長引く『咳』は『喘息』かも? 受診の目安と検査のタイミング【医師解説】

咳がなかなか止まらない、風邪は治ったはずなのに咳だけが残る状態が続くと「これって喘息(ぜんそく)?」と不安になる人も多いのではないでしょうか? 喘息は症状の印象だけで判断する病気ではなく、検査を通して評価していくことが重要です。そこで、咳が続くときに考えられる病気や喘息の検査を受けるタイミング、さらには検査内容について岩田先生(さくのやま内科・呼吸器内科)に聞きました。
※2026年2月取材。

監修医師:
岩田 晋(医療法人ひといき さくのやま内科・呼吸器内科)
咳が止まらないときに考えたいこと

編集部
咳が止まらない症状で受診する人は多いですか?
岩田先生
とても多いですね。特に、風邪は治ったのに咳だけが残っているという相談はよくあります。咳は身近な症状ですが、長引く場合、別の病気が隠れていることもあるため、自己判断で様子を見続けてはいけません。できるだけ早めに相談してもらいたいと思います。
編集部
咳が続く背景には、どのような病気が考えられるのでしょうか?
岩田先生
咳が続く原因としては、気管支喘息、気管支炎、肺炎、肺気腫、サルコイドーシス、気胸、慢性閉塞性肺疾患(COPD)など、さまざまあります。咳の期間や性状、ほかの症状を合わせて考えることで、どの病気が関係しているかを判断しています。
編集部
先生は、咳がどのくらい続いたら受診を勧めていますか?
岩田先生
目安は1週間です。咳が1週間以上続く場合は、肺炎など、風邪以外の原因を考えて、胸部レントゲンなどをはじめとした検査を勧めています。検査後も咳が続くようであれば、喘息の検査も行います。咳が3週間以上続く場合は、喘息の検査を受ける一つの目安になります。
編集部
「風邪が治ったのに咳だけ残る」という声をよく聞きます。
岩田先生
「風邪が治ったのに咳だけ残る」という状態は、感染をきっかけに喘息症状が表れる場合によく見られます。咳が長引いている時点で一度評価しておくことにより、その後の対応を考えやすくなります。
気管支喘息の人は多い?

編集部
咳が続く原因として、気管支喘息が疑われるケースは多いのでしょうか?
岩田先生
多いですね。「喘息は子どもの病気」という印象を持たれがちですが、大人になってから発症する人も少なくありません。先ほどのように「風邪の咳が長引いているだけ」と受診を先延ばしにする人もたくさんいて、喘息と気付かれにくいことがあります。
編集部
成人になってから発症するケースがあるのですね。
岩田先生
はい。報告によって差はありますが、喘息患者の30〜50%は成人期発症とされています。小児喘息と診断されたことがない人でも発症するケースがあるため、年齢だけで否定することはできません。
編集部
大人の喘息は、何がきっかけで起こりやすいのでしょうか?
岩田先生
感染、肥満、生活環境が発症に関係すると考えられています。特に、風邪や気管支炎をきっかけに喘息症状が出てくるケースは多く、「風邪などの後に咳が長引く」という経過は重要な手掛かりになります。
喘息の検査はどうやって行われるの?

編集部
喘息の診断には、どのような検査が必要になるのでしょうか?
岩田先生
まずは症状の経過を詳しく確認した上で、呼吸の状態を評価します。当院では主に、呼気一酸化窒素測定検査、呼吸機能検査、血液検査を行っています。咳が続いている期間や時間帯による変化も重要な情報で、検査結果と併せて喘息の可能性を判断します。
編集部
呼気一酸化窒素測定検査では、具体的に何が分かるのですか?
岩田先生
喘息による炎症の有無が分かります。喘息は、空気の通り道である気道に慢性的な炎症が起こることで発症します。そのため、炎症の程度の評価が重要になります。呼気一酸化窒素測定検査では、およそ10秒間息を吐くだけで、気道の喘息性炎症の状態を数値として確認できます。数値が一定以上の場合は、喘息の可能性が高いと考えられます。
編集部
呼吸機能検査では、どのような点を確認するのでしょうか?
岩田先生
喘息に特徴的な咳や、ヒューヒューと音が鳴る喘鳴(ぜんめい)は、気道に炎症が起こり、気管支が狭くなることで表れます。すきま風と同じ理屈で、空気の通り道が狭まるために音が鳴るのです。この気道の狭さを客観的に調べるのが、呼吸機能検査です。一般的な肺機能検査が有名ですが、当院では、空気の通り道の状態を数値や波形として表示し、目で見て理解しやすい呼吸抵抗測定も行っています。
編集部
血液検査についても教えてください。
岩田先生
採血検査では、喘息の原因の一つとされるアレルギーの有無を確認します。ハウスダストや花粉、ペットの皮膚といったアレルギー物質に対する反応を調べることで、どのような要因が関与しているかを類推することができます。原因が明らかになることで、アレルゲンを避ける工夫がしやすくなり、発作の起こりにくい生活につなげられる可能性が高まります。
編集部
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
岩田先生
「ただの咳」と思っていたのに、「実は喘息だった」というケースは少なくありません。喘息は気道の炎症が続く病気です。早めに診断して適切な治療を行うことで、肺機能は守ることができます。ただし、放置してしまうと、気管支の構造が変化したまま元に戻りにくくなり、肺機能が低下してしまうことがあります。長引く咳は体からのサインです。気になる咳があれば、我慢せず医療機関に相談してください。
編集部まとめ
咳が続く場合は、「風邪の延長」と自己判断せず、喘息の可能性を含めて検査を考えることが大切です。呼吸検査、呼吸機能検査、血液検査を組み合わせて評価することで、適切な診断と治療につなげることができます。1週間以上咳が続いている、咳が出ると止まりにくくなるという人は、一度呼吸器内科で検査を受けてみてはいかがでしょうか?
医院情報

| 所在地 | 愛知県名古屋市緑区作の山町15 |
| 診療科目 | アレルギー科、内科、呼吸器内科 |
| 診療時間 | 午前: 月〜土 9:00〜12:00 午後: 月火水金 17:00〜19:00 |
| 休診日 | 木午後、土午後、日、祝 |




