「大腸ポリープ」は放置するとどうなるかご存じですか? 危険性や大腸カメラの重要性を医師が解説

大腸ポリープは自覚症状がほとんどなく、見逃されやすいものですが、放置すると一部ががんに進行することがあります。早期発見・早期治療が重要な理由と、見つかったときの対処法について、花田内科胃腸科医院の花田先生に詳しく教えてもらいました。

監修医師:
花田 亮太(花田内科胃腸科医院)
大腸ポリープは放置すると危険?

編集部
大腸ポリープは放っておいても問題ないのでしょうか?
花田先生
大腸ポリープにはさまざまな種類がありますが、大きく「腫瘍性ポリープ」と「非腫瘍性ポリープ」に分類されます。このうち、非腫瘍性ポリープはほとんどがん化する心配はありません。一方、腫瘍性ポリープの腺腫はがん化するリスクがあるため、早期の対応が必要です。
編集部
大腸ポリープからがんになることがあるのですね。
花田先生
はい、大腸がんの多くは大腸腺腫から進行したものと考えられています。もちろん、すべての腺腫ががんになるわけではありませんが、放置すると一部は時間の経過とともにがんへ進展することがあります。ただし、がんになるまでには通常、年単位の長い時間がかかります。そのため、腺腫の段階で早期に発見して切除しておけば、将来の大腸がんを予防できるとされています。
編集部
ポリープがあるとすぐに症状が出ますか?
花田先生
多くの大腸ポリープは、初期の段階ではまったく症状がありません。そのため、自覚症状だけでポリープの有無を判断するのは難しいです。ただし、時間の経過とともにポリープが大きくなったり、がん化したりすると、出血を伴うことがあります。その結果、便に血が混じる、貧血になる、あるいは下痢や便秘などの便通の変化が出る場合もあります。
編集部
一度ポリープを取れば安心ですか?
花田先生
一度ポリープを切除しても、再発したり、別の場所に新しいポリープができたりすることがあります。そのため、切除後も定期的な大腸内視鏡検査(大腸カメラ)を受けることが重要です。特に、複数のポリープが見つかった人、大腸がんを過去に経験した人、家族に大腸がんになった人がいる場合は、新しいポリープやがんができるリスクが高いため、継続的な観察が必要となります。
大腸ポリープはなぜできる? どんな人にできやすい?

編集部
大腸ポリープはなぜできるのですか?
花田先生
腫瘍性ポリープができる主な原因は、加齢に伴う細胞の老化や遺伝子の変化と考えられています。これに加えて、生活習慣や体の状態も関係するとされています。また、体質や遺伝的な要因が影響することもあり、家族に大腸ポリープや大腸がんが多い方は注意が必要です。
編集部
どんな人ができやすいのでしょうか?
花田先生
たとえば、50歳以上の方や、家族に大腸がんやポリープがある人はリスクが高いとされています。また、脂っこい食事や赤身肉・加工肉をよく食べる人、飲酒量が多い人、喫煙習慣のある人も注意が必要です。さらに、肥満や運動不足もポリープができやすい要因の一つといわれています。
編集部
遺伝も関係するのですね。
花田先生
大腸ポリープには遺伝的な要因も関係しています。特に、家族に大腸がんやポリープがあった人はリスクが高いとされています。
編集部
食生活で予防できることはありますか?
花田先生
日常の食生活や生活習慣を見直すことで、大腸ポリープや大腸がんの予防につながるといわれています。たとえば、食物繊維をしっかり摂ること(野菜・果物・海藻・きのこ類など)や、赤身肉や加工肉を摂りすぎないことが大切です。また、禁煙・節酒・適度な運動といった生活習慣の改善も、ポリープの予防に役立ちます。こうした積み重ねが、将来的な大腸がんのリスクを減らすことにつながります。
大腸ポリープを早期発見するには? 対応は?

編集部
ポリープを早期に見つけるにはどうすればいいですか?
花田先生
最も有効なのは、大腸カメラ(大腸内視鏡検査)を受けることです。大腸カメラでは、検査中にその場でポリープを発見し、切除できるのが大きなメリット。便潜血検査も参考になりますが、陰性であってもポリープが見つからないことがあるため、大腸カメラの方が確実とされています。また、大腸カメラは、症状や経過、ほかの検査結果から医師が必要と判断した場合には、保険が適用されます。健診目的で受ける場合には自費になることもあるため、受ける際には医師に相談すると安心です。
編集部
大腸内視鏡は痛いと聞きますが、本当ですか?
花田先生
大腸内視鏡検査は「痛そう」「つらそう」というイメージを持つ人も多いですが、実際には鎮静剤や鎮痛剤を使用することで、リラックスした状態で受けられるようになっています。眠っている間に検査が終わったと感じる人も少なくありません。個人差はありますが、検査時間は通常15〜30分程度で、無理のない方法でカメラ(内視鏡)を挿入するため、多くの人が大きな負担を感じずに検査を終えることができます。
編集部
ポリープが見つかった場合、すぐ切除できますか?
花田先生
多くの場合はその場で切除することが可能です。検査と同時にポリープを切除できるのは、大腸カメラの大きなメリットの一つ。ただし、ポリープの大きさや形、場所によっては、その場では切除せずに日を改めて入院のうえで切除することがあります。
編集部
大腸内視鏡検査を受ける頻度はどれくらいが理想ですか?
花田先生
実際のところ「必ずこの間隔で受けましょう」という決まりはありません。一般的には、早期の大腸がんを切除した人や複数のポリープが見つかった人には、1年後の再検査をお勧めすることが多いです。ポリープを1〜2個切除した人は1〜3年後、ポリープがまったくなかった人は5〜10年後の検査が勧められることもあります。検査の間隔は人によって異なるため、あくまで目安の一つと考え、主治医と相談して自分に合った検査計画を立てることが大切です。
編集部
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
花田先生
大腸ポリープは多くの場合すぐに命に関わるものではありませんが、中には将来的にがんへ進展する可能性をもつタイプもあります。早期に発見して切除することで、大腸がんを予防することができるため、定期的な検査がとても重要です。「ポリープがある」と聞くと不安になるかもしれませんが、正しい診断と適切な対応をおこなえば、心配しすぎる必要はありません。大切なのは、自分にどのようなリスクがあるのかを理解し、医師と相談しながら最適な検査や治療の計画を立てていくことです。 もし不安や疑問があれば、一人で抱え込まずにまず消化器を専門とした医師に相談してください。早めの検査と適切な対応が、将来の健康を守る大きな一歩となります。
編集部まとめ
ポリープが見つかったからといって、すぐに大腸がんを発症するわけではありません。近年では内視鏡の技術も進化し、体への負担が少なくその場でポリープを切除することもできます。大事なのは定期的に検査を受けること。検査のタイミングは家族歴などによっても異なりますから、必ず医師の指示に従って検査を受けるようにしましょう。
医院情報

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| アクセス | 「川崎市バス」または「臨港バス」にて『大島四丁目』バス停下車より徒歩2~3分 |
| 診療科目 | 消化器内科、内科 |




