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どんな行動が見られたら「発達障害」のサイン? 年齢別症状の特徴を医師が解説

 公開日:2026/04/15
どんな行動が見られたら「発達障害」のサイン? 年齢別症状の特徴を医師が解説

「うちの子、ほかの子より落ち着きがない」 「言葉の発達がゆっくりかもしれない」。そんな小さな違和感は、発達障害の早期サインとして現れる場合があります。年齢ごとに現れやすい特徴を知っておくことで、必要なサポートにつながりやすくなります。今回、発達障害の子どもの特徴について、南浦和駅前町田クリニックの町田先生に教えていただきました。

町田 なな子

監修医師
町田 なな子(南浦和駅前町田クリニック)

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信州大学医学部卒業、東京医科歯科大学(現・東京科学大学)大学院修了。同附属病院にて初期研修。東京都医学総合研究所にて事象関連電位をテーマに博士号を取得。東京都職員共済組合青山病院、東京都立豊島病院、東京都健康長寿医療センター、久喜すずのき病院、浦和すずのきクリニックを経て、「南浦和駅前 町田クリニック」を開院、院長となる。医学博士。日本精神神経学会専門医・指導医、認知症診療医。日本医師会認定産業診療医。

発達障害とは? “病気”ではなく“特性”と捉える

発達障害とは? “病気”ではなく“特性”と捉える

編集部

はじめに、発達障害とはどのような状態なのか教えてください。

町田 なな子先生町田先生

発達障害とは、脳の発達の特性によって行動やコミュニケーション、学習などに困難が生じる状態を指します。代表的なものに自閉スペクトラム症(ASD)、注意欠如・多動症(ADHD)、学習障害(LD)などがあります。

編集部

発達障害は病気なのですか?

町田 なな子先生町田先生

発達障害は「病気」というより、生まれ持った特性と考えるほうが適切です。特性そのものが悪いわけではなく、環境との相性によって困りごとが強く出ることもあれば、サポートが整うことで、むしろその子の力が大きく発揮されることもあります。もちろん、育て方が原因ではありません。

編集部

「病気ではなく特性」と考えることが大事なのですね。

町田 なな子先生町田先生

はい。まず大切なのは、「その子がどんな特性を持っているか」を知り、生活や学習の中で何がつまずきになっているのかを丁寧に見つけることです。さらに、必要に応じてお薬を適切に使うことで、集中力や行動の調整がしやすくなり、学校生活への適応や学業成績、進路の選択肢が広がるケースもあります。

編集部

薬を使うこともあるのですね。

町田 なな子先生町田先生

お薬は「性格を変えるもの」ではなく、その子が本来持っている力を使いやすくする“サポート”のひとつです。特性を理解し、環境調整や支援、そして必要なら医療的サポートを組み合わせることで、お子さんはぐっと過ごしやすくなります。

編集部

発達障害は何歳くらいで気づかれることが多いのでしょうか?

町田 なな子先生町田先生

言葉がしっかりしてくる幼児期や、集団生活で周囲との違いが際立つ学童期に分かるケースなどが多いですね。特にADHDやLDは、読み書きや集中力を求められる小学校入学後に明らかになることが多い印象です。

編集部

発達障害は治るものなのでしょうか?

町田 なな子先生町田先生

発達障害は「治る」というより、生涯にわたる特性として続くものです。ただし、成長とともに苦手さが目立ちにくくなったり、環境を整えることで困りごとが大きく減ったりするケースは少なくありません。

編集部

「治す」というよりも「うまく付き合う」という感じですか?

町田 なな子先生町田先生

大切なのは“治すこと”を目標にするのではなく、その子の特性を正しく見立て、学校や家庭の支援体制を整え、必要に応じて適切にお薬治療を組み合わせることです。こうしたサポートが噛み合うと、集中しやすくなったり、生活や学習のハードルが下がり本人が本来の力を発揮できるようになったりします。つまり、発達障害があっても安心して生活し、自分らしく成長できる環境をいかに整えるかが最も重要なのです。

年齢別症状の特徴(乳幼児期〜幼児期)

年齢別症状の特徴(乳幼児期〜幼児期)

編集部

年齢ごとに見られる発達障害のサインについて教えてください。まずは乳児期からお願いします。

町田 なな子先生町田先生

乳児期は非常に個人差が大きく断定はできませんが、いくつか気づきやすい特徴があります。たとえば「目が合いにくい」「笑いかけても反応が弱い」「抱っこしても落ち着かない」「感覚の刺激に敏感または鈍感」などです。また、周囲の音への反応が乏しい、寝ぐずりが非常に強いなどもヒントになります。気になる場合は健診で相談し、成長を見守りながら評価していくことが大切です。

編集部

1〜2歳ごろの幼児初期に見られる特徴はいかがでしょう?

町田 なな子先生町田先生

この時期は言葉や社会性が育つ大切な段階です。「言葉が出るのが遅い」「指差しが少ない」「一人遊びが多い」「同じ遊びを繰り返す」などが見られることがあります。また、音や触覚に対する敏感さ、身の回りの変化への強いこだわりも特徴です。これらは発達の個性として見られることもありますが、ほかの子と比べて気になる点が続く場合は早めに相談するとよいと思います。

編集部

幼児期(3〜5歳)で特に気づかれやすいポイントについても教えてください。

町田 なな子先生町田先生

集団生活が始まると周囲との差が見えやすくなります。ASDでは「友達と関わるのが苦手」「場面に合った行動が難しい」、ADHDでは「じっとしていられない」「気が散りやすい」などの行動が目立つようになります。また、言語理解の遅れや、不器用さによる生活動作の難しさが現れる場合もあります。幼稚園などの先生から園での生活態度を聞いておかしいなと思った場合には、一度専門医に相談するとよいかもしれません。

編集部

個性と発達障害は、どうやって見分ければよいのですか?

町田 なな子先生町田先生

幼児期は成長にばらつきが大きく、「気になる行動=発達障害」とは限りません。しかし、①半年〜1年続いている、②家庭と園の両方で同じ困りごとがある、③日常生活に支障が出ている、というポイントが複数当てはまる場合は、医師による評価を受けると適切なサポートにつながると思います。

年齢別症状の特徴(学童期〜思春期)

年齢別症状の特徴(学童期〜思春期)

編集部

学童期に目立つ発達障害の特徴には、どのようなものがありますか?

町田 なな子先生町田先生

小学校に入ると、読み書きや計算、集団行動、ルール理解など子どもに求められる能力が一気に増えます。ASDの子は人間関係や集団行動が難しいことがありますし、ADHDの子は忘れ物が多い、注意が続かない、衝動的な行動が目立つといった行動が見られることがあります。LDでは「読む・書く・計算する」のどれか(または複数)が特に苦手で、努力に比べて成果が上がらない様子が特徴です。ただし、これらは「努力不足」「怠け」ではありません。脳の特性によるものと理解し、特性に合った学習支援や環境調整をおこなうことがとても重要です。

編集部

学童期の発達障害は、どんなきっかけで気づかれることが多いのですか?

町田 なな子先生町田先生

特にADHDのお子さんでは、「忘れ物が多い」「注意が続かない」「課題に取りかかれない」などが日常的に見られ、学習面でも行動面でも困りごとが目立ちやすいのが特徴です。 LDのお子さんでは、読み書きのつまずきが3〜4年生で明確になり、そこで初めて気づかれることもあります。こうした困りごとが続くと、叱られる経験が積み重なり、自己肯定感が低下して二次的に不安や抑うつが出てくることもあるため、早めの気づきとサポートが大切です。

編集部

思春期になると、発達障害の現れ方は変わるのでしょうか?

町田 なな子先生町田先生

思春期は、心と身体の変化が大きい時期です。そのため発達障害の特性が、よりはっきり見えてくることがあります。

編集部

具体的に、どんなふうに見えてくるのか教えてください。

町田 なな子先生町田先生

ADHDでは、衝動性がやや落ち着いても、計画性の弱さ・課題の先送り・集中の維持の難しさが学業に影響することが増えます。テストの負担が大きくなる時期のため、困りごとが目立ちやすくなります。ASDでは、対人関係の複雑さが増すことで、人間関係のストレスが強くなることがあります。また、学習量が増えることでLDの特性が際立つケースもあります。思春期は心理的ストレスが重なりやすく、不安・抑うつ・不登校と結びつくこともあるため、学習だけでなく心のケアも重要になってきます。

編集部

年齢別の症状を知っておくことは、どのような面で役立ちますか?

町田 なな子先生町田先生

年齢によって発達障害の現れ方は変わるため、その変化を知っておくことは早期の気づきにとても役立ちます。たとえば、学童期は忘れ物や集中の続きにくさ、友達トラブルが目立ちやすく、思春期になると計画性の弱さや情緒の不安定さが前面に出ることがあります。年齢ごとの特徴を理解しておくことで、お子さんの困りごとを「性格」ではなく特性によるサインとして捉えやすくなり、早めに支援につなげることができます。さらに、学校や家庭のサポートの方向性を調整しやすくなり、お子さんが安心して力を発揮できる環境づくりに役立つのです。

編集部

最後に、メディカルドック読者へのメッセージをお願いします。

町田 なな子先生町田先生

子どもは一人ひとり個性があり、発達の程度に「正解」や「不正解」はありません。発達障害は “その子の特徴” を理解するための視点であり、親のせいでも、子どもの価値を決めるものでもありません。その子の人生を歩むのはその子自身です。よく観察して得意なことを伸ばし、困りごとには環境を整えてサポートしてあげるようにしましょう。気になることがあっても心配しすぎず、気軽に医師へご相談いただければと思います。

編集部まとめ

子どもの発達は一人ひとり異なり、特性を理解することが何より大切です。心配を抱え込まず専門家に相談することで、親も子もより安心して歩めるはず。家庭と医療が一緒に子どもの成長を支えていける関係を作りたいですね。

医院情報

南浦和駅前町田クリニック
所在地 埼玉県さいたま市南区南本町2-1-2 プラザマツヤビル3F
診療科目 内科、心療内科、精神科
診療時間 午前: 月~金 9:30~13:00 土 9:00~15:00 (15分前受付終了/初診予約制/再診予約優先)
午後: 月~金 14:00~18:00(15分前受付終了/初診予約制/再診予約優先)
休診日 日・祝

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