「卵は1日1個まで」はウソ? ホント? コレステロール値を上げるNG習慣と対策食材3選を医師が解説
「卵はコレステロールが高いから1日1個まで」。健康のために、長年そう信じて卵を控えてきた方も多いのではないでしょうか。しかし、最新の医学研究によって、その「常識」が大きく変わりつつあります。今回、「卵とコレステロールの本当の関係」についての最新の結論と、医師がおすすめする「悪玉コレステロール(LDL)を下げる最強の食べ物3選」について、舛森先生に詳しく伺いました。
※2026年1月取材。

監修医師:
舛森 悠(YouTube医療大学)
「卵は1日1個まで」は本当? 最新の結論とは

編集部
「卵は1日1個まで」と信じてきましたが、“最新の研究で変わりつつある”と聞きました。
舛森先生
これは非常に多くいただく質問ですね。結論から言うと、「健康な成人であれば、1日1個以上食べたからといって、心血管疾患のリスクが上がるという確固たるデータはない」というのが、現在の主流の考え方です。
編集部
そうなのですね。しかし、なぜ昔から「卵はダメ」と厳しく言われていたのでしょうか?
舛森先生
それは、卵1個(約50g)の黄身にはコレステロールが約210mg含まれているからです。かつては「食事で摂るコレステロールを厳しく制限すべき」と考えられており、日本動脈硬化学会も「脂質異常症の人は1日200mg未満」という基準を設けていた時代がありました。卵1個でその基準に達してしまうため、「卵=悪」というイメージが定着したのです。
編集部
それが「最新の主流」では変わった、というのはどういうことですか?
舛森先生
最新の研究では、食事から摂るコレステロール量と、血液中のコレステロール値との関連は、個人差が非常に大きいことが分かってきました。この流れを受け、米国の食生活ガイドライン(2020-2025版)では、食事性コレステロールの「厳格な数値上限」は設けられていません。日本も同様に、厳格な数値制限よりも、食事全体のバランスを重視する方向にシフトしています。
卵よりも注意すべき「食べ合わせ」と「体質」

編集部
「卵1個まで」は、もう古い常識だったのですね。
舛森先生
そういうことです。実際、アジアでの大規模な研究では、1日1個程度の卵の摂取は、心血管疾患のリスク低下と関連していたという報告すらあります。卵は良質なたんぱく質源であり、食欲や血糖コントロールに役立つ「コリン」や、目の健康に良い「ルテイン」なども豊富な、非常に優れた食材なのです。
編集部
では、1日に2個や3個食べても、全く問題ないのでしょうか?
舛森先生
ここで重要なのが、コレステロール単体よりも「飽和脂肪酸(SFA)」です。本当に気をつけるべきは、卵そのものよりも「食べ合わせ」です。例えば、卵と一緒に食べるベーコンやソーセージ、バターをたっぷり使ったスクランブルエッグは、飽和脂肪酸も非常に多く、これらが悪玉(LDL)コレステロールを上げる主たる原因になります。卵を食べるなら、「卵+野菜+全粒粉パン」のように、食物繊維などと組み合わせるのが賢明です。
編集部
すでにLDLコレステロールが高い人や、糖尿病の人はどうすべきですか?
舛森先生
そこは注意が必要な点で、「2型糖尿病の人」や「家族性高コレステロール血症」など、すでにリスクが高い方々については、卵黄などの高コレステロール食品を控えることが、現在も妥当な判断とされています。また、コレステロールの吸収には個人差があり、卵を食べるとLDLが上がりやすい体質の人(ハイレスポンダー)もいます。健康な方は過度に恐れる必要はありませんが、すでにLDLが高いと指摘されている方は、コレステロールゼロの「卵白」を活用するなど、黄身の「量」や「頻度」を主治医と相談するのが良いでしょう。
医師が勧める「悪玉コレステロールを下げる」最強の食べ物3選

編集部
では、悪玉(LDL)コレステロールを「下げる」ために、先生が積極的におすすめする食べ物を教えてください。
舛森先生
私がコレステロール対策で、特におすすめしている「最強の食べ物」が3つあります。それは、「サバ(青魚)」「大豆製品」「ナッツ類」です。
編集部
それぞれ詳しく教えてください。まず、サバなどの青魚はなぜ良いのですか?
舛森先生
サバやイワシ、サーモンなどの青魚には、「オメガ3脂肪酸(EPA・DHA)」が豊富に含まれています。これらは血液中の中性脂肪を下げ、善玉(HDL)コレステロールを維持し、悪玉(LDL)コレステロールの酸化を防ぐなど、心臓の健康を守る働きがあります。あるメタ分析(複数の研究をまとめた信頼性の高い研究)では、魚の摂取が週4回以上の人は、そうでない人と比べて急性冠症候群のリスクが低いことが示されています。
編集部
2つ目の大豆製品には、どのような効果がありますか?
舛森先生
大豆に含まれる「大豆イソフラボン」や「大豆たんぱく」には、悪玉(LDL)コレステロールと総コレステロールを有意に低下させる効果が報告されています。この図が示すように、特に元々のコレステロール値が高い人ほど、その低下効果が顕著に見られるのが特徴です。納豆、豆腐、豆乳など、日本の食卓に取り入れやすいのも大きな魅力ですね。
編集部
3つ目はナッツ類ですね。脂質が多くて太るイメージがありますが、実際はどうなのでしょうか?
舛森先生
確かにナッツはカロリーが高いですが、その脂質の多くは「不飽和脂肪酸」という、体に良い脂質です。さらに、食物繊維やビタミンEも豊富です。3つの大規模な研究を統合したデータでは、ナッツ(ピーナッツ、クルミ、その他の木の実を含む)を週に5回以上(1回約28g)食べる人は、ほとんど食べない人と比べて心筋梗塞や脳卒中のリスクが低いことが分かっています。
編集部
ほかにコレステロール低下を期待できる食べ物はありますか? 例えば、きのこや海藻、フルーツはどうなのでしょうか?
舛森先生
非常に良い質問ですね。実は、きのこや海藻類に含まれる「水溶性食物繊維」は、コレステロールを吸着して体外に排出する強力な味方です。また、フルーツも種類や食べ方を選べば、強力な抗酸化作用などでコレステロール対策に役立ちます。「ほかに食事でコレステロール低下を期待できるものはないの?」という疑問に答えるため、それらについても詳しく解説した動画があります。もっと知りたい方は、ぜひ専門医が解説する動画本編をご覧ください。
編集部まとめ
「卵=悪」という常識は今や過去のものです。最新の研究では、健康な人なら1日1個以上の摂取でも心疾患リスク増の証拠はなく、日米の指針でもコレステロールの厳格な上限は撤廃されました。真に注意すべきは、卵そのものよりバターや肉類の「飽和脂肪酸」との食べ合わせです。健康維持には、心臓リスクを下げるサバやナッツ、LDLを低下させる大豆製品を積極的に組み合わせるのが理想的です。古い情報に惑わされず、科学的根拠に基づいた食習慣へアップデートしましょう。
参考文献
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- 日本動脈硬化学会. コレステロール摂取に関するステートメント. 2015.
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