【医師に聞く】成長期を過ぎても「身長を伸ばす」ことは可能? 治療できる人・できない人とは?

「子どもの身長が伸びない」「周りと比べるとかなり低い」。そんな悩みから、医療機関の受診を検討する保護者は少なくありません。では、どのタイミングで受診すべきなのか、そして実際にどのような検査や治療がおこなわれるのでしょうか? 日本整形外科学会専門医の川原先生(白山かわはら整形外科)に詳しく聞きました。
※2025年10月取材。

監修医師:
川原 昭久(白山かわはら整形外科)
成長の仕組みと「低身長」の考え方

編集部
子どもの身長は何によって決まるのですか?
川原先生
身長は主に遺伝の影響を受けますが、それだけではありません。睡眠や栄養、運動、ホルモンバランスなどの要因も大きく関わります。同じ遺伝子であっても、生活環境によって成長に差がでることは多くあります。
編集部
「低身長」とはどのように判断されるのですか?
川原先生
同性・同年齢の平均身長よりも著しく低く、さらに成長率(1年間にどれだけ伸びるか)が基準を下回る場合に「低身長」と診断します。単に背が低いというだけではなく、成長のスピードにも注目します。
編集部
「低身長」は病気なのですか?
川原先生
基本的には病気ではありません。ほとんどが体質的・遺伝的な要因による個人差です。しかし、中には病気によって身長が伸びない場合もあります。また、小さく生まれてその後もあまり身長が伸びないケースもあります。こういった原因の場合、早めに治療を受けることで、身長を伸ばせる可能性があります。
編集部
具体的に、どういった病気がありますか?
川原先生
成長ホルモンの分泌異常や甲状腺機能低下症、染色体異常、骨の発育障害などの疾患が原因となることがあります。またホルモン分泌異常も、先天的な病気によるケースと、極端な偏食やストレスによってホルモン分泌が乱れ、身長の伸びに影響を与えるケースがあります。
低身長の検査・治療についても知りたい!

編集部
医療機関で低身長の治療ができるのですか?
川原先生
そうですね。病気が隠れていないかの確認や、治療が必要かどうかの判断などのためにも、一度医療機関にかかるとよいかと思います。特に、成長曲線で身長が平均より2SD(標準偏差)以上下回っている場合は早めの受診をおすすめします。早期に原因を特定し、治療を開始することで効果が高まる可能性があります。
編集部
どのような検査をするのですか?
川原先生
問診や採血・採尿、レントゲンの検査などをおこないます。血液検査では成長ホルモン、甲状腺ホルモン、性ホルモンなどの値を測定します。レントゲンでは骨年齢を確認し、骨端線が閉じているかを判断します。
編集部
骨端線が閉じているかどうかで治療は変わるのですか?
川原先生
はい。骨端線が開いていれば、成長ホルモン治療や生活改善によって身長を伸ばせる可能性がありますが、閉じている場合は骨の伸びは期待できません。
編集部
成長ホルモン治療とはどのようなものですか?
川原先生
体内で分泌が足りない成長ホルモンを注射で補う治療です。これは体が本来もっているホルモンを適切に補充するもので、骨や軟骨の成長を助けます。治療は毎日の注射をおこない、医師の管理のもとで継続する必要があります。
治療の時期はいつがよいの? 成長期を過ぎてからでもOK?

編集部
治療は何歳ごろに始めるのがよいですか?
川原先生
最も効果がでやすいのは5歳くらい〜思春期前までの期間です。思春期の開始時期は女子では10~12歳くらい、男子では11~13歳くらいまでが目安ですが、個人差が大きいです。思春期に入ると性ホルモンの影響で徐々に骨端線が閉じていくため、治療効果が下がります。早い段階で検査し、必要に応じて治療を始めることが大切です。
編集部
思春期を過ぎてからでも治療は可能ですか?
川原先生
骨端線が閉じていなければ、治療は可能です。ただし、閉じている場合は治療ができません。
編集部
成長ホルモン治療の注意点などはありますか?
川原先生
安全性の高いお薬なので過度な心配は要りませんが、副作用として注射部位の疼痛や発赤・発疹などが報告されています。副作用チェックもふくめ定期的に採血・採尿をおこないます。信頼できる医師の処方のもとで治療を進めることが大事です。
編集部
費用も気になります。
川原先生
成長ホルモン分泌不全など、明確な疾患がある場合や、-2SD以上の低身長かつ一定の条件を満たすと保険適用となりますがごく少数です。一方、-2SDにまでいかない低身長ですと保険が適用されず自費診療となります。
編集部
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
川原先生
私自身が子どものときに低身長だった経験があるので、低身長のお子さんおよび保護者の気持ちは痛いほどわかります。また低身長自体は悪いことではありませんが、身長を伸ばすことで、お子さんの将来の夢や職業の選択肢を広げてくれる可能性もあります。お子さんの身長の伸び悩みや、親からの遺伝が心配、など、もし少しでも不安があれば、早めに専門機関に相談することをおすすめします。
編集部まとめ
身長の伸びには遺伝だけでなく、ホルモン、栄養、睡眠、生活環境といった多くの要素が関係しています。低身長が気になる場合は、「様子をみる」よりも「一度相談してみる」ことが重要です。骨の成長には限られた時期があるため、早めの受診と適切なサポートが何より大切です。
医院情報

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| 診療科目 | リハビリテーション科、整形外科 |
| 診療時間 | 午前: 月火木金土 9:00~12:00(30分前受付終了) 午後: 月火木金土 14:00~18:00(30分前受付終了) |
| 休診日 | 水・日・祝 |
