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「朝起きられない」は病気の可能性も… 『睡眠・覚醒相後退障害』の症状を医師が解説

 公開日:2026/03/18
「朝起きられない」は病気の可能性も… 『睡眠・覚醒相後退障害』の症状を医師が解説

夜になると眠れず、朝起きられない――。その状態が続くと「睡眠・覚醒相後退障害」の可能性があります。受診する際は、生活リズムや症状の経過をきちんと伝えることが重要です。診察で確認されるポイントと医師に伝えるべき内容を、眠りのクリニック神楽坂の伊東先生が分かりやすく解説します。

※2025年12月取材。

伊東 若子

監修医師
伊東 若子(眠りのクリニック神楽坂)

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2003年、秋田大学医学部卒業。秋田大学大学院医学系研究科博士課程修了。旭川医科大学精神医学講座、岩手県立南光病院、サウスカロライナ大学Public Health研究留学、睡眠総合ケアクリニック代々木、神経研究所附属晴和病院、小石川東京病院を経て、2025年3月、眠りのクリニック神楽坂を開院。精神科病院にて精神科一般治療に従事した後、睡眠障害を中心とした診療と睡眠臨床研究に長年従事している。

睡眠・覚醒相後退障害とは?

睡眠・覚醒相後退障害とは?

編集部

睡眠・覚醒相後退障害とは、どのような病気ですか?

伊東 若子先生伊東先生

睡眠・覚醒相後退障害は、体内時計(概日リズム)が後ろにずれてしまい、夜の一般的な時間になっても眠くならず、睡眠の時間帯が全体として遅くなってしまう病気です。単なる「夜型」ではなく、自分の努力では調整が難しいという点が特徴です。

編集部

具体的に、どのような影響が出るのですか?

伊東 若子先生伊東先生

寝る時間と起きる時間がずれてしまうため、学校や仕事に支障が出るケースも少なくありません。思春期・若年層に多いとされますが、大人でも発症します。生活習慣の乱れだけでなく、生まれつきの体質、光の刺激、ストレスなど複数の要因が関係すると考えられています。

編集部

受診の目安を教えてください。

伊東 若子先生伊東先生

生活に支障が出ている場合は受診をおすすめします。具体的には、夜眠れず朝起きられないため学校に行けない、朝や午前中の体調不良、パフォーマンスの低下などの状態が続くときは注意が必要です。

編集部

生活に支障が出ている場合は、治療をした方がよいのですね。

伊東 若子先生伊東先生

はい。「眠れないだけ」「ただの夜更かし」などと自己判断すると治療が遅れ、さらに日常の不便が生じることもあります。早めの専門医の診断が重要です。

受診時に確認すべきこと、伝えるべきことは?

受診時に確認すべきこと、伝えるべきことは?

編集部

受診の際、医師にこれだけは伝えておいた方がいいという情報はありますか?

伊東 若子先生伊東先生

「いつ眠たくなるのか」「実際に寝付く時刻」「自然に起きる時刻」など、睡眠の時間帯を正確に伝えることですね。これが非常に重要です。また、眠れない理由を医師が判断するには、2週間以上の睡眠記録が役立ちます。

編集部

そのほかに、伝えるべきことはありますか?

伊東 若子先生伊東先生

生活習慣、就寝前のスマートフォン使用、学校や仕事の状況、症状が悪化した時期、ストレスの有無、服薬の有無もしっかり共有しましょう。そうすることで、正確に診断を付けやすくなります。

編集部

事前に準備しておくとよいものはありますか?

伊東 若子先生伊東先生

最近は、スマートフォンのアプリで睡眠情報を記録できるサービスもあります。診察室では、そのログを医師に見せるとよいかもしれません。また、生活スケジュールを記したメモも診断の役に立ちます。

治療は、どのようにして行われるのか?

治療は、どのようにしておこなわれるのか?

編集部

睡眠・覚醒相後退障害の治療方法を教えてください。

伊東 若子先生伊東先生

治療の中心は、体内時計を前倒しする「リズム調整」です。具体的には、起床後に強い光を浴び、光環境の調整を行います。それでも改善しない場合は、薬物療法としてメラトニン製剤やメラトニン受容体作動薬を使用します。就寝前には、スマートフォン・PCの光を避ける習慣づくりが基本となります。眠ったり、起きたりする時間を少しずつ前倒しにしていくこと、それから学校や仕事の予定を調整して無理に詰め込みすぎないことも大切です。改善には数週間〜数カ月かかることもあるため、焦らず継続的に治療することが必要になってきます。

編集部

薬物療法が行われることもあるのですね。

伊東 若子先生伊東先生

はい。生活リズムの調整で改善しない場合、子どもにはメラトニン製剤を使用することがあります。ただし日本では、成人の不眠症に対するメラトニン製剤は承認されておらず、成人のケースでは、メラトニン製剤ではなくメラトニン受容体作動薬を使用します。

編集部

まずは生活習慣の見直しが必要なのですね。

伊東 若子先生伊東先生

そうですね。夜は強い光や寝る前のスマートフォンの使用を避け、睡眠リズムを乱さないことが大切です。本来は朝にしっかり光を浴びることが望ましいですが、近年は在宅勤務などで外に出ない生活が増えていると思います。家にいる時間が続くと、症状が悪化しやすくなるので注意が必要です。また、夜の予定が増えて就寝時間が遅くなるのも悪影響を及ぼします。症状の改善には生活全体を整えることが必須です。

編集部

治療により症状の改善は期待できますか?

伊東 若子先生伊東先生

多くの場合改善しますが、再発しやすいため、リズムを整える習慣を続けないといけません。睡眠の問題で困ったことがあれば、早めに医師に相談してください。

編集部

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

伊東 若子先生伊東先生

コロナ禍以降、在宅勤務が増えたことで「通勤がなくなり、生活リズムが一定でなくなる」「仕事の後ろ倒しが起こりやすい」「朝の外出がなくなり、朝日を浴びなくなる」といった理由から、「夜なかなか眠れない症状」に悩む人が増えています。睡眠・覚醒相後退障害は、生活環境に影響されやすい病気だからこそ早めに気付き、悪化する前に対処することが重要です。治療が早いほど回復はスムーズになります。気になる症状があればためらわずに、専門医に相談してほしいと思います。

編集部まとめ

睡眠リズムの乱れを「疲れのせい」と放置してしまう人が増えています。しかし、症状が続く背景には病気が隠れている可能性も……。早く気付き、早く対処することが改善への最短ルートです。眠気や集中力の低下が気になる人は、まず専門医に相談することをおすすめします。

医院情報

眠りのクリニック神楽坂
所在地 東京都新宿区神楽坂6-66 宝生堂ビル3F
診療科目 心療内科、精神科
診療時間 午前:火~金 10:00~13:00、土 9:00~13:00
午後:火~金 14:30~18:45、土 13:30~17:30
休診日 月・第2.4木・日・祝日

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