「いびきをかく人」の『糖尿病』の可能性は何倍? 寝起きの“この症状”に注意【医師解説】

いびきは「体質」「疲れているだけ」などと軽く考えられがちですが、じつは体の中で起きている異常のサインである場合も少なくありません。特に、睡眠中の呼吸障害は生活習慣病、とりわけ糖尿病と深く関係していると分かってきています。本記事では、桑名メディカルクリニック院長の堀田康広先生に、いびきが起こる仕組みから、睡眠時無呼吸症候群(SAS)と糖尿病リスクの関係まで聞いていきます。
※2026年1月取材。

監修医師:
堀田 康広(桑名メディカルクリニック)
いびきは「音」ではなく体の異常サイン

編集部
いびきはなぜ起こるのでしょうか?
堀田先生
いびきは、睡眠中に、空気の通り道である気道が狭くなる現象によって起こります。気道が狭い状態で呼吸をすると周囲の組織が振動し、その音がいびきとして聞こえます。単なる癖ではなく、体の構造や状態が関係している点が特徴です。
編集部
いびきが強いままだと、どのような問題が起こりますか?
堀田先生
強いいびきが続いている場合、睡眠中に呼吸が止まる睡眠時無呼吸症候群(SAS)を引き起こしているケースが多々あります。呼吸停止が1時間に20回以上ある場合、8年後の生存率が約63%まで低下したという報告もあり、命に関わる疾患として注意が必要です。厚生労働省も重大な疾患と位置付けており、1時間当たり15回以上の無呼吸があれば、持続陽圧呼吸療法(CPAP/シーパップ)の適用となるよう基準を引き下げてきています(2026年6月1日施行)。
編集部
本人が自覚していないケースも多いのでしょうか?
堀田先生
そうですね。睡眠中の出来事なので、本人が気づかないまま進行しているケースが少なくありません。家族にいびきを指摘され、検査を受けて初めて重症度が分かる場合も見られます。
SASと糖尿病の関係

編集部
SASと糖尿病には、どのような関係があるのでしょうか?
堀田先生
SASがあると、睡眠中に低酸素状態や交感神経の過剰な緊張が繰り返されます。その結果、インスリンの働きが低下し、血糖値が上がりやすくなるため、糖尿病の発症や悪化につながると考えられています。
編集部
糖尿病リスクが2倍になるという話は本当ですか?
堀田先生
研究によって数値の差はあるものの、概ね事実です。いずれの研究においても、SASがある人は、SASがない人に比べて糖尿病を発症するリスクが高いと示されています。SASがある人は「明らかに糖尿病になるリスクが上昇する状態」と理解するとよいでしょう。
編集部
すでに糖尿病がある場合も、SASは影響しますか?
堀田先生
影響します。SASによって睡眠の質が低下すると、血糖コントロールが不安定になりやすくなります。治療を行っていても数値が改善しにくい場合、SASが関与している可能性が考えられます。
編集部
肥満体型とSASの関係についてはどうでしょうか?
堀田先生
肥満はSASの大きな要因の1つですが、痩せている人でも顎の形や気道の構造によって起こる場合があります。体型だけで判断できない点がSASの特徴です。「いびきを指摘された」だけでなく「熟睡感がない」「朝起きると頭が痛い」などの症状がある場合は、早めに医療機関へ相談してください。
「いつか検査を」では遅いかも!? 早期対応の重要性

編集部
SASが疑われる場合、どのような検査から始まるのでしょうか?
堀田先生
まずは睡眠中の無呼吸の有無や程度を調べるため、簡易検査から始めます。現在はご自宅で行える検査が主流で、基本的に入院の必要はありません。最初の段階として負担が少ない検査です。
編集部
簡易検査の後はどうなるのですか?
堀田先生
簡易検査で重症のSASと判断された場合は、そのままCPAPという機器を装着して眠る治療が検討されます。重症と判断されなかった場合は、より詳しく評価するために精密検査を行います。
編集部
精密検査というと、入院が必要なイメージがあります。
堀田先生
以前は入院検査が一般的でしたが、現在は精密検査も自宅で行える機器を導入している医療機関が増えています。入院しなくても必要な情報を十分に得られるため、患者さんの負担を抑えながら診断につなげられます。
編集部
早めの治療にどのようなメリットがありますか?
堀田先生
日中の強い眠気や集中力低下が改善され、生活の質が大きく向上します。加えて、糖尿病や高血圧といった生活習慣病の発症・悪化リスクを下げる効果も期待できます。また、SASは認知症の進行との関連や、突然死との関連が報告されている疾患でもあります。こうした重いリスクを防ぐためにも、早期に見つけて適切な対応をとる必要があります。
編集部
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
堀田先生
いびきは「たかがいびき」と軽く考えられ、放置されがちですが、SASが背景にある場合、高血圧や糖尿病、さらには認知症のリスクが高まると分かっています。さまざまなリスクを予防する意味でも、まずはSASという病気について知ってほしいと思います。適切に診断を受け、CPAP治療を始めることで、症状が大きく改善する人は少なくありません。睡眠の質が変われば日中の生活の質も上がりやすいため、気になる症状があれば早めに相談してください。
編集部まとめ
SASは、命に関わるだけでなく、糖尿病をはじめとした生活習慣病とも深く関係しています。自覚がないまま進行するケースも多いため、気になる症状がある場合は検査によって状態を把握するよう心がけましょう。早めに対応することで、将来的な健康リスクを抑えられます。
医院情報

| 所在地 | 三重県桑名市大山田1-7-8 |
| 診療科目 | 糖尿病内科、内分泌内科、漢方内科、内科、小児科 |
| 診療時間 | 午前: 月~金 9:00~12:00/土 9:00~13:00 午後: 月火木金 15:30~19:00 |
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