください。
亀山先生
ピアスは必ず清潔な環境で開けることが大切です。市販のピアッサーよりも、医療機関での施術が望ましいです。開けたあとは1日1,2回、石けんでやさしく洗浄し、必ず手を清潔にしてから触れるようにしましょう。安定するまでは頻繁に外さず、基本のケアを徹底することで安全におしゃれを楽しむことができます。
編集部まとめ
ピアスは小さな穴から細菌が入りやすく、早期の判断がその後の治療や整容面に大きく影響します。腫れや痛みが続く場合は、自己判断で外したり放置したりせず、早めに皮膚科・形成外科を受診することが大切と教えていただきました。素材選びや日々のケアを正しくおこなえば、安全におしゃれを楽しむこともできます。本稿が読者の皆様にとって、安心してピアスを楽しむための一助となりましたら幸いです。
医院情報
| 所在地 | 神奈川県横浜市青葉区あざみ野2-2-6 第2黒沼ビル2F B |
| 診療科目 | 形成外科、皮膚科、美容外科 |
| 診療時間 | 月・火・水・金・土 10:00~13:00 月・火・水・金・土 14:30~19:00 |
| 休診日 | 木・日・祝 |




