「もっと早く気づいていれば…」と後悔しないために。『子どもの身長』で家族にできること

子どもの身長が周囲より低いと、「体質だから」「様子を見ていればよい?」と迷う保護者も多いものです。成長の個人差と病気が隠れているケースの見わけ方、受診を考えるタイミングについて、金城こどもクリニックの金城先生に教えてもらいました。
※2026年2月取材。

監修医師:
金城 健一(金城こどもクリニック)
子どもの身長がなかなか伸びない原因は?

編集部
子どもの身長が伸びにくい主な原因には何がありますか?
金城先生
子どもの身長が伸びにくい原因は一つではありません。実際には、体質や遺伝による家族性低身長や、成長のペースがゆっくりな体質性思春期遅発(14歳になるまでに思春期発達がみられない)が多くを占めます。一方で、成長ホルモン分泌不全症、甲状腺機能異常、慢性的な栄養不足など、医学的な原因が隠れている場合もあります。
編集部
遺伝が原因のこともあるのですね。
金城先生
研究により、身長は8~9割が遺伝で決まることがわかっており、両親が小柄な場合、子どもも低身長になりやすい傾向があります。ただし「遺伝だから」と決めつけてしまうのは注意が必要です。遺伝的要因があっても、ほかの病気が重なっているケースもあるため、定期的な身長測定と経過観察が大切になります。
編集部
ほかにも生活習慣が身長に影響することはありますか?
金城先生
はい、生活習慣は成長に大きく影響します。特に睡眠不足は成長ホルモンの分泌を妨げるため、不十分な睡眠は身長の伸びに悪影響を及ぼす可能性があります。また、偏った食事や極端な少食も成長を妨げる要因です。生活習慣の乱れが続くと、本来伸びるはずの身長が十分に伸びない可能性があります。
受診の目安は?

編集部
病気が原因の場合、どのようなサインがありますか?
金城先生
病気が原因の場合、身長の伸びが急に悪くなる、成長曲線から大きく外れるといった特徴が見られます。また、体重増加が乏しい、疲れやすい、食欲不振、思春期の発来が遅れるなど、身長以外の変化を伴うこともあります。こうしたサインがある場合は、早めに医療機関を受診することが必要です。
編集部
どのタイミングで受診を考えるべきですか?
金城先生
受診の目安として重要なのは、年齢に対して身長が低いかどうかに加え、身長の伸び率です。1年間での身長増加が明らかに少ない場合や、成長曲線を下回ったり、伸びが少なかったりする場合は、受診を検討したほうがよいとされています。また、学校健診で指摘されたときや、保護者が「伸びが止まった」と感じたとき、保護者や本人が心配だと感じたときも相談のタイミングと考えてよいでしょう。
編集部
何歳ごろまでに医療機関を受診したほうがよいですか?
金城先生
乳幼児健診で指摘を受けた場合は、まず一度ご相談ください。その後、小学校の健診で気になる点があれば、その時点で受診することをおすすめします。場合によっては身長の伸びが悪い背景に、何らかの病気が隠れていることもあります。中学校に入ってからでは治療の開始が遅いという場合もありますし、特に成長ホルモン治療が適応となる病気では、思春期前に診断・介入できるかどうかが重要になりますので、気になったタイミングで早めに受診することが大切です。
編集部
どちらの診療科を受診すべきですか?
金城先生
まずは、かかりつけの小児科で相談するのが一般的です。成長記録をもとに必要性があれば、小児内分泌専門医(日本小児内分泌学会)への紹介がおこなわれます。いきなり専門医を受診しなくても問題はありませんが、成長に関する評価は専門性が高い分野であるため、適切に連携をとってもらうことが重要です。
編集部
受診時に持っていくとよい情報は?
金城先生
母子健康手帳やこれまでの身長・体重の記録は非常に重要です。また、両親の身長、出生時の体重や身長、既往歴、生活習慣(睡眠・食事)についても伝えられるようにしておくと、診断がスムーズになります。
子どもの低身長で保護者が注意すべきこと

編集部
子どもの低身長について家庭でできるサポートには何がありますか?
金城先生
家庭で最も大切なのは、規則正しい生活習慣を整えることです。十分な睡眠時間を確保し、バランスの取れた食事を心がけることが成長の土台になります。また、適度な運動は骨や筋肉の発達を促します。
編集部
低身長のことを子どもにどう伝えるべきですか?
金城先生
「比べない」「責めない」姿勢が大切です。身長について過度に心配したり、頻繁に話題にしたりすると、子どもがコンプレックスを抱く原因になることがあります。必要な場合は医師と一緒に説明してあげると子どもの安心につながります。
編集部
家庭での対応も大切ですね。
金城先生
一方で、「保護者が心配するほど本人は気にしていない」という場合もあります。実際、保護者に無理やり病院へ連れてこられる子どももいますが、受診をする前にまずは家族でよく話し合い、身長に対する考え方や気持ちを親子で共有することが大事だと思います。
編集部
サプリメントや成長食品は有効ですか?
金城先生
市販のサプリメントや成長をうたう食品に、医学的に身長を伸ばす確かな効果が証明されているものは多くありません。サプリメントや食品に対して無闇に依存するよりも、まずは食事内容や睡眠など基本的な生活を見直すことが優先です。使用を考える場合には、まず医師に相談することをおすすめします。
編集部
必要に応じて医師に相談しながら、生活習慣を整えるなどして見守ることが大切なのですね。
金城先生
はい。特に大切なのは、成長には個人差があるという視点を持つことです。早めに気づいて相談することは大切ですが、結果を急ぎすぎないことも重要です。必要に応じて医師と協力しながら、子どもの成長を見守ってあげる姿勢を大事にしましょう。
編集部
最後に、メディカルドックの読者へのメッセージがあれば。
金城先生
お子さんの低身長に悩む保護者は少なくありません。私はまず、その背景に治療が必要な病気が隠れていないか、丁寧に診断をおこないます。同時に、ご家族が抱える不安に寄り添い、ともに歩んでいく姿勢を大切にしています。成長のスピードは兄弟であっても個人差が出る場合もあるのです。周りと比べすぎず、その子なりの歩みを見守ってあげましょう。少しでも気になることがあれば、どうぞお早めに医療機関へご相談ください。
編集部まとめ
子どもの成長は、保護者にとって何よりの懸念事項です。低身長の背後に隠れた疾患を見逃さないという姿勢を保ちつつ、数値だけでは測れない「その子らしさ」に寄り添うことも大切ですね。
医院情報
| 所在地 | 静岡県浜松市浜名区平口210-1 |
| 診療科目 | 内科、小児科 |
| 診療時間 | 【小児科外来】 午前:月~金 8:30~11:30、土 9:00~11:30 午後:月水木 15:00~18:00 【乳児健診・予防接種】 乳児健診:月・水 13:30~15:00 予防接種:火・木 13:30~15:00 土曜日:13:30~14:30 【内分泌外来】 火金:15:00~18:00 土:14:30~16:00 |
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