喘息と風邪の見分け方はご存じですか? 咳が止まらないときに疑うべき病気も医師が解説!

風邪だと思っていた咳がなかなか治まらない……。もしかしたら「喘息」かもしれません。風邪と喘息の咳の違いや見分け方、さらに咳が続くときに考えられる病気について、「ひらた循環器クリニック」の平田先生に詳しくお聞きしました。

監修医師:
平田 彩(ひらた循環器クリニック)
喘息と風邪の違い・見分け方

編集部
喘息と風邪の咳はどう違うのですか?
平田先生
風邪はウイルス感染による炎症で、数日~1週間程度で治まる咳が多い傾向にあります。また、風邪の咳は痰を伴うことが多く、発熱やのどの痛み、鼻水、体のだるさといった症状も一緒に出やすいのが特徴です。一方、喘息は気道が慢性的に炎症を起こす病気で、夜間や明け方に咳が強く出たり、ゼーゼーという呼吸音を伴ったりするのが特徴です。この呼吸音のことを「喘鳴(ぜんめい)」と言います。
編集部
喘息と風邪で熱の出方も違うのでしょうか?
平田先生
風邪は発熱を伴うことがある一方、喘息で高熱が出ることはほとんどありません。そのため、咳や息切れは強くても、熱がない場合は喘息を疑う材料になります。ただし、感染症を合併していれば発熱することもあります。
編集部
風邪が治ったのに咳だけ続くのは喘息ですか?
平田先生
風邪をきっかけに気道が敏感になり、咳だけが残ることがあります。さらに、その状態を放置すると喘息に移行することもあります。そのため、咳が3週間以上続く場合は単なる風邪ではなく喘息を疑い、医療機関を受診することが望ましいです。
咳が止まらないときに疑うべき病気

編集部
咳が長引くときに考えられる病気はなんですか?
平田先生
一般的な喘息(いわゆる気管支喘息)のほか、咳喘息、アレルギー性鼻炎、副鼻腔炎、逆流性食道炎などが考えられます。単なる風邪と思い込み放置すると悪化する可能性があるため、咳が長引く場合は検査が必要です。
編集部
咳喘息は一般的な喘息とどう違うのでしょうか?
平田先生
咳喘息は一般的な気管支喘息と異なり、ゼーゼーという喘鳴がなく、咳だけが続くタイプの喘息です。風邪の後や季節の変わり目に悪化しやすく、放置すると気管支喘息に進行することもあります。早期に治療することが重要です。
編集部
逆流性食道炎で咳が出ることもあるのですか?
平田先生
逆流性食道炎では、胃酸が食道を刺激し、慢性的な咳の原因になります。特に就寝時や食後に咳が強まる場合は、呼吸器ではなく消化器系の病気が関わっている可能性もあります。
編集部
結核や肺がんも咳の原因になりますか?
平田先生
長期間続く咳の背景には、結核や肺がんが隠れている場合もあります。特に、体重が急に減ってきたり、血痰を伴ったりしているときは注意が必要です。慢性的な咳は軽視せず、精密検査を受けることが望まれます。
長引く咳の対処法や受診の目安

編集部
咳が長引いたら、まず自分でできる対処はありますか?
平田先生
十分な水分補給、加湿、休息、ストレス回避、刺激物を取らないなどが有効です。市販の咳止めを使用する人も多いと思いますが、一時的な効果しかなく、根本治療にはつながりません。数週間以上続く咳は、自己判断だけでなく医療機関での診断が必要です。
編集部
何日くらい咳が続いたら受診すべきですか?
平田先生
目安として3週間以上咳が続く場合は、医療機関の受診をおすすめします。また、夜間に咳が強い、ゼーゼー音がする、息苦しい、血痰が出るなどの症状がある場合は、早めに内科や呼吸器内科で相談してください。
編集部
そのような症状があるときは様子見せず、早めに受診した方がいいのですね。
平田先生
はい、特に夜間、咳が出て苦しくて眠れない、日常生活に支障が出るといった場合は、早めに受診することをおすすめします。
編集部
受診するのは内科でいいのでしょうか?
平田先生
まずは一般内科を受診し、必要に応じて呼吸器内科や耳鼻咽喉科を紹介される流れが多いと思います。症状や背景によって専門科が異なるため、最初は総合的に判断できる内科を受診するといいでしょう。もちろん、はじめから呼吸器内科を受診しても大丈夫です。
編集部
喘息と診断された場合、治療はどのようにおこないますか?
平田先生
気管支喘息・咳喘息ともに、吸入ステロイド薬や気管支拡張薬が基本です。症状に合わせて薬を継続することで、発作を予防できます。正しく使えば日常生活に大きな支障はありません。医師の指導に従い、長期的にコントロールしていくことが大切です。
編集部
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
平田先生
喘息の症状で苦しさを感じたら、我慢せず早めに受診してください。咳は体力を大きく消耗し、強い発作が続けば肋骨が折れることもありますし、さらには肺炎などの合併症につながる危険もあります。咳や息苦しさを軽く考えず、早い段階で医師に相談することが大切です。体力の消耗や疲労の蓄積を防ぐためにも、自己判断で放置せず、かかりつけ医と連携しながら適切な治療と管理を続けましょう。
編集部まとめ
喘息の咳や息苦しさは体力を奪い、合併症のリスクもあります。QOLを高めるためにも、また悪化を防ぐためにも、早めの受診と継続的な治療で症状をコントロールすることをおすすめします。咳が全然治まらず気になる場合は、内科を受診して必要に応じて呼吸器内科や耳鼻咽喉科などの専門科目を紹介してもらい、症状の改善を目指していきましょう。
医院情報

| 所在地 | 〒184-0004 東京都小金井市本町5丁目40-3 |
| アクセス | JR「武蔵小金井駅」 徒歩10分 |
| 診療科目 | 内科、循環器内科、呼吸器内科 |




