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インフルエンザ・コロナ・マイコプラズマ肺炎のトリプル流行に要注意! 重症化しやすい人の特徴を医師が解説

 公開日:2025/12/09
インフルエンザ・コロナ・マイコプラズマ肺炎のトリプル流行に要注意! 重症化しやすい人の特徴を医師が解説

冬が近づくにつれ、インフルエンザや新型コロナウイルス感染症、マイコプラズマ肺炎といった感染症の流行が目立ち始めます。近年は複数の感染症が同時に流行するトリプル流行の傾向もあり、症状が似ているため見分けがつきにくいことも少なくありません。特に子どもや高齢者、基礎疾患を抱える方は重症化リスクが高いため注意が必要です。今回は、感染症が流行する季節に気を付けるべきポイントや、家庭でできる予防・初期対応について、おばら腎内科クリニックの小原先生に詳しく解説していただきました。

小原 功裕

監修医師
小原 功裕(おばら内科腎クリニック)

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1991年に日本医科大学医学部を卒業後、腎臓内科・血液透析医療を専門として臨床に従事。2016年に「おばら内科腎クリニック」を開院。2020年には移転・増床により診療体制を拡充。現在は院長として腎臓内科・人工透析を中心に幅広い診療をおこなっている。日本透析医学会専門医・指導医、日本アフェレシス学会専門医。

感染症の流行動向と特徴を知る

感染症の流行動向と特徴を知る

編集部

インフルエンザやマイコプラズマ肺炎、新型コロナウイルス感染症など、最近の感染症の流行にはどんな傾向があるのでしょうか?

小原 功裕先生小原先生

近年は季節による区切りが曖昧になり、インフルエンザ新型コロナウイルス感染症マイコプラズマ肺炎が同時に流行する傾向があります。特に子どもの間ではマイコプラズマ肺炎の報告が増え、高齢者ではインフルエンザや新型コロナウイルス感染症で症状が重くなることが問題となっています。これらの感染症は咳やくしゃみ、手で触れることで広がるため、学校や職場、家庭での対策が欠かせません。

編集部

各感染症の主な症状や、感染経路の違いを教えてください。

小原 功裕先生小原先生

インフルエンザは高熱や関節痛、強いだるさが急に出るのが特徴です。新型コロナウイルス感染症は発熱や咳、のどの痛みに加え、においや味がわからなくなることもあります。マイコプラズマ肺炎は乾いた咳が長く続き、微熱でも肺炎に進むことがあります。どれも咳やくしゃみの飛沫、ドアノブを触った手などを介して感染するので、換気が悪く人が密集した場所では特に注意が必要です。

編集部

単なる風邪と見分けるポイントはありますか?

小原 功裕先生小原先生

普通の風邪は2〜3日で良くなりますが、インフルエンザやマイコプラズマ肺炎では熱や咳が長引き、全身のだるさが強く出ます。特に「高熱が2日以上続く」「息苦しい」「食事が取れない」というときは、早めに医療機関を受診しましょう。市販薬で様子を見るより、何の感染症かを確認して適切な治療を受けることが、症状を悪化させないカギとなります。

「重症化リスクが高い人」はどんな人?

「重症化リスクが高い人」はどんな人?

編集部

子どもや高齢者、持病がある方が重症化しやすい理由を教えてください。

小原 功裕先生小原先生

子どもは免疫の仕組みが未熟で、ウイルスへの抵抗力が弱い傾向にあります。高齢者は免疫力が低下しているため、感染をきっかけに肺炎などを起こしやすくなります。また、糖尿病や心臓病、呼吸器の病気をお持ちの方は、感染による炎症で持病が悪化することがあります。体力や免疫力が落ちていると、軽い感染でも入院が必要になることがあるのです。

編集部

特に注意が必要な持病や体質にはどのようなものがありますか?

小原 功裕先生小原先生

糖尿病や慢性腎臓病、心不全、喘息、COPD(慢性閉塞性肺疾患)などをお持ちの方は特に注意が必要です。これらの病気があると、感染により血糖値のコントロールが難しくなったり、心臓や肺の働きが悪化したりする可能性があります。また、免疫を抑える薬やステロイドを使っている方も症状が重くなりやすいため、ワクチン接種や早めの受診が特に大切です。

編集部

もし感染してしまった場合、重症化を防ぐためにできることがあれば教えてください。

小原 功裕先生小原先生

まずはしっかり休み、脱水を防ぐために水分を摂りましょう。自己判断で市販薬を飲み続けるより、医療機関で何の感染症かを確認し、必要に応じて処方薬を使うことが大切です。持病のある方は早めにかかりつけ医に相談し、いつもの薬の飲み方や食事を一時的に調整することも、症状の悪化を防ぐことにつながります。無理をせず、体調の変化に注意しましょう。

家庭・学校・職場でできる予防と初期対応

家庭・学校・職場でできる予防と初期対応

編集部

手洗い・マスク以外にできる効果的な感染対策はありますか?

小原 功裕先生小原先生

室内の換気湿度管理が大切です。特に湿度を40〜60%に保つとウイルスが空気中で生き残りにくくなります。加湿器がなければ、洗濯物を室内に干すのも効果的です。また、十分な睡眠とバランスの良い食事が免疫力を保ちます。外から帰ったら手洗いとうがい、ドアノブなど共有する場所はこまめに拭きましょう。体調が悪いときは無理せず休むことも大切な予防策です。

編集部

家族内で感染者が出た場合、どのように過ごせばよいでしょうか?

小原 功裕先生小原先生

感染した人はできるだけ個室で過ごし、マスクを着けて手洗いを徹底します。食器やタオルは別々にし、窓を開けて換気を頻繁におこないましょう。看病は最小限の人数でおこない、お世話の後は必ず手を洗うか消毒するようにしましょう。症状が軽くても油断せず、家族全員が体温や体調の変化を観察してください。心配な症状があれば、早めに医療機関へ相談することが大切です。

編集部

どんな症状が出たら医療機関を受診すべきですか? 受診前の注意点を教えてください。

小原 功裕先生小原先生

38℃以上の熱が2日以上続く、息苦しい、強い咳が出る、食事や水分が取れないといった症状があれば受診を検討しましょう。特に高齢の方や持病のある方は、早めの受診が悪化を防ぎます。受診前には電話で発熱外来があるか確認し、マスクを着用して指定された時間に来院してください。事前連絡により、安全でスムーズな受診ができます。

編集部まとめ

感染症の流行期は誰もが不安を感じるものです。しかし、手洗い・換気・十分な休息といった日々の小さな対策の積み重ねが、大切な家族を守ることにつながります。特に子どもや高齢者、持病のある方がいるご家庭では、体調の変化に目を配り、「いつもと違う」と感じたら早めに医療機関へ相談しましょう。本稿が読者の皆様にとって、安心して冬を迎えるための一助となれば幸いです。

医院情報

おばら内科腎クリニック

おばら内科腎クリニック
所在地 〒354-0021 埼玉県富士見市鶴馬 2-17-36
アクセス 東武東上線 「鶴瀬」駅 徒歩8分
診療科目 内科、腎臓内科、糖尿病内科、小児科、人工透析

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